
こんにちはコウカワシンです。
今回は、小柳津広志(おやいづ・ひろし)さんの著書『東大の微生物博士が教える 花粉症は1日で治る!』から学ばせていただきます。
『花粉症は1日で治る!』は、どんな本?
『花粉症は1日で治る!』は、ズバリ!「しっかり腸活してつらい花粉症、アトピー、うつを治そう!」という本です。
本書は、このような本
毎年、花粉症に悩んでいる人はたくさんいますよね。
なかには、スギ花粉だけでなく、ほかの原因から年中花粉症に悩まされている人もいることでしょう。
そして病院などで治療したり、処方された薬を飲んだりして、何とかやり過ごすと思うのですが、、、根本的に治したいですよね。
本書の著者、小柳津広志(おやいづ・ひろし)さんは、微生物系統分類、腸内細菌学の権威で、腸内環境を整えることで花粉症が改善すると説きます。
それだけでなく、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどアレルギー疾患、うつ病、自律神経失調症、睡眠障害、肌のシミ・シワの抑制、骨粗しょう症などにも効果があるというのです。
そのようなことがびっしりと詰まったのが本書『花粉症は1日で治る!』であるということです。
本書がおすすめな人
『花粉症は1日で治る!』が、おすすめな人
- 花粉症に悩んでいる人
- アトピー性皮膚炎やうつ、なかなか改善しない疾患に悩んでいる人
- きちんとした腸活を知りたい人




『花粉症は1日で治る!』の要点は?
花粉症治療というと、まずは耳鼻咽喉科の病院で治療するものというのが、一般的な意見ですよね。
でも考えてみれば、花粉症って50年前くらいから生まれたような疾患で、それ以前にはなかった病気なのです。
その原因として、著者は「抗生物質による腸内環境の悪化」を唱えています。
1950年代から使われだした抗生物質は、とても優秀な薬ではありますが、腸内の細菌も殺してしまうため、腸内環境が壊されてしまいます。
結果、花粉症、アトピー性皮膚炎、うつ病などの現代病が人類を悩ませるようになりました。
最近ではようやく、腸内環境は万病を予防するためにきちんと整えることが大事と叫ばれています。
腸内環境を整えるためにはどのようにしたらいいか、腸内環境を整えたらどのような良い効果があるかが、本書ではかなり詳しく書かれています。



それでは本書から、わたしの独断と偏見で、ポイントを取り上げてみたいと思います。
この記事から「この本いいなあ」と思っていただけたなら、ぜひ本書を手に取って読んでみることをおすすめします。
花粉症の正体は何か?
すべての病気は炎症を起こします。
花粉症の炎症は、I型アレルギーというものだそうです。
人の皮膚や粘膜に存在するマスト細胞は、花粉を認識すると、大量のヒスタミンを放出し、ヒスタミンは鼻では鼻水を出させ、目ではかゆみを生じます。
花粉症の人は常に花粉に対するIgE抗体を提示するマスト細胞を粘膜に持っていますので、花粉が付くとすぐにヒスタミンが出て、くしゃみをして鼻水をたらします。


出典:梅華会耳鼻咽喉科グループのアレルギー性鼻炎サイト「どうしてアレルギー性鼻炎は起るの?」
ここ50年で花粉症が増え続けている原因は「抗生物質」
日本人の4割は花粉症という事実をご存じでしょうか。
ここ50年間で花粉症は増え続けていて、70代までの花粉症患者は非常に多いのに80歳以上の人は一人もいないということがわかっているそうです。
この違いは、1950年代からさかんに病気の治療に使われだした「抗生物質」が原因ではないかと著者は言います。
つまり、80歳以上の人には抗生物質を投与されなかったから花粉症のようなアレルギー疾患にかからなかったというわけです。
このことを示す書籍があります。
『あなたの体は9割が細菌』アランナ・コリン著
この本の中に「抗生物質の使用がアレルギーの原因になっている」と主張されています。
抗生物質は、風邪をひいた時、歯を抜いた時などのように、細菌への感染が疑われる場合や、細菌への感染を防止したい場合に、抗生物質が処方されることがあります。
しかし、抗生物質は腸内細菌を殺してしまう場合もあります。
腸内細菌が死ねば、腸内環境である腸内フローラが悪くなり、体の不調や病気を引き起こし、心と体のバランスにも影響してきます。
多くの論文、書籍で、腸内フローラが幼児の脳の発達に大きく影響することが報告されていますし、子どもに限らず大人にとっても腸内フローラはやる気、気分、感情、行動性、精神の安定性を支配していることも認められています。
つまり、花粉症もほかの病気や精神疾患も基をたどれば、腸内環境が悪化したせいで起こしている可能性が高いということです。
花粉症もうつ病も同じ病気
花粉症もうつ病も免疫細胞が起こす炎症が原因です。
花粉症では、炎症が鼻、目、喉、皮膚などに起こり、うつ病では、炎症は脳に起こります。
炎症は体の中で免疫が活発化することです。
花粉症が花粉というアレルゲンで起こる炎症で、うつ病の炎症は、ストレスが加えられ脳の中にダメージ関連分子パターン(DAMPs)という物質が作られ、これが炎症を起こします。
炎症が続くと脳の免疫細胞が神経細胞のシナプスを破壊し、セロトニンなどの精神を安定するホルモンが減少します。


出典:障害年金ほっとライン「気分障害(うつ病・双極性障害・気分変調症など)の発症原因」
アルツハイマー病も花粉症と同じ病気
アルツハイマー病ではアミロイドβというゴミが脳に蓄積するというのが多くの人が知っていることです。
ですが、アミロイドβが溜まったことと脳細胞が死滅することはまったく違うことだと著者は言います。
多くの製薬会社がアミロイドβを減らしたり、蓄積しないような薬剤を探索してきたものの、アミロイドβ減らしたり、蓄積しないようにしても認知機能の低下を防げないことがわかってきたそうです。
では何が原因なのかというと、認知機能を低下させるのは、脳に存在する免疫細胞(ミクログリア)が神経細胞を破壊することが原因だったのです。


出典:認知症ネット「認知機能障害に新たな創薬標的、ミクログリア」
免疫の暴走をコントロールするのは腸内フローラです。
腸内フローラが悪くなれば免疫は暴走します。その腸内フローラを悪くする主犯は抗生物質ということです。アルツハイマー病も抗生物質が増やしている病気なのかもしれないと著者は言います。
やむを得ない時以外は抗生物質を飲まないようにしよう
ここまで「抗生物質」の悪態ぶりを述べると、「悪い奴」というイメージが沸き起こったと思いますが、すべてがそうではありません。
抗生物質は肺炎、敗血症、結核、性感染症などの病気の治療に不可欠で、幼児の死亡率を大きく低下させ、人の寿命を延ばした良薬です。
その抗生物質が一般的に使われだしたのが、1950年代です。
これより以前には、肺炎、気管支炎、胃腸炎、結核、ネフローゼで死亡する人が多かったのですが、これらは細菌感染症です。
1950年以前は、細菌感染症が子どもの命を奪っていたのです。
つまり、抗生物質はまちがいなく「良薬」なのですが、これまでの説明でわかるように、抗生物質の使用はアレルギーと自己免疫疾患を増加させています。
ということで、抗生物質を頻繁に摂る人は腸内細菌の種類が極度に減っており、花粉症だけでなく、自己免疫疾患を含めたすべてのアレルギーを起こすリスクが上がっているのです。
抗生物質は細菌感染によって高熱が出た時だけ使うようにしたいものですね。
酪酸菌(らくさんきん)が増えれば花粉症は治る
腸内環境を整えることは、心身ともよい影響を及ぼします。
とくに大腸で酪酸菌(らくさんきん)が増えると花粉症を含めたI型アレルギーをほぼ抑えることができるそうです。
酪酸菌とは、酪酸を産生する細菌をいいます。長寿や免疫との関連、最近では新型コロナとの関連が注目され、プロバイオティクス及びプレパイオティクスのターゲットとして注目されているそうです。
酪酸の増加がI型アレルギーを抑えるメカニズムはまだあまりわかっていないそうですが、Tレグ細胞の増加が関係している可能性が高いからと著者は考えているそうです。
というのもTレグ細胞は、免疫の暴走を抑える作用があるという報告があるからです。
IPEX症候群という遺伝病の人はTレグ細胞を作れません。
IPEX症候群は、非常にまれな遺伝病で、幼児期に重篤な自己免疫疾患やアレルギーになって死んでいきます。
IPEX症候群の人が幼少期にさまざまな重篤な自己免疫疾患やアレルギーになるということから、Tレグ細胞の欠損がこれらの病気を起こすことが間違いないとされているのです。
酪酸菌を増やすには
酪酸菌を増やすには、フラクトオリゴ糖を摂取することが最も効果が高いそうです。
フラクトオリゴ糖とは、1分子の砂糖に1~10個程度のフラクトース(果糖)がつながったオリゴ糖です。
フラクトオリゴ糖は、タマネギ、ニンニク、ゴボウ、キクイモ、ヤーコン、バナナ、アスパラガスなどさまざまな野菜に含まれていていますが、これらに含まれるフラクトオリゴ糖は低分子から高分子まで、さまざまな大きさの混合物です。
わたしたちは、日常生活で1~3グラムのフラクトオリゴ糖を食べてはいますが、この量では自己免疫疾患とアレルギーを抑えるには不足しています。
ですので、フラクトオリゴ糖を含む食品をもっと多く摂る必要があるのです。
著者が経営されている「カフェ500」では、フラクトオリゴ糖を主成分にした「長沢オリゴ」を2018年より販売されているそうです。
その「長沢オリゴ」はカフェ500の店頭でも買うことができますし、長沢オリゴ | 雅正庵byおやいづ製茶 オンラインショップでも買うことができます。
花粉症を治せばアトピーにもうつにもならない
花粉症はフラクトオリゴ糖などの食物繊維をたくさん食べてTレグ細胞を増やせば治るそうです。
アトピー性皮膚炎も花粉症と同じI型アレルギーなので、花粉症を治せば同時によくなるとのことです。ただし、皮膚科医が頻繁に処方するステロイドの塗り薬を大量に使用した人は、難治性アトピー性皮膚炎になり、そう簡単に治らないそうです。
難治性アトピー性皮膚炎の人の皮膚は、象の皮膚のように黒くガサガサと腫れたような肌になってしまいます。
うつは、脳の炎症性サイトカインによって起こる炎症が原因です。
うつの炎症はI型アレルギーの炎症とは違いますが、Tレグ細胞が増えればすべてのタイプの炎症をおさえますので、花粉症を治せば同時によくなります。
そして気をつけたいのが、日ごろの食生活です。
アトピー性皮膚炎やうつは、菓子パン、ハンバーガー、スナック菓子、スイーツ類、カップラーメン、コンビニ弁当などを頻繁に食べている人がなりやすい傾向にあると著者は言います。
というのも、これらの食品はビタミンやミネラルが不足していて、コンビニ弁当にはほとんど野菜が入っていません。
ビタミンやミネラル、タンパク質の不足がアトピー性皮膚炎やうつを悪化させるので、気をつけてください。
花粉症予防は認知症予防でもある
花粉症の人はTレグ細胞が少なくなっています。
高齢者ですでに脳の神経細胞にアミロイドβが蓄積してしまった人では、Tレグ細胞が少ないと脳の免疫細胞ミクログリアが神経細胞を攻撃するようになります。
これがアルツハイマー病の最終段階といえます。ミクログリアが神経細胞を攻撃すると知性、記憶、感情などを失います。
でも、フラクトオリゴ糖などの食物繊維をたくさん食べてTレグ細胞を増やしておけば、ミクログリアの攻撃を抑えることができます。
花粉症を治せば、それと同時にアルツハイマー病も予防できるということです。
フラクトオリゴ糖で100の病気が治る
いいことづくめのフラクトオリゴ糖ですが、フラクトオリゴ糖を摂ると、次のような体の変化が起こるそうです。
- 酪酸は、体の炎症を抑える(花粉症、喘息、蕁麻疹、潰瘍性大腸炎、パニック障害、自律神経失調症など)
- 酪酸は、大腸と回腸からインスリンを放出させるホルモンGLP-1を放出させる(糖尿病の改善)
- 酪酸は、大腸細胞のエネルギー源になって大腸細胞を元気にする(便秘、下痢、骨粗しょう症の改善)
- 作用は不明ながら、改善される症状と作用(肌がつるつる、冷え性改善、記憶力アップ、風邪にかかりにくい)
まだまだこのほかにもいい作用があり、全部で100ほどの病気が治ったと著者は言います。
その中から3つだけこの記事で紹介します。
がんになりにくい
大腸の酪酸菌を増やすと免疫力が上がります。免疫力が上がれば、がんの予防ができます。
というのもがんは慢性炎症で起こるといわれていて、酪酸菌が増えるとすべての炎症を抑える効果が見込めるからです。
がん細胞はブドウ糖だけを食べます。ですので糖質制限もがん予防に有効です。糖質制限するとエネルギー源としてケトン体というものを使うようになります。
ケトン体は、血液の循環に乗って脳や筋肉へと分配されていき、最終的にエネルギーの素となるブドウ糖に変わり体を動かすのですパワーとして使われるのです。
ケトン体では、がん細胞は増えません。
さらに、免疫力を上げるビタミンDのサプリメントを毎日50マイクログラムほど摂取すれば強烈にがん細胞を抑えることができると著者は言います。
肌がどんどん若返った
著者が経営するカフェ500のお客さんが、フラクトオリゴ糖を摂り始めると、2回目に買いに来るときには若返って見えるようになるといいます。
その中には実際にエステで肌水分量を測ったら、びっくりするほど上がっていたとのことでした。
別の人は、「最近、朝起きて鏡を見ると肌がきれいになっているので、鏡を見るのが楽しみになった」と言われていたそうです。
肌は、紫外線が当たると炎症が起き、それがシミやシワになります。しかもアレルギーがあると、肌はガサガサになります。
酪酸菌は肌の炎症を抑えます。
著者もカフェ500の前はレストランをされていて、レストランでは皿洗いを2~3時間行っていたそうです。もともとアトピー体質だった著者は肌がガサガサになっていたそうです。
ですが、フラクトオリゴ糖を摂るようになってからは肌がいつもつるつるだといいます。
しかも水をはじくので肌はまったく荒れないし、シミも新しいものはできていないといいます。
深い眠りで睡眠の質がアップする
良い睡眠を得るには、「朝日を浴びる」「夜はスマホを使わない」「寝る1時間半前に入浴する」などが、あげられますが、フラクトオリゴ糖を摂れば、脳の炎症がなくなり、すぐ眠れ、熟睡できるようになるといいます。
というのも、睡眠障害もストレスによる脳の炎症だからです。
といってもフラクトオリゴ糖に睡眠薬が入っているのではありません。
フラクトオリゴ糖を摂ったからといって日中に眠くなることはないのです。
大腸の酪酸菌を増やしておくと、1日中リラックスできて、気分良く過ごせます。そして気分が良いまま夜を迎え、熟睡するということです。
『花粉症は1日で治る!』の感想・まとめ
花粉症対策は、腸内環境を整えて、根本から改善していこう
万病は腸内環境の悪化から起きることというのは、以前から知っていましたが、具体的な改善策は、まだまだ不勉強だなと感じました。
オリゴ糖といっても、スーパーで市販しているものは、ただ単に甘味料としかいえないものばかりで、整腸作用のほどは弱いか・・・ほとんどないものばかりだそうです。
きちんとしたものを手に入れるか、フラクトオリゴ糖を含んだ野菜を摂ったほうがよっぽど良いということですね。
著者は、「毎日、ゴボウを1本食べよう」とすすめています。
ゴボウだったら、スーパーで手に入れやすいし、いろんな料理で摂ることが可能かなと考えています。
食活というのは本当に考えなければいけない問題で、「子どもの発達障害や食物アレルギーは親が作っている」という部分は、かなりショックでした。
ですから、本当に多くの人が、自分なりに考え、答えを出していただくきっかけになればと思います。
そういった意味で、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
『花粉症は1日で治る!』の概要
本書の目次
『東大の微生物博士が教える 花粉症は1日で治る!』
はじめに
第1章 日本人の4割が花粉症で泣いている
第2章 酪酸菌が増えれば花粉症は治る
第3章 なぜ花粉症になる人とならない人がいるのか?
第4章 花粉症対策の9割は間違いだった
第5章 なぜゴボウを食べると治るのか?
第6章 フラクトオリゴ糖でうつも治る
第7章 酪酸菌は戦争も防ぐ
おわりに
著者の紹介
小柳津広志(おやいづ・ひろし)
東京大学名誉教授。株式会社ニュートリサポート代表取締役。
1953年12月10日生まれ。静岡県出身。
1977年、東京大学農学部農芸化学科卒業。
東大生の時、担当教授の研究方針を非難すると、しばらくすると机や実験台が使えなくなったが、それでも論文を発表し続けた。
その後、アメリカ・イリノイ大学留学を経て、世界中の微生物研究者に評価され、43歳の若さで東大の教授となる。
富山大学教養部助教授、東京大学大学院農学国際専攻教授等を経て、2003年より東京大学生物生産工学研究センター教授を務める。
2016年に東京大学を退職。
現在は東京大学名誉教授に就く。
専門は微生物系統分類、腸内細菌学など。2017年3月、神奈川県横須賀市に高齢者を対象とした減塩カフェ「カフェ500」をオープン。
主な著書
『コロナに殺されないたった1つの方法』 自由国民社 (2020/11/13)
『優しい日本人がこの国をダメにする』幻冬舎(2011/12/15)




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