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『読書を仕事につなげる技術』から学ぶ効果的な独習術

コウカワシン

こんにちはコウカワシンです。

今回は、山口周(やまぐち・しゅう)さんの著書『外資系コンサルが教える読書を仕事につなげる技術』から学ばせていただきます。

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目次

『読書を仕事につなげる技術』は、どんな本?

『読書を仕事につなげる技術』は、ズバリ!「本の内容を忘れにくくし、学んだことを仕事や実生活に活かせる思考を育てる本」です。

本書はこのような本

このようなことはないですか?

ああ、本を読んでもすぐに忘れちゃう~

一応、本に書いてあることはわかるんだけど、仕事に活かすには難しいなあ。だって理想論だもの。

本屋に行ってみたものの、いったいどの本を読めばいいのか・・・。

どの本読んでも、同じこと書いてあるなあ~

とこんな具合です。

わたしも年間200冊ぐらい本を読んでいますが、ビジネス書はあんがい内容が似通ったものが多いと感じています。

たしかに著者の違いで読みやすい読みにくいはありますが、基本的には同じ筋をとらえているんですよね。

本書の著者、山口周(やまぐち・しゅう)さんは、広告会社の電通から外資系のコンサルタント会社に転職する際にビジネススクールに通わずに独学で経営学を学ばれました。

その際に1000冊以上の本を読み感じたことは「すべてのことは独学で学べる」だったそうです。

ですが、ただ本を読んだだけでは、学んだことにはなりません。

読んだ後に内容をしっかり反芻(はんすう)することが必要です。

その技術や方法を著者が自らの体験をもとに、完全独学のうえ、必ず成果に結びつけるためのノウハウを本書に注入しました。

それだけではなく、本当に読むべきビジネス書や本の選び方、本の整理術も伝授してくれます。

本書がおすすめな人

『読書を仕事につなげる技術』がおすすめな人

  • 読んだ本の内容をすぐに忘れてしまう人
  • 本を読んで仕事や実生活に活かしたい人
  • ビジネスパーソン

『読書を仕事につなげる技術』の要点は?

読んだ本から学びそれを仕事や実生活に活かすには6つの大原則があります。

「仕事につなげる読書」6つの大原則

原則1 成果を出すには「2種類の読書」が必要
原則2 本は「2割だけ」読めばいい
原則3 読書は「株式投資」と考える
原則4 「忘れる」ことを前提に読む
原則5 5冊読むより「1冊を5回」読む
原則6 読書の「アイドルタイム」を極小化せよ

基本として、この6つの原則さえ押さえておけば、読んだ本から学んだことをいつまでも忘れずに、さらに内容から応用し自分のために活かせるものにできると思います。

コウカワシン

それでは、本書からわたしの独断と偏見で、効率よく本を読みさらに仕事に活かせるポイントを取り上げてみたいと思います。

成果を出す「2種類の読書」

成果を出す「2種類の読書」とは、

  • 基礎体力をつくるための読書
  • 教養に関連する本を読む

です。

ビジネス書の名著をしっかり読みビジネスパーソンとしての基礎体力をつくり、ビジネスパーソンとしての個性を形成するために教養本を読むのです。

この2つがそろうことで初めて「その人らしい知的成果物」を生み出すことができるようになります。

ビジネス書をしっかり読むというのは、「名著を繰り返し読み、読書ノートはとらない。狭く、深く読む」ということです。

一方で教養書の読み方は、「基本は、雑多な本を幅広く気の向くままに読み、読んだら読書ノートをとる。つまり、広く浅く読む」ということです。

理由は、ビジネス書の名著は基本中の基本のことが書いてあり、その狭い範囲を繰り返し読むので忘れる恐れもないのです。しかも内容はビジネスに関連しているので、「自分で読み、考え、記憶する」ため読書ノートを取らなくてもいいでしょう。

一方で、教養書の読み方は、ビジネス書の場合とは真逆です。

ジャンルが多岐にわたるため、こういった定番・名著をすべて読むわけにもいかず、必ずしもビジネスに関連していないこともあるため、現時点ではビジネスに役に立つと実感できないことも多いと思います。

そのため、後で立ち返って考えたり、参照したりするための読書ノートの作成が必須になります。

ビジネス書の読み方

古典・原典に当たることが重要

著者の結論はこうです。

ビジネス書で読むべき本は、古典・原典といわれる71冊で、「新刊書」「古典の解説書」は読む必要がない。それだけを徹底的に読むことで知的生産の基礎とすることができるということです。

それはどんな業界・職種であっても、絶対に読むべき基本書籍を中心に配置し、外側に行くにつれ各分野での専門性が高まり、その分野で求められるハードコアな書籍を並べていくということでいいのです。

そして基本的書籍については、徹底的に、完璧に読みこなすことが求められます。

たとえば経営学を独学するのであれば、M・E・ポーター氏の『競争優位の戦略』です。

この本は、600ページ以上もある大部の本で、読み切るにはかなりの時間が必要です。

それでは大変と、この本に関する解説本もたくさん出版背れていますが、こうした簡易版の解説書をいくら読んでも経営の理解は高まらないと著者は言います。

なぜなら、古典・原典の広めたい思考のプロセスを追体験することで「経営の考え方」「ビジネスを考えるツボ」を皮膚感覚で学び取っていくことこそが意味があるからです。

つまり、解説本では思考のプロセスを端折って解説しているにすぎず、そんな知識をいくら覚えても知的体力は向上しません。

「古典」は、こう読もう

古典をどう読んでいくかについて著者はこう言います。

  • ビジネス書の読書では抜粋や読書ノートはつくらない
  • ビジネス書で得た知識は「そのまま」実践する
  • わからない場合は10ページ飛ばす
  • なるべく偏りをなくそう

先ほどのとおり、ビジネス書のの読書では読書ノートをつくりません。

それからビジネス書で得た知識は日々の仕事のなかでそのまま実践してみましょう。

古典を読んでいてどうもしっくりこないと思ったら、まず10ページ飛ばしてみることも著者はすすめています。そこから読み始めてもやはりどうもしっくりこないと思ったら、迷わずさらに10ページ飛ばします。

それでも面白いと感じないなら、今度は目次をながめてみて、いまの自分にとってもっとも興味深そうな項目を選んでそこだけ読むのです。

本を読んでいてどうも内容がしっくりこない、わからないというのは、それは決して自分の責任ではないのです。

こういうときは「言葉が通じないだけ」と割り切り、本を本棚に返しましょう。

そしてそのうちに言葉が通じるようになったときに再び読めばいいのです。

先ほど経営学の名著、M・E・ポーター氏の『競争優位の戦略』を紹介しましたが、これを読んだだけで経営学の戦略論を語るのはやめましょう。

一般的に高名な経営学者のかいたいわゆる「名著」というのは、大変偏ったモノの考え方を採用していることが多いからです。

ポーター氏は、「企業の収益性はその会社の能力よりも置かれている状況=ポジショニングによって決まる」という極端なスタンスを取っています。

このポーター氏の主張に対して明確に反対のスタンスを取っている著名な経営学者も大勢います。

典型的にはJ・B・バーニー氏で、ポーター氏とは逆に「企業の収益性は置かれている状況よりも企業内部に蓄積された能力=リソースによって大きく左右される」とされています。

J・B・バーニー氏の『企業戦略論』でそれを知ることができます。

これらの2つの考え方は、お互いを不正や誤りを論じ立てて、非難し攻撃し合って、すでに30年以上のあいだ水と油の関係となっています。

でも考えてみたら、「企業の状況=ポジショニング」も「企業の能力=リソース」もどちらも大事なことです。

ですので、どちらの考え方が正しいと偏らずに「いろんな考え方がある」と俯瞰することが重要なのです。

これを見れば、「古典」とされる名著を何冊か偏りなく読むことが必要となってきますよね。

教養書の読み方

仕事の「難問」には、教養書が効く

ビジネス書のように古典・原典などの名著は、しっかりと読み込み、折に触れて部分的に再読することが大事です。

逆に、教養書については、さまざまな考察が出されるため、「定番や名著を読んでおけば、新刊はスルーでよい」というわけにはいかないそうです。

常にアンテナを立て、興味深い意見や考察が出されたら目を通すことやキャリアの全般を通じた継続的な読書も必要になります。

年齢が上がれば上がるほど、一般的に職位も上がり、それに応じて難易度の高い意思決定、これまでに経験のない問題に向き合うことが多くなります。

そのような「仕事環境の変化」が突きつける難問にビジネス書で得られる「知識」は、ほとんど役に立たないと著者は言います。

そんなときには、自分の得意とする分野を中心とした知識や感性を磨くべきだと著者は言います。

著者は電通時代に、なかなか自分らしい成果が出せず細かいミスを連発ばかりしていたそうです。

そんな毎日を送る中、上司に言われた言葉が胸に響きます。

著者が学生時代に学んだ音楽や美術に造詣が深いことを知った上司は、「どうしてそういう知識や感性を、仕事につなげてみようと思わないのか、今の状態は仕事のやり方の正解を探して不得意なことをやっているように見える」とアドバイスしたのです。

たしかにそのときアドバイスをもらった瞬間に「あっ、そうか!」とはなりませんでしたが、徐々に時間をかけて自分の中に落ちていったという感覚だったそうです。

このときから「教養」と「仕事」をつなげて考えるようになったそうです。

成果を出せる人になるためには教養書が不可欠

著者が身を置くコンサルティング業の最大の武器は論理思考だそうです。

というのも、多くの場合はクライアントよりも情報が少ない状態にあるのに、その状況でクライアントが何年も悩んでいるような問題に対し、短時間で答えを出さなければいけないからです。

そのためには徹底的に理屈で物事を考えていく論理思考の力が必要になってくるのです。

ですがこのような論理思考を極める人もリベラルアーツの本(教養書)が、必要だと著者は言います。

たとえば、ものごとをとことん理屈で考えているというのは主に理数系・自然科学領域の頭の使い方であり、そのような人々が哲学や心理学、歴史といった文科系・人文科学領域の知見を学ぶのは一見矛盾しているように見えます。

しかし、成果を出せる人というのはリベラルアーツについてさまざまな本を読まれていると著者は言います。

著名人では、SBIホールディングスCEOの北尾吉孝氏、ファーストリテイリング(ユニクロ)社長の柳井正氏、電通の白土謙二氏などなど。

著者がここ10年籍を置いている外資系コンサルティングの業界だけでなく、これまで会った経営者や20代を過ごした電通でも、エース格の人は皆、ビジネス書だけでなくさまざまな分野の本を読んでいるのです。

何を読むべきか?教養書、7つのカテゴリー

著者がビジネスパーソンにすすめる教養書のカテゴリーは、下記のとおりです。

  1. 哲学(近・現代思想)
  2. 歴史(世界史・日本史)
  3. 心理学(認知・社会・教育)
  4. 医学・生理学・脳科学
  5. 工学(含むコンピューターサイエンス)
  6. 生物学
  7. 文化人類学

7つのカテゴリーといっても、数万冊もあるわけで、どれを読むかを選ぶのは至難の技ですね。

そこでまずは「定番」から始めることが第一です。

そして目的や目標を持たず、ただ「面白いか、面白くないか」という感覚に従っていけばいいのです。

「なんとなくよさそう」で選んでみて、面白ければ読み進めますし、面白くなければそこでやめてしまってもいいくらいな感覚でいけば長続きします。

なぜ、面白くなければいけないかというと、面白いと思って読んだ本でないとその人の血肉にはならないからです。

その人の血肉とは、「その人らしさ」です。

名著だとか、人から勧められたから、ではなく「良さそうかどうか、ピンとくるか?」で選び、「面白いか、心が動いているか?」という点が大事なのです。

本を「ノート」だと思ってどんどん書き込む

著者は、「本は汚く読もう」と言います。

「本を汚く読む」というのは、アンダーラインを引いたり、書き込みをしたりしながら読んでいくということです。

本をみずからの血肉にして自分の人生をより豊かにしたいと思うのであれば、アンダーラインや書き込みは絶対にやるべきだと著者は言います。

アンダーラインを引いたり、書き込みをしたりするともちろん本は汚れることになりますが、むしろ「どれだけ美しく汚せるか」ということを考えていくとよいとも言われています。

線を引く3つの道具 赤ペン、ダーマト、蛍光マーカー

著者は、3種類のペン(赤ペン・ダーマト・蛍光マーカー)をアンダーラインを引く際に使われています。

3色ボールペンの赤:電車の中

一番使っているのが「3色ボールペンの赤」で、主に移動中の電車の中やバスや病院の待ち時間などで使います。

著者が愛用しているのが三菱のジェットストリームです。

赤は、目に飛び込んでくる色です。読んだ本の内容はいずれほとんど忘れるため、一定期間をおいてから再読することになります。

このときに、アンダーラインを引いた箇所がパッと目に飛び込んできてくれないと、とても読みにくいと著者は言います。

ダーマトグラフ:ベッドの中

ダーマトグラフというのは、「ワックス分の多い太めの芯と、木ではない紙巻き仕様が特徴で、鉛筆の先に出た紐をミシン目に沿って引きながら、軸に巻いた紙をクルクルほどいて芯を出すという色鉛筆」です。

著者はダーマトグラフをベッドの中で使うそうです。というのも3色ボールペンはベッドに寝転がったまま使うことができないからとのことです。

ふつうの色鉛筆では芯を出すために削る必要がありますが、ダーマトグラフなら、糸を引いて皮をむけばすぐに書けるので重宝されているそうです。

著者は三菱鉛筆のダーマトグラフの赤と青を使用されています。

著者はこれをカバンの筆入れ、会社と自宅のデスクのペン立て、ベッド脇に常備されているそうです。

蛍光マーカー(オレンジ):デスクの上

アンダーラインを引く3つ目の道具が、蛍光マーカーのオレンジです。

著者が使っているのが、ゼブラの蛍光オプティマスです。

オレンジにする理由は、青や緑だと色調が強すぎて字が読みにくいし、黄色やピンクだと色調が弱すぎて再読するときに目に飛び込んできません。

そこで、オレンジがちょうどいいとなったそうです。

3つのペンを使い分ける理由

3つのペンを使い分ける理由は、蛍光マーカーはアンダーラインを引くのには最強のツールですが、書く際には必ずキャップを開けなくてはいけません。書いた後もキャップを閉めなければいけません。

電車での移動中やベッドの中では使いづらいのです。

それぞれのペンに使用する場所を設けているのもそのためです。

著者のおすすめ「3回読み」読書

本から読み取った情報を自分のものにするために著者は「3回読み」をすすめています。

その方法が下記のとおりです。

  • 1回目 線を引く
  • 2回目 5つ選ぶ
  • 3回目 転記する

1回目→2回目→3回目と、自分にとって必要な情報をスクリーニングしていきます。

この「3回目」が終わった本については、頭からすっかり消してしまってもいいそうです。というのもいつでも必要なときに、情報を取り出せるようになっているからです。

1回目 線を引く

気になった文章全体に、線を引く

1回目は、アンダーラインを引きながら読みます。

初読の意味は、「この本は再読する価値があるかどうか?」「記憶・記録するだけの価値がある本か?」という目安をつけるために行います。

線を引いた箇所が多ければ多いほど、自分にとって意味のある本だということになります。

著者は3つのアンダーラインを使い分けます。

1つ目のアンダーラインは、文章全体に

1つ目は、普通のアンダーラインで、自分が重要だと思った箇所にアンダーラインを引きます。

ポイントは、「文章の冒頭から末尾まで」しっかりとアンダーラインを入れるということです。こうすると後で読み直したときに文章を理解することができます。

2つ目のアンダーラインは、長い文章をまるごとマークするために

2つ目は、冒頭箇所と終了箇所のみをマークするアンダーラインです。

これは、アンダーラインを引く場所が長くなる場合に用います。

たとえば、ひと段落がまるごと重要な場合、段落全体に線を引くのは見た目もよくないし、アンダーラインを引くのもたいへんですから、そのような場合には冒頭と末尾だけにマークをつけます。

著者の場合は、冒頭箇所には下↓を、末尾には〇を着点にした↓をつけているそうです。

3つ目のアンダーラインは、キーワードを目立たせるために

3つ目は、キーワードを目立たせるためのアンダーラインです。

文章全体にアンダーラインを引くと言いましたが、それはキーワードだけにアンダーラインを引くのをやめ、「ここはキーワードだな」と思える言葉に出会ったならアンダーラインとは別にキーワードをグルっとペンで囲むことを指します。

こうすれば、重要箇所の転記の際に迷わないし、どの言葉にビビッと来たかも記録することができます。


2回目 5つ選ぶ

線を引いた箇所に優先順位をつける

アンダーラインを引きながら1冊の本を読了したら、2回目の読書ではアンダーラインを引いた箇所のうち、どこを転記するかを選びます。

ひと目見てわかるようにフセンも貼っておきましょう。

ポイントになるのが、優先順位づけによる選抜です。

1回目の読書で、引いたアンダーラインがいくら多くても、転記として残すのは、基本的には5カ所、どんなに多くても9つまでにすることです。

なぜなら、そのように上限を設けてないと転記するのがイヤになるからです。

5カ所くらいなら、10分程度の軽作業で済ますことができます。

この転記の際に大事なのが、転記された箇所をもとにどう思考を広げるかということです。

転記作業そのものに負担が大きいと「転記箇所をもとに思考を広げる」という本来の目的を前に力尽きてしまいます。

ですので、転記に見合う価値があるかという見極めが重要であり、したがって上限を9カ所に設定することで優先順位をつけていくのです。


3回目 転記する

仕事への「示唆」を書き出す

リベラルアーツに関する読書において重要なのは、単に暗記するだけではなく、必ずビジネスや実生活における「示唆」(しさ)を書き出すということです。

つまり、「ああ、面白かった」で終わらせることなく、そこから何らかの有益な情報を得て、それらをビジネスや実生活に活かすということです。

さらに本を読んで「面白かった」と思うのなら、自分がなぜそう思ったのかをもう少し踏み込んで考えてみると、ビジネスや実生活につながるヒントが得られることが多いと著者は言います。

やり方は、面白いと思ったところを転記し、その転記した箇所から得られるビジネスや実生活に対する示唆も合わせて書き出してみることです。

整理の仕方は、

  1. 面白かった箇所
  2. ビジネスや実生活に対する示唆
  3. 具体的なアクション(行動)の仮説

の3つです。

「へえ~」=面白かった箇所

著者が具体的な例をあげています。

『働かないアリに意義がある』という本からです。

この本は、「アリの巣を観察すると、いつも働いているアリがいる一方で、ほとんど働かないアリもいる。
働かないアリが存在するのはなぜなのか?」といった疑問から始まります。

実験の中で、「エサへのルートを確実にトレースする真面目アリのコロニーよりも、一定の比率でルートを間違える、あるいは働かないアリが存在するコロニーのほうが、結果的に外的変化に対して生き残れる確率が高い」となりました。

理由は、「働かないアリや間違えるアリによって、それまでのルートとは異なるルートのエサが発見されるから」とされています。

一般的には、もちろん働き者が多い組織のほうが外的変化に対して強いはずです。でもこの本では、世間一般に言われていることとは反対のことです。

そこが面白いと著者はアンダーラインを引かれたそうです。しかも2回目のときには優先順位を上にしたとのことです。

「示唆」は思いつきやひらめきでいい

さてこの面白い事実は、ビジネスや実生活にどういう示唆があるかを考えることが読書の醍醐味になってきます。

著者はこのことから、「現代のビジネスに100%組織のリソースを投入してしまうと、新しいビジネスの芽は生まれない」といったヒントを生み出しました。

このように思いついたヒントはどんどん書いていきます。

このようにいろんな書籍で、気づいたことを書き込んでいくと同時に、

「今のビジネスに関係する人ばかりと会っていると、実生活の自分の人生にイノベーションが起こらないかもしれない」「本棚が最近はいつも本でパンパンになっていて、新しい本が入るスキがない」

などといったかなり「遠い」ヒントや気づきも書いておくのです。

アリのコロニーの話とはかなり離れたことでも、思いつきやひらめきがあったらそのまま書き出すことが重要です。

こういった思いつきがビジネスや実生活に対する示唆なのです。

最後はアクション(行動)を書いておく

この上に付け加えるならば、ぜひ「ではどうするか?」という問いに対して、具体的なアクションの仮説をつくりましょう。

たとえば、「今のビジネスに対して100%の組織をつくってしまうと、環境変化に対応できない」という示唆からは、「ある程度のリソースは、直接的な利益が見込めないような研究や新規ビジネスの開発に当てたほうがよい」というアクション仮設につながります。

そのほか、「今やっている仕事と関係あるの人たちとばかり会っていると、人生にイノベーションが起こらないのではないか」という示唆は、「月1程度でも仕事とは関係ない人との会食を持とう」ということになります。

「本棚がパンパンだと新しい本が買えない」というのは、「1年間手に取らなかった本は思い切って捨てよう。本棚が1年の間に読んだ本だけになれば、本棚を見ることで自分の勉強状態もわかる」というようにアクションにつなげられるのです。

『読書を仕事につなげる技術』の感想・まとめ

すべてのことは「独学」で学べ、仕事につながるかは「読んだ後」が勝負

自分の仕事や実生活に活かそうとたくさんの本を読んでいる人は大勢いらっしゃると思います。

わたしもそのなかの一人で、年間200冊以上は読んでいると思います。

ビジネス書や教養書、人気の小説なんかも好きで、乱読しているといって間違いありません。

その中で思うのは、「少しは血や肉になっているかなあ」という実感です。

たしかにアウトプットの一環としてこのように書評ブログを書いているのですが、本書を読み、「これではもったいないなあ」「もっと血肉にして活かしていきたいなあ」と思うようになりました。

たしかに人間ですから、一度読んだからと言っていつまでも覚えていられません。

ですが、本書は頭で読む読書ではなく、ひと手間加え、体を使って読む読書にうながす方法を教えてくれました。

良書というのは、何回読んでもいいものですし、その時その時で、また新たな気づきを与えてくれるものです。

ですので、本棚に入れっぱなしにはせずに定期的にでも再読したいなあと感じました。

本書では、読書後の情報のまとめ方「情報のイケスをつくる」とか、本の選び方、本棚の整理術など、さまざまな面から著者の読書愛が伝わる一冊です。

そのうえ、ビジネス書で読むべき本を巻末に記されています。

本好きで仕事にも活用したいと考えている人はぜひご一読ください。

『外資系コンサルが教える読書を仕事につなげる技術』は、現在(2022年11月1日時点)amazonの本読み放題サービス「キンドルアンリミテッド」の対象になっています。

キンドルアンリミテッドは、ビジネス書からマンガまで幅広いジャンルの本が読み放題です。ぜひこの機会にご検討ください。

『読書を仕事につなげる技術』の概要

本書の目次

『外資系コンサルが教える読書を仕事につなげる技術』

はじめに

第1章 「仕事につなげる読書」6つの大原則
第2章 【ビジネス書×何を読むか】ビジネス書は「これだけ」読めばいい
第3章 【ビジネス書×どう読むか】古典には読む「順番」がある
第4章 【教養書×何を読むか】好きな本を読んで「ライバルと差別化」する
第5章 【教養書×どう読むか】情報の「イケス」をつくれ
第6章 「書店を散歩する」技術
第7章 「本棚」で読書を仕事につなげる

特別付録 これだけ読めばいい!「ビジネス書マンダラ」

著者の紹介

山口周(やまぐち・しゅう)

1970年東京都生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科前期博士課程修了。

株式会社ヘイ コンサルティング グループ ディレクター。

ボストン・コンサルティング・グループ、A.T.カーニー等を経て、ヘイグループに参画。

消費財、メディア、流通、情報通信等、幅広い業界対して、事業戦略策定、人材活性化、イノベーション促進等のテーマで豊富なコンサルティング経験を有する。

主な著書

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』光文社 (2017/7/20)
自由になるための技術 リベラルアーツ』講談社 (2021/3/3)
ニュータイプの時代』ダイヤモンド社; 第1版 (2019/7/3)
ビジネスの未来』プレジデント社; 第1版 (2020/12/21)
外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント‎ 大和書房 (2016/3/25)
外資系コンサルのスライド作成術』東洋経済新報社 (2015/4/9)
武器になる哲学 KADOKAWA (2018/5/18)
劣化するオッサン社会の処方箋』光文社 (2018/9/30)
知的戦闘力を高める 独学の技法』ダイヤモンド社; 第1版 (2017/11/15)
外資系コンサルの知的生産術』光文社 (2015/1/20)
仕事選びのアートとサイエンス』光文社 (2019/3/30)
外資系コンサルのスライド作成術【合本版】』東洋経済新報社 (2016/12/22)
世界で最もイノベーティブな組織の作り方』光文社 (2013/10/20)
トップ1%に上り詰めたいなら、20代は“残業”するな』PHP研究所 (2016/10/31)
思考のコンパス ノーマルなき世界を生きるヒント』PHP研究所 (2021/10/19)
天職は寝て待て』光文社 (2012/4/17)

共著

「仕事ができる」とはどういうことか? 宝島社 (2019/11/26)
世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術 』朝日新聞出版 (2020/3/19)
マンガと図解でわかる 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』光文社 (2020/6/30)
どこでもオフィスの時代』日経BP (2021/10/7)
仮想空間シフト』エムディエヌコーポレーション(MdN) (2020/8/6)

コウカワシン

最後までお読みいただきありがとうございます。

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この記事を書いた人

四国在住。
ミニマリスト。趣味は映画観賞と音楽鑑賞、読書、野球観戦。
映画は特に好き嫌いなくほとんどのジャンルーを観ます。音楽はジャズとクラシックが大好きです。読書は歴史書が好きでよく読みます。

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