
こんにちはコウカワシンです。
今回は、柿内尚文(かきうち・たかふみ)さんの著書『バナナの魅力を100文字で伝えてください』から学ばせていただきます。
『バナナの魅力を100文字で伝えてください』は、どんな本


『バナナの魅力を100文字で伝えてください』は、ズバリ!「伝え⽅は『仕組み』がわかると、すぐうまくなる」です。
本書は、このような本
本書の著者、柿内尚文(かきうち・たかふみ)さんは、ベストセラー『パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法』の著者でもあります。
この『パン屋ではおにぎりを売れ』では、普段から考える習慣を作る重要性を説いていて、「仕事、就活、人間関係、お金」といった日常のことにも使えるスキルです。
その柿内さんが、出されたのが『バナナの魅力を100文字で伝えてください』です。
きちんと相手に説明したつもりでも、それがちゃんと伝わっていないということがありますよね。
「伝える」というのは、あんがい難しいスキルなのです。
本書は、「会話、説明、プレゼン、SNS、雑談、企画、面接」といった日常的なシチュエーションで使える「伝わるスキル」や1000人以上の取材から導き出した「会話・雑談のストレスが減る方法」
ちょっと周りを見渡せばいそうな「すぐ否定する人」「話が通じない人」「重箱の隅をつつく人」「話が広がらない人」「話しかけにくい人」への対応策がわかる一冊となっています。
本書がおすすめな人
『バナナの魅力を100文字で伝えてください』がおすすめな人
- 伝えたいことがなかなか伝わらないと感じている人
- 伝えたいのに伝える勇気のない人
- 「どうせ伝わらない」とあきらめている人
- 「伝えるのが面倒な人」に悩まされている人
- 自分の考えや気持ちを多くの人に伝えたい人
『バナナの魅力を100文字で伝えてください』の要点は?


本書は、「伝える」ことよりも「伝わる」ことに重点を置いています。
つまり、「相手が理解できる」ということが重要なのです。



ということで、この記事ではわたしの独断と偏見で、「伝わるとはどういうことか」「伝わるの構造」「伝わる技術」について取り上げてみます。
「伝わる」人が実践していることや「伝えるのが面倒な人」への対応策は、省略させていただきます。
興味ある方は、ぜひ本書を手に取ってお読みいただきたいと思います。
人は、「伝わったこと」で判断する
『人は見た目が9割』というベストセラーの本があります。
実際には、「人を見た目で判断してはいけない」といったような考え方がありますが、人は目に入った印象から判断してしまいがちです。
なぜそのようになるかというと、心の中といった見えない部分は判断材料になりにくい=「伝わりにくい」からです。
伝わらないものは、存在していないのと同じです。
ではどうすればいいかというと、「伝えたいことをちゃんと伝える必要がある」ということなのです。
そのためにも心得たいことが、「言わなくてもわかってくれるはず」という考え方を捨てることです。
伝えたいことをちゃんと伝える方法として次にのことに気をつけてみましょう。
- 接触頻度を高める
- 繰り返し伝える
伝えたい相手にはできるだけ接触頻度を高めましょう。何度も触れることで警戒する心がどんどん薄れていき、関心や好意を持ちやすくするのです。
繰り返し伝えるというのは、「人は基本的に話をあまり覚えていない」とされていて、かなりの情報を忘れるほか、最初から聞いていないということが考えられるからです。
ただし、伝える頻度を高めることが逆効果になることもあるので注意が必要です。
伝えていく中で相手にマイナスの感情を抱かせると、頻度が高まるにつれ今度はネガティブな感情を強めてしまい可能性があります。
これを避けるには「伝える=質」が大切になります。
たとえば、自慢話を繰り返すとほとんどの人がいやな感情を抱くでしょうし、学校の授業でつまらないとその教科が嫌いになることはなかったでしょうか。
それは「伝える=質」が低いからです。
伝えたい、わかってもらいたいのであれば、頻度を高めるとともに、伝え方を工夫し、質を上げることが必須なのです。
「伝わる」の構造とは?
「伝える=質」を高めるには、「伝わる構造」を知る必要があります。
著者が考える伝わる構造とは、「7階建てのビル」のような構造だと言います。


1階 ゴール設定
まず、「伝わる」にはゴール設定が必要です。
「何のために」ということです。
それが雑談であってもゴール設定は必要です。
たとえば、そのゴールが相手との緊張感を溶かしたり、仲良くなるためでもです。
2階 納得感(理解する、腑に落ちる)
ゴールを達成するために相手の納得感を得ることは、とても大事なことです。
たとえば、
「あなたの言ってることはよくわからない」
では、相手の納得感を得られているとは言えません。
ですが、
「あなたの言っていることはわかるけど、、、そうは言ってもなかなか難しいよ・・・」
なら、納得感までは得られた状態と言えます。
ということで、相手の納得感がないと、伝わったことにはならないのです。
3階 相手ベース
「伝えること(言うこと)」=「伝わること」ではありません。
たとえばこういうことはないですか?
上司と部下の会話



「ちゃんとこの件は相手に伝わったのか?」



「言いましたよ。だけど、、、わからないって言われたんです」



「それじゃあ、伝わったことにはならないじゃないか」



「でも言いました!」
このような、「言いました」=「伝わった」という誤解はよくありますよね。
しかし、相手が理解し、腑に落ちていなければ、それは伝わったことにはなりません。ただ伝えただけなのです。
このような誤解の原因は、部下の「自分ベース」な考え方によるものです。
つまり、相手が不在なのです。
「伝える=自分が言う」と考え、「相手ベース」ではないわけです。
ですので、きちんと相手に伝わることに意識を向けましょう。
伝わる=相手が理解する、腑に落ちる、納得する
相手ベースで考えている人は、伝わらなかった場合、表現を変えたり他の方法で試したりと、伝わるための動きを取ります。
「相手ベース」で考えるは、最重要課題といえます。
4階 見える化
「伝わる」とは「納得感を得ること」です。
納得感を得るためには、相手の頭に中に「見える化」させることが大切です。
ひと口に「見える化」と言いますが、相手の頭の中でイメージしやすいように想像させてあげることなのです。
たとえば、「ヤマトイモ」と書かれたイモが売られていたとしても、そのイモが「どのようなイモなのか?」「どんな味がするのか?」を知らなかったら、とても買う気になれませんよね。
でも、こう説明されたらどうでしょうか。
「ヤマトイモは、山芋の一種で、このヤマトイモは粘りがすごくて、まるで自然薯(じねんじょ)みたいなんです。すりおろして海苔で巻くと美味しいですよ」
このような説明を受けると、ヤマトイモのイメージを頭の中で描けるのではないでしょうか。
しかも自分たちがヤマトイモを美味しく食べているシーンさえも思い浮かべることができるかもしれません。
この説明の中には、伝わる構造と技術が隠されていると著者は言います。
- 相手はヤマトイモのことをよく知らないようだ
- 相手が知っていそうなものにたとえて説明すればわかるのではないか(自然薯にたとえる)→伝わる技術
- 食べ方を紹介して「食べてみたい」というイメージを作ってもらう(「海苔で巻いたら美味しい」とイメージしやすいものを紹介)→見える化
これにより、相手の頭に中でイメージさせることができたのです。
話がわかりやすいと言われている人は、実は「見える化の達人」です。
それは、「うまい落語は景色が見える」といったことと同じでイメージを頭の中で描かせることができる達人なのです。
5階 聞く力
セールスでの売り上げの高い人は「聞く力」が高いという特徴があります。
どういうことかというと、「相手の話をよく聞いて、相手にとって自分たちの商品のどこに必要性があるかを見つけ出す」ということなのです。
そもそも営業の仕事とは『自分たちの商品を売る』のではなく、『相手にとって必要な商品を紹介する』ことであり、無理矢理、商品を売り込むことはしないのだそうです。
これを聞いて、ハッと、『僕は明日もお客さまに会いに行く。』という本に書かれていた、「商品を売るのではなく、客の抱える問題解決が大事」を思い出しました。


必要性があるならそれをお客様に伝え、もし見つけられなければ、正直にそのことを伝えるのです。
それから、関心を持って聞くことも有効です。
たとえば、店員さんに「そのかばん、今日着ている洋服とすごく似合っていますね。どこのですか?」と聞かれたなら、なんだかうれしくならないでしょうか。
人は、自分に関心を持ってくれる人を好きになりますから、その店員さんから買いたくなりますよね。
これは「返報性の原理」と「親近感」が生まれたからだと著者は言います。
「返報性の原理」とは、恩を受けたら返したくなるという「お返しの法則」です。
恩を受けるだけだとなんだか気持ち悪い、だから恩を返したくなるというわけです。
ですので、ぜひ「聞く力」も高めていきたいものです。
6階 親近感
先ほどの「聞く力」にも出てきた「親近感」はすごく重要です。
人は親近感のある人の話をしっかり聞くからです。
たとえ正しいことを言っていたとしても嫌いな人の話は素直に入ってきません。
その話のどこかにほころびを見つけてそこを突きたくなるし、言われた内容を認めたくない感情も働きます。
一方で、「親近感」があると、体も脳も「相手を受け入れるモード」となり、少しくらい変だと思っても、思わず「YES!」と言ってしまうかもしれません。
「親近感」にはわかせ方があると著者は言います。
親近感をわかすコツ
- 共通点を見つける
- 相手に興味を示す
- 自分のダメをさらけ出す
- 笑顔
つまり、ここにも「聞く力」が大きな意味を持っているのです。
伝え方というと「どう話すか」「どう伝えるか」という部分に意識がいきがちですが、この聞く力や親近感も戦略的に見て「伝わる」の大切な要素ということです。
人が「楽しい」と思うときは、自分がしゃべって、相手がよく聞いてくれたときです。
相手が興味をもって話を聞いてくれたなら、自然と距離は縮まり、親近感が生まれ、自分も相手の話を聞いてみようと思うようになっていくのです。
7階 信頼感
商品を選ぶときに何を基準にするかというと、その中の一つに「信頼感」があるのではないでしょうか。
ブランド志向とも言われそうですが、そのブランドがこれまでに培ってきた「品質・実績・価値」といった部分がその商品に安心感を生むということでしょうね。
これは人間にも言えることです。
たとえば、著名な成功者が、「これまでにたくさんの失敗をしてきましたが、それらが私の糧になり成功を引き寄せました」と言うと、その言葉に心がときめき勇気が湧いてくるでしょう。
一方で、いつも失敗している人が「いま自分がしているたくさんの失敗は、将来、成功を引き寄せてくれるはずです」なんて言っても何も心に響きません。
内容としてはほとんど同じなのに、心に響かないのは、この二人に対する「信頼感」の違いからです。
著者が考える「信頼感の構造」は、次の通りです。
【自分側】①「誠実さ・素直さ」②「スキル・能力」③「結果・成果」④「接触頻度」⑤「モラル」
【相手側】⑥「関心」⑦「意義・価値・動機」
この7つの要素が信頼感を作るものだとされています。
すべての要素がないといけないわけではなく、抜けているものがあってもこの7つのどれかの一つひとつの要素を自分で意識し、どれかの要素を強めながら行動していけば、信頼感が生まれるのです。
あとは相手との関係性なのですが、「この人の言うことなら信頼できる」となれば、伝わる可能性はそれだけ大きくなっていくでしょう。
伝える技術ではなく「伝わる技術」
著者が伝わる技術として、16の伝え方を紹介しています。
それが以下のものです。
- 比較の法則(比較しないと人は魅力がなかなか伝わらない)
- フリオチの法則(話がつまらない人は「フリ」不足)
- ファクトとメンタルの法則(吉野家の「うまい、やすい、はやい」はファクトとメンタル)
- 脳内チューニングの法則(わかりあいたい相手とは「脳内チューニング」する)
- 言いかえの法則(「言いかえ」でマイナスをプラスに変える)
- たとえの法則(「たとえる」は伝わる技術のホームラン王)
- ネーミングの法則(「名前をつける」とスペシャルなものに)
- 間の法則(「間」をとり、考える時間を作る)
- 数字の法則(「数字」は頭の中をくっきりハッキリさせてくれる
- 読点の法則(「、」(読点)は伝わる強度を上げる
- 外部力の法則(自分の言葉に自信がないときは「外部力」を借りる)
- 相手メリットの法則(「相手メリット」でイエスを引き出す)
- 3つのグッドの法則(「3つのグッド」を入れると、興味・関心が高まる)
- 文脈の法則(「伝わる文脈」を作る)
- 結論の伝え方(結論ファーストと結論ラストの使い分け)
- 本能の言語化(みんなの中にある「本能」を言葉にする)
どれも重要な伝え方です。
その中から4つほど取り上げてみたいと思います。
比較しないと人は魅力がなかなかわからない(比較の法則)
わたしは、香川県に住んでいるので日頃からうどんをよく食べます。
香川県内ではたくさんのうどん屋さんがあり、お店によってうどんの特徴が違って面白いと感じています。
うどんののどごし感、麺の太さ、だしの味など、それぞれのお店を食べ比べることで味の違いがよくわかります。
それぞれのお店の魅力は食べ比べという「比較」をすることで際立ったともいえるのです。
魅力や価値は比較することで明確になります。「比較」することで違いが見える化し、魅力が浮き彫りになるのです。
そして商品を選ぶ際にも言えることは「人は常に比較をしている」ということです。
アマゾンでも売れ筋ランキングで商品を選んだり、スーパーなどで「売れてます!」とPOPが付いた商品に手が伸びた経験はないでしょうか。
それは「比較の効果」なのです。
そして、日常でも無意識に、
「昨日作ったカレーが今日おいしくなっている」
「前回の企画よりよくできている」
「対前年比120%アップだ」
といったようにも使われているのです。
それから、「ダメなところは正直に伝える」というのも重要です。
使い方として、比較のひとつに「ダメな部分を伝えることで、良い部分を引き立たせる」という伝え方があるのです。
たとえば、料理店で深海魚などの見た目が悪い魚をすすめる大将が「見た目はいまいちだけど、味は抜群だ」と言ったら食べてみたくなりますよね。
ただ「おいしいよ」と言われるよりも、ダメなところを教えてもらうことで、より味の良さが引き立つということなのです。
この「比較」の方法は、編集の技法としてたくさんの人が活用していますし、簡単にできて使いやすい方法なので意識してみる価値があるということです。
「数字」は頭の中をくっきりハッキリさせてくれる(数字の法則)
伝えたい事柄に数字を加えるとすごく伝わりやすくなります。
たとえば、
- あなたは多くの人の中から選ばれました。
- あなたは1000人の中から選ばれました。
- この牛肉は、とても希少な牛肉です。
- この牛肉は、年間100頭分しか出回らない牛肉です。
- この話のポイントはいくつかあります。
- この話のポイントは3つあります。
1と2の文章を比較すると、数字を使って説明している2のほうが伝わり方がハンパないですよね。
数字を使うメリットは、
- 解像度が上がる
- ポイントがわかる
- スペシャル感が出る
ので、有効だと著者は言います。
効果的に数字を使うコツは、伝える相手が想像しやすい数字を使うことです。
たとえば、「畑の広さは10haです」と言われてもピンときませんよね。
ですが、「畑の広さは東京ドーム約2個分です」と聞かされたら想像しやすいですよね。
さらにこんなのはどうでしょうか。
- 「今日1日を、一生懸命に生きる」
- 「今日24時間を、一生懸命生きる」
- 「今日1440分を、一生懸命生きる」
どれも同じ時間を表していますが、印象が違ってくるのがわかりますよね。
1日なら「今日という日」にスポットが当たりますし、24時間は「1時間単位を大切にする」という印象が強くなります。
1440分では、いったい何のことなのかイメージすらつかめないでしょうね。
ということで、伝えたい相手がイメージしやすい数字を使うことで相手に伝わる度合いが高まるということです。
「相手メリット」でイエスを引き出す(相手メリットの法則)
誰でも自分にメリットがあると思えば、話を聞いてみたくなりますよね。
「伝わる構造」のところで取り上げた「相手ベース」の考えを技術・法則に落とし込んだものが「相手メリット」です。
相手のことを考えるだけでなく、もう一歩踏み込んで、相手が「得した!」「よかった!」「うれしい!」と思えるように伝えていくことが「相手メリット」なのです。
著者の体験談をお話しします。
あるレストランで、注文した料理がなかなか出てこないことがあったそうです。
そのとき、ホールスタッフの人が著者にこう言いました。
「すみません。いま美味しい料理を一生懸命作っておりますので、もう少しお待ちください」
著者はなんだかうれしくなったそうです。
というのも、料理への期待感が増したからです。
これがもし、「いま混んでいるので、すみませんもう少しお待ちください」と言われたのなら、うれしい気持ちにもならないし、どうしてこんな店に入ってしまったのかと残念な気持ちになったことでしょうね。
マイナスの状況でも「相手メリット」で伝えることで、マイナスをプラスに変えることができます。
それは、「相手への興味、関心」「相手のことを本気で考えること」を第一に置くことです。
そしてこれは「相手メリット」で断ることにも応用できます。
こういうケースで見てみましょう。



「この仕事、急ぎなんだけどやってもらえる?」



「いま忙しいのでできません」
このようにストレートで伝えてしまうと、上司はイラッとするかもしれません。
ですが、こちらはどうでしょう。



「この仕事、急ぎなんだけどやってもらえる?」



「いま進めているAプロジェクトの成果を出すために、いまはそこに注力しています。ですので、いますぐは難しいのですが、それが終われば大丈夫です」
このAプロジェクトは上司も関心があり成功させたい仕事です。
このように伝えられると、上司は部下にいますぐ頼むのは難しいということに気がつくのではないでしょうか。
ですので、断りたい旨をそのまま伝えるのではなく、相手メリットに変換して伝えるのです。
「伝わる文脈を作る(文脈の法則)
本当の自分が言いたいことを相手に伝えるのはなかなか難しいと感じることがあります。
たとえば、「おまえ、バカじゃないの」といきなり言われたら誰だっていい気はしません。
ですが、これだといかがでしょうか?
「徹夜でギターの練習してたなんて、おまえバカじゃないの」
この場合の「おまえ、バカじゃないの」は本当にバカにした意味ではなく、相手に対して「すごい!」という意味で言ったものなのです。
一方で、
「何度同じことを言ったらわかるんだ。おまえ、バカじゃないの」
と、こんな感じで言われたら、相手を相当きつく非難する言葉となりますね。
同じ言葉なのに、伝えたい意味はまったく逆。これが言葉の難しいところだと著者は言います。
違うのは文脈です。「文脈作り」が大切であるということなのです。
伝わる文脈を作るうえで3つのポイントがあります。
- 目的、ゴール
- 前文脈
- 後文脈
たとえば、親が子どもに注意をするとき、文脈がうまく伝わらなければ、子どもにしてみたらきつく聞こえ、怒られていると感じるかもしれません。
例をあげてみると、
「横断歩道はちゃんと左右を見て、車が来ないことをしっかり確認してからじゃないと渡ったらダメよ。ほかの人が渡っていても安全なわけじゃないんだから」
こんなふうに言われると、渡り方について怒られているように感じる子どもがいるかもしれません。
そこで、文脈をしっかり伝えるのです。
「①車にひかれるのはいやだよね?
②最近、この道路で事故があって人が車にひかれたのよ。横断歩道を渡っているのに車の運転手さんが気がつかないこともあるから、渡るときはしっかり左右を確認して、車がいないことを確認してから渡ってね。ほかの人が渡っているから安全とは限らないの。
③もしあなたが車にひかれたら、ママは悲しくてたまらないから、約束ね」
これだと、怒っているのではなく、お母さんが心配していることが伝わりますよね。
①の部分が「目的、ゴール」です。
親のゴールは、子どもが事故にあわないように注意して横断歩道を渡れるようになることです。
子どもにそれを実感してわかってもらうために伝えることでもあります。
②の部分が前文脈、③の部分が後文脈となり、こうすることで子どもはお母さんの思いもわかりつつ、注意もされたと取るわけです。
それから相手への伝え方という意味で文脈は言葉だけではないと著者は言います。
不機嫌な顔をしたら、不機嫌なトーンに伝わり、やさしく話せば、やさしいトーンが伝わります。どんな表情で伝えるか、どんな声で伝えるかといったことも文脈のひとつということです。



「人は伝わったことで判断する」「7階建ての伝わる構造」「伝わるための16の技術」。
どれも認識すべきことばかりですね。
16の技術は、意識して行動に移すことが重要です。そうすることで相手への伝わり度が段違いに向上すると思います。
著者は、「伝え方」の極意として、伝えたい相手のために性格を切り離して別人格になったつもりで伝えると言います。
場合によっては、自分の性格とは相いれないこともあるということですが、それには目的としての「伝わる」ということを意識することで克服できるのではないでしょうか。
ということで、
「伝え方」で重要なのは、「伝わる構造」を意識し、「伝わる技術」を有効に使い、「自分の性格を切り離して伝える」
ということが伝えたい相手に対しての誠意であり真心だということです。
『バナナの魅力を100文字で伝えてください』の感想・まとめ


「伝わる」とは、伝えたいことが相手にちゃんと伝わっている状態。
ごく当たり前のことだと思いますが、これがなかなかに難しいことです。
言葉が少なくてもいけませんし、過ぎてもいけません。
たしかに伝えるのが面倒な人もいるし、自分自身の性格・人格を切り離して伝えるのにも限界があると思います。
それなら、本書に立ち返り、もう一度読み返せば、また何かヒントが見つかるかもしれません。
どれが正解になるかは、わかりませんが、本書に書かれていることは、その一助になると思います。
著者も「この本の使い方」として、「一度読んだだけで終わりにせず、ぜひ何度も読み返してください」と書いています。
そしてインプットで終わることなく、自分のケースにあてはめて、どんどん活用してアウトプットして欲しいとも言います。
つまり、実践型の一冊です。
ぜひ手に取ってご一読ください。
『バナナの魅力を100文字で伝えてください』は、現在(2022年10月17日時点)amazonの本読み放題サービス「キンドルアンリミテッド」の対象になっています。
キンドルアンリミテッドは、ビジネス書からマンガまで幅広いジャンルの本が読み放題です。ぜひこの機会にご検討ください。
『バナナの魅力を100文字で伝えてください』の概要


本書の目次
『バナナの魅力を100文字で伝えてください』
はじめに
「伝わる技術」を身につけると起こる(であろう)いいこと一覧
この本の使い方
第1章 人は、正しいかどうかではなく「伝わったこと」で判断する
第2章 「伝わる」は7階建て構造
第3章 伝える技術 伝わる技術
第4章 「伝わる」人が実践している4つの行動
第5章 「伝えるのが面倒な人」への対応策
おわりに
著者の紹介
柿内尚文(かきうち・たかふみ)
編集者、コンテンツマーケター。
1968年生まれ。東京都出身。
聖光学院高等学校、慶應義塾大学文学部卒業。
読売広告社を経て出版業界に転職。ぶんか社、アスキーを経て現在、株式会社アスコム取締役。
長年、雑誌と書籍の編集に携わり、これまで企画した本やムックの累計発行部数は1000万部以上、10万部を超えるベストセラーは50冊以上に及ぶ。
現在は本の編集だけでなく、編集という手法を活用した企業のマーケティングや事業構築、商品開発のサポート、セミナーや講演など多岐にわたり活動。
初の著書『パン屋ではおにぎりを売れ』(小社)はベストセラーに。
趣味はサッカー観戦と歩くこと。サッカー観戦は毎年30試合以上をスタジアム観戦するほど。
主な著書
『パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法』かんき出版 (2020/6/24)


コメント