
こんにちはコウカワシンです。
今回は、高橋洋一(たかはし・よういち)さんの著書『世界の「今」を読み解く!【図解】新・地政学入門~地理の政治学~』から学ばせていただきます。
『新・地政学入門』は、どのような本?
『新・地政学入門』は、ズバリ!「世界情勢を地理と歴史からから学び、これからを考える」ために読む本です。
本書はこのような本
いま世界を騒がせている戦争やもめごとは、すべて「地政学」で説明できます。
「なぜ、ロシアはウクライナに侵攻したのか」
「なぜ、中国は台湾に手を伸ばそうとしているのか」
「アメリカが自信たっぷりに自国のロジックを振りかざしてこられたのは偶然なのか」
「ヨーロッパの団結は今なお揺るがないといえるのか」
これらのことをプリンストン大学で国際政治(戦争論)を先行した高橋洋一(たかはし・よういち)さんが、単純明快に「地政学」で語ってくれるのが本書です。
本書から日本の「立ち位置」「立ち回り方」まで、わかってしまう一冊だということです。
本書がおすすめな人
『新・地政学入門』が、おすすめな人
日本国民全員




『新・地政学入門』の要点は?
著者の高橋洋一(たかはし・よういち)さんは、「地政学とは何か?」と尋ねられたら「世界の戦争の歴史を知ること」だと答えます。
地球上のどんな位置にあり、どんな地理的危機にさらされ、あるいは地理的好機に恵まれながら発展してきたか・・・。
すべては地理的条件によって、一国の危機意識も戦略思考も何から何まで変わります。
これらが目に見える形で現れるのが戦争なのです。
本書は、戦争から見た地理的条件を知ることで、それぞれの国が抱える問題、わたしたちで言えば、この日本が、どういう危機を抱え、どういう問題解決があるかを考える機会を与えてくれる一冊です。



それでは本書から、わたしの独断と偏見で、地政学のキモになる部分を取り上げてみようと思います。
この記事から、「この本、いいなあ」と感じていただけたなら、ぜひ本書を手に読んでいただきたいものです。
中国が狙う太平洋進出
中国は、内陸も支配しつつ、太平洋をも支配したいと考えています。
長い歴史を持つ中国は、どの時代も「中華思想=中国が世界の文化・政治の中心であり、他に優越している」という考えを持っています。
この中華思想を元に、周辺の異民族に対して上下関係を明確にする冊封・朝貢(さくほう・ちょうこう)体制を作り上げました。
これは、周辺民族から朝貢を受け、国王の称号や印綬を与える(これを冊封といいます)ことで、周辺の異民族は中国の主な民族である漢民族に服属させるという意味を持ちます。
清のころには、直轄領、朝貢国を含めた勢力はロシア国境付近の黒竜江(こくりゅうこう)流域から朝鮮、琉球、台湾、ベトナム、タイ、ミャンマー、ネパール、チベット、モンゴルまで及んだそうです。


このころの歴代の中国の統治者たちがまず制圧したかったのが内陸部だったのです。
その後、中国は西欧列強による半植民地時代、日清戦争、辛亥革命、第一次世界大戦、第二次世界大戦などを経て、今の形となりました。
そして統治者にも大きな意識変革が起こったのです。
それが「これからは内陸ではなく海に打って出よう」ということです。
それが、今よく話題にあがっている「南沙諸島の軍事基地」「台湾侵攻」「尖閣諸島問題」といったもので、中国は異常なまでに躍起になりこだわっているのもその先の太平洋に進出する足がかりを作るためなのです。
その先に中国が見据えているのが「覇権国家」となることです。
というのも、かつてのイギリス、今のアメリカが海洋国家で世界覇権を取ったのを目の当たりにしたからでしょう。
アメリカとの間に「太平洋二分論」を敷こうと匂わせている習近平は、明確かつ具体的に、中国という内陸国家を海洋国家へとシフトしようとしている、初の国家主席といえます。
「中華思想」を持ち「覇権国家」となって世界を支配しようとする野望は、中国にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
その布石となるのが「台湾統一」であり、それに伴い「台湾の一部である尖閣諸島」といった勝手な解釈での切り取りをするかもしれません。
さらには沖縄も視野に入っているとしたら、、、うかうかとはしていられないのではないでしょうか。
今も昔も凍らない港が欲しいロシア
ロシアはとにかく肥沃な土地と不凍港が欲しいのです。
ロシアの国としての原型は、9世紀末、主に東スラブ人が現在のウクライナ首都の周辺に築いたキエフ公国です。着々と国力を高め、10世紀末に最盛期となりますが、13世紀前半には、モンゴル人の侵攻を受け征服されキプチャク・ハン国となります。
それは、約2世紀半を経てモスクワ大公国として独立するまで支配が続きました。
1480年から、モスクワ大公国は周辺地域を次々と統合し、1721年にはロシア帝国が成立、19世紀半ばに支配領域をユーラシア大陸の北半分をほぼ覆いつくすほどまでに広がったのです。
これほどの広大な領域を占めながらもロシアの拡張路線は止まりません。なぜかというとただただ肥沃な大地と凍らない港を求めていたからです。
そのため、南方への野心をたぎらせているのです。
ロシアにとって南方とは、黒海、中東の方向か朝鮮半島の方向かのどちらかです。
だから、北朝鮮に肩入れしたり、ウクライナを手放したくない意図が、今のロシアの行動に表れているのです。
日本との間にある北方領土問題ですが、実は南下したいロシアが北方領土にこだわっているとは考えにくいそうです。はっきり言って、オホーツク海に点々と散らばっている小さな島を持っていても南下したうちには入らないからです。
でもロシアは北方領土を返しません。なぜなら北方領土を返還すれば、ほかの領土問題に火がつきかねないからです。
つまり、北方領土そのものの重要度というより、返還に応じた場合に懸念される影響にかんがみて、ロシアは北方領土問題を引っ張っているということです。
南方へ領土を広げるためにロシアは、トルコ、フランス、イラン、日本と戦いました。
ロシア革命後には世界初の社会主義国ソビエト連邦となり、第一次世界大戦では多くの領土を失いましたが、じわじわと拡大し最終的には、スラブ系の国からコーカサス地域、中央アジア、バルト三国まで入れた巨大な領土を持つまでになりました。
第二次世界大戦後は、社会主義国として東欧諸国への影響力を強めたために西欧とアメリカから警戒され、米ソが互いに巨大な軍事力をちらつかせながらけん制しあう冷戦へとつながるのです。
その後のアフガニスタン侵攻も南下作戦の一つです。
ですが、ソ連は1991年に崩壊します。ソ連を構成していた15の共和国は分裂、独立し、冷戦は終結。それにともないソ連と東欧の軍事同盟ワルシャワ条約機構は解散しました。
その後、ワルシャワ条約機構を構成していたブルガリア、ルーマニア、東ドイツ、ハンガリー、ポーランド、チェコスロバキア、アルバニアは西側に組み替えし、NATO(北大西洋条約機構)に加盟したのです。
つまり、ソ連後のロシアからしてみたら「仲間」だった国々をすべて西側に奪われてしまったということなのです。
放っておけば、西側の勢いがロシアにまで及びかねないとし、その危機感から2014年のクリミア併合に踏み切ったのでした。
そのロシアにとってのウクライナは、西側の影響を食い止めるために重要な緩衝国(大国同士の衝突を防ぐ役割を果たしているクッションのような国)だったのです。
そのウクライナが西側に付き、NATOに入るというからロシアにとってはたまりません。
ロシアにとっては、NATOの東方拡大を食い止め、資本主義と民主主義から国を守るというのが「正義」なのです。ソ連からロシアになっても社会主義・独裁主義国を継承する身には何がどうあっても西側の価値観に取り込まれたくないからです。
そこで、ロシアは2022年2月にウクライナ侵攻に踏み切ったのです。
それが予想に反してロシアがウクライナに攻め込んだ時、すぐにウクライナはロシアに占領されてしまうだろうという見方が多かったですが、ウクライナはすさまじいまでの士気で防衛戦を始め、ロシアの攻撃を持ちこたえています。
膠着状態にありつつもウクライナ・ゼレンスキー大統領の強いリーダーシップが国民を鼓舞し、世界に向けて支援を取り付けたのが功を奏したといえます。
この戦争は、はっきり言って長引きます。
しかし、ウクライナが負けてはいけません。
なぜなら、それが日本にとって「対岸の火事」ではないからです。
たしかに「ウクライナ人がかわいそう」「侵略が許せない」という心情はありますが、人類の歴史は「侵略」と「強奪」を繰り返してきた経緯があります。
ここは、日本としても屈しない強い心を持ち、真剣にウクライナ問題に関わっていかないといけないのではないでしょうか。
もう戦争は懲り懲りなヨーロッパ
ヨーロッパは、数えきれないくらいの戦争・紛争を引き起こし、さんざん争った末に戦争に懲りて、今は団結しようと試みている地域です。
フランス革命に端を発するナポレオン戦争は、ロシアを含めたヨーロッパ全域を巻き込んだ大戦争でした。ただ、ナポレオン戦争終結後、戦争自体はなくならなかったものの、ヨーロッパ全域に及ぶような戦争はしばらく起こらなくなりました。
その間、ヨーロッパの国々は競うようにして、アジアやアフリカに植民地を求めたからです。
ですが次第に、イギリスやフランスが効果的に植民地支配を広げていることに不満を抱いたドイツが台頭してきます。
そのころ、ロシアでは革命気運が高まり、ヨーロッパ全体の社会状況が不安定となったことで起こったのが第一次世界大戦です。
第一次世界大戦は、さまざまな禍根を残しました。それが、「イギリスの三枚舌外交」で中東問題の根本原因を作ったことと、ドイツの多額の賠償金です。
第一次世界大戦の敗戦で多額の賠償負債を背負わされたドイツは、ヒトラーをリーダーとし、第二次世界大戦を引き起こしてしまいます。
これにもドイツは敗戦し、以来、世界大戦は起ってはいません。
ナポレオン戦争に加え、二度も世界大戦の発端となったヨーロッパでは、「もう戦争は懲り懲り」という共通認識が強く、そのうえ強大な社会主義国家ソ連に対しての対ソ防衛網を組む必要にも迫られたのです。
そこで、アメリカも取り込んだNATO(北大西洋条約機構)と、西欧によるEU(欧州連合)という枠組みが誕生します。同じ民主主義、資本主義国同士、軍事と経済の両方で連合を組み、ソ連に対抗しようというわけです。
冷戦終結後も社会主義国家であり続けるソ連崩壊後のロシアは、依然としてヨーロッパで孤立しています。
ソ連の影響下にあった東欧諸国をNATOおよびEUに取り込んだ西欧諸国は、ロシアの勢力圏を大きく後退させることに成功したということです。
そのことが、ロシアを不安にさせ、ウクライナへの侵攻に舵を切らせてしまったのですが、西欧諸国は一致してウクライナ支援を表明しています。
しかしながら、大きな問題もあります。
それはエネルギー問題です。
ロシアは地下資源豊富なエネルギー大国です。ところがウクライナ侵攻でロシアへの対抗姿勢を鮮明にしたヨーロッパでは、ロシアから輸入していたエネルギーの大部分が絶たれてしまいました。
一番困ったのは、ドイツです。
ドイツでは「脱原発」を掲げ、国内の原子力発電所を軒並み廃炉にしました。天然資源もあまりないところへ、ロシアからのエネルギーが入ってこなくなったために一気にエネルギー不足になってしまったのです。
日本でも原発の多くが稼働停止をしていて、ドイツと似た環境にあるといえます。
あまりこのような言い方はしてはいけませんが、時と場合によっては、原発は必要なのです。
何より天然資源の乏しい国にとって、やはり原子力発電所は虎の子ともいえるものです。
それを廃炉にしてしまったドイツは、自らの首を絞めたことになり、エネルギーという地政学的リスクをやや甘く見すぎていたというべきです。
ドイツがロシアに対し、今一つ強く押し出せないのもその辺がネックという見方ができるのではないでしょうか。
かつての「世界の警察官」アメリカが向かう先
現在の覇権国家アメリカは、建国してから230年という比較的新しい国です。
しかし現代の国際政治においては、間違いなく、メインプレイヤーであり、かつては自らを「世界の警察官」とまで呼び、莫大な軍事予算を土台に、さまざまな地域のもめごとに首を突っ込んできました。
しかし、じつのところアメリカは他国の領土に対する関心はそれほど高くありません。
何より特徴的なのは「モンロー主義」に表れる孤立政策です。


アメリカは、19世紀中ごろからずっと、他の大陸へと進出することよりも、他の大陸からの進出や干渉を排除することに熱心だったのです。
アメリカ大陸は、大きく北アメリカと南アメリカに分かれています。アメリカは、孤立主義を貫くことにより南北両方のアメリカ大陸への影響力を獲得し、保持することができました。
つまり、アメリカの孤立政策は、アメリカ大陸全体の囲い込み政策なのです。
アメリカの根底にあるのは、建国の精神にも通じる「自由の理念」です。
「自分たちは北米全土を支配し、開発していく運命を背負っている」という「マニュフェスト・デスティニー」論は、しだいに「自分たちは世界に自由を広める運命を背負っている」というふうに拡大解釈されていきます。


この「マニュフェスト・デスティニー」が、アメリカを「世界の警察官」としての意識につなげていったということです。
そんなアメリカが脅威と感じていたのが、社会主義を起こし超大国となったソ連です。
第二次世界大戦で被災したヨーロッパ諸国のために、大規模な経済復興援助計画である「マーシャル・プラン」で、ソ連勢力を経済、軍事、政略のあらゆる面で、封じ込め、共産主義の影響を最小限に留めました。
そのうえにNATOを結成し、軍事的にもソ連包囲網を強化しました。
その後も米ソは、さまざまな紛争で対峙しますが、ソ連が崩壊、アメリカ一強時代となりました。
「世界の警察官」を自負していたアメリカもオバマ大統領のころになると、「世界の警察官ではない」という主張に代わってきます。
その背景にあるのが、「財政難」と「対テロ戦争」に疲弊してのことでした。
このタイミングでロシアがクリミアを併合したり、中国が南シナ海への積極的な拡大主義を助長しました。
その後、誕生したトランプ政権は、あの口調や行動からアメリカの行く末を憂う声もありましたが、日本にとってはラッキーだったと著者は言います。
当時の安倍首相とも関係良好でしたし、中国を相手に制裁合戦をするなど、日本に火の粉が飛んでくることもなく、これといって日米間の懸案事項はなかったということで、日本の外務省はほとんど仕事がなかったといっても過言ではなかったそうです。
「アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪をひく」というのは、経済の話だけではなくて、政治でもアメリカの政治の動向がそのまま日本にも影響します。
現在のバイデン大統領が、今後どのような政治を行っていくかで2024年の大統領選挙の行方も変わっていきます。
2022年の中間選挙では、上院が民主党の事実上の多数派になり、とりあえずアメリカの政治が膠着状態に陥ることが避けられたというのが幸いでした。
なぜかというと、たとえば日米の首脳間で交渉がまとまっても、現政権の反対勢力が過半数を占める議会で否決されて何も解決しないなんていうことが起きやすいからです。
日本にとって最も好ましくないのは、最大の同盟国であるアメリカの大統領の政権運営が滞ってしまうことなのです。
したがって日本は、少なくとも次の大統領選挙までの向こう2年間は、つつがなくバイデン政権との関係を継続することに努めればいいと著者は言います。
どうする日本
まず日本を取り巻く環境を見てみましょう。
近隣には、ロシア、北朝鮮、中国といった社会主義で独裁色の強い国が取り囲むようにあります。おまけにどの国も核兵器を持っています。
ロシアは2022年2月にウクライナに侵攻しましたし、中国は共産党の独裁体制、しかも憲法があっても共産党の思惑でどのようにでも変えられます。北朝鮮は相変わらずミサイルで挑発してきています。
そんなロシアはやはり南下したいので、北海道に注目していますし、中国は尖閣が欲しい、そして沖縄も欲しいという意欲があります。
これにはやはり広い太平洋を目指した制海権奪取がありますし、日本の広い排他的経済水域がうらやましくてしかたがないのです。
戦争の発端は、そのような国が野心を向け、攻撃し、土地を奪います。それをされるがままは嫌なので、武装して受けて立とうとします。かくして戦いが起こるのです。
一つの国が別の国に戦争をしかけ、しかけられたほうが応戦する。人類はこれまで何度も、このようにして戦争を繰り返してきました。
しかし、国際社会の基本姿勢は、今や「不戦」です。
「不戦」のためにすべきことは、相手を思いとどまらせることです。
そこで、「いざ攻撃されたら猛烈に反撃できる能力がある」と示すことが必要になります。
つまり、戦って自分を守るのではなく、戦わずして自分を守るために、しっかり武装しておくことです。
こんなことをいうと平和主義者に強烈な反対意見をぶつけられるかもしれませんが、平和裏に話し合いで解決する紛争などありません。
だから、抑止力としての武装と法整備が必要なのです。
日米安全保障条約があるとはいっても、アメリカに軍事的に全部頼ることはできません。
集団的自衛権の問題も早急に整備し、自衛隊を国際的にも認められる武装集団にすることが喫緊の課題ですし、憲法問題も早期に解決すべき問題です。


アメリカときちんとした同盟関係を結ぶには、いざというときにはお互いに守りあうという約束、つまり、集団的自衛権が前提になります。
集団的自衛権は、日本を戦争に駆り立てるものではなく、むしろ強い同盟関係を築くことでけん制効果を高め、戦争を回避するものととらえるべきです。
これが、「自己防衛の基本」であると著者は言います。
今、防衛費増額のための増税議論がされていますが、著者は「防衛国債」で賄うことを提案しています。
これは故安倍元首相も提唱していたもので、大いに有効ではないでしょうか。


国債とは、長きにわたって国民に恩恵をもたらす投資に使われるべきで、平時には国債で賄った防衛力が抑止力となり、戦争確立を減少させる効果が見込めます。
つまり防衛国債は「平和への投資」であるうえ、財政悪化リスクは少ない一方、安全保障上のメリット大なのです。
そして、アメリカ以外の国との連携も図りたいところです。
その筆頭は、インドだと著者は言います。
インドは、中国とロシアが中心になっている「上海協力機構」の加盟国でもあるけど、QUAD(日米豪印戦略対話)の一員でもあります。
故安倍元首相が総理時代に「自由で開かれたインド太平洋」構想のもとで提唱したQUADは、事務レベル会合、外相会合、首脳会合と、定期的な対話を通じて発展してきました。
とはいえ、インドはロシアや中国とも協力関係にある、いわゆる二股外交をしています。
なぜなら、地理的にアメリカは遠く、中国、ロシアは近いからです。アメリカの核の傘の下に収まるという選択肢もあったはずですが、インドはみずから核兵器を保有する道を選びました。
本当なら、インドを完全にこちら側に引き込みたいところです。
それこそ、日本のがんばりどころだということですね。
『新・地政学入門』の感想・まとめ
地政学とは、綺麗事じゃない学問。今こそ事実を認め、本音をぶつけ合う議論が必要。
これまで、たくさんのニュースや新聞を見てきました。
その時々で、「なぜ世界は理屈に合わないことをさも平気でやるのだろう?」と腹落ちしないまま時を過ごしてきました。
ですが、歴史は繰り返すし、人間の立場や考え方もその時々で変わります。
まずはその背景を知らなければ、何のニュースを見ても理解は深まらないでしょう。
それをいうなら、「地政学」こそが、現代最強の社会教本であるといえます。
「地政学」といってもこれまでもたくさんの本が出版されています。どれも謎解き遊びの要素を取り入れ、面白く読みやすいものが多いと思います。
この高橋洋一さんの新刊書『世界の「今」を読み解く!【図解】新・地政学入門~地理の政治学~』は、「なぜ今、こうなっているの?」という率直な疑問にその背景となった歴史やその時々の考え方を組み入れ、わかりやすく解説してくれています。
地理的条件から考える「地政学」という学問は、まさに綺麗事では片づけられず、本心で考え抜かないと解決へのプロセスを選ぶことすらできないでしょう。
それは、お互いに「利権」があるからです。
その「利権」欲しさに人は争うのです。
とにかく、本書から世界の国々の思惑を俯瞰して見ることができました。
ここですべきは、感情に任せた議論ではなく、事実を知り、本音をぶつけ合って、「利」を得るための議論をすることです。
そういった意味でも、日本国民全員が読むべき本ではないでしょうか。
『新・地政学入門』のお試し版もあり、キンドルアンリミテッドで読むことができます。
『新・地政学入門』の概要
本書の目次
『世界の「今」を読み解く!【図解】新・地政学入門~地理の政治学~』
まえがき
プロローグ よりよい、より広い土地を巡る「戦争の歴史」~地政学
第1章 とにかく「広い海」が欲しい 中国の地政学
第2章 昔も今も「南」へ向かいたいロシアの地政学
第3章 争いを経て作られた「共同体」ヨーロッパの地政学
第4章 かつての「世界の警察官」アメリカの地政学
エピローグ 日本の現在と今後を考える
著者の紹介
髙橋洋一(たかはし・よういち)
東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。
1980年に大蔵省(現・財務省)入省。
大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官、内閣参事官(総理補佐官補)等を歴任。
小泉内閣・第一次安倍内閣ではブレーンとして活躍し、「霞が関埋蔵金」の公表や「ふるさと納税」「ねんきん定期便」など数々の政策提案・実現をしてきた。
また、戦後の日本における経済の最重要問題といわれる、バブル崩壊後の「不良債権処理」の陣頭指揮をとり、不良債権償却の「大魔王」のあだ名を頂戴した。2008年退官。
主な著書
『国民のための経済と財政の基礎知識』扶桑社 (2021/4/29)
『99%の日本人がわかっていない新・国債の真実』あさ出版 (2021/9/9)
『明解 経済理論入門』あさ出版 (2020/4/8)
『世の中の真実がわかる!明解会計学入門』あさ出版 (2018/4/8)
『戦後経済史は嘘ばかり 日本の未来を読み解く正しい視点』 PHP研究所 (2016/1/15)
『財務省、偽りの代償 国家財政は破綻しない』 扶桑社 (2022/4/28)
『安倍さんと語った世界と日本』ワック (2022/9/1)
『理系思考入門』PHP研究所 (2022/3/17)
『リフレが正しい。FRB議長ベン・バーナンキの言葉』 KADOKAWA (2013/5/23)
『日本国民のための【明解】政治学入門』あさ出版 (2021/7/11)
『「消費増税」は嘘ばかり』PHP研究所 (2019/2/15)
『図解 統計学超入門』 あさ出版 (2018/12/21)
『未来年表 人口減少危機論のウソ』扶桑社 (2018/10/31)
『これが日本経済の邪魔をする「七悪人」だ!』SBクリエイティブ (2018/3/5)
『世界のニュースがわかる!図解地政学入門』あさ出版 (2016/8/2)
『正しい「未来予測」のための武器になる数学アタマのつくり方』マガジンハウス (2019/5/30)
『高橋洋一式デジタル仕事術 』かや書房 (2021/4/28)
『【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!』あさ出版 (2016/8/2)
『「年金問題」は嘘ばかり ダマされて損をしないための必須知識』PHP研究所 (2017/3/15)
『給料低いのぜーんぶ日銀のせい』ワニブックス (2021/6/9)
『データから真実と未来を見抜け! プーチンショック後の世界と日本』徳間書店 (2022/4/29)
『武器になる経済ニュースの読み方』マガジンハウス (2021/1/28)
『外交戦 ~日本を取り巻く「地理」と「貿易」と「安全保障」の真実~ 』あさ出版 (2019/12/12)




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