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『トヨタの描く未来 トヨタ式新しい時代の働き方』から学ぶチェンジをチャンスに変える方法

コウカワシン

こんにちはコウカワシンです。

今回は、桑原晃弥(くわばら・てるや)さんの著書『トヨタの描く未来 トヨタ式新しい時代の働き方』から学ばせていただきます。

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目次

『トヨタの描く未来 トヨタ式新しい時代の働き方』は、どんな本?

『トヨタの描く未来 トヨタ式新しい時代の働き方』は、ズバリ!「新時代に向けた働き方への変革を意識させる参考書」です。

本書は、このような本

トヨタという会社についてどのような印象をもっていますか?

「日本を代表する会社」

「世界トップクラスの自動車メーカー」

「無難、堅実」

「安全対策に優秀で、安定した企業」

といったようなイメージが思い浮かぶのではないでしょうか。

そのようなトヨタも時代の岐路に立っていると豊田章男(とよた・あきお)社長は、危機感を持っています。

その影響か、新型コロナウイルスの感染拡大移行も、成果主義を推進し、テレワーク導入により移動時間や会議時間などの大幅な削減に踏み切りました。

つまり、トヨタが見るのは「時間と汗」ではなく「仕事の進み方と成果」ということです。

「トヨタは何故、今この時期に、これほどの変革を推し進めなければならないのか」

本書の著者、桑原晃弥(くわばら・てるや)さんは、トヨタが実践する「新しい時代の働き方」から、その先にトヨタが描いている未来まで一挙に紹介されました。

「なぜ、時代に敏感でなければいけないか?」

「なぜ、今変わらなければいけないか?」

企業だけでなく、個人レベルに対してもその指針がわかる一冊なのです。

本書がおすすめな人

『トヨタの描く未来 トヨタ式新しい時代の働き方』がおすすめな人

  • 経営者
  • 管理職
  • 一般社員
  • 変わることを恐れている人
  • 今の立ち位置に危機感をいだいている人

『トヨタの描く未来 トヨタ式新しい時代の働き方』の要点は?

本書は、いかなる危機をも迎え撃ち、常に変化することで成長してきたトヨタのやり方や考え方、行動の仕方を知るうえで個人レベルにおいても変化の時代を生きるヒントをもらうことができます。

コウカワシン

それでは、わたしの独断と偏見で、なぜトヨタは変化を恐れないのか、トヨタの根幹にある「トヨタ式」とは何か、今トヨタを取り巻く環境はどうなりつつあるのか、これからの時代に対応するにはどうすればいいか、について取り上げてみたいと思います。

具体的な方法は、ぜひ本書を手に取って読んでみることをおすすめします。

3年変わらなければ企業は潰れる

トヨタの特徴の一つは、「変化を日常にしている」というところです。

ですが、ほとんどの企業にとって「変化」というのは不慣れなものですし、あまり好ましくないという考え方が強い傾向があります。

なぜなら、変わることにはトラブルがつきものだからです。

裏を返せば、「何かを変えるときには、トラブルは起きるもの、不満が噴出するもの」と、あらかじめ覚悟しておくことが必要なのかもしれません。

そして、「変化」(チェンジ)はチャンスを生みます。

「変化」(チェンジ)は、小さなトラブルがつきものですけど、トラブルを乗り越えるとチェンジはチャンスへと変わり、それに腹をくくったならば、トラブルもチェンジも絶好の機会となるのです。

トヨタ式にはこのような言葉があります。

「3年何も変えなければ会社は潰れる」

たしかにどんな企業も、過去の成功や伝統があるから今があります。

ですが、時代が変化し、同業他社が進化していく時代に、何も変わらないことは現状維持ですらなく、退化していることと同じであるというのがトヨタ式の考え方なのです。

「昨日より今日、今日より明日」
「日々改善、日々進化」

これらの言葉もトヨタ式改善に用いられ、昨日と同じことをするのではなく、ほんの少しでもいいから「昨日より今日、今日よりも明日はもっとよいやり方をしよう」と日々小さな改善を積み重ねているのです。

ということで、トヨタにとって変化は特別なものではなく、日常的に変わることで、変えることの抵抗が小さいのです。

「今日も何もなくてよかったね」ではなく、「今日も変化があってよかったね」と考えることこそが、人や企業を進化させることになるのです。

トヨタ式とは

まずトヨタ式というのは何かですが、短く表現すると次のようなことだといいます。

  1. 「人間の知恵」の上に
  2. 「自動化」と
  3. 「ジャスト・イン・タイム」の二本の柱が立っている

「自動化」というのは、トヨタグループの始祖・豊田佐吉(とよた・さきち)氏が発明した自動織機に組み込まれた「問題が起きたとき、機械が自動的に止まって不良品ができるのを防ぐ」という仕組みに由来するといいます。

「ジャスト・イン・タイム」は、トヨタ自動車創業者・豊田喜一郎(とよた・きいちろう)氏が考案したもので、「必要なものが、必要なときに、必要なだけ」生産ラインに届くことで「ムダを省いたものづくり」を行う仕組みを指します。

この二本の柱により、「ムダを省いて良品だけをつくる」ことを可能にしているのです。

そのために生産現場で働いている人たち自身が「問題に気づき、よりよい改善策を考え、それを実践していく」姿勢が重要なのです。

つまり、トヨタ式というのは、日々の仕事を通して働く人たちが、「知恵を出す」ことを学び、その知恵によって日々改善を行っていくことということです。

もともとあったこの「トヨタ式」の考え方でありましたが、昨今の自動車業界を揺るがすできごとが、その重要性をたかめたといいます。

それが新型コロナウィルス感染症の感性拡大による影響と車の世界を激変させる「CASE」でした。

車の世界を激変させる「CASE」

「CASE」というのは、

Connected=通信と車の接続
Autonomous=自動運転
Sharing=共有
Electric=電動化

の頭文字をとったもので、次世代の自動車のメガトレンドと呼ばれる新技術を指します。

これを見ると「いったい何のこと?」って感じですよね。

詳しく知りたいなら次のサイトをご覧ください。

この「CASE」により、車の概念が大きく変わり、自動車業界を取り巻く環境は、この数年で激変したのだと、豊田章男(とよた・あきお)社長は言います。

これまでは、「トヨタ対ドイツ車」「トヨタ対アメリカのビッグ3」だったのが、電気自動車の時代を切り開いたテスラ・モーターズをはじめ、自動運転で技術を持つグーグルやアマゾン、アップルといったIT業界をも巻き込んだものになりました。

テスラ・モーターズの時価総額はトヨタをしのいで自動車業界世界一ですし、グーグルやアマゾン、アップルの時価総額は1兆ドルをはるかに越え、トヨタの何倍もの資金力を持っています。

このような巨人たちと対峙するためには、これまでと同じやり方でいけないのは当然です。

トヨタは危機感を持って変わろうとしているのです。

新しい働き方で求められるのは「考える力」「マネジメントする力」「改善する力」

危機感を持って変わるためには、会社として、それからそこで働く社員として何が必要でしょうか。

今までのオフィスワークからテレワークに移行している現状においては、さまざまな問題が起きました。

そこで、これからのトヨタを動かす人材について、掘り下げていきます。

「考える力」

まず社員は、「指示待ち族」では、生き残れません。

これまでは、オフィスで上司や先輩から指示やアドバイスを受けることができましたが、テレワークへ移行を進めている現在では、それもなかなか難しい状態になっています。

ですので、大切なのは、どんな時でも「自分の頭で考える」ことであり、自分で答えを見つけながら仕事をすることで、初めて部下は成長することができる、とシフトしているのです。

たとえ若い社員であろうと、自分で調べたり考えたりして自分で問題を解決していく力が必要だということです。

つまり、「指示待ち族」ではなく、「もっとよいやり方」を考え、自分の責任で行動できる社員が求められているし、そんな社員こそが、会社を、そして仕事を変えていくことができるのです。

「マネジメントする力」

社員の意識を変えたなら、その上に立つ上司の意識も変える必要があります。

それが「マネジメントする力」です。

オフィスワークでは、上司は部下がやっていることが見えていましたので、その仕事ぶりはよく分かります。

ところが、テレワークでは部下の姿が常時見えないので、「ちゃんと仕事をやっているのだろうか?」「さぼっていないか?」「問題は起きていないだろうか?」といったことが気になります。

そのため、チャットを使ってひんぱんに指示を出したり、報告を求める人もいるそうです。

経験の浅い社員であれば、それが助けになることもあるでしょうけど、経験を積んだ社員にまでこうした細かな指示をしてしまうと、部下にとっては「干渉のしすぎ」となり、かえって部下の生産性を低下させる恐れがあるそうです。

つまり「マイクロマネジメント」(上司による部下への過干渉)に陥ってしまうということです。

マイクロマネジメントの主な弊害は次のとおりです。

  • 上司の細かすぎる指示により、部下は自分の発想やアイデアを生かすことができなくなり、部下のパフォーマンスが低下する。
  • 部下は上司の指示に従って仕事をするだけの存在になってしまい、部下のやる気も上司の求心力も低下するので、人が育ちにくくなる。

これにより、生産性の向上や組織の活性化、人材の育成といった、会社にとって大切な課題によい結果をもたらさないのは事実なのです。

これまでもトヨタは方針として、「答えを先回りして教えるのではなく、答えは部下に考えさせたうえで、『それはトヨタ式の基本からいけば少し違うんじゃないか』などとアドバイスしながら最後まで考えさせる」やり方を用いてきました。

つまり、大切なのは「目先の速さ」よりも、時間はかかっても「知恵を出して働く人を育てる」ことで、知恵を出して働く人がたくさん育てば、仕事の質も量も格段に向上するということです。

「改善する力」

仕事をやっていると、困難なことや「辛い」「しんどい」と思うことがありますよね。

そんなときに愚痴を言ったり、我慢するだけでは、いつしか仕事そのものが嫌になってしまいます。

トヨタ式ではそれを良しとはしません。

「愚痴を言ったり我慢しているだけがよい社員ではなく、そこに問題を探し当てる発想が仕事人を鍛える」としているのです。

仕事をしていて「辛い」「しんどい」と感じたら、「どうすれば楽になるか」を考えることが、改善のヒントになるとしているのです。

改善や創意工夫のヒントはごく身近なところにあり、大切なのは「これくらいは我慢しよう」と我慢するのではなく、「もっと良い方法はないか」と考えることなのです。

そのような訓練を繰り返すたびに考える力は育まれ、「知恵を出して働く人」になっていくということです。

それはテレワークという新しい働き方においても、新しい情報通信技術が次々と生まれているだけに、今までのやり方をそのままテレワークに引き継ぐのではなく、「もっとこうしたら」というアイデアを出して、実行するということが大切になるということです。

「浮いた時間」で生活と仕事の質を上げる

オフィスワークからテレワークに変わると、企業にとっては社員に持ち帰り可能なパソコンの配布やペーパーレス化、ハンコレス化を進めるといった新たな負担や課題をもたらすことになり最初は混乱しますが、良いこともあります。

昨今の新型コロナウィルス感染症による感染拡大を避けるためにテレワークに取り組まれている企業が増えていて、週5日のうち2日が在宅勤務になることで、オフィスの増床をしなくてもよく、その結果、経費削減でき、社員や株主に還元しやすい環境になっているのです。

社員にとっても出勤や出張での移動時間がなくなることにより、膨大な時間が浮くことになります。

そもそもトヨタは誰の時間も貴重なものだとし、トヨタの元社長豊田英二(とよた・えいじ)氏もこう言っています。

「私は『時は金なり』と考えています。時間が生命の尺度であり、非常に大切なものであると思います」

豊田英二(とよた・えいじ)トヨタ元社長

これは、相手が顧客、取引先、社員問わず共通に一貫した考えです。

誰でも自分の時間は大切にしますが、相手が部下や取引先だとついその感覚を忘れてしまうことがあります。

でもそれはダメで、自分の時間はもちろんのこと、顧客、取引先、部下の時間も「相手の命そのもの」と考え、ムダにしないことが何より大切なのだというのがトヨタ式の考え方なのです。

問題は「浮いた時間」の使い方です。

この時間を使って「生活の質を上げてほしい」というのが会社側の願いであり、働く一人ひとりにとっても、この時間を使って「生活の質を上げ、ビジネスパーソンとしての質を上げる」ことが求められることになります。

オフィスワークでは、本人が意識しなくても誰かが時間管理をやってくれますが、テレワークでは自分自身が時間を管理し、働き方についても「よりよいもの」へと自らが改善することを求められます。

「働きすぎ」にも気をつけながら、自分で時間を調整して、仕事の質や自分自身を高めていくこと、また、そのための時間を部下が取れるようにすることが、テレワーク時代に適した働き方といえるのです。

『トヨタの描く未来 トヨタ式新しい時代の働き方』の感想・まとめ

「まさか」に備え、変化に柔軟になろう

本書の冒頭に心にズギュンときた言葉がありました。

それは、「企業経営には平坦な道のほかに上り坂と下り坂、そして『まさか』という坂がある」というある企業経営者が言った言葉です。

たしかに企業が向かう方向には、上り坂もあれば、下り坂もあります。好況不況の波が押し寄せてくるということですが、備えを怠っていなければ、立ち向かえるでしょう。

でも「まさか」までの対応の備えはあるでしょうか。

「まさか」とは、2020年に世界を襲った新型コロナウィルス感染症の拡大で、世界の状況が一変した状態を指します。

「まさか」において問われるのは、企業の危機管理能力だとこの経営者はいいますが、これは個人レベルでも同じことです。

誰もが「自分」という企業の経営者であり、生き残るためにこれまでのやり方だけではなく、変化(チェンジ)する勇気を持つことが必要だということです。

とはいっても、なかなか人は急に変われません。

ですので、日ごろからのたとえ小さなことからでもいいから変化することに慣れていたら、その後の人生が生きやすいとはならないでしょうか。

それを知るきっかけに本書は、すごく参考になるものです。

ぜひ手に取ってご一読ください。

『トヨタの描く未来 トヨタ式新しい時代の働き方』の概要

本書の目次

『トヨタの描く未来 トヨタ式新しい時代の働き方』

はじめに
トヨタ式とは何か

prologue トヨタはなぜ迅速に新しい働き方へ移行を決めたのか
Chapter 1 トヨタの描く未来
Chapter 2 新しい働き方への移行には「ムダどり」が欠かせない
Chapter 3 新しい働き方は「目的」ではなく「手段」と考える
Chapter 4 新しい働き方で見るべきは「汗」でも「時間」でもなく「仕事の進み方」
Chapter 5 新しい働き方で求められる「考える力」「マネジメントする力」「改善する力」
Chapter 6 新しい時代のチームワークはこう築く
Chapter 7 危機をチャンスに。新しい時代を勝ち残るために

著者の紹介

桑原晃弥(くわばら・てるや)

1956年、広島県生まれ。

経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。

業界紙記者などを経てフリージャーナリストとして独立。

トヨタ式の普及で有名な若松義人氏の会社の顧問として、トヨタ式の実践現場や、大野耐一氏直系のトヨタマンを幅広く取材、トヨタ式の書籍やテキストなどの制作を主導した。

一方でスティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾスなどのIT企業の創業者や、本田宗一郎、松下幸之助など成功した起業家の研究をライフワークとし、人材育成から成功法まで鋭い発信を続けている。

主な著書

イーロン・マスク流「鋼のメンタル」と「すぐやる力」が身につく仕事術 』プレジデント社; 第1版 (2022/9/1)
イーロン・マスクとは何者か』リベラル社 (2022/10/26)
世界の大富豪から学ぶ、お金を増やす思考法』ぱる出版 (2022/7/23)
人を大切にし組織を伸ばす 稲盛和夫の言葉リベラル社 (2021/4/21)
ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」』KADOKAWA (2021/12/2)
自分を愛し胸を張って生きる 瀬戸内寂聴の言葉』リベラル社 (2022/4/20)
スティーブ・ジョブズ全発言 世界を動かした142の言葉』PHP研究所 (2011/11/19)
トヨタ式5W1H思考 KADOKAWA (2018/9/21)
1分間バフェット お金の本質を解き明かす88の原則』SBクリエイティブ (2012/12/25)
トヨタ式「人を動かす人」になれる6つのすごい!仕事術‎ 笠倉出版社 (2022/7/6)
トヨタ式「すぐやる人」になれる8つのすごい! 仕事術』笠倉出版社 (2019/12/18)
ウォーレン・バフェット 成功の名語録』PHP研究所 (2012/7/19)
松下幸之助「困難を乗り越えるリーダー」になれる7つのすごい!習慣』笠倉出版社 (2020/11/26)
自分らしい生き方を貫く 樹木希林の言葉』リベラル社 (2021/9/17)
ウォーレン・バフェット 巨富を生み出す7つの法則』朝日新聞出版 (2013/10/3)
スティーブ・ジョブズ名語録 人生に革命を起こす96の言葉』PHP研究所 (2010/8/2)
伝説の7大投資家 リバモア・ソロス・ロジャーズ・フィッシャー・リンチ・バフェット・グレアム KADOKAWA (2017/6/10)
イーロン・マスクの言葉』PHP研究所 (2018/10/22)
トヨタだけが知っている早く帰れる働き方』文響社 (2017/12/22)
仕事の効率を上げミスを防ぐ 整理・整頓100の法則‎ 日本能率協会マネジメントセンター (2020/3/26)

コウカワシン

最後までお読みいただきありがとうございます。

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この記事を書いた人

四国在住。
ミニマリスト。趣味は映画観賞と音楽鑑賞、読書、野球観戦。
映画は特に好き嫌いなくほとんどのジャンルーを観ます。音楽はジャズとクラシックが大好きです。読書は歴史書が好きでよく読みます。

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