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『最高の体調』から学ぶ現在の問題児「文明病」から脱し本来の自分を取り戻す方法

コウカワシン

こんにちはコウカワシンです。

今回は、鈴木祐(すずき・ゆう)さんの著書『100の科学的メソッドと40の体験的スキルから編み出した 最高の体調』から学ばせていただきます。

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目次

『最高の体調』は、どんな本?

『最高の体調』は、ズバリ!「体調版、自己啓発書」です。

本書は、このような本

最近、疲れていませんか?

毎日毎日、日常を過ごすにつれ、蓄積する疲労は知らぬ間に体をむしばんでいきます。

それから、何をするにも張り合いを感じることができずに空虚な気持ちで過ごしていないでしょうか。

本書の著者鈴木祐(すずき・ゆう)さんは、新進気鋭のサイエンスライターで、これまでにも人間の体を科学的に分析しヘルスケアをテーマとした書籍をたくさん世に送り出しています。

本書では、科学的根拠のもと、現代人が抱える問題の「共通項」をあぶりだし、そのうえで、すべてを柔軟に解決する汎用的なフレームワークを解説しています。

実践的に解説から、本来の自分を取り戻す一助になる一冊です。

本書がおすすめな人

『最高の体調』がおすすめな人

  • 慢性的に疲労を感じている人
  • 精神的な落ちこみに苦しんでいる人
  • なぜかいつも不安を感じている人
  • 夜によく眠れない人

『最高の体調』の要点は?

本書は異質な本です。

というのも、「自己啓発書」、「ビジネス書」、「心理学書」、「家庭の医学書」の要素がまるっと入っているからです。

つまり、それぞれの要素を総合的なアプローチで、解説しているのです。

それぞれの分野では、たくさんの良書がありますが、それでは表面に現れた症状をやわらげるに留め、根本的な解決にならないというのが著者の意見です。

ですので本書ではそれらを網羅した内容が記され、これ一冊で解決できるメリットがあるのです。

コウカワシン

この記事では、わたしの独断と偏見で、すぐに取り組めて結果が出やすい、体と心の健康面を説いた内容だけを取り上げてみます。

個人差があり、取り組みに時間のかかりそうな「思想」や「死生観」、「幸福を感じるための心理」などは、ぜひ本書を手に取って読んでみてください。

文明病が心と体を蝕んでいく

「文明病」は、近代社会の変化によって引き起こされる、現代に特有の病気や症状を意味します。

まず古代では「肥満」はあり得なかったそうです。

というのも古代の狩猟採集民たちの食料は、ほとんどカロリーが低いものばかりで、食事にありつけないことも多かった時代です。

そのため、人間の脳の報酬系は、生存するためにできるだけカロリーの高い食べ物を探すように進化しました。

このとき人間の消化器系・感覚(味覚と嗅覚)・脳の食欲中枢が発達し、現代にいたっているのです。

ところが、現代の先進国に住む人間は、食料の豊富な「肥満環境」に生きているのです。

つまり、人類に備わった生存システムが現代の豊かな環境ではうまく働かず、「肥満」という現象が現れてしまったのです。

この人類の進化と現代のミスマッチが進化医学の根幹にあると著者は言います。

文明病を引き起こす「炎症」と異質な進化を経た「不安」

「炎症」とはヒトの細胞レベルで起こる火事のようなものだと著者は言います。

たとえば、転んでひざを擦りむいたときに、ケガをしたところからジクジクと液体が染み出し、軽い痛みとともに皮膚が赤く腫れあがっていきます。これが「炎症」です。

多くの研究で鬱(うつ)や肥満、糖尿病といったさまざまな不調の原因と考えられています。

それから、現代人にとって重要なのが「不安」の問題だとも指摘します。

そもそも「不安」というのは古代人も持っていた感情ですが、現代人が抱く「不安」は、それとはまったく性質が違うそうです。

古代人の不安というのは、自分の身に起こる危険や生命を脅かす可能性のある不安です。

たとえば、木々の奥には猛獣がひそみ、草むらには毒性を持った植物が繁殖。必要な獲物を確実に仕留められるとは限らない、運が悪ければ木の実すら手に入らない可能性があります。

それに対し現代の不安は、仕事や将来、人間関係が主な心理的ダメージをともなう不安です。

つまり、古代人の生きた社会では、どのように不安を解決すべきかが明確です。たしかに集団生活を営んでいたため人間関係のトラブルはあったにせよ、長老による裁定や民族間ルールで解決が図られるなどしてきました。

ですが、現代では交流人口が飛躍的に増え、SNSなどでは匿名の傘に守られた安心感のせいで必要以上に攻撃的な感情のぶつけ合いがあったり、不用意な書き込みに対して複数のユーザーからバッシングを受けたりするなど心理的ダメージの質と量が違います。

つまり、古代と現代では「不安」というものが異質な変化を経たといえるのです。

このように見ると、「古代のほうが人間らしい生活ができていた」と見るのは早計です。

古代の集団生活では濃密な人間関係がありましたが、デメリットもあります。住民の相互監視によるプライベートの不在や、自由度の低さから生まれる精神的な重圧は古代社会のほうが上だったといわれています。

ですので、現代と古代の優劣を問うのではなく、今できることを自分たちなりに考え、粛々と対策を考えていくことだと著者は言います。

長寿な人は、体の「炎症レベル」が低い

長寿の人は「炎症対策」が優れている

先ほど、ケガをしたところからジクジクと液体が染み出し、軽い痛みとともに皮膚が赤く腫れあがる・・・。これが「炎症」だと言いましたが、炎症というのは体の表面だけで起きていることではないそうです。

たとえば、外から体内に入ってきた異物によって免疫システムが過剰に反応し、目の充血や鼻づまりといったアレルギー反応というのも炎症なのです。

その他にも、風邪などの免疫システムがウィルスと戦い続け、体には発熱や鼻水などの諸症状が起き、熱のせいで脳が正しく機能しない現象も炎症です。

たしかにケガや風邪のように一時的な炎症に免疫システムが作動して一気にかたをつける場合はいいのですが、現代では見た目ではわかりにくくとろ火でジワジワと全身を煮込むような形で進行していく場合もあります。

それが高カロリーな食物を取り続けたために溜まった、本来なら体に必要のない異物である内臓脂肪に対し、免疫システムが発動した炎症なのです。

人体を守るために免疫システムが激しい戦いを繰り広げ、血管や細胞といった周辺組織にまでダメージがおよび、やがて全身の機能が下がっていきます。

これはまるで戦争が長引き、水道や電気、道などのインフラを破壊され、国力が下がっていくのとよく似ていると著者は言います。

ところで、健康的で長寿な人というのは、この「炎症レベル」が低いとされています。

つまり、老化が遅れたということですが、健康的に年を取るための「炎症対策」が優れていたということなのです。

内臓脂肪は炎症の燃料

先ほどの「内臓脂肪」もその一つです。

内臓脂肪が体内で増えると免疫システムは発動し、脂肪細胞が分泌する炎症性物質が臓器に炎症を引き起こします。

しかし、いくら免疫システムが動いたところで、内臓脂肪はビクともしません。

なぜなら体脂肪を落とすには、食事や運動でカロリーを減らすしかないからです。

内臓脂肪が減らない限り体はジワジワと燃え続け、炎症性物質で傷ついた血管や細胞が動脈硬化や脳梗塞の引き金なります。

これが「メタボリックシンドローム」の発症プロセスだと著者は言います。

このタイプの炎症は自覚症状がなく、「なんだか調子が悪い」や「よく寝たはずなのになぜか疲れている」といったレベルのなぞの体調不良として認識されるケースがほとんどだといいます。

ですが多くの人は不調の原因がわからないまま時間を過ごし、炎症の導火線は爆発へのカウントダウンを続けていくのです。

狩猟採集民の炎症状態

人類学者のスタファン・リンデベリ氏は、「先進国より狩猟採集民のほうが健康ではないか?」という仮説の裏付けを得るためにパプアニューギニアのキタヴァ族のフィールドワークを行いました。

キタヴァ族とは、漁獲とイモ類の栽培で暮らす伝統的な狩猟採集民で、そのライフスタイルは旧石器時代に近いとされています。

それによると、キタヴァ族が脳卒中や動脈硬化にかかるケースはなく、糖尿病の発症率はおよそ1%ほど(日本の発症率は15%)。80代の高齢者が認知症にかかることもなく、がんもほぼゼロに近い状態だったそうです。

現代の日本人とキタヴァ族のような狩猟採集民の違いをまとめてみると、

  • 狩猟採集民=外傷や感染による短中期的な炎症がメイン。激しい発症や嘔吐など周囲から見てすぐにわかるような症状が出る。
  • 現代の日本人=体内で延々とくすぶる長期的な炎症がメイン。誰にでもわかるような症状は表に出ず、少しずつ不調が進行する。

ということになります。

遺伝子的に大差がないにもかかわらず、このような炎症レベルの差が出てしまったのです。

この差はやはり、摂取する「カロリー」の差なのです。

先進国のデータから、この30年で1日の摂取カロリーは増大を続けていて、70年代からおよそ4000キロカロリーも増大したといいます。

それにより肥満率も増加を続け、過去にはなかったレベルで糖尿病や高血圧の発症率も上がってきているのです。

人類は、600万年の歴史の中で、カロリーが足りない環境に適応するために進化してきました。

そのため、人類の脳と体は「低カロリー」にはうまく対応できますが、「高カロリー」を処理するようには設計されていません。

ですので、高カロリーの状態が続けば、あまったエネルギーが皮下脂肪や内臓脂肪として貯蓄され、先ほどの炎症サイクルにはまり込んでいくということです。

不安障害の患者が急増中

「文明化」が現代人の不安を促進する

2013年にワシントン大学が44ヵ国のデータをまとめたメタ分析によると、不安障害を患う人の数は全世界で13人に1人の割合に達するといいます。

日本でも不安障害の数は増え続けていて、2011年の厚労省調べでは不安障害の治療を受ける患者の数は157万人に達し、この数字は1996年のデータの約2倍だそうです。

これは文明病だからとひとくくりにはできません。現代人にとって「不安」は日常的な感情ですし、厳しい環境で暮らす古代人だって日常的な苦労はあったと思うからです。

そして、不安障害の発症率には大きな地域差もあります。

2017年にWHOが世界26ヵ国で行った調査では、不安障害の患者数は、ほぼ各国の近代化のレベルに対応していました。

たとえば、アメリカやオーストラリアでは、不安障害の発症率が8%前後だったのに対し、ナイジェリアのような発展途上国ではたったの0.1%にしか過ぎません。

「文明化」が、現代人の不安を促進するといっても過言ではないのです。

「ぼんやりした不安」と「はっきりした不安」

先ほどの古代人が生きた時代を思い出してみましょう。

原始のサバンナ、あるいは密林での生活です。

木々の奥には猛獣がひそみ、草むらには毒性を持った植物が繁殖。必要な獲物を確実に仕留められるとは限らず、運が悪ければ木の実や根茎類すら手に入らない可能性もあります。

まるで野生動物の営みと同じですよね。

これはこれで不安に満ちた生活であることが想像できます。

でも、その代わりに原始の不安には、シンプルで対処しやすいという利点もあります。

猛獣に遭ったら戦うか逃げるかの二択だし、食べ物が見つからなければサバンナを探し回るか飢えをガマンするかだけです。病気になったら休息して栄養を摂る以外にありません。

現代の不安で考えてみます。

仕事面においては、ブラック企業が存在したり、年功序列の崩壊で先行きが不透明であり、それでも成果を求められるプレッシャーも増えているため、仕事への不安はかつてないレベルで増えています。

人間関係におけるコミュニケーションの不安も古代の比ではないでしょう。

1927年、作家の芥川龍之介(あくたがわ・りゅうのすけ)氏が、『続西方の人』を書き終えた後に大量の睡眠薬を飲んで命を絶ちました。

遺書にはこうありました。

「誰もまだ自殺者の心理をありのままに書いたものはない。

ぼくは君に送る最後の手紙の中に、はっきりこの心理を伝えたいと思っている。


君は新聞の三面記事などに生活難とか、あるいはまた精神的苦痛とか、いろいろの自殺の動機を発見するであろう。

しかしぼくの経験によれば、それは動機の全部ではない。のみならず大抵は動機に至る道程を示しているだけである。

少なくともぼくの場合は唯ぼんやりした不安である。

なにかぼくの将来に対する唯ぼんやりした不安である」

まさに文明化がもたらした現代人の不安を芥川龍之介氏が、「ぼんやりした不安」と表現しています。

古代人の不安が「はっきりした不安」というのに対し、現代人の不安が「ぼんやりした不安」というのは、文明がもたらした副産物と言わざるを得ないということです。

不安の本来の役割は危険に対する「アラーム」

この芥川竜之介氏の残した遺書にある「ぼんやりした不安」というのは、現代人の脳のパフォーマンスと人生の質に多大な影響をおよぼしていると著者は言います。

代表的なものが次の4つです。

  • 慢性的な不安が人間の記憶力を低下させる
  • 不安は人間から理性的な判断力を奪う
  • 不安は人間の死期を早める
  • 不安は不安を呼び込む

どれもハッと思い当たるものがあるのではないでしょうか。

ぼんやりとした不安のせいで脳の扁桃体(特に恐怖や不安といったマイナスの情動に深くかかわる神経細胞)が敏感になり、やがて少しのストレスにも過剰な反応を起こすようになります。

実はこの「不安」の本来の役割は自分の身に危険なことが起こることへの「アラーム」なのです。

たとえば古代人なら、

目の前の草が動いたのは、奥にライオンがいるからではないか?

この葉っぱを食べたら体を壊すのではないか?

といったような、まだ正体があきらかではない生存の危機を察知し、事前に対策を取れるようにアラームを鳴らします。

このアラーム機能が功を奏して、人類が今まで生き残ってきたのです。

ところが、不安の質が変わった現代では、かつてはうまく働いていた機能が動作せず、「ぼんやりした不安」によってアラームが誤作動を起こし、やがて頭の中で非常ベルが鳴りっぱなしの状態になっていったのです。

腸内環境を整えることが健康に生きる道

腸は、第二の脳といわれています。

というのも昔から「腹が立つ」「太っ腹」「腹をくくる」「腹の虫が治まらない」「腹黒い」「腹を割って話す」「腑に落ちない」といわれるくらい心(脳)の動きと腹(腸)が連動しているのを感じたことがない人はいないでしょう。

「腸は心の鏡」というように、心の不安と連動するがごとくひどく緊張したときなどは腹痛や下痢、ストレスなどから便秘したりとさまざまな症状を引き起こします。

このようにただでさえ、腸には負担をかけているのですから、腸の健康を常に考える必要があります。

つまり、腸内環境を整える生活を送らなければいけません。

食べるものはもちろんのこと、その他にも気をつけたいことがたくさんあります。

中には、「えっ、これってダメなの?」と思うようなことがありますので、それを本書の中から紹介したいと思います。

抗生物質をむやみに使わない

抗生物質(こうせいぶっしつ)とは、微生物が産出する、他の微生物や細胞に作用してその発育などをおさえる作用を持つ物質のことです。

抗生物質は、細菌を殺す薬であり、細菌性髄膜炎(ずいまくえん)、細菌性肺炎(はいえん)、溶連菌(ようれんきん)感染症、百日咳(ひゃくにちぜき)、大腸菌などによる膀胱炎(ぼうこうえん)に使われます。

つまり、肺炎や化膿した細菌感染症に効果があります。

それから、真菌(しんきん)や寄生虫、腫瘍(しゅよう)に対しても用いられることもあります。

ウィルスには効かないので、本来なら風邪薬にはならないのですが、中耳炎や肺炎予防、そしてウイルス感染によって傷んだ粘膜に、のどや鼻に常在していた細菌などが取りついて繁殖し、悪さをするのを防ぐために使われることがあります。

実は、抗生物質を服用するとお腹を壊す人が多くいます。

これは腸内に存在する腸内細菌を殺してしまうため、腸内環境が悪化するためです。

でも最近では世界中で抗生物質の利用を減らす傾向にあり、日本でもむやみに処方されることは少なくなったそうです。

ですので、医療機関で抗生物質を処方された場合は、どのような細菌感染が疑われるのかさえ確認しておけば問題はないと著者は言います。

殺菌グッズやカビの排除

薬用ソープはいらない

抗生物質と同じく使用を控えたいのが抗菌グッズです。

抗菌グッズとして頻繁に薬用ソープを使われる人も多いと思いますが、薬用ソープに使われる抗菌成分が、肌に住み着く有益なバクテリアまで殺してしまうといいます。

なかでも、トリクロサンとトリクロカルバンの2つは体内のホルモンバランスを乱す作用を持ちアメリカ食品医薬品局も「体への害が大きい」と警告しています。

手や体を洗いたいなら、昔ながらの石けんで十分です。石けん素地だけを使った無添加のボディソープなら問題ないでしょう。

家の中にただようカビの存在

体の中にいる細菌だけでなく、住宅環境にも目を移しましょう。

住宅やオフィスにただようカビによって、頭痛や疲労が起きてしまうことがあるそうです。

悪性のカビが増えやすいのは壁や天井の裏で、知らぬ間にコウジカビやアオカビといった細菌がコロニーを形成し、MVOCという有害物質をまき散らし、わたしたちの体に咳や熱といった炎症反応を起こします。

カビ毒の害を示すデータは多く、アメリカの環境保護庁が2007年に行った調査では、全米におけるぜんそく患者のうち21%はカビ毒が原因だと推測されています。

カビ対策のために以下のことを心がけましょう。

  • 部屋の換気は欠かさない
  • 水回りのトラブルはすぐに直す
  • 屋根の雨どいは定期的に掃除する
  • 部屋の湿度は30~50%に保つ
  • 空気清浄機を置く
  • 室内での喫煙は厳禁

部屋の換気は、わたしたちの腸内環境を左右し、ひいては体内の炎症にもインパクトをあたえます。

現代では、人間とバクテリアが共存できる住居こそが理想の空間なのだと著者は言います。

腸内細菌をもてなす

身の回りを整えられたら、腸内環境を整えていきましょう。

手軽で効果が高いのは「発酵食品」です。

発酵食品

人類は大昔から数々の発酵食品を作り、微生物との仲を深めてきました。

たとえば、キムチ、納豆、ヨーグルトなどがあげられます。

発酵食品の効能として、ロンドン大学の研究チームが約4000人の男女を10年に渡って追いかけ、チーズやヨーグルトなどの消費量と全員の健康状態をくらべました。

それには、ふだんから発酵食品をよく食べる人ほど心疾患や糖尿病にかかりにくく、早期死亡率も低いことがわかったそうです。

さらにカリフォルニア大学の研究では、発酵食品で脳梗塞が改善したという研究結果も出されています。

毎日の食事に取り入れる発酵食品は、自分の好きなもので良いそうです。

発酵食品であれば腸内環境に良い影響をあたえるのでしっかり摂りたいものですが、注意点として特定の食品ばかりを食べてはいけません。

というのも、すべての発酵食品は、それぞれに特有の細菌を持っているからです。

ですので、同じものばかり食べていたのでは、腸内細菌の多様性が限られてしまいます。

だから、できるだけ幅広いジャンルの発酵食品を取り入れるようにしましょう。

プロバイオティクス

わたしたちの腸内では、つねに善と悪が戦いを繰り広げ、激しい勢力の奪い合いを展開しているそうです。

善が勝てば免疫システムは改善しますが、悪が勝てばリーキガットといって、腸のバリア機能が壊れ、身体に有害な物質が体内に入り込むことによってさまざまな症状を引き起こしたり、炎症が起こります。

勝敗はおもに戦士の数に左右され、兵力が多ければ多いほど勝率は高くなります。

ですので、いったん悪が勝ってしまうと腸内環境は乱れ、発酵食品をこまめに摂っても形勢逆転は望めません。

そこで、「プロバイオティックス」を使ってみましょう。

プロバイオティックスとは、ビフィズス菌や乳酸菌といった腸内細菌を使ったサプリのことで「ビオフェルミン」や「ラクトーンA」といった商品もバイオティクスの一種なのです。

日本では整腸剤として販売されることがほとんどですが、アレルギー症状の改善にも有効だとする意見があるそうです。

フロリダ大学の実験で、花粉症に悩む男女173名がプロバイオティクスを8週間飲み続けたところ、目のかゆみと鼻水の量が減ってきたそうです。

アレルギー症状は、炎症の一種なので、腸内環境が整ったおかげで自然と鼻水や目のかゆみがやわらいだということのようです。

そして、メンタルの改善効果もあるとされています。

プロバイオティクスを4週間飲んだ被験者は攻撃的な思考が減り、落ち込んでも早く立ち直れるようになったとの事例も報告されています。

数あるバイオプロティクスのなかから、良いものを選ぶ際に次のことを参考にしましょう。

  • 慢性的な下痢や便秘にはビフィズス菌が最も有効である
  • 乳酸菌、酪酸菌、糖化菌などを飲むと効果が高まる
  • 抗生物質で腸が荒れている場合は、LGG(乳酸菌の一種)とサッカロミセス・ブラウディがよい

商品選びに困ったらまずはこれらの菌から選ぶと良いそうです。

といったところが有名です。

ただし、発酵食品と同じく、プロバイオティクスにも個人差があるので注意しましょう。

腸内フローラは人によって大きく異なるため、同じものを飲んでも効果が出ないこともあります。

まずは1ヵ月ほど使ってみて改善が実感できなければ、他の商品を試すという感覚でいきましょう。

食物繊維

食物繊維は「ヒトの消化酵素で分解されない食物中の総体」とされています。

大きく分けて、水に溶ける水溶性食物繊維と、溶けない不溶性食物繊維があります。

食物繊維の多くは、単糖がたくさん結合した多糖類の仲間ですが、消化されないため、エネルギー源にはならないそうです。

どちらの食物繊維も大腸内の細菌により発酵・分解され、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌の餌になるため、善玉菌が増え、腸内環境が改善されます。

善玉菌が増えると、お通じのの改善やコレステロールの低下が期待できますし、ここ数年の研究により、それだけに留まらないポテンシャルがあることがわかりました。

2015年に中国のPLA病院が行ったメタ分析で、180万人分のデータを調査し、食物繊維の効果について信頼性の高い結論を導き出したといいます。

その結果とは、食物繊維の摂取量が多い人は、少ない人に比べて早期死亡率が23%も下がり、がんの発症率は17%ほど低下しました。

さらに炎症系の病気にいたっては、43%もリスクが下がるというのです。

しかもデータによれば、食物繊維の摂取率が1日10グラム増えるごとに早期の死亡率が11%ずつ減っていくのだそうです。

著者は、ヘタなサプリや健康食品を飲む前に食物繊維を増やしたほうが、よほど病気の予防になると言います。

食物繊維を増やすには、野菜とフルーツの摂取を増やすのが基本です。

ごぼう、寒天、海藻、キノコ類、オクラ、リンゴなどは、腸内細菌が好きな水溶性の食物繊維を豊富にふくむ優秀な食材です。

和食の食材には食物繊維を多くふくむものが多く、和風の食事を心がけていれば自然と摂取量も増えていきます。

そのうえで、バランスを取りながらサプリメントの活用を考えるとよいと著者は言います。

睡眠と運動がストレスを減らす

過剰なストレスが全身を壊していく

ストレスは人を殺します。

ある朝、冷たくなっていた夫を見た妻があわてて救急車を呼ぶも時すでに遅し。夫は大動脈破裂(だいどうみゃくはれつ)ですでに命を落としていたということがあったそうです。

解剖や精密検査でも原因はわからなかったのですが、どうもその夫は「過剰なストレス」を抱えていたことがわかったそうです。

しかもこの数年、世界中でも似た悲劇が増加中で、どの人も共通点が「ストレス」です。

WHOの推計では、心臓麻痺(しんぞうまひ)の死亡者は世界で1700万人。そのうち25%の人たちは激しいストレスによるものと考えられています。

人間の心臓は、メンタルに影響されやすく、気持ちが興奮すれば脈拍と血圧は上昇し、睡眠中やリラックス時には脈拍と血圧は下がります。

精神にストレスがかかった状態だと、心臓はバクバクと動きぱなしになり、夜になっても休むヒマがありません。

その結果、心臓や血管に過度の負担がかかり、突然死にいたるということです。

そもそもストレスを発症するメカニズムは、扁桃体(へんとうたい)から指示を受けた内分泌系が身体の各所にシグナルを送り、アドレナリン、コルチゾール、ACTHといったストレスホルモンを吐き出すことから起こります。

これらのホルモンは、どれも体を戦闘モードにするスイッチです。アドレナリンやACTHが心拍数を上げて外敵の襲来にも素早く反応できる態勢を整え、コルチゾールは過度の炎症反応で体が動かなくなってしまうのを防ぎます。

古代の社会であれば、これで良かったのです。

ライオンやヒョウに襲われたときには瞬時に全身を興奮状態に切り替え、すぐさま逃げるか戦うかのどちらかを選択できるからです。

しかし、現代では違った方向に作用します。

仕事などでストレスを抱え、パニックを起こした脳はコルチゾールを増やすように指示を出し続け、少しずつ体がストレスホルモンに慣れていきます。

本来ならコルチゾールが免疫システムのバランスを取っていたのに、もはやブレーキが完全に壊れたも同然となります。

そうすると暴走した白血球が細胞を傷めつけ、やがて心疾患、肥満、老化の促進といった症状が現れ始めます。

最初の小さなストレスがホルモンの連鎖を生み、最後には全身を壊していくのです。

これを改善するには、ストレスを溜めないメンタルを持つのと、しっかりとストレス解消するために対応する必要があります。

そのストレス解消の代表が、「食事」、「睡眠」、「運動」です。

「食事」については、腸内環境を整えるのところで取り上げましたので、「睡眠」と「運動」について少し見ていきたいと思います。

寝不足が続くとダメージを修復できない

「睡眠負債」という言葉があるそうです。

これは睡眠の量を借金にたとえた表現で、毎日の寝不足が少しずつ溜まっていくと、やがて債務超過に達してさまざまな疾患を引き起こすということです。

たとえば1日30分ずつの寝不足が続いた場合、最初のうちは借入額が少ないので、気が楽ですが、放っておくうちに返済できなくなり家計が破綻します。

つまり、体に変調を起こすということですが、心疾患やうつ病などの症状が出たときはもう手遅れになるのです。

なぜこのようになるのかというと、睡眠中に日中のストレスを回復させる働きがあるからです。

しかし、長期にわたって睡眠負債が続くと、脳と体が受けたダメージを修復する時間はなくなります。残った疲労やストレスは少しずつ体を破壊し、最終的にどうすることもできない炎症に変わるのです。

つまり、十分な睡眠時間と良質な睡眠を確保できなければ、健康的な日常を過ごすことができないどころか、健康を害し命にかかわる事態になる可能性があるのです。

そうならないために「良質な睡眠」を取れるように心がけましょう。

「良質な睡眠」とは次のようなものです。

  • 眠りに落ちるまでの時間が30分以内
  • 夜中に起きるのは1回まで
  • 夜中に起きた場合は20分以内に再びネ眠ることができる
  • 総睡眠時間の85%以上を寝床で使っている(昼寝や通勤電車内での居眠りなどの合計が15%を超えない)

この条件を満たすことができていないのであれば、睡眠負債の可能性が高くなりますので、自分に合った「良質な睡眠」を探っていく必要があります。

ウォーキングだけでストレスは激減する

最近の研究で、どんな運動でも、ある程度の負荷があれば脳には良い影響があるということがわかってきました。

運動で脳のパフォーマンスが上る最低ラインが次のとおりです。

  • 1回のセッションで45~60分ぐらいの運動をするとストレスが改善し、認知機能も向上しやすくなる
  • 「週に2回の運動」と「週に4回の運動」を比べた場合、両者に大きな効果の差はない
  • 運動のレベルは「軽く息があがるくらい」から「ヘトヘトになるくらい」までの範囲で行わないと意味がない

これを踏まえて、脳のパフォーマンスを上げるため運動プログラムが、「1回45分の少しキツい運動を週に2回」のペースで行うということになります。

でも、これはあくまでも脳のパフォーマンスを上げるための運動です。ストレス対策に目的を絞るのであれば、そこまですることはありません。

そこで、誰にでもできる「ウォーキング」が注目されています。

カールスルーエ工科大学の実験では、1回30~60分の軽いウォーキングを週2回だけ行った学生は、なんの運動もしなかったグループにくらべてストレスが減り、期末テストの成績も有意に向上したと言います。

運動がストレスに効く理由として「エクソサイズが体のストレス対策システムを鍛えてくれる」と考えられています。

人間の循環器系や筋肉は脳の神経とつながっていて、ふだんから相互にやり取りをしています。ところが、運動をしないと脳神経と体のつながりが弱まり、連携が取れなくなってしまうといいます。

ですので、運動して脳と体のつながりを取り戻す必要があるのです。

なにがなんでもウォーキングである必要はなく、ある程度の負荷があればどんな運動でもいいので、週に2~3回ずつ続けられるものを選ぶことがいいでしょう。

脳のパフォーマンスが確実に上がり、体の調子も整っていきます。

『最高の体調』の感想・まとめ

まずは「最高の体調」を手に入れるために第一歩を踏み出そう

「最高の体調」というのは、「頭はスッキリ体はイキイキ」といったまさに健康体な状態だと思います。

いま一度、自分自身の状態をチェックしてみましょう。

もし、健康体にはほど遠い状態なのなら、本当に人生半分損していると思います。

ですので、ぜひ健康体を目指して、できることから始めてみましょう。

今回この記事では、古代人と現代人の暮らしの違いからくる歪みと心と体を物理的に整える方法を取り上げました。

本書では、それだけでなく、「価値」「死」「遊び」の項目でも有益な内容が満載です。

いろんな健康書はたくさんありますが、いろんな側面から「健康」というものを認識できれば、それは必ず実感として「最高の体調」を手に入れることができると思います。

そう言った意味で、たくさんの人に読んでいただきたい一冊です。

『最高の体調』は、現在(2022年10月25日時点)amazonの本読み放題サービス「キンドルアンリミテッド」の対象になっています。

キンドルアンリミテッドは、ビジネス書からマンガまで幅広いジャンルの本が読み放題です。ぜひこの機会にご検討ください。

『最高の体調』の概要

本書の目次

『100の科学的メソッドと40の体験的スキルから編み出した 最高の体調』

はじめに

第1章 文明病
第2章 炎症と不安
第3章 腸
第4章 環境
第5章 ストレス
第6章 価値
第7章 死
第8章 遊び

エピローグ

著者の紹介

鈴木祐(すずき・ゆう)

新進気鋭のサイエンスライター。

1976年生まれ。

慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。

10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアをテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。

近年では、自身のブログ「パレオな男」で心理、健康、科学に関する最新の知見を紹介し続け、3年で月間100万PVを達成

また、ヘルスケア企業などを中心に、科学的なエビデンスの見分け方などを伝える講演なども行っている。

主な著書

YOUR TIME ユア・タイム』河出書房新社 (2022/10/18)
無(最高の状態)』クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2021/7/16)
ヒトが持つ8つの本能に刺さる 進化論マーケティング』すばる舎 (2022/8/4)
科学的な適職』クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2019/12/13)
ヤバい集中力』SBクリエイティブ (2019/9/18)
不老長寿メソッド』かんき出版 (2021/2/3)
超ストレス解消法‎ 鉄人社 (2018/5/22)
パレオダイエットの教科書』扶桑社 (2019/4/19)
まんがでわかる 最高の体調』クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2020/4/10)
服用危険 飲むと寿命が縮む薬・サプリ 鉄人社 (2018/2/5)
ヤバい集中力ノート SBクリエイティブ (2020/4/18)

コウカワシン

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この記事を書いた人

四国在住。
ミニマリスト。趣味は映画観賞と音楽鑑賞、読書、野球観戦。
映画は特に好き嫌いなくほとんどのジャンルーを観ます。音楽はジャズとクラシックが大好きです。読書は歴史書が好きでよく読みます。

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