
こんにちはコウカワシンです。
今回は、田坂広志(たさか・ひろし)さんの著書『運気を磨く ~心を浄化する三つの技法~』から学ばせていただきます。
『運気を磨く ~心を浄化する三つの技法~』は、どんな本?
『運気を磨く ~心を浄化する三つの技法~』は、ズバリ!「良い運気を呼び込みたきゃ、心を整えなさい」という本です。
本書はこのような本
世の中見渡すと、「強運の持ち主」とか「持ってる!」って感じな人がいますよね。
たとえば、古くはプロ野球で活躍された長嶋茂雄(ながしま・しげお)さんは、「記録よりも記憶に残る男」として有名です。
たしかに名選手だし強打者だったわけですが、実際、打率やホームラン数では長嶋さんよりも好成績を残している人は数多くいます。
しかし、彼ほど「チャンスに強い」打者はいなかったから記憶に残るのです。
長嶋さんは、まさに正念場において「強い運気」を引き寄せる打者だったということです。
これと同じで、政治家や経営者、アスリートやプロフェッショナルは「運気」の強さが究極の条件ですが、総じて、人生の「成功者」と呼ばれる人は、例外なく運が強いのです。
そして、そんな強運は、実はわたしたちだって引き寄せることができるそうです。
それを教えてくれるのが、企業の経営者や組織のリーダーを養成する田坂塾を主宰する塾長の田坂広志(たさか・ひろし)さんです。
その田坂さんが本書で伝えたいのが、「運気は引き寄せることができる」ということです。
その条件となるのが、「人生の習慣を改める」ことと「人生の解釈を変えること」「人生の覚悟を定める」という三つの技法を用いることです。
その三つの技法を駆使することで、失敗や逆境に直面しても動じないメンタルとポジティブな想念(心の中に思い浮かべる考え)を持つことができます。
結果、「良い運気」が手元にたぐり寄せられるのです。
本書は、そんな仕組みを教えてくれる一冊なのです。
本書がおすすめな人
『運気を磨く 心を浄化する三つの技法』がおすすめな人
- 自分には運がないと思いがちな人
- 今、逆境に苦しんでいる人
- 何ごとの失敗も自分の責任ではないと考えてしまう人




『運気を磨く ~心を浄化する三つの技法~』の要点は?
誰もが、人生において「良い運気」を引き寄せたいと願っています。
でも、ただ「ああ、なりたい」「こう、なりたい」と願うだけではダメです。
というのも、人間の心には「表面意識」という世界と「無意識」という世界があるからです。
この両方の世界を「ネガティブな想念」ではなく、「ポジティブな想念」に置き換える必要があります。
なぜなら、「ポジティブな想念」は、「良い運気」を引き寄せるからです。



それでは本書から、わたしの独断と偏見で、「良い運気」を引き寄せるプロセスと心の中を「ポジティブな想念」で満たす「三つの技法」について紹介したいと思います。
この記事から、「この本いいなあ~」と思われたなら、ぜひ本書を手に取って読んでみることをおすすめします。
「良い運気」は引き寄せることができる
良い運気とは?
そもそも「良い運気」とはどういったものでしょうか。
著者はこのようにイメージしています。
第一に、何かの勘が働く(直観)
↓
第二に、ふと未来を感じる(予感)
↓
第三に、上手く機会をつかむ(好機)
↓
第四に、偶然の一致が起きる(シンクロニティ)
↓
第五に、何かの意味を感じる(コンステレーション)
つまり、「直観」が働くことで、その「予感」で正しい選択ができたり、災難を避けれたりし、「好機」をつかむことができ、ついては良いタイミングでほしいものが手に入る。
それらは人生で起こる、一見、無関係なできごとや出会いであるけど、何かの「意味」や「物語」を感じ、それに従って選択や行動をすると、良い方向に導かれる。
これが「良い運気」の表れだということです。
「良い運気」を引き寄せる条件
「良い運気」を引き寄せる条件はたった一つしかありません。
「ポジティブな想念(心の中に思い浮かべる考え)」を持つ
なぜなら、わたしたちの「心の状態」が、その心と共鳴するものを引き寄せるからです。
つまり、「ポジティブな想念」=「良い想念」を持つと、「ポジティブなできごと」=「良い出来事」や「良い出会い」を引き寄せ、「良い運気」を引き寄せるということです。
愚痴の多い人からは「良い運気」が逃げる
先ほど、日常で体験する表面意識の世界において「ポジティブな想念」が「良い運気」を引き寄せるといいましたが、その逆で「ネガティブな想念」持っていると「悪い運気」を呼ぶことになります。
それには三つの理由があります。
表面意識の世界が「ネガティブな想念」で満たされると、
- 本来持っている力を発揮できなくなる。
- ネガティブな想念が、自然に「ネガティブな言葉」となって口から出て、周りの人を遠ざけてしまう。
- ネガティブな想念がネガティブなオーラとなり、ネガティブな想念を持った人が近づいてくる。
ということになり、負のスパイラルに陥ってしまうのです。
幸せになりたいと願いながら、不幸を引き寄せる人
「幸せになりたいと願いながら、不幸を引き寄せるって、どういうこと?」と思われる人もいらっしゃるでしょうけど、実際にそういう人はいるそうです。
たとえば、表面意識の世界では「幸せな結婚がしたい」と願いながらも、いつも相性の悪い相手と巡り合い、不幸な結婚生活と離婚を繰り返す人を見かけたことはありませんか。
これには、表面意識の世界では「幸せになりたい」と思いつつ、無意識の世界でそれを避けていることが災いしていると著者は言います。
つまり、自分でも気づいていない無意識の世界が自分の行動を支配してしまい、人生の選択を誤らせるということです。
無意識の中にある「自己懲罰(ちょうばつ)意識」
不幸を引き寄せる原因の一つが、無意識の中にある「自己懲罰(ちょうばつ)意識」です。または、「自己否定(ひてい)意識」であるともいえます。
たとえば過去の人生において、自分を責めざるを得ない出来事があったとします。
それが強いトラウマ(心的外傷)となり無意識の世界に固着し、その無意識の世界に生まれる「こんな自分は、幸せになってはいけない」といった自己懲罰意識が自分の人生の選択や行動を支配してしまうのです。
これはすなわち、「自己懲罰意識」や「自己否定意識」のようなネガティブな想念が気がつかないうちに不幸な出来事を引き寄せ、「悪い運気」を引き寄せてしまうということです。
逆に、無意識でも「自分ならできる」「自分は価値のあるに人間だ」といった「自己肯定意識」や「自己尊重意識」があると、ポジティブな想念が人生において幸運を引き寄せ「良い運気」を引き寄せていくのです。
心の中を「ポジティブな想念」で満たす「三つの技法」
良い運気は引き寄せることができます。
それには、表面意識の世界でも無意識の世界でも心をポジティブな想念で満たす必要があります。
でもそれはかなり難しいことです。
というのも、いくら表面意識の世界でポジティブな想念を抱いても、もうすでにわたしたちには無意識の世界に数多くのネガティブな想念が蓄積されているからです。
また、表面意識の世界でポジティブな想念を強く何度も抱くと、無意識の世界には「双極的な性質」があるため、その世界に、かえってネガティブな想念が生まれてしまうからともいいます。
ですので、ちまたの心理的テクニックよりも「根本的な心の姿勢の転換」を用いるべきだと著者は言います。
「根本的な心の姿勢の転換」は、次の三つの技法によって行うことができます。
- 人生の習慣を改める
- 人生の解釈を変える
- 人生の覚悟を定める
第一の技法 「人生の習慣を改める」
「人生の習慣を改める」というのは「無意識のネガティブな想念」を浄化していくということです。
そのためのポイントが次の3つです。
- 第一の習慣 「自然の偉大な浄化力に委ねる」
- 第二の習慣 「言葉の密かな浄化力を活かす」
- 第三の習慣 「和解の想念の浄化力を用いる」
第一の習慣 「自然の偉大な浄化力に委ねる」
これはすなわち、「自然の中に身を浸すこと」です。
たとえば小説や映画などで、つらい逆境に置かれた主人公が、心身ともに疲れているときに、海や山などを眺め、自然の中に身を置くことで、心が癒され、立ち直っていくという物語はけっこうありますよね。
これと同じようにわたしたちだって、空や雲、海や湖、山や森、木々や草花、朝日や夕日、月や星といった自然の雄大さや美しさに接したとき、心は無条件に癒され、浄化されるものです。
こうした自然が持つ「心の浄化力」は、表面意識の想念がポジティブになるだけではなく、確実に無意識の世界のネガティブな想念を洗い流し、浄化してくれる力を持っているのです。
そのためにも「自然に身を浸す」、そして「自然と正対する」ことが大切なのです。
第二の習慣 「言葉の密かな浄化力を活かす」
「言葉の密かな浄化力を活かす」とは、次の二つの技法からなります。
- 第一 「ネガティブな日常言葉を使わない」
- 第二 「ポジティブな日常言葉を使う」
まず最初にやるべきは、「ネガティブな日常言葉を使わない」です。
たとえば、「ダメだ~!」「無理だ!」「ひどい!」「最低だ!」といった、物事を強く、感情的に否定する言葉は、日常的に使うべきではありません。
なぜなら、こうした言葉が表面意識では、それほどの自己破壊はないにしても、無意識の世界に浸透し、それがネガティブな想念となり、ときに思わぬ形で、自己破壊を引き寄せてしまうからです。
これは自分に対しても、他人に対しても言うべきではありません。
というのも、自分であれ他人であれ、「非難する言葉は、自分に戻ってくる」からです。
逆に言うと、「ポジティブな日常言葉を使う」ことは、自分に対しても他人に対してもどんどんするべきです。
ポジティブな言葉を使う理由は、「意識的な自己暗示」のためではありません。あくまでも「無意識的な日常用語」として身につけるべきなのです。
ポジティブな日常言葉を使い、無意識の世界を浄化するためには次に示す「三つの感」の言葉を使いましょう。
- 「感嘆」の言葉
- 「感謝」の言葉
- 「感動」の言葉
「良いところを褒める言葉」「心から有り難いと思って語る言葉」「素晴らしいものに触れたときに感動を表現する言葉」ということですが、これらの「三つの感」を意識的に使うべきだということです。
第三の習慣 「和解の想念の浄化力を用いる」
「和解の想念の浄化力を用いる」とは、生活や仕事の人間関係において、摩擦や葛藤、反目や衝突がある人と、心の中で、一人一人と和解していく技法です。
というのも、ネガティブな想念の多くは「人間関係」から生まれるからです。
たとえば、「最近、夫婦仲が悪い」「永年の友人とケンカをした」「職場の上司を好きになれない」といった問題です。
それらは、現実生活や仕事においてさまざまなトラブルを引き起こすこともあるが、もしそういったトラブルがなかったとしても、実はそれらの摩擦や葛藤、反目や衝突がネガティブな想念を生みだし、さまざまな問題を引き起こすのです。
こうしたネガティブな想念が、無意識の世界において、ネガティブなものを引き寄せ、「悪い運気」を引き寄せてしまうということです。
対処方法はただ一つ、「すべての人と和解する」です。
第二の技法 「人生の解釈を変える」
「人生の解釈を変える」というのは、ズバリ!「人生でのネガティブな体験」を良いように考えてみるということです。
それを著者は「陽転する」と言いますが、「陽転」させていくことによって、無意識の世界にあるネガティブな想念を消していくのが狙いです。
そのためには、次の5つの解釈を持つ必要があります。
- 第一の解釈 自分の人生には多くの「成功体験」があることに気がつく
- 第二の解釈 自分が「運の強い人間」であることに気がつく
- 第三の解釈 過去の「失敗体験」が実は「成功体験」であったことに気がつく
- 第四の解釈 自分に与えられた「幸運な人生」に感謝する
- 第五の解釈 自分の人生に与えられた「究極の成功体験」に気がつく
第一の解釈 自分の人生には多くの「成功体験」があることに気がつく
人間は誰でも何かしら成功体験があります。
たとえば、
「子どものころ、親や先生からほめられてうれしかったこと」
「高校時代、学園祭で同級生とカフェをやってうまくいった体験」
「第一志望ではなかったものの大学入試で合格した体験」
「希望の会社ではなかったものの就職難の時代に、就職できた体験」
「体調を崩しながらも頑張ってプロジェクトを成功させた体験」
といったことは、誰でも体験したことがあるでしょう。
そういった自分の人生のさまざまな場面を思い起こし、それが実は「成功体験」であったことに気づくことがが大切なのです。
というのも、わたしたちは人生を振り返るとき、「与えられたもの」よりも「与えられなかったもの」に目が向く傾向があり、「成功したこと」より「失敗したこと」に気持ちが向かってしまう傾向があるからです。
ですので、ささやかでもいいから成功体験の棚卸しを丹念にしていくだけで、わたしたちの想念は少しずつポジティブになっていきます。
第二の解釈 自分が「運の強い人間」であることに気がつく
自分が「運の強い人間」であるということに気づくことはとても大事です。
なぜなら、世の中の「成功者」と呼ばれる人は、誰もが「自分は運が強い」と思っていて、そのようなポジティブな想念が、無意識の世界に刷り込まれているからです。
でもわたしたちは、「自分は、それほど運が強いほうではない・・・」という自己限定的な想念、ネガティブな想念を抱いている人が少なくありません。
でも、その想念そのものが「良い運気」を遠ざけてしまうことに早く気づくべきなのです。
ネガティブな想念を「自分は運が強い」というポジティブな想念に変えるには、やはり自分の人生を振り返り、「自分が幸運に導かれた体験」を思い起こすことしかありません。
たとえば、「思い悩んで前進できないときに師ともいえる人に出逢ったことで、人生が拓けたこと」とか、「行き詰っていた時に偶然にも朗報が入り、道が開けたこと」などです。
たぶんどちらもうまくいっていない時に一線の光が舞い降りてきた感じがするということですが、著者はこれを「幸運は不運な出来事の姿をしてやってくる」と表現されています。
ですので、そのことに気づけることも必要ですし、日ごろから自分の心の中にある「幸運に恵まれない」「運がない」といったネガティブな想念を解釈力の力で「自分は幸運だ」というポジティブ想念に「視点の転換」を図ることが大事だということです。
第三の解釈 過去の「失敗体験」が実は「成功体験」であったことに気がつく
自分の人生を振り返り、「自分が幸運に導かれた体験」を思い起こすことができたなら、過去のネガティブな体験が決してネガティブな体験ではなかったと解釈することも可能になります。
過去の「失敗体験」を振り返り、それが実は「成功体験」であったことに、気がづくことができるということです。
たしかに過去の「失敗体験」を振り返り、そこで「失ったもの」「与えられなかったもの」を考える限りは、その「失敗体験」はネガティブな体験にとどまります。
しかし、どのような「失敗体験」にも、必ず「失われなかったもの」と「与えられたもの」があります。
たとえば、学生時代の部活で、1年かけてチームを作り、チームメイトと一心不乱に練習し大会での優勝を目指したが、寸前のささいなミスで達成できなかったということがあったとします。
たしかにミスで優勝できなかったことや1年かけて練習してきたことが無になったかに思いますが、チームメイトと力を合わせてチームを作ったプロセスやミスに対する警戒心など、得たものも大きいのです。
このようにポジティブに考えることは、なかなか簡単なことではありません。
でも、自分の人生を本当に愛しているなら、どのような「失敗体験」の暗い陰に覆われた状態からも光の部分を見つめることができます。
著者は、「自分の人生を愛する」ことができたなら、どんな逆境や挫折にも立ち直ることができるとしています。
そして、その逆境や挫折を糧として「成長」していけるとしています。
それには、その暗い陰の体験から「失われなかったもの」「与えられたもの」に目を向ける、ポジティブな「解釈力」を身につけることが重要なのです。
第四の解釈 自分に与えられた「幸運な人生」に感謝する
過去の「失敗体験」が、実は「成功体験」であったことに気がつき、「不運に見える出来事」が、実は「幸運な出来事」であったと気づけたなら、その人生に感謝することもできるということです。
言い換えれば、「天の配剤」「大いなる何かの導き」感謝するということだと著者は言います。
たぶん多くの人は、「自分の力で、この人生を切り拓いた」という意識を持つと思います。
たしかに自分の力で数々の苦難を乗り切ってきたことは事実ですが、「自力」の意識の過剰は、無意識の世界に「ネガティブな想念」を生みます。
たとえば、何かに成功しても、「自分が自力で成し遂げた」という意識の裏に、必ず、「次は上手くいくだろうか」「自分の力もここまでではないか」といった不安感や恐怖心が芽生えるということです。
これとは逆に、何かの成功体験や成し遂げたことを「天の配剤」や「大いなる何かの導き」によるものであるとの謙虚な想念を持てば、その想念は無意識の世界に「天が導いてくれている」「大いなる何かが導いてくれる」という深い安心感を生みだすのです。
これは、何かに成功したり、何かを成し遂げたとき、「おかげさまで」と言ったり、何かにお礼を言われたときに「お互い様です」と言うように単なる礼儀や礼節の言葉ではありません。
日本人がこれらの言葉を大切にしてきたのには、その言葉の奥にある「大いなる何かに導かれている」「様々な人々に与えられている」という感謝の想念が、実はわたしたちが抱き得る想念の中でも最もポジティブな想念だからこそであります。
「感謝は、すべてを癒す」のです。それはわたしたちの心の中の不安や恐怖心といったネガティブな想念を消していきます。
ですので、常に「感謝の姿勢」を持つことが極めて重要なのです。
第五の解釈 自分の人生に与えられた「究極の成功体験」に気がつく
常に「感謝の姿勢」を持つことができれば、「究極の成功体験」をも手にすることができます。
それが、「そもそも、こうして「生きている」ことが、有り難いこと」ということに気づくということです。
わたしにはもうすでに他界した友人がいます。
優秀な成績で大学を卒業した彼は、親の家業を継ぐために日夜奮闘して会社経営に精を出していました。それなのに奥さんや小さな子どもを残して40手前で亡くなったときは、とても信じられない感覚にとらわれました。
彼のあまりにも早い死に嘆き、そして彼の分まで精一杯生きようと思ったことを思い出します。
そして、50も半ばを過ぎた今、自分には、これほどの長い人生を与えられ、生きてくることができたことの、有り難さを思うのです。
ですので改めてこう言います。
「そもそも、こうして「生きている」ことが、有り難いこと」
どのような失敗や困難、挫折や喪失、病気や事故・・・このような逆境も糧にし、成長し、前進し、人生を輝かせていくことができるのは、命あるからです。
命ある限り、人生の陰を、光に変えていけます。
だから「生きてるだけで丸儲け」なのです。
第三の技法 「人生の覚悟を定める」
「人生の覚悟を定める」とは、すべてを無条件に「全肯定」し、それによって、無意識の世界を「究極のポジティブな想念」で満たしていく技法です。
すべての出来事や出会いを無条件に全肯定するということは、そもそも心の中にポジティブな想念とネガティブな想念の分離が起こらないということです。
それには次の「五つの覚悟」を定めた人生観を体得していかなくてはいけません。
- 第一の覚悟 自分の人生は、大いなる何かに導かれていると、信じる
- 第二の覚悟 人生で起こること、すべて、深い意味があると、考える
- 第三の覚悟 人生における問題、すべて、自分に原因があると、引き受ける
- 第四の覚悟 大いなる何かが、自分を育てようとしていると、受け止める
- 第五の覚悟 逆境を越える叡智は、すべて、与えられると、思い定める
第一の覚悟 自分の人生は、大いなる何かに導かれていると、信じる
「天命」とか「天の声」、「天の導き」、「天の配剤」というように、わたしたちの人生は、大いなる何かに導かれたものと思えば、これは自分にとって「なるべくしてなった」という運命ととらえることができるのではないでしょうか。
著者は、「大いなる何か」に導かれたものというのは、実はわたしたちの心の奥深くに存在する何かであり、それは、最も深い次元での「わたしたち自身」ということだと言います。
「大いなる何か」とは、これまでの自分の人生を振り返った時にふと思い起こすことなのです。
たとえば、「ああ、あのときあの人と出会ったことで、運が向いてきたなあ」とか「ああ、あの時ひどい目にあったけど、あの時の苦労があったから、進むべき道が見えた」といったことです。
これを踏まえて、「自分の人生は、大いなる何かに導かれている」と覚悟を決めた瞬間に「人生の景色」がまったく違って見えてきて、心の中に「不思議な安心感」と呼ぶべきポジティブな想念が広がってくるということです。
第二の覚悟 人生で起こること、すべて、深い意味があると、考える
「人生で起こること、すべて、深い意味がある」と考えてみましょう。
人生は大いなる何かに導かれています。その何かについて「これは、どういう意味があって導かれているのか?」と考えてみることです。
この「意味」についてですが、「解釈力」をもって考えてみるのです。
「この苦労は、自分に、何を教えようとしているのか?」
「この失敗は、自分に、何を学ばせようとしているのか?」
「この挫折は、自分に、何をつかませようとしているのか?」
「この病気は、自分に、何を気づかせようとしているのか?」
このようにいかなる逆境に直面しても、「自分の人生は、大いなる何かによって導かれている」という覚悟に裏打ちされた「解釈力」を発揮するならば、その逆境を「人生で起こること、すべて、深い意味がある」と前向きに受け止めることができます。
そして、そう受けとめることができれば、自然に、逆境への不安や恐怖心など、心の中のネガティブな想念が消えていき、心がポジティブになり、「良い運気」を引き寄せるようになっていくのです。
第三の覚悟 人生における問題、すべて、自分に原因があると、引き受ける
「人生における問題、すべて、自分に責任がある」と引き受ける。
このように考えることができれば、どのような問題に当たっても「自分に原因がある」と受けとめることによって、自分の成長の課題に気づき、さらに大きく成長していけるというポジティブな想念が生まれます。
逆に、人生で与えられた問題について、自分以外の誰かに原因があると考える「他責」の姿勢では、心の世界に、その「誰か」に対する批判や非難、不満や怒り、憎悪や増悪というネガティブな想念が生まれてしまいます。
すなわち、すべての問題を引き受けてしまうということですが、「自分に原因があった」と受けとめ、「引き受け」の姿勢に転じただけで、不思議ほど良い方向に向かい、問題が解決していくといいます。
しかし、これには心の強さが必要です。
でもそれは今までより少しだけです。
その少しだけ心が強くなるために必要なのが「究極の解釈力」で、それを手に入れるために必要なことが次の第四の覚悟を定めることです。
第四の覚悟 大いなる何かが、自分を育てようとしていると、受け止める
心の強さを育てるために必要なのは、「大いなる何かが、自分を育てようとしている」と解釈し、それを受け止めることです。
そしてさらには、「大いなる何かが自分を育てようとしている。そして、その自分を通じて素晴らしい何かを成し遂げようとしている」と解釈し、思い定めることが大切だともいいます。
この覚悟を定めることができてこそ、真の意味で心の「強さ」を身につけることができるのです。
なぜなら、この覚悟を定めた人は、どのような逆境に遭遇しても「大いなる何かが、自分を育てるために与えたもの。自分を成長させるために与えたもの」と前向きに受け止め、その逆境を糧として成長することができるからです。
たしかに、さまざまな逆境は、一見、ネガティブな出来事に思われますが、実は、逆境とは、「成長の最高の機会」でもあり、「脱皮と飛躍の好機」でもあります。
そのことに気がついたとき、人生で与えられる逆境とは、ある意味で、極めてポジティブな出来事であることに気がつきます。
成長とは、順風満帆で好調や幸運が続いたときではなく、むしろ逆境のときだったと感じる人は、少なくないはずです。
夜も眠れぬ日々、ため息が出る日々、胃が痛むような日々。そんな苦しい日々を、それでも前を向いて歩み続けたとき、気がつけば、大きく成長した自分がいたと感じたのではないでしょうか。
ですので、「いま、多いなる何かが自分を育てようとしている。この逆境を与えることにより、自分を成長させようとしている」と覚悟を定めることです。
そうすれば、もはや、人生においてネガティブな出来事というのはなくなり、すべての出来事が、深い意味を持ったポジティブな出来事であることに気づくはずです。
第五の覚悟 逆境を越える叡智は、すべて、与えられると、思い定める
ここまでくれば、もうすでにおわかりでしょうけど、「逆境を越える叡智は、すべて、与えられる」と思い定めることがとても大切になります。
「叡智」(えいち)とは、深遠な道理を知りうるすぐれた知恵のことをいいます。
人生における逆境は、後々考えれば、良いも悪いも「思い出」となるものですが、直面した時には、やはり嫌なものです。
「この問題は解決できるだろうか・・・」
「この問題を自分に解決できる叡智が自分にあるだろうか・・・」
「この逆境は越えられないんじゃないかなあ・・・」
といった不安感や無力感が生まれ、それがネガティブな想念になっていきます。
そこで先ほどの「大いなる何かが、この問題や逆境を与えることにより、自分を育てようとしている」と覚悟し、そのうえで、「そうであるならば、この問題や逆境を乗り越える叡智は、必ず、与えられる」と何度も念じてみましょう。
そうすれば、不思議なほど、その不安感や無力感が薄れ、ネガティブな想念も薄れていきます。
日本には「人事を尽くして天命を待つ」という言葉があります。
これは、「人間の能力で可能な限りの努力をしたら、あとは焦らず静かに結果を天の意思に任せる」という意味です。
著者は「全詫の祈り」といい、すべてを、「大いなる何か」の導きに委ね、託することとしています。
祈りの言葉は、ただ「導きたまえ」と念ずるのです。
そこで「5つの覚悟」を総括すると次のようになります。
自分の人生は、大いなる何かに導かれている。
大いなる何かは、自分の人生を、必ず良き方向に導こうとしている。
それゆえ、もし、この「全詫の祈り」の結果が、自分の願望と違う方向になったとしても、
それも、深い叡智を持った大いなる何かの導き、その導きの意味を深く考えながら、
与えられた問題や逆境に正対し、力を尽くし、さらなる成長を目指して歩んでいくならば、
必ず、素晴らしい人生が導かれていく。
「全詫の祈り」は、仮に、その祈りの結果、直面する深刻な問題が解決せず、厳しい逆境が続いても、それに落胆することなく、それらをすべて、自らの人間成長に結びつけ、一度限りの人生を、どこまでも前向きに歩んでいこうとする覚悟に支えられた祈りです。
ついては、心の中が「究極のポジティブな想念」で満たされていく祈りに他ならないのではないでしょうか。
『運気を磨く ~心を浄化する三つの技法~』の感想・まとめ
「運気を磨く=心を磨く」である
なんだか宗教色の強い感じのする内容でしたが、とてもわかりやすく、「良い運気は引き寄せることができる」ということを学んだ気がします。
結論から言えば、「運気を磨く」ということは「心を磨く」ことなんですね。
自分の心が自分の運を決めてしまうんです。
心がネガティブな想念になってしまうと悪い運気が寄ってくるし、ポジティブな想念で満たされると、良い運気が近寄ってくるということです。
でも、ただ「幸せになりたい」と表面意識だけを注視してもだめです。
人間って複雑なもので無意識でそれを拒んだりするのですからね。
表面意識と無意識、両方で「良い運気」を迎えるためにベストコンディションを整えたいものです。
それには、「根本的な心の姿勢の転換」に関する「習慣」「解釈」「覚悟」といった三つの技法を用いることが一番ですね。
そうやって心を磨き、どんな逆境においても負けない心を作ることが幸せな人生を送るためには必要なんだと感じました。
ぜひこれはたくさんの人に読んでいただき、先行き見えない社会を「良い運気」で満たし、明るく活き活きとしたものにしたいものだなと思います。
『運気を磨く』は、現在(2022年12月24日時点)amazonの本読み放題サービス「キンドルアンリミテッド」の対象になっています。
キンドルアンリミテッドは、ビジネス書からマンガまで幅広いジャンルの本が読み放題です。ぜひこの機会にご検討ください。
『運気を磨く ~心を浄化する三つの技法~』の概要
本書の目次
『運気を磨く ~心を浄化する三つの技法~』
序話 非科学的と言われながら、誰もが信じているもの
第一話 「良い運気」を引き寄せるただ一つの条件
第二話 「良い運気」を引き寄せる「心の五つの世界」
第三話 なぜ、従来の「無意識を変える方法」が効果を発揮しないのか
第四話 「無意識のネガティブな想念」を浄化していく技法
第五話 「人生でのネガティブな体験」を陽転していく技法
第六話 「究極のポジティブな人生観」を体得していく技法
終話 運気を磨く、心を磨く
著者の紹介
田坂広志(たさか・ひろし)
1951年生まれ。
’74年東京大学卒業。’81年同大学院修了。
工学博士(原子力工学)。’87年米国シンクタンク・バテル記念研究所客員研究員。
’90年日本総合研究所の設立に参画。取締役等を歴任。
2000年多摩大学大学院の教授に就任。
同年シンクタンク・ソフィアバンクを設立。代表に就任。
’05年米国ジャパン・ソサエティより、日米イノベーターに選ばれる。
’08年世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Agenda Councilのメンバーに就任。
’10年世界賢人会議ブダペスト・クラブの日本代表に就任。
’11年東日本大震災に伴い内閣官房参与に就任。’13年全国から5200名の経営者やリーダーが集まり「21世紀の変革リーダー」への成長をめざす場「田坂塾」を開塾
主な著書
『死は存在しない~最先端量子科学が示す新たな仮説~』光文社 (2022/10/19)
『すべては導かれている~逆境を越え、人生を拓く 五つの覚悟~』小学館 (2017/12/3)
『直観を磨く 深く考える七つの技法』講談社 (2020/2/13)
『運気を引き寄せるリーダー 七つの心得~危機を好機に変える力とは~』光文社 (2021/4/13)
『人は、誰もが「多重人格」』光文社 (2015/5/20)
『人間を磨く~人間関係が好転する「こころの技法」~』光文社 (2016/5/20)
『なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか』PHP研究所 (2022/2/15)
『仕事の思想』 PHP研究所 (2013/5/24)
『未来を拓く君たちへ なぜ、我々は「志」を抱いて生きるのか』PHP研究所 (2009/1/6)
『未来を予見する「5つの法則」~弁証法的思考で読む「次なる変化」~』光文社 (2008/9/25)




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