
こんにちはコウカワシンです。
今回は、勝間和代(かつま・かずよ)さんの著書『勝間式生き方の知見』から学ばせていただきます。
『勝間式生き方の知見』は、どんな本?


『勝間式生き方の知見』はズバリ!「勝間流人生最適化テキスト」です。
本書は、このような本
本書の著者勝間和代さんは、今でこそバイタリティあふれるキャリアウーマンの憧れ的な位置に立つ女性ですが、実はもともとがそうではないと告白されています。
四人きょうだいの末っ子で、小さい頃はいやなことや困ったことがあるとすぐに泣き、姉や兄に助けてもらおうとする性格だったそうです。
二十代前半までは、思い通りにいかないことが起こると現状を否定して、イライラしたり凹んだりしていたといいます。
そのせいか、はじめて就職した企業で超不適反応を起こして部屋に閉じこもりひたすら泣いていたといいます。
出産を理由に正社員からパートに左遷されたこともあれば、骨を埋めるつもりで入社した会社が合併や倒産するという不運も経験し、プライベートでは2回も離婚なさっています。
まるでハチャメチャで、今の勝間さんの姿とは真逆だと思いませんか。
でも50代になって実感するのは、「年を取ればとるほど幸せになれる」とおっしゃるのです。
勝間さんは言います。
「この本は、私が五十二年の人生でトライアンドエラーを繰り返して得た知見をまとめたものです。自分の可能性を開いて、今とこれからを生き抜くヒントとして役立てていただけたら、とても嬉しく思います」と。
つまり、年を重ねるほど、自由で幸せになれ、 時代の変化を楽しむ最適解が満載の本ということです。
本書がおすすめな人
『勝間式生き方の知見』がおすすめな人
- 自己肯定感を高めたい人
- 先行き見えない将来に不安を感じる人
- これまでの自分を変えたい人
- 健康になりたい人
- 老後が不安な人
『勝間式生き方の知見』の要点は?


「自慢ではありませんが、私はトライアンドエラーの多さではそう簡単に負けない自信があります」と勝間さんは言います。
それでも勝間さんは、
「そんな私が五十代になって実感するのは、年を取れば取るほど幸せになれる!」
と言います。
四十代のころは、五十代になるのがすごく嫌だったということですが、実際になってみると、とてつもなく楽しい、想像していたデメリットはほぼなくて、メリットばかりだというのです。
それには、これまでのトライアンドエラーで得た知見が失敗しないコツになり、若いときに見えなかった真実が見通せることができるようになったことが大きいといえます。
そして、知見が増えることで不幸なことがあっても、どうにかできる見込みがあればチャレンジングな機会として捉えることができるというのもポジティブに人生を楽しめる余裕があってこそだと感じます。



その余裕の源は何なのでしょうか?
本書では、「お金と幸せを同時に手に入れる55の方法」としてまとめられています。
その中から、わたしの独断と偏見で10ほど取り上げてみました。
今回取り上げた10以外にも参考になることが満載の本です。
ぜひ手に取って読んでみてください。
不運を幸運に、幸運を実力に変える
誰でも、不幸な目に遭うと気持ちが沈み、なかなかポジティブさなんて出てこないものです。
勝間さんも、二十代のころは左遷されたり、解雇されそうになったり、転職で入った会社が合併や倒産といったことが起こりました。
三十代のころは、メニエール病を発症し、独立し立ち上げた投資顧問会社の資金繰り悪化から、会社の運営が頓挫しそうな事態になったり、研究者になろうと入った大学院博士課程では指導教授の急逝でそれが叶わなかったなどかなりな不幸に見舞われました。
でも、こう考えるようにされたそうです。
早めに出産したり、日本企業で左遷され外資系に身を転じ、勤め先の経営が不安定にだったことは、
- ワークライフバランスの重要性にいち早く目覚めた
- 効率的な働き方にいち早く目覚めた
- 三十代での独立が実現できた
- 『お金は銀行に預けるな』『効率が10倍アップする新・知的生産術』などの大ヒット著作を世に出すことができた
といったことにつながった。
これをまとめるとこうなります。
これらすべてを待遇や環境、タイミングの悪さを嘆くだけで行動を起こさなかったら、
「何も変わらないどころか、自分自身がもっともっと生きづらくなっていたに違いない」
なぜこのような考え方ができたかですが、勝間さんはこう付け加えます。
いいときは何もしなくてもいい状況が続くので、人は頭を使いません。
頭を使うのは悪いときで、条件的に制約がかかるからこそ、これだったらできる、という解を考えるのです。
そして最適解を絞り込み、実行に移すものを決断して、試行錯誤しながらなんとか成果につなげます。
「どんな人とも仲良くしなきゃいけない」は嘘
人間は社会的動物です。
だから、❝どんな人とも仲良くしなければいけない❞という教育を受けてきました。
でも勝間さんは、「それは真っ赤な嘘だ」と言います。
たとえば周りにこのような人はいませんか?
- 怒りっぽい
- 自制心が弱くて衝動的
- 共感性が低くて人の気持ちがわからない
- 自己愛が強くてナルシスト
- よく嘘をつく
- 思い込みが強くて客観的な事実を否定する
- どうでもいい自慢話をよくする
- 知らない人の悪口を言う
- 虚栄や見栄を張る
- 人を見下してマウンティングする
など、まだ他にもありますが、明らかに人を困らせる人のことです。
このような人とつき合っていると、心理的安定性を奪われて、自分がどんどん疲弊します。
というのも、このような困った人というのは自分以外の人や物への依存が高く、思い通りにならないことがあると、周囲の人を巻き込んでその不安を消化しようとするからです。
まだ言わせていただくと、プライドが高い状態に保てないから、無意識のうちに問題行動を繰り返す人なのです。
まあ、ふつうの状態のときなら、なんとか対処できるということもあるでしょうけど、自分自身に余裕がないときには、けっこうきついと思います。
ここで大事なのは、
「わたしたちの大切な心と体と時間は、わたしたち自身と大切にしたい人のために使うものという認識を持ち、困った人に使ってはいけない」
ということです。
よく、人から騙されたり利用されたりする人、転職してもまたブラック企業だったりする人、しょっちゅうトラブルに巻き込まれる人がいますよね。
「自分はツイていない」と思うでしょうけど、これはツキの問題ではなく、このような困った人に対する警戒心があまりに弱くて無防備で、自らトラブルに飛び込んでいるといえるそうです。
ちょっときつい言い方に見えますけど、気にしてみたほうがいいですね。
では、どのようにして「困った人」を見抜けばいいかですが、勝間さんはこう言います。
「その人の肩書きや経歴、人柄などをすべて取っ払ったうえで、最初に挙げたような問題行動がどのくらい起きているかを観察すること」
会社の同僚や上司、近所の人をはじめ、仲のいい友人も家族も、観察対象にします。
近しい人を観察するとき、その人が「仲がいい人」が固定していなくてどんどん変わっていたり、仲のいい人たちと同等ではなく、どちらかが部下のような支配階級にある人ばかりではないかをチェックしましょう。
SNSや友人の紹介で知り合った人とは、インターネット検索やSNS、あるいは共通の友人の評判などを聞いて、その人が困った人ではないと見極めた上で、会ったり、仕事のオファーを受けた方がいいとされています。
そして頭の中にスコアリングシステムのようなものをつくって、相手が問題行動を起こすたびにカウントするのです。
それが一定以上溜まったら、その人とは距離を取って付き合わない、という判断をしましょう。
困った人から離れるとき、相手を見捨てるような罪の意識を感じるかもしれませんが、わたしたちはどうあがいても他人を変えることはできません。
ですので、結論はこうです。
困った人のために我慢し続けて、自分を傷つけることはやめましょう。
他者への貢献が運とチャンスを引き寄せる
「成功者の多くはギバー(与える人)である」というのは、もう多くの人が認識していることです。
人間関係でもっとも大事にしなければいけない価値観は「利他心」だと勝間さんも言います。
それは大それたことをする必要はなく、ごく小さな貢献でいいのです。
たとえば、
- 人に道を聞かれたら親切に教える
- ゴミが落ちていたら拾って捨てる
- スーパーで、散らばったカートを元にもどす
- ファストフードなどで片づけていないトレーがあったらついでに片づける
- 人探しをしてる人に聞かれたら、できるかぎり協力する
など、こうしたことを進んですると、他者貢献している自分を自覚できるので、とても気分が良くなります。
そしてそれだけでなく、不思議と運がよくなって、いろんなちゃんすが寄ってくるようにもなるといいます。
なぜなら、利他的な行動が身につくと、まず自分以外の人の満足も考えられるようになり、仕事や何かの活動をするときには、自分個人の成果や満足だけでなく、会社やグループ全体の利益や成果のために考えるようになります。
そういった行動ができる人は自ずと信用度が上がり、実際の結果に結び付けば実績になるため、さらにいろんなチャンスが舞い込むようになるのです。
そして、小さな貢献を繰り返していると、周りにいる人が、自分がやろうとすることにもサポートを惜しまない人たちばかりになるのです。
では、「小さな親切だけど、どのくらいやればいいの?」と思ったりしますよね。
たしかに誰かに親切にすると、その相手から親切を返してもらうというギブ&テイクを期待しがちですが、それが返ってこない場合、相手に対する印象が悪くなったり、勝手に損した気分になったりします。
でもそうではなくて、「ギブした相手から直接テイクされなくてもいい、回り回って、いつかほかの誰かからテイクが返ってくる」と考えて、自分が親切にできるときは、余裕がある限りなんでもやるようにするわけです。
すると、親切にするのが当たり前になるので、いちいちギブした相手を覚えておかなくなり、テイクを相手に期待することも忘れます。
たまにしか親切にしないから、親切に大きな労力を使い、相手に対し親切にしたことをいつまでも覚えていますが、しょっちゅうしていれば、親切にしたこと自体忘れます。
その結果、見返り(テイク)がなくても不満に感じることもないので、人間関係の窮屈さからも解放されて楽になれるのです。
勝間さんは、実際にこれを自分の中でルールにしてから人間関係が楽になったそうです。
この親切の連鎖を、
「ギブの五乗」、すなわち「ギブ&ギブ&ギブ&ギブ&ギブ」
と呼んでいるそうです。
ただし、無理をしてまで人に親切にしてはいけません。
あくまでも、自分の負担にならない範囲で行うことが肝心です。そうしなければ、親切は連鎖しませんし、自分自身が疲弊してしまいます。
その点だけを注意して、できる限りの親切に留めることを勧めています。
感情はコントロールではなくマネジメントする
先ほどの「親切の見返りに期待してはいけない」というのは、相手に対する執着に感情の変化が災いして起こります。
感情というものは厄介で、何かと悩みの種を作る原因となるのです。
わたしたちは日々の生活の中で、いつも感情に振り回されていますが、特に、怒りや悲しみ、妬みといったネガティブな感情をより強く感じやすい傾向があります。
ですので、どうしたらネガティブな感情を表に出さずにうまく振る舞うことができるか、ということに心をいため悩ますのです。
そもそも怒りは、❝悪い感情❞として扱われがちですが、反発や反撃などの行動を起こさなければ、状況が悪化することを知らせるというシグナルですので、なくなってはいけない感情なのです。
悲しいとか怖いといったネガティブな感情からも生きている実感を得ているのは事実です。
わたしたちは感情を100%把握して理解することはできません。
感情は次々に湧き上がるもので、すべてを把握できないし、理解するための言語化もままならないのです。
ですので、それらを無理やりコントロールしようとするのが間違いなのだということになります。
そこで勝間さんが提唱するのが、
感情はコントロールするものではなく、マネジメントするもの
ということです。
感情のマネジメントで、キーワードになるのが、「エモーショナル・アジョリティ」(感情の敏捷性)です。
湧き上がってくる感情をもう一人の自分の目で客観的に捉えて、主観とうまく調整しながら変化させ、物事に対応していくことを意味します。


エモーショナル・アジョリティを高めるために必要なことは、次の四ステップです。
- 向き合う
- 距離を置く
- 理由を考えながら歩む
- 前進する
まず自分が感じているそのときの気持ちを正直に把握して「向き合う」ことです。
感情に良いも悪いもありません。
無理にコントロール仕様とするあまり、自分の本心がわからなくなり、感情をうまく表せなかったり、心や体のバランスを崩すのです。
なぜそういうことが起きるかというと、自分が感じている感情と表に出した感情があまりに違うとストレスを感じるからです。
「今、自分はどのようなことを感じていて、それはどこからもたらされているのだろう」などと常に自問自答することが大事なのです。
感情と向き合った上で「距離を置く」とは、自分がなぜそのような感情を持ったのか、ということについて、自分の言葉で自分に説明してあげることです。
そして「理由を考えながら歩む」とは、自分が本当にしたいことは何か、ということを基軸にして考えるということです。
なぜなら、どうしてもわたしたちは自分の感情を把握する前に、周囲の集団の感情や世間の常識といったものに流されるからです。
そうならないために、「自分がしたいことは本当にこれか、本当は何がしたいのか」、ということを基軸にして考えるのです。
そうすると、周囲に流されにくくなり、自分の感情を把握しやすくなります。
「前進する」とは、自分が望ましい感情を抱くためにどのような工夫ができるか、あるいは、どんな環境なら好ましい感情を抱きやすいか、を考えて整えることです。
わたしたちは自分の感情をコントロールできないし、感情は思っているよりも環境に左右されます。
ですのでたとえば、
- ダイエットを成功させたいと思うなら「お菓子を家に置かない」
- フラれた相手のことを忘れて新しい恋をしたいなら「その人の写真やもらったものを捨てる」
というふうに目の前から❝誘惑❞を取り除いて望ましい環境を整えるのです。
そうすることで、
自分が発揮したい感情を自然に誘発できるようになる
のです。
「起きていることはすべて正しい」と考える
勝間さんの著書で、『起きていることはすべて正しい』があります。
この「起きていることはすべて正しい」というのは、勝間さんの座右の銘だそうです。
わたしたちは、起きるはずがないと思っていた不都合なことが起きると、反射的にこんなはずじゃない、これは間違いだとか理由をつけ否定します。
そして、本当はこうなるはずだったんだ、起きてほしかったことに意識を向けて、現実の認知を歪ませます。
でも、そうしたところで現実が変わることはありませんし、起きていることは起きている時点で現実になっているので、真正面から受け止めるしか選択肢はないのです。
つらくても目を背けないで、いったい何が起こったのか、把握に努めましょう。
すると、学びや気づきといったメッセージが見えてきて、不運を幸運に変えるチャンスをつかめるのです。
だから、
起きていることはすべて正しいと自覚して、次の行動を考えることが大切
なのです。
たとえどんなに状況が苦しくても、今起きていることが将来の礎になって、成長の素になる可能性はゼロではありません。
ですので、それを見つけて、前に進むバネにするのです。
それは、勝間さんのこれまでの人生に起因しているからだといえます。
もともとが自分の思い通りにならないことが起きると否定するし、イライラする性格で、それでも通ってきた学生時代でしたが、社会に出るとそうもいきません。
そのままの性格で大人になったツケがきたのか、はじめての職場では超不適応を起こし、第一子出産時には自分の部屋に引きこもるという生活をされていたそうです。
そんな勝間さんでしたが、「起きていることはすべて正しい」と、現実を正面から受け止められるようになったのは、問題解決能力をはじめ、コミュニケーションの知見やコントロ-ル思考の知見、仕事の知見などにまとめたことを学んで実践したからです。
それは、本書に書かれていることの大半だと言っていいでしょう。
わたしたちは残念な現実を前にすると、「こんなはずではなかった」と自分に都合のいいほうに話を歪めがちです。
ですがこう考えましょう。
困ったことが起きても、これは起こるべくして起こったことだ。
それをできるだけ楽観的に解釈して、将来的にはきっといいことにつながるのだ。
このように切り替えたほうがきっと行動に移しやすいはずです。
人生プランを人生百年時代用に最適化する
2019年3月に内閣府が発表した「生活状況に関する調査」で、40~64歳の中高年の引きこもり人口が推計で61万3000人いることがわかりました。
15~39歳の引きこもり人口は推計54万1000人ということなので、若い世代より中高年の引きこもりが上回るのです。
男女比率では、男性が76.6%と圧倒的に多く、引きこもるきっかけで最も多かったのが「退職」で36.2%だということです。
定年を迎えて会社というステージから降りたとき、仕事以外の付き合いが気薄であったという現実に直面し、ほかのコミュニティに属することなく、自宅に引きこもるというイメージが容易に想像できますよね。
それではたとえ、老後の資金が潤沢でも、人とのつながりがなければ孤独にさいなまれて、幸せではないというのが現実ではないでしょうか。
そこで、この課題に対して、「定年という概念を捨て、働くことを中心に社会へ参画し続ける」ことを勝間さんは提唱します。
なんといっても、現代は「人生百年時代」です。
ですので、
人生百年時代用に最適化し直す=定年という概念を捨てる
ことを勧めているのです。
とはいっても、現役時代と同じように働く必要はありません。
「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータによると、厚生年金の平均年金月額は14万3761円で、国民年金の平均年金月額は5万5708円です。
これらの額が、現役時代の収入の3分の1~半分に当たるなら、60代以降の収入(資産運用なども含む)は現役時代の3分の2~半分あれば、退職金を切り崩さなくても生活できる計算になるといいます。
それから、朗報ともいえるのが、日本の人口が減少していて、労働力不足がかなり速いペースで進んでいることです。
そのため、一度家庭に入った主婦や引退したシニアの求人が増えているのです。
なぜそのようなことが起きているかというと、リソースとして即戦力になるのは20代の新卒より60代という認識が企業に広がっているからです。
雇用側の立場で考えれば、初任給で経験豊富な人材を雇えたら、願ったり叶ったりなのです。
予想の話ですが、今後も60歳以上の雇用はさまざまな形態を取りながら増えていくといわれています。そういう明るい材料にこそ目を向けて、老後破綻などの不安をあおる言葉に釣られないようにしたいものですね。
定年後の収入目標額は、あくまでも退職金を切り崩さないことが前提です。実際には5万でも10万でも稼げるだけ稼げばいいのです。
ノルマや出世を考えて胃がキリキリする思いも、残業する必要もありません。
純粋に働くことを楽しめて、再就職仲間ができたり、若い世代から頼りにされたら間違いなく最高です。
インターネットを活用した働き方も有効です。
たとえば、
- YouTubeやブログ
- 手芸などのハンドメイドの通販サイトの立ち上げ
- WEBデザインスキルを活かしての在宅ワーカー
- インターネットライブで物品を売る
という方法があります。
お金も大事ですが、まずは自分自身がイキイキした毎日を送れることが重要で、結果それが健康寿命を延ばすためにも有効です。
人生最大の投資は健康
先ほど、健康寿命の話が出ましたが、どんなにやりがいのある仕事があって、お金や人に恵まれていても、不調や病気に悩まされていたら、それらがもたらす幸せを満喫することができません。
治療代や薬代をはじめ、回復するまでの時間、そのために失った仕事の時間と収入など、不健康はコストがかかることを痛感するということです。
そうならないために、人生で一番に対策を立てるべきは「健康」なのです。そして健康はすべてのベースになり、最大の投資対象なのです。
勝間さんが積極的に健康投資を始めたきっかけはダイエットです。
どうしたら健康的に無理なく適性体重になれて、一生リバウンドせずに維持できるか、ということを模索した結果、正しいダイエット法と健康法はイコールということに気づかれました。
その中で、ずっと変わらずに続けているのが、
- 睡眠時間を7~8時間取ること
- こまめに動いて一日1万歩以上歩くこと
なのだそうです。
まず睡眠時間を7~8時間取ることは、勝間さんが著書やYouTubeでも伝えているように、現代人の不調や病気の大きな原因の一つが睡眠不足にあるからです。
実は人間は、起きている間に老化して、溜まった老化物質を睡眠中に洗い流しています。睡眠不足になると老化物質を洗い流しきれないので、見た目も中身も老化して、不調や病気につながるのです。
そして、一日1万歩以上歩くことは、足腰が丈夫になり良い運動習慣が身につくことで、健康寿命を延ばすことに有効です。
でも、一日1万歩ともなると6~6.5キロメートルは歩くということになります。始めたころは一日1万歩歩くと疲れて、夕方になるとグダグダになっていたそうです。
でも三日坊主にならないように、友達同士で一日1万歩歩く「みんチャレ」をつくり、お互いにスマホの歩数計画像を送って励まし合いながら続けたそうです。
その結果、一日1万歩歩いても別に何ともなくなって、疲れを感じなくなったそうです。
歩くのも慣れの一種で、歯磨きをしないと気持ち悪いように、一日3000歩ぐらいしか歩いていないと、体が重たく感じて寝付きも悪くなるそうです。
そうなりたくないから、ついつい歩きたくなる、という好循環になるといいます。
つまり、
しっかり動く(一日1万歩)ことで、きちんとした睡眠を取ることができ、それが健康につながる
ということなのです。
しかも、寝ることも歩くこともタダです。
タダですから、誰にでも始められる健康法ということです。
これほどコスパのいい健康法はありません。
現代人の食事の問題はカロリー過多・栄養不足
「健康」の話とかぶりますが、勝間さんは痩せるためにいろいろ調べた結果、睡眠と運動、そして食事が今までの肥満体形に関与していると行き当たりました。
そしてその食事の問題として大きかったのが、外食や加工食品ばかり食べていたことだと言います。
外食や加工食品は、万人受けするように砂糖や油脂を大量に加えていて❝おいしさの演出❞をしてある分、カロリーが高くなります。
低脂肪や低糖が売りの商品も、低脂肪の場合は砂糖を、低糖の場合は油脂を加えて味をごまかすというからくりが存在するそうです。
そうしないと消費者がおいしいと思わないので、売れないからです。
いろんな書籍・情報から砂糖、油脂の摂り過ぎは健康障害になるというのは、よく知られていますが、砂糖や油脂は摂りすぎて消費されないと、体内で脂肪として蓄えられます。
ですので、いくら食べる量を少なくしても、外食や加工食品ばかり食べていると痩せることはありません。
そして食事の問題点としてあげられるのが、栄養不足なのだそうです。
特にタンパク質と食物繊維、それからビタミンやミネラルの微量栄養素が足りていないと分析されたそうです。
実は、肥満な人ほど栄養不足に陥っていることが多いそうです。
太っているのに栄養が足りていないなんてあるの(?)と思うでしょうけど、現代の食事は、カロリー過多・栄養不足であることが多いのです。
ダイエットはカロリーを抑えることに気を取られますが、それで痩せてもリバウンドしてしまうのは、体内の栄養価が低くなって、体がなかなか満たされないからです。
タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルが不足すると、安定した状態が損なわれて、不調が生じます。体としては手っ取り早く満たされたいので、すぐにエネルギーになる甘いものや炭水化物を欲します。
その結果、糖質や脂肪の摂取量が増えて太りやすくなるのです。
ですので、きちんとダイエットしたいのであれば、タンパク質や食物繊維、ビタミン、ミネラルといった栄養素を効率よく摂ることが不可欠なのです。
それらをちゃんと摂取する方法はいたって簡単で、野菜や肉、魚などの生鮮食品を買ってきて自炊をすることです。
そして気をつけることは、「バランスよく食べること」です。
どんなに体に良いと言われるものも、そればかり食べるのは良くないし、ダイエット法などで紹介される「○○だけダイエット」も、結果的に栄養のバランスが偏る恐れがあります。
そして心配なのは、その食材に今は明らかにされていない毒性が含まれている可能性があることです。
良かれと思って食べたのに体内に毒を溜めて将来の健康リスクを上げてしまったということがないようにしたいものですね。
でも、たまには好きなものを食べたいですよね。
だったら、「週一ペース」で、いただくことにしましょう。
でも、なかなか自炊できないし結局は外食に頼るようになるという場合は、素材そのものを食べる料理、たとえばしゃぶしゃぶやステーキ、お刺身、焼き魚などであれば調理過程で多用される砂糖や油脂をあまり摂らずにすみます。
そして週一ペースなら、甘いものでも脂っこいものでも、好きなものを食べて問題ないでしょうね。好きなものはやめようとすればするほど、求める気持ちが強まりますから、たまの息抜きの程度で楽しめばいいと言います。
まとめると、
砂糖、油脂を極力控え、野菜や肉、魚などの生鮮食品を買ってきて自炊をする。
そして、栄養が偏らないようにバランスよく食べる。
週一なら好きなものを食べてもよし。
最適主義になろう
こんなことを考えたことはないですか?
ああ、あの人はいつ見ても輝いているなあ・・・・・。それに比べてわたしときたら・・・・・・。
あの人はリーダーとして素晴らしい人だ。自分はその足を引っ張らないようにしなきゃなあ・・・・・・。
ああ、今日も仕事が終わらず残業だあ。どうしてオレだけ仕事が遅いんだろ?
いや、オレはまだまだこんなもんじゃないんだ。
誰にでも、周りを見ると、自分より素敵で立派な人だらけで劣等感を感じたり、逆に幻の自信をつくり上げて虚勢を張ったりすることがありますよね。
そして現代社会では、そうした心情をあおるメッセージや広告が多く、自分を高めるためにもっと学ばなければ、もっと働かなければ」、という焦りを駆り立てることが一因だと勝間さんは言います。
でも、「今現在の自分というのは、過去生きてきた中でベストの自分である」というふうには考えられないでしょうか。
というのも、よりよくなるために努力を重ね、いろんな失敗を経験し、またそれを改善し、を繰り返しながら、今の自分が成り立っているからです。
ですので、わたしたちはもっと、今の自分に満足していいのです。
そりゃ長い人生ですから、何かでうまくいかないことがあります。それでも、大筋ではうまくいっているのだから大丈夫、とおおらかになればいいのです。
健やかな人間関係を築くうえで必要なことは、自分に対しても、相手に対してもおおらかであることです。おおらかな人ほど人脈が広がり、そうでない人は先細りしていくのです。
❝おおらか❞とは、「心がゆったりしていて、細かいことにとらわれないさま」を指します。
つまり、ほんの少しの気持ちの変動で左右されないくらいの、心の余裕を持っておくということです。
生まれつきおおらかな人もいますけど、ほんのちょっと考え方を変えたり、環境を整えたりすることで、誰でもおおらかな性格になると勝間さんは言います。
その考え方の基本になるのが最適主義で、「大まかな優先順位付けで全体を把握して、余裕を持つ」ということになります。
そうするために何でも「完璧を目指す」ということから距離を置いてみましょう。
なぜなら、完璧を目指してエラーをなくそうとすると、自分にも他人にも厳しくなって、おおらかさとは程遠くなるからです。
どんなに完璧になろうと思っても、人間は失敗や過ちを犯す生き物で完璧ではない存在です。完璧になり得ないにもかかわらず、それを求めるから苦しくなって、おおらかさを失ってしまうということです。
また、上昇志向の強い人ほど、より良いものを求めていて現状に満足できない結果、完璧主義になりがちです。
それはそれで素晴らしいことですが、ストイックになり過ぎると、焦りが生まれます。焦りはおおらかさの対極にある感情なので、今の自分に満足していないことに起因します。
より良い自分が本当の自分で、そうなるためにはより良い環境を手に入れなければいけないと考えるあまり、現状を犠牲にしてしまうのは、とてもつらく苦しいことではないでしょうか。
そして、そのストイックな状態を中長期にわたって続けることは、ほぼ不可能です。
中長期にわたってパフォーマンスを上げていくには、ある程度ゆるい規律の中で、物事を最適化しながら進めるしかないと勝間さんは言います。
物事を最適化するにあたり、大事なことは「不必要なものはスルーしよう」です。
人間ですから、ちょっとした迷いから、余計なことを考えて余計なものに手を出し、余計な評価を獲得しようとするから、余裕がなくなるわけです。
シンプルに、「本当に自分を幸せにするために必要なものは何か」ということに向き合えば、実は、世の中のほとんどのことはどうでもいいことに気づくはずです。
細かいことにいちいちこだわることも、腹を立てることもなくなり、自分の幸せとは関係ないものとみなしてスルーできるようになれば、その状態はまさにおおらかな状態です。
たしかに人間は誰でも心配事の一つ二つを抱えているものですが、物事をできるだけシンプルにして、自分にとって必要な部分だけに気を配り、そうでないことについては優先順位を落としていくのです。
そうして生まれた余裕は、日々起きるアクシデントやトラブルなどの外敵ショックを吸収してくれるため、おおらかさを維持できるのです。
そして、おおらかさを維持するコツは、物事を分散させて考えることです。
たとえば、自分の幸せが仕事の成功や家族の健康、子どもの成長、趣味の充実などに分散し、仕事で失敗したとしても、他のことが安泰なら全体に対して大きな影響はないと思え、おおらかでいられるのです。
では、まとめます。
最適主義になるコツは、「完璧を捨てて、おおらかに生きること」
「おおらかに生きる」というのは、「大まかな優先順位をつけ全体を把握して、余裕を持つ」ということ。
そのために、不必要なものはスルーし、物事を分散して考えること。
ということです。



以上、わたしが気になった10のヒントです。
人生を最適化するためには、「利他」と「健康」、「心の余裕」が必要で、それがあるから何ごとも悲観的に考えなくなると思います。
悲観的に考えると必ずそれはストレスになります。
それを避けるためにも心得たいものですね。
『勝間式生き方の知見』の感想・まとめ


トライアンドエラーは、人生最高の教科書
本書で書かれていることは、勝間さんがいろんな書籍や情報から学び実践してきたことばかりです。
つまり、原体験があるということなのですが、それを言葉にして語れるというのが素晴らしいのです。
わたしたちの多くは、経験もしていないことに評価をしたがります。
いわば、「食わず嫌い」ということですが、それはあまりにも勿体ないことですね。
失敗することは悪いことではないし、その失敗から何を学ぶかが大事なことなのです。
自分の可能性だって、やってみなければわからないことがいっぱいあります。それを知らないうちに自分自身を評価し「できない」と判断するのでは成長を止めてしまいます。
そうならないためにもトライアンドエラーは必要なスキルともいえます。
ですが、誰でも失敗したくて物事を始めるわけではありません。
ですので、事前学習は必要です。
そういったときにぜひ本書を活用するべきです。
本書で書いていることは、世界の名著を網羅した勝間さんが、わたしたちにわかりやすく解説してくれる内容となっています。
若い人から年配の人たちまで、男女問わず学びになる一冊です。
ぜひ手に取って読んでみてください。
『勝間式生き方の知見』は、現在(2022年9月18日時点)amazonの本読み放題サービス「キンドルアンリミテッド」の対象になっています。
キンドルアンリミテッドは、ビジネス書からマンガまで幅広いジャンルの本が読み放題です。ぜひこの機会にご検討ください。
『勝間式生き方の知見』の概要


本書の目次
『勝間式生き方の知見』
お金と幸せを同時に手に入れる55の方法
はじめに
【第1章】 新しい可能性に投資しよう―自己革新の知見
【第2章】 自分も相手も気持ちよく―コミュニケーションの知見
【第3章】 メンタルブロックを外そう―コントロール思考の知見
【第4章】 短時間労働で成果は出せる―仕事の知見
【第5章】 収入に上限はない―お金の知見
【第6章】 体力はお金より仕事より大事―人生百年時代の知見
【第7章】 完璧を目指さない―幸福度アップの知見
著者の紹介
勝間和代(かつま・かずよ)
経済評論家。株式会社監査と分析取締役。中央大学ビジネススクール客員教授。
1968年東京生まれ。
早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。
アーサー・アンダーセン、マッキンゼー・アンド・カンパニー、JPモルガンを経て独立。
少子化問題、若者の雇用問題、ワーク・ライフ・バランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分野で発言を行う
最近では、経済と効率化の知見と実体験、研究をもとにした家電、家事のアドバイスが人気。
勝間和代オフィシャルサイト https://www.katsumaweb.com/
著書
『できないのはあなたのせいじゃない――ブレインロック解除で潜在能力が目覚める』プレジデント社; 第1版 (2022/5/21)
『ラクして おいしく、太らない! 勝間式 超ロジカル料理』アチーブメント出版 (2020/3/1)
『勝間式 金持ちになる読書法【電子版特典付き】』宝島社 (2021/12/25)
『お金は銀行に預けるな~金融リテラシーの基本と実践~ 』光文社 (2011/11/4)
『2週間で人生を取り戻す! 勝間式 汚部屋脱出プログラム』文藝春秋 (2019/8/6)
『勝間式食事ハック』宝島社 (2018/8/10)
『勝間式 超ロジカル家事』 アチーブメント出版 (2017/3/28)
『健康もマネーも人生100年シフト! 勝間式ロジカル不老長寿』宝島社 (2021/7/13)
『圧倒的に自由で快適な未来が手に入る! 勝間式ネオ・ライフハック100』KADOKAWA (2020/7/29)
『自由もお金も手に入る! 勝間式超スローライフ』KADOKAWA (2020/10/7)
『年収10倍アップ勉強法 無理なく続けられる』ディスカヴァー・トゥエンティワン (2007/4/5)
『「有名人になる」ということ』ディスカヴァー・トゥエンティワン (2012/4/28)
『最後の英語やり直し!』毎日新聞出版(インプレス) (2014/2/28)
『やせる!』光文社 (2012/10/20)
『断る力』文藝春秋 (2009/2/20)
『勝間式 超コントロール思考』アチーブメント出版 (2019/2/1)
『起きていることはすべて正しい 』ダイヤモンド社; 第8版 (2008/11/28)
『人生確率論のススメ~運でなく、確率を支配しよう~ 』扶桑社 (2014/9/1)
『勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力』ディスカヴァー・トゥエンティワン (2008/6/15)
『高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人』 小学館 (2011/2/6)
『ズルい仕事術』ディスカヴァー・トゥエンティワン (2011/12/16)
『読書進化論 人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか』小学館 (2008/10/1)
『120の腕前なのに80台で回る 勝間和代の頭だけで100を切るゴルフ』KADOKAWA (2015/2/25)
『女に生まれたら、コレを読め ~○活必勝法~』扶桑社 (2010/6/10)
共著
『人生100年時代の稼ぎ方』アチーブメント出版 (2019/7/1)
『When 完璧なタイミングを科学する』講談社 (2018/9/6)


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