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『もしもテロにあったら、自分で自分の命を守る民間防衛マニュアル』から学ぶ緊急事態を乗り切る方法

コウカワシン

こんにちはコウカワシンです。

今回は、武田信彦(たけだ・のぶひこ)小泉悠(こいずみ・ゆう)共著、志方俊之(しかた・としゆき)監修の『もしもテロにあったら、自分で自分の命を守る民間防衛マニュアル』から学ばせていただきます。

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目次

『もしもテロにあったら、自分で自分の命を守る民間防衛マニュアル』は、どんな本?

『もしもテロにあったら、自分で自分の命を守る民間防衛マニュアル』は、ズバリ!「個人でできる防衛対策教本」です。

本書はこのような本

不安定な国際情勢で、世界的にテロなどにより被害を受けている人がたくさんいます。

比較的平和な日本でも、テロの可能性はゼロではありません。

武田信彦(たけだ・のぶひこ)小泉悠(こいずみ・ゆう)志方俊之(しかた・としゆき)の3氏は、防衛のプロとして、「個人レベルで行える防衛方法」を本書でわかりやすく解説してくれました。

テロ対策というと、「個人レベルでできることはない」と思っているなら大間違いです。

なぜなら、テロに巻き込まれるのは間違いなく一般市民であり、警察や消防、自衛隊といった防衛の専門家が、いつも近くにいて守ってくれるとは限らないからです。

つまり、まずは「自分の身は自分で守る」という気持ちを持たなければ、生き残ることが難しいということなのです。

ですがやみくもに考えても時間の無駄です。

事前に準備し、対処法を用意しておく必要があるのです。

そのためにも、国民全員がぜひ本書を読んで、「自分にできること」を心得るために必要な一冊です。

本書がおすすめな人

『もしもテロにあったら、自分で自分の命を守る民間防衛マニュアル』がおすすめな人

  • 災害避難に関心はあるものの、何をどうしていいかをよく知らない人
  • テロとかは用心したいもののあまり実感がわかない人
  • ウクライナ戦争などの有事を見て心配になった人

『もしもテロにあったら、自分で自分の命を守る民間防衛マニュアル』の要点は?

世界中で「テロ」は、確実に増えていますし、昨年より始まったロシアによる「ウクライナ侵攻」では、ウクライナの国土が無残にも破壊される衝撃の映像が世界を駆け巡りました。

それでもウクライナ国民は立ち上がり、自分、家族、同朋を守ろうと懸命に戦っています。

わたしたちが住む日本だって、いつあのような惨劇が待ち構えているかわかりません。

「もしもテロが・・・」というのにまだまだ現実味がないとしても、それに近いものに地震や津波などの災害は、実際に日本でも起こりますし、それについての備えも必要です。

本書は、そういった緊急事態において、各個人が的確に行動するための心得や対処法をわかりやすく教えてくれます。

コウカワシン

それでは、わたしの独断と偏見で本書から、最低限知っておくべき知識を取り上げてみたいと思います。

この記事から「この本いいなあ~」と、思っていただけたなら、ぜひ本書を手に取って読んでみることをおすすめします。

テロはある日、突然起きる

テロの手口というのは、いろいろあります。

爆弾テロ、NBCテロ(放射性物質、生物剤、化学剤など)、銃などによる無差別テロ、同時多発テロ、食品テロ、サイバーテロなど、まだまだありますが、多くの人が犠牲になるという絶対に許されない重大な犯罪行為です。

日本で「テロ」といっても遠い世界のことに感じると思いますが、平成7年に発生した「地下鉄サリン事件」では、朝の地下鉄車両内で神経ガスのサリンを使用した化学テロが起きました。

そうです。テロはある日、突然起きるということなのです。

思い起こせば、平成6年(1992年)に長野県松本市で「松本サリン事件」がありました。

つまり、何らかの目的を持った者の起こすテロは、日本中どこででも実行可能だということです。

そして

今の日本は世界各国と何らかの形でつながっていますから、日本国内で国際会議や世界的なスポーツ大会など、世界的に注目される機会も増えています。

つまり、国際情勢が緊張感を増せば、日本においても一定のリスクが発生し、過激派組織から「テロの標的」として名指しされることもあるということです。

実際、フランスのパリでは、2015年に同時多発テロが起こり、カフェやレストラン、ライブ会場など警備が薄く誰でも利用している「日常の場所」が攻撃されたことが全世界へ衝撃を与えましたよね。

日本では、銃の規制が厳しいのにもかかわらず、年間約400丁もの拳銃が押収されていて、非合法な手段やルートで銃も入手可能、また爆薬などもある程度の知識と一般的に販売されている材料で製造可能です。

さらに、産業・研究分野で使用されている化学物質、毒劇物などの「危険物」が悪用されれば重大な事態が想定されるのです。

ですので、テロを実行するための手段さえあれば、道具や材料は、わざわざ海外から持ち込まなくても、日本国内で入手することが不可能ではないということなのです。

災害もテロも、基本は「自助」。そして「近助」。

災害対策では「自助(じじょ)、共助(きょうじょ)、公助(こうじょ)」が重要です。

自分で自分を守る力が「自助」、地域やコミュニティでお互いに助け合う力が「共助」、警察・消防・自衛隊をはじめとした政府機関や地方公共団体、ライフラインを管理する事業者などによる救援が「公助」です。

大規模な災害が発生した時の重要度は自助70%、共助20%、公助10%といわれています。

特に緊急事態の発生直後は、「自分で自分を守る」という自助しか命を守るすべがないことを表している数字もあるくらいです。

そしてこれは、人為災害ともいえるテロ発生時にも同じことがいえます。

テロを想定したときに、国民保護のための「公助」となる警察・消防・自衛隊といった各関係機関は、日ごろから準備や連携を進めてはいますが、状況や規模によってはその対応能力に限界を迎えてしまう事態も想定されます。

救助や救援で、それらの機関が現場で活動するまでにはある程度の時間がかかり、重大テロであれば状況の把握や準備でさらに時間が必要となります。

最近のテロの傾向として増えている民間人などのソフトターゲットが狙われる場合、直接的に危険と向き合うのは現場に居合わせた「一般市民」です。

危険な動きを察知して防御や避難をする、被害を受けた人を救出する、緊急通報を行う。攻撃を受けたときに助け合えるのは、そのとき近くにいる見ず知らずの人たちです。

テロ発生直後、公助が機能しない状況では、たまたま居合わせたもの同士による「近助(きんじょ)」が多くの命を助けることにつながります。

「助けなければいけない」という強制的な考え方はなじまないにしても、「助け合わざるを得ない」という心の準備はぜひ持っておくべきですね。

テロの発生時、自分自身で身を守る「自助」と、すぐそばにいる人たちとの「近助」が最も頼れる力となります。

わたしたちにできること

いまや、誰もが無関係でいられない社会問題の一つが「テロ」です。

もしかしたら、わたしたちの誰かが被害に遭う可能性があり、また、テロを未然に防ぐため、個人の自由が脅かされるようなことがあるかもしれないのが現実です。

しかし、テロが起きてしまったら、わたしたちにできることは何でしょうか?

著者は、「冷静であること」だと言います。

緊急事態に直面したときこそ、冷静さを取り戻すことが重要なのです。誰でも目の前で惨劇が起きたら、混乱してしまいますが、そんなときでも、もし冷静になることができれば、自分やまわりを助けるための行動を考えることができます。

それから、パニックによる二次災害だって防ぐことができるのです。

それから専門家の意見で多いのが、「臨機応変な判断と行動」です。

テロでは想定外のことが起こり得るため、マニュアル通りの対応ではすべてを網羅できません。

たとえば、その場からすぐ逃げることが安全なこともあれば、留まることのほうが安全であることもあります。また爆発時など、ほとんどの場合は、姿勢を低くすることが安全ですが、空気より重たい有毒ガスからは身を守れないということがあります。

そのようなときに近くに明確な指示や、正解を出してくれる人がいるとも限りません。

ですので、あくまでも、自らの判断で最善だと思われる行動を自己責任の中で行うしかないのです。判断するための知識と知恵をなるべく身につけて、選択肢を増やしておきたいものですね。

それから、テロ対策において、海外では銃で武装した景観や軍人による「沈黙による警備」がおなじみです。日本でも要人の来日などでは厳重な警備を敷くことがあります。

変わり種で、とある自治体の庁舎では民間警備会社の警備員による「こんにちは!お手数おかけします!」と、あいさつ・声かけをしながらセキュリティチェックを行っているそうです。

いわゆる「コミュニケーションによる警備」ということですが、いかにも日本らしいやり方です。

あいさつや声かけそのものがテロ防止に効果があるのかはわかりませんが、おもてなしやおもいやりの気持ちを忘れずにいれば殺伐とはなりませんよね。

これら3つを含めて、わたしたちにできることを常日頃から考えることが、非常時に適応する行動を取ることができますね。

外出中に心得ておく「テロ」対策

公共空間は狙われやすい

わたしたちの暮らしの中で、テロに遭遇する可能性が高い場所として挙げられるのが、不特定多数の人々が利用する施設や駅、列車などの公共空間です。

テロリストの目から見て、同時に大勢の人々への攻撃が可能で、交通網などに混乱が生じ、社会に大きな不安を与えることができますし、しかも実行犯が紛れやすいというメリットがあるのです。

しかも、警備するうえでの限界もあり、「狙われやすくて、防ぎにくい場所」としての公共空間を狙ったテロで被害に遭うのは、そのとき、その場に居合わせたわたしたちのような一般市民です。

大勢が集まる場所

大規模イベント、コンサート会場、映画館、商業施設など、同時に大勢の人が集まる場所でテロが発生した場合、甚大な被害が想定されます。

とくに出口が限られている建物内では、直接的な被害のほかに、一斉に逃げるなどのパニックにより二次被害が発生する危険性があります。

では発生直後にどのような行動を取ればいいでしょうか?

わたしたちができることとして、まず身の回りの物を使って防護を行い、一次的な被害を免れることができたら、周りが落ち着くまで安全な場所で待機することが安全を確保するための一つの方法です。

緊急時には、スタッフの誘導に従うことを求められますが、混乱状態で機能していない場合は、自らの判断で安全確保のために最善と思われる行動を取りましょう。

駅や列車

駅や列車は、テロの標的となりやすい環境の一つです。

とくにラッシュの時間帯では、ホームは人であふれ、列車内も身動きが取れない状況となります。

乗客の誘導や安全運行のために駅員や警備員が配置されているとしても、テロを警戒できるほどの規模ではありません。ですので、ホームや列車内の安全については、乗客一人ひとりの意識や協力がとても大事です。

万が一、テロが発生した場合は、「防護する」「避難する」「知らせる」ことが大切です。

ホームで火災や爆発などが発生したときは、直ちに「火災報知器」を押して知らせましょう。また線路内への人の転落や、危険が拡大すると思われた場合は、「列車非常停止警報装置」(非常停止ボタン)を押して、列車の侵入を止めましょう。

もし、列車内で緊急事態が発生した場合には、「社内非常通報装置」(SOSボタン、非常連絡ボタン)を押して乗務員へ状況を知らせます。

これら緊急事態を常に想定し、日ごろからそれぞれのボタンの位置を確認しておきましょう。

外に出たら「心構え」をクセにしておく

突然の爆発や攻撃といった緊急事態から身を守るには、瞬時の防護や避難が求められます。

そのための心構えとして、「公共空間を利用する際は、ある程度の緊張感と、危険を察知するための感覚を働かせておくこと」が不可欠です。

そのために気をつけたいのが、「歩きスマホ」などに見られる、ある一点にだけ集中して周りが見えなくなる行動です。

歩きスマホでは、手元を見ながら歩く、音楽を聴きながら歩くという行動より、まわりからの情報が入りにくくなります。

自分の身を守るためにも、まわりのピンチに気づくためにも、最低限の心構えは持っておきましょう。

少しでも助かるための行動

突発的なテロなど、緊急事態において、助かるかどうかは自分自身の行動ひとつで決まります。

キーワードとして挙げられるのが次の3つです。

  • 時間
  • 距離
  • 防護・遮蔽(しゃへい)

緊急事態において「時間」は重要です。危険を素早く察知できるか、すぐに判断・行動できるかなど、数秒、数分の中で命を守るための行動を取る必要があります。

危険な状況で自分の身を守るには、危険と目されるものから「距離」を取ることも重要です。爆発や武器による攻撃では、発生現場や実行犯からの距離が近ければ回避が難しいからです。

至近距離で発生したテロ攻撃などから自分の身を守るためには、「防護・遮蔽(しゃへい)」を行うことが重要です。これはどういうことかというと、危険な状況と自分との間に盾(たて)を設けることです。

カバンや雑誌などで破片などの飛散から顔や頭を守り、毒ガスなどの危険物質を防護マスク替わりにタオルやハンカチで鼻や口を覆い防護します。

爆発した場合は、近くにある頑丈な建物の中、さらに地下へ避難を行い、分厚いコンクリートなどを遮蔽物として爆風や熱線、放射能から身を守ることが重要なのです。

危険物質からの防護

危険物質を身体に入れない

核物質、生物剤又は化学剤若しくはこれらを使用する兵器を用いた大量殺傷型のテロを「NBCテロ」といいます。

もしNBCテロが起こった場合に最も重要なことは、それらの物質を「体内に取り込まない」ということです。触れてもいけません。

でもNBCテロで使用される危険物質は、目視では確認できないものが多く、気づかぬうちに被害を受けてしまう可能性があります。

とくに気体である状態だと、呼吸以外に目や鼻の粘膜、皮膚から吸収されてしまうことがあります。化学剤だと、体内に吸収後すぐに症状が現れ、重症化しやすいため注意が必要です。

危険物質から身を守るためには、突然の爆発、ガスや霧、液体をつかった不審な行為や状況に遭遇したら、「NBCテロかもしれない」という発想を持ち、すぐにその場を離れ、身体を守るために防護を直ちに行いましょう。

それからやってはいけないのが「深呼吸」です。

本来は防護服が必要

生物剤、化学剤、放射性物質などの危険物質から身を守るためには「化学防護服」が必要です。

NBC災害など危険な状況で活動する警察や消防、自衛隊などの専門機関は装備しています。

この「化学防護服」には、いくつか種類があって、「非陽圧式」というタイプは、液体、気体、粉末などが浸透しない特殊な素材で全身を覆うつくりとなっていて、呼吸具も装備されています。

「陽圧式」というタイプは、全体に膨らんだ外観となり、内側からの圧力を高めることで、外部からの物質の浸透を防ぐ構造になっています。

放射線を浴びる危険性がある場合は、「放射線防護服」を装着します。これらの防護服は、NBC災害の発生が疑われる場合、現場での検知、救助、除染などの作業を行う隊員を危険物質から守るために不可欠なものです。

その場でできることとして

一般市民がNBCテロに遭った場合、まず専用の防護服で身を守ることは不可能です。

しかし、被害を最小限にする努力をしましょう。

そのためにできることは、身の回りにあるものを使って防護することです。危険物質を体内に取り込まないために防護マスクの代わりになるものとして、タオル、ハンカチ、マスク、ティッシュなどで鼻や口を覆う方法があります。

薄手のものなら重ね合わせ、さらに水などで濡らしてから使用すると防護の効果が高まります。

防護服の代わりとして、長袖の服、レインコート、帽子、大きめのビニール袋、ビニール手袋などがあります。

露出しやすい肌や髪を覆うことで、危険物質との接触を防ぎましょう。

それから、防護に使用した服や身につけていたものは、直接肌に触れないように脱ぎ、ビニール袋などに密封して新たな汚染を防ぐ必要があります。

知っておくべき応急手当

自らの安全を第一に、二次被害の防止

テロの発生現場に居合わせたとき、自らは大きなケガをしていないのなら、まわりで負傷した人たちの応急手当・救助を行うことができます。

このとき最も重要なことは、「自分の安全をしっかり確保すること」です。

つまり、二次被害に遭わないようにするということです。

たとえば、爆弾テロなどの場合は複数の爆発に警戒する、爆発後の現場では天井の崩落に気づける、NBCテロの場合は危険物質による汚染や艦船に注意する・・・といったことです。

さらに、周囲の安全確認とともに、感染予防のための防護措置(血液に直接触れないなど)も忘れずに行う必要があります。

止血

大量の出血は、命の危険につながります。ですので、ただちに止血を行うことが重要です。

止血の方法は、おもに直接圧迫法間接圧迫法があります。

直接圧迫法は、出血している部分全体に清潔なガーゼや布を当てて、手で強く圧迫して出血を止める方法です。その際に気をつけることは、感染予防のため、血液に直接触れないようビニール袋やゴム手袋などを着用して行いましょう。

間接圧迫法は、出血している部分から心臓に近い動脈を指で押さえて、血液を一時的に止める方法です。腕を持ち上げて行う際は、骨折の有無も確認しながら慎重に行います。

意識の確認・気道確保

倒れている人がいた場合、まず、意識の確認を行います。

倒れている人の横に座り、その人の肩をたたきながら、「だいじょうぶですか?」「聞こえますか?」などと声をかけて様子を見ます。

さらに、胸やおなかのあたりの動きを見て普段どおりの呼吸の有無も確認します。意識や呼吸が確認できれば、大きなケガや出血がないかを確認し、呼吸が楽になるように衣服の締め付けを緩め、身体の位置を調整してあげます。

救急隊が到着したら、発生時間、状況などを伝えましょう。

胸骨圧迫(きょうこつあっぱく)

万が一、呼吸していない人がいた場合は、命の危険があるので、すぐに胸骨圧迫にて心臓マッサージを行う必要があります。

倒れている人を仰向けにして、胸の中央の部分に自分の両手を重ねて当てて、ヒジを伸ばしたまま真下に30回圧迫を行います。胸が5センチほど沈む程度、やや強めに圧迫します(1分間に100~120回ペース)。

また、圧迫後に気道確保と人工呼吸2回おこないますが、難しいようであれば、胸骨圧迫を続けて行います。

近くにAEDがあれば、まわりの人に持ってきてもらい、機械のガイドに従って操作しましょう。

退避・避難が必要な場合

自宅での避難

テロや武力攻撃が発生した場合、被害の拡大を防ぐために、自宅以外への避難や、自宅での避難を余儀なくされることが想定されます。

自宅での避難においては、期間が除去され安全が確認されるまでは外に出ることが難しくなるため、各自が櫃よいうと思われる防護を行い、備蓄によって生活を行うことになります。

また、病原体などの生物剤が用いられるテロが発生すると、感染予防のため自宅待機の要請が出されることもあります。

防護する

テロや武力攻撃の発生直後は、NBC災害や最悪の場合「核」汚染といったあらゆる事態が想定されます。

そんなとき、自宅や部屋そのものをしっかり防護する必要があります。

危険物質を室内に入れないように、ドアと窓、換気扇を閉め、外気とつながるエアコンも停止させます。そして、隙間や穴がある場合は粘着テープ、濡れた布、新聞紙などでしっかり塞ぎます。

さらに、外部からの衝撃、火災などの二次災害を防ぐために、ガスや水道を止め、窓やドアからも離れ、部屋の真ん中で安全を確保しましょう。

備蓄する

自宅で避難を行う場合、数日から1週間程度暮らせるくらいの備蓄が必要です。これはテロや武力攻撃のみならず、自然災害への備えとしても役立ちます。

なお、普段から食品や日用品を多めに買っておくことで無理なく行うことができます。とくに、薬など緊急時に手に入りにくくなるものについては、あらかじめ予備を購入しておくことが重要です。

また、危険物質からの防護に役立つ、ゴーグル、マスク、ゴム手袋、レインコートなども備えておきましょう。

避難する

自宅での避難中は、テレビやラジオで正確な情報を収集しましょう。

また、防災行政無線、広報車などをとおして市区町村から自宅以外への避難指示が出た場合は、直ちに避難を行います。その際、ガスの元栓、水道を閉め、電気のブレーカーも切っておきます。

現金、身分証や貴重品、携帯電話を始め、必要最低限のものを持参のうえ、指示に従い行動してください。

ガレキでのケガ防止や汚染物質から防護のため、丈夫な靴、服や帽子などを着用して皮膚が露出しないように気をつけましょう。

都道府県がしていしている最寄りの避難所のほか、バスなどでほかの地域の避難所へ避難することも想定されますので、情報は常に最新のものを入手しましょう。

『もしもテロにあったら、自分で自分の命を守る民間防衛マニュアル』の感想・まとめ

「一般市民ができるテロ対策」は、まず緊急事態に備える準備と心構えが必要。有事には最初に自分の命を守る行動を取る。

日本は比較的治安が良くて安全な国という認識がありますが、やはり人の命にかかわるような事件は頻繁に起きていますし、災害も多い国です。

今までのような「安全ボケ」のままでは済まされないと思います。

そして、何かと「人に頼る」性質も日本人には多く、何か起こると「警察は何をやっている!」とか「救急車がなかなか来ないのは怠慢だ!」とか、責任の所在を他者に向ける人が多いのも周知の事実です。

本書を読み感じたのは、「人に頼るだけでは、自分の命は守れない」ということです。

2016年(平成28年)にM7.5の熊本地震があり大きな被害が熊本を襲いました。

それこそ目を覆いたくなる惨状ですが、住民の方々は、行方不明者の救助や炊き出し、地震の後片づけなど、まわりの人たちと協力し、乗り切った話を聞きました。

道も寸断されていますから、消防車も入れません。ですから、その地域はその地域に住んでいる人たちで何とかしなければならなかったのです。

熊本だけではありません。あの東日本大震、阪神大震災からだって、いつまでも忘れてはいけない教訓をいっぱい残してくれました。

わたしたちは、これらから何かを学ばなければいけません。

そういった意味で、命を脅かす危険性のある災害やテロなどの武力攻撃に少しでも心得ておくために読みたい一冊です。

『もしもテロにあったら、自分で自分の命を守る民間防衛マニュアル』は、現在(2023年2月24日時点)amazonの本読み放題サービス「キンドルアンリミテッド」の対象になっています。

キンドルアンリミテッドは、ビジネス書からマンガまで幅広いジャンルの本が読み放題です。ぜひこの機会にご検討ください。

『もしもテロにあったら、自分で自分の命を守る民間防衛マニュアル』の概要

本書の目次

『もしもテロにあったら、自分で自分の命を守る民間防衛マニュアル』

巻頭言 テロの時代に向けて 志方俊之

まえがき

第1章 日本はテロに強い国か?
第2章 問われるのは、一人ひとりの心構え
第3章 テロはあらゆる手段で行われる
第4章 命を守る行動

コラム 世界の民間防衛 小泉悠

おわりに

著者の紹介

武田信彦(たけだ・のぶひこ)

安全インストラクター。

1977年ドイツ・デュッセルドルフ生まれ。

大学在学中に国際的な犯罪防止NPOの活動に参加し、東京都内の繁華街を中心に街頭パトロールを実施。

現在は地域住民やPTAへのパトロールアドバイス、防犯リーダー育成、児童・生徒向けの安全教室など、全国で安全に関する講演やセミナーの講師を多数務めるほか、TV、メディア等で防犯・安全対策の専門家として活躍。

主な著書

SELF DEFENSE「 逃げるが勝ち」が身を守る』講談社 (2014/7/17)
活かそうコミュ力! 中高生からの防犯』ぺりかん社 (2020/12/16)
ガールズ☆護身術』スタジオタッククリエイティブ (2012/1/30)
親子で読もう!子どもの安全ブック』スタジオタッククリエイティブ (2011/2/10)

小泉悠(こいずみ・ゆう)

(財)未来工学研究所研究員。

1982年千葉県生まれ。

早稲田大学大学院政治学研究科修了。

民間企業勤務を経た後、外務省国際情報統括官組織で専門分析員を務め、現職。主な研究テーマはロシアの軍改革や軍需産業政策、核軍縮・核戦略など。

主な著書

ウクライナ戦争』筑摩書房 (2022/12/8)
ウクライナ戦争の200日』文藝春秋 (2022/9/20)
ロシア点描 まちかどから見るプーチン帝国の素顔』PHP研究所 (2022/4/18)
偽情報戦争 あなたの頭の中で起こる戦い』株式会社ウェッジ (2023/1/19)
ウクライナ戦争と米中対立』幻冬舎 (2022/9/21)
現代ロシアの軍事戦略』筑摩書房 (2021/5/8)
「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略』PHP研究所 (2019/6/25)
現代用語の基礎知識 2023』自由国民社 (2022/11/5)
UP plus ウクライナ戦争と世界のゆくえ』東京大学出版会 (2022/8/1)
徹底抗戦都市モスクワ 戦い続ける街を行く!』ホビージャパン (2018/3/27)
ウクライナ危機の真相 プーチンの思惑』株式会社ウェッジ (2014/9/19)
新たなミサイル軍拡競争と日本の防衛』並木書房 (2020/9/11)
大国の暴走 「米・中・露」三帝国はなぜ世界を脅かすのか』講談社 (2017/7/24)
軋む中国 実力と虚像』中央公論新社 (2022/7/19)
シャープパワーの脅威』中央公論新社 (2018/7/25)
北朝鮮の核、日本の「核」』中央公論新社 (2017/11/25)

志方俊之(しかた・としゆき)

軍事アナリスト、帝京大学名誉教授。

1936年石川県生まれ。

防衛大学校本科卒、京都大学大学院博士課程修了。

在米日本大使館防衛駐在官等を経て、防衛大学校幹事、陸上自衛隊北部方面総監に就任。

内閣府中央防災会議専門委員や東京都防災担当参与、防衛大臣補佐官も務めた。

世界の軍事事情に精通した専門家として、メディアでも活躍。

主な著書

極東有事―かくて日本は戦争に引き込まれる』クレスト社 (1996/5/1)
無防備列島』海竜社 (2006/6/1)
危機―平和ボケ日本に迫る』海竜社 (2012/2/1)
「フセイン殲滅」後の戦争―アメリカは北朝鮮、中国、世界をどうするのか。』小学館 (2003/6/1)
世界を読み解く鍵 現代の軍事学入門』PHP研究所 (1998/6/1)
日本はこのままでは生き残れない』PHP研究所 (2007/7/26)

監修書

よくわかる自衛隊 役割から装備品・訓練内容まで』PHP研究所 (2015/4/24)
完全保存版 自衛隊60年史』宝島社 (2015/8/7)
図解でよくわかる自衛隊―陸・海・空自衛隊の本当の実力を徹底検証』日本文芸社 (2004/2/1)

コウカワシン

最後までお読みいただきありがとうございます。

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この記事を書いた人

四国在住。
ミニマリスト。趣味は映画観賞と音楽鑑賞、読書、野球観戦。
映画は特に好き嫌いなくほとんどのジャンルーを観ます。音楽はジャズとクラシックが大好きです。読書は歴史書が好きでよく読みます。

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