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『ケーキの切れない非行少年たち』から学ぶ社会的弱者を作らないための「認知機能」強化術

コウカワシン

こんにちはコウカワシンです。

今回は、宮口幸治(みやぐち・こうじ)さんの著書『ケーキの切れない非行少年たち』から学ばせていただきます。

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目次

『ケーキの切れない非行少年たち』は、どんな本?

『ケーキの切れない非行少年たち』は、ズバリ!「社会的弱者を救済する方法論」です。

本書はこのような本

本書の著者である宮口幸治(みやぐち・こうじ)さんは、児童精神科医。

2009年から法務省矯正局の職員となり、医療少年院に6年、その後、女子少年院に1年余り、法務技官として勤務されました。

多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」がたくさんいるという事実に気づきます。

その少年たちは認知力(理解、判断、論理などの知的機能)が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすらできないといいます。

そしてそのことが、同じ過ちを犯してしまう原因となり、あげく社会的弱者になってしまうスパイラルに陥ると著者は言います。

実は犯罪こそ起こさないもののふつうの学校でも同じだともいいます。

まさにこの問題は根深いものがあるのです。

本書は、人口の十数パーセントは存在するといわれる「境界知能(おおむねIQ71以上85未満)」の人々に焦点を当て、社会的弱者が困らないように導く超実践的なメソッドともいえる一冊なのです。

本書がおすすめな人

『ケーキの切れない非行少年たち』がおすすめな人

  • 教育者
  • 指導者
  • 社会的弱者を支援する活動をなさっている人
  • 知的障害・発達障害を持つ子どもの親御さん
  • 自閉症の子どもの親御さん

『ケーキの切れない非行少年たち』の要点は?

人生は、成功と失敗の繰り返しです。

成功体験が自信になるし、失敗体験が反省し今後の成長につながるからです。

ですが、失敗体験が反省につながらなかったらどうでしょうか?

つまり、失敗を省みて次の成功につながるように修正するということですが、それができないと人は成長することができません。

しかし、失敗を省みることができないとしたらどうでしょうか?

「えっ?そんなことがあるのか??」と思われるでしょうけど、著者が勤める医療少年院には凶悪犯罪を行ったにもかかわらず、「なぜそんなことをしたのか?」と尋ねても理由を答えられない子がかなりいたといいます。

更生させるためには自分のやったことにしっかり向き合い、被害者のことを考えて内省し、自己洞察することが必要なのですが、そもそもその力がないということです。

つまり、「反省以前の問題」といえます。

そのような子どもたちは認知機能に問題があるという場合が多いそうです。

認知機能とは、理解、判断、論理などの知的機能のことです。

認知とは理解・判断・論理などの知的機能を指し、精神医学的には知能に類似した意味であり、心理学では知覚を中心とした概念といわれています。

心理学的には知覚・判断・想像・推論・決定・記憶・言語理解といったさまざまな要素が含まれますが、これらを包括して認知と呼ばれるようになりました。

では認知機能に問題があるというのはどういう人かというと、発達障害や知的障害をもった人たちなのです。

発達障害、知的障害をもつ子どもたちの保護者や支援者にとって、少年院は最も言って欲しくない場所です。障害をもった子どもは本来、大切に守り育てないといけない存在です。

なのに加害者となって被害者を作り、矯正施設に入れられてしまいます。

まさに「教育の敗北」と言っていい状況です。

著者は、そういった「最悪の結末とも考えられる施設」に行けば、何か支援のヒントが見つけられるのではないかと、それまで勤めていた精神科病院を辞め医療少年院に赴任することにしたそうです。

コウカワシン

本書から、わたしの独断と偏見で、気になるポイントを3つほど取り出してみました。

社会問題として取り上げるべき本ですので、この記事には書ききれない内容が満載です。

よろしければ、ぜひ手に取ってご一読ください。

「反省以前」の子どもたち

「凶暴で手に負えない少年」の素顔

著者が初めて診療に臨んだ少年は、小柄で痩せていておとなしそうな表情の無口な少年で、「なぜこのような子が?」と思ったそうです。

そこで、これまで病院での診療でルーチンとして行ってきたRey複雑図形の模写という課題をやらせました。

これは、神経心理検査の一つで認知症患者に使用したり、子どもの視覚認知の力や写す際の計画力などをみたりすることができます。

その少年は意外にもすんなり課題に一生懸命に取り組んだといいます。

しかし、それから出た結果に著者は驚愕するのです。

先ほどのRey複雑図形の模写でその複雑図形(図1-1)と少年が描いた絵(図1-2)がこれです。

この絵を見て著者は、これまで持っていた発達障害や知的障害のイメージがガラガラと崩れたそうです。

これはただ単に写すのが苦手という単純な問題ではなく、見本である図1-1の絵が図1-2のように歪んで見えているということであり、意味することは「世の中のこと全てが歪んで見えている可能性がある」ということなのです。

そして見る力がこれだけ弱いとおそらく聞く力もかなり弱いということが予想でき、「人の言うことがほとんど聞き取れないか、聞き取れても歪んで聞こえている可能性がある」ということなのです。

著者は、「ひょっとしたら、これが彼の非行の原因になっているのではないか」と直感しました。

同時に、彼を含めて多くの少年がこれまでどれだけ生きにくい生活をしてきたのか、容易に想像でき、「これを何とかしないと再非行は防げない」と思ったそうです。

ケーキが切れない少年たち

犯罪に手を染めてしまった子どもの中には、自分が悪いことをしたと自覚している少年もいれば、「僕はやさしい人間です」と言いつつも殺人を犯してしまう少年もいます。

数多くの少年を診療してきた中でおどろいたことの一つが「ケーキが切れない」ことだったそうです。

ある粗暴な言動が目立つ少年の面接をしていた時、A4サイズの紙に丸い円を描き「ここに丸いケーキがあります。3人で食べるとしたらどうやって切りますか? みんなが平等になるように切ってください」という問題を出してみました。

その少年は、まずケーキを縦に半分に切って悩み、そして半分になったものを半分にしたりしました。

下記の図でいうとふつうは左側の自動車メーカーのベンツのマークのような図を描くのでしょうけど、それができず右のような分け方をしたということなのです。

この他にも「5人で食べるときは?」と訊ねると下記の図のような丸いケーキに4本の縦の線を入れました。

5個には分けていますが5等分にはなっていません。

そこで著者が、「みんな同じ大きさに切ってください」というと、少年は悩んだあげくあきらめたようにこのような切り方をしたのでした。

まあ、このような切り方は小学生低学年の子どもたちや知的障害をもった子どもの中にも時々みられるので大した問題ではありません。

問題なのは、このような切り方をしているのが強盗、強姦、殺人事件などの凶悪犯罪を起こしている中学生・高校生の年齢の非行少年たちだということです。

彼らに、非行の反省や被害者の気持ちを考えさせるようなこれまでの矯正教育を行っても、そのつど右から左へと抜けていくのも容易に想像できます。

これは犯罪への反省以前の問題であり、こういったケーキの切り方しかできない少年たちが、これまでどれだけ多くの挫折を経験してきたことか、そして社会がどれだけ生きにくかったことかを、わたしたちが理解する必要があるということです。

計算ができず、漢字も読めない

著者はいつも少年たちへの面接で、簡単な計算問題を出します。

具体的には、「100から7を引くと?」と問います。せいかくに答えられるのは半数くらいだそうです。

「93」と正しく答えられたら次は、「では、そこからさらに7を引いたら?」と聞いてみます。すると、もうほとんどが答えることができません。

基本的に「漢字は読めない」ことを前提に、少年院での教材には全てフリガナがついています。

新聞にはフリガナは付いていませんので、新聞を読めない少年たちも多く、自由時間に新聞を順に回しても、少年たちが見ているのもっぱら雑誌広告欄にある女性の写真ばかりといった状況なのだそうです。

少年院ではこういった少年たちに漢字ドリルや計算ドリルをさせるのですが、だいたい小学校低学年レベルからのスタートです。最初から小6レベルの計算ができればかなり優秀なほうだということです。

計画が立てられない、見通しがもてない

著者は面接で少年たちに「どうして非行をしたのか?」を尋ねます。

するとみんな、「後先のことを考えていなかった」と、口をそろえたような答えが返ってくるそうです。そして今後の目標として「これからは後先のことを考えて行動するようにしたい」と答えます。

この「後先を考える」力は計画力であり、❝実行機能❞と呼ばれています。そしてここが弱いと、何でも思いつきで行動しているかのような状態になります。

「ゲーム機のソフトを買うお金がなかったので人を刺してお金を奪った」

「女の子に興味はあったけど同級生は怖いから幼女を触った」

といった、思いつきに近い非行をやっているのです。

たとえば、少年たちにつぎのような質問を投げかけたとします。

「あなたは今、十分なお金を持っていません。1週間までに10万円をよういしなければいけません。どんな方法でもいいので考えてみてください」

「どんな方法でもいい」となったら、親族から借りる、消費者金融から借りる、盗む、だまし取る、銀行強盗をするといったものが出てきます。

「借りる」という選択肢と「盗む」という選択肢がふつうに並んで出てくるのです。

「盗む」などという選択をすると後が大変になるし、そもそもうまくいくとも限らないでしょう。このように判断するのがふつうの感覚ですし、先を見通す計画力があるといえます。

しかし先のことを考えて計画を立てる力、つまり実行機能が弱いと、より安易な方法である「盗む」「だまし取る」といった方法を選択したりするのです。

世の中には「どうしてそんなバカなことをしたんだろ?」と思わざるを得ないような事件があります。実はそこにも❝後先を考える力の弱さ❞が出ているということなのです。

非行少年たちの中にも、見通しをもって計画を立てる力が弱く、安易な非行を行ってしまう少年が多くみられたそうです。

反省ができず、葛藤すらもてない

もうお亡くなりになりましたが、元立命館大学教授の岡本茂樹(おかもと・しげき)さんの著作に反省させると犯罪者になりますという本があります。

著者が、この本を読んだときに感じたのは「反省できるだけでも上等ではないか」ということだったそうです。

というのも、著者が出会ってきた少年たちの中には、反省すらできない少年が大勢いたからです。

たとえば、幼女への矯正強姦をした少年に、「どうしてそんなことをやったのか?」と聞いても考えたあげくに出てきた答えは「触りたかったから」程度。

「被害者にどう思っているのか?」と尋ねると「悪い」と即答しますが、それは反省の言葉ではありません。

せめて「やばいことをしてしまった」と後悔がみられればいいのです。というのも、そこから少しずつ更生させることができるからです。

しかし、実際の彼らはまったくそんな気配がないといいます。

少年院に来てみてどう感じるているかと尋ねても、ニコニコして「まあまあ」「楽しい」と答え、そもそも自分が置かれている立場が理解できていないとのことです。

そんな少年たちは、院内でもよくトラブルを起こします。よくあるのが同じ部屋の子が自分を見てくる、見てニヤニヤしてくる、独り言がうるさい、といったささいなことなのです。

彼らは何に対しても「イライラ」しているのです。

担任の教官が来てくれなくてイライラ、親の面会がなくてイライラ、はまだ分かるにしても、お腹が空いてもイライラ、暑くてもイライラ、被害者に悲しい思いをさせてたことに気づいて自分にイライラ、悲しいことがあってもイライラなのです。

実は、少年たちは感情を表す言葉として「イライラ」しか知らないのです。

非行少年に共通する特徴

ここでわかる非行少年の人物像の特徴としてあげられるのが、

  • 勉強が苦手
  • コミュニケーションが下手で対人関係も苦手
  • 融通が利かない
  • 思いつきで行動する
  • すぐ感情的になる
  • 相手のことを考えずに行動してしまう
  • 力加減ができない

です。

では、これらの特徴に背景にあるのは何なのかというと、著者は6つの分類し、❝非行少年の特徴5点セット+1❞としてまとめられました。

非行少年の特徴5点セット+1

  • 認知機能の弱さ(見たり聞いたり想像する力が弱い)
  • 感情統制の弱さ(感情をコントロールするのが苦手。すぐにキレる)
  • 融通の利かなさ(何でも思いつきでやってしまう。予想外のことに弱い)
  • 不適切な自己評価(自分の問題点がわからない。自信があり過ぎる、なさ過ぎる)
  • 対人スキルの乏しさ(人とのコミュニケーションが苦手)

+1.身体的不器用さ(力加減ができない、身体のつき方が不器用)

認知機能の弱さ(見たり聞いたり想像する力が弱い)

たとえば、傷害事件のきっかけとして❝相手が睨んできたから❞という理由があります。

しかし、実際に相手に確かめてみると、その少年を見て睨んだりしたことはなく、まったくわからないといった状況だったそうです。

この背景にあるのは、「見る力の弱さ」です。

相手の表情をしっかり見ることができないので、相手が睨んでいるように見えたり、バカにされているように感じ取ったりして、勝手に被害感を募らせてしまったのです。

また、「聞く力が弱い」ことも同様です。

聞く力が弱いと、誰かがブツブツと独り言を話しているだけでも、❝あいつがオレの悪口を言っている❞といった誤解につながるからです。

認知機能とは、記憶、知覚、注意、言語理解、判断、推論といったいくつかの要素が含まれた知的機能を指します。

この図をご覧ください。

人は五感(見る、聞く、触れる、匂う、味わう)を通して外部環境から情報を得ます。

そして得られた情報を整理し、それを基に計画を立て、実行し、さまざまな結果をつくり出していく過程で必要な能力が認知機能なのです。

この認知機能は、受動・能動を問わず、すべての行動の基盤であり、教育・支援を受ける土台でもある重要なものなのです。

しかし、もし五感から入った情報がすでに間違っていたり、受け取った情報を間違って整理したり、情報の一部しか受け取らない状態になっていたらどうなるでしょうか。

たぶん、こちらが伝えたい情報が正確に伝わらず支援が空回りしたり、子どもがどんなに一生懸命計画を立てて頑張っても情報が歪んでいるのでムダな努力をしてしまうという結果になるのが目に見えています。

また「見る力」「聞く力」を補う「想像する力」が弱いと、それらを修正することもうまくいきません。

これが認知機能の弱さが引き起こす❝不適切な行動❞につながっていると著者は考えているのです。

感情統制の弱さ(感情をコントロールするのが苦手。すぐにキレる)

人の感情には、大脳新皮質より下位部位の大脳辺緑系が関与しているそうです。

五感を通して入った情報が認知の過程に入る際に「感情」というフィルターを通るので、感情の統制がうまくいかないと認知過程にもさまざまな影響を及ぼします。

たとえば、わたしたち大人でもついカッとして感情的になると冷静な判断がつかなくなることがあるのもこのためです。

したがって感情統制の弱さは不適切な行動にもつながっていきます。

  • 気持ちを言葉で表すのが苦手
  • すぐ「イライラする」と言う
  • カッとするとすぐに暴力や暴言が出る

といった子どもたちがいます。

こういった子どもたちは何か不快なことがあると心の中でモヤモヤするのですが、いったい自分の中で何が起きているのか、どんな感情が生じているのかが理解できず、このモヤモヤが溜まり溜まってストレスへと変わっていきます。

時間が経てばストレスはしだいに減っていきますが、不快なことが続けばどんどんとストレスが溜まっていきます。

すると発散しなければいけません。

その発散方法を誤れば、いきなりキレて暴力事件や傷害事件、性加害といった犯罪をおこす、といった結果につながりかねません。

❝怒り❞は冷静な志向を止める

感情の中で最もやっかいなのは❝怒り❞です。

❝怒り❞は、冷静な志向を止めます。カッとなると冷静な判断ができません。

❝怒り❞の感情は下記の図のように冷静な志向を止めてしまい、ある出来事に対して考えずにすぐに反応する(すぐにキレる)という行動につながりがちです。

わたしたち大人でもカッとなったら判断を誤ることがありますが、子どもならなおさらです。

感情は多くの行動の動機づけである

感情統制の大切な理由の一つに「感情は多くの行動の動機づけ」になっていることがあります。

たとえば、本のタイトルや目次、新聞記事の見出しを見て「読んでみたい」と思うように、「あのアーチストのコンサートに行きたい」「あの友達に会いたい」という気持ちがあるから行動を起こせるのです。

無条件反射を除けば、感情が人間のほとんどの行動を支配していると言ってもいいでしょう。

厄介なのは「ストレス発散に○○したい」という○○に❝万引き❞とか❝痴漢❞といった不適切な言葉が入る場合です。

これは不適切な感情が不適切な行動を生み出しているということです。

これらに対処する方法として、

  • ストレスが溜まらないように生活を見直す
  • ○○に❝スポーツ❞とか❝買い物❞といった言葉を入れる
  • ○○したい気持ちを下げる

といったものを考えてみましょう。

たしかにその場ですぐに対処できるものではないかもしれませんが、時間と労力をかけて生活パターン、思考パターン、対人関係パターンを矯正していくことです。

融通の利かなさ(何でも思いつきでやってしまう。予想外のことに弱い)

何か困ったことがあれば、いくつかの解決策を考えますよね。

「Aの方法」「Bの方法」「C」「D」「E」・・・・・・といくつかの選択肢を考え、どの方法がいいかを吟味し、選択して、実行し解決を目指しますよね。

ここで重要なのが解決策のバリエーションの多さと、状況に応じて適切に選択肢を決める❝融通を利かせる❞力です。

これは、「頭の柔らかさ」ともいえます。

たとえば、「お金が必要であるがお金がない」といった困った状況にあるとして、

  1. アルバイトをする
  2. 親族から借りる
  3. 宝くじを買う
  4. 強盗をする

といった解決案が出るとします。

4という案を選べばその後どうなるかを考えると、ふつうなら選ぶはずはありません。

しかし頭が硬い、つまり融通が利かず4の解決案しか出てこなかったらお金が無くなるたびに強盗を繰り返すことになります。

これが不適切な行動を繰り返してしまう頭の硬さなのだと著者は言います。

学校にも多い「融通の利かない子」

学校にも融通が利かない子がいます。

そのような子はやはり解決案が一つかよくて二つしか出てきません。一つしか出てこないと、それが最適な解決案かどうかわかりませんし、また過去に同じ失敗をしていても何度も同じ間違いをしてしまうと言います。

こうした態度は、日常生活では、次のようなことにもつながります。

図で表すとこうです。

このような融通の利かない子どもや頭の硬い子の特徴が出やすい問題があります。

問「5個のリンゴを3人で平等に分けるにはどうしたらよいか?」

この問題、皆様ならどのように考えますか?

たとえば2つ解答を出すとすれば、

1個のリンゴをすべて3等分して15個にしてそれを3人に5個ずつ分ける。

それから、

  • まず一人に1個ずつリンゴを配り、残りの2個を3人でどうやって分けるかを考える。
  • リンゴをジューサーにかけ液体にして3等分する。

なんていうのも有効的な考え方でしょう。

しかし、融通の利かない子ども、頭の硬い子どもはこう答えたそうです。

「先生、これは計算問題ですね。5÷3ですね。1.6666・・・・・・割り切れません。分けられません」

計算問題を出したわけではないのに❝これは計算問題だ❞と思い込んでしまい、柔軟に融通を利かせてリンゴを分けることに思い至らないのです。

このような子どもたちは何らかの問題に対してすぐに答えを出してしまいます。

時間をかけて「ちょっと待てよ。ほかに方法はないかな」といった柔軟な思考や違った視点を持つことが苦手なのです。

これらが対人関係においてもさまざまなトラブルの火種になると著者は言います。

不適切な自己評価(自分の問題点がわからない。自信があり過ぎる、なさ過ぎる)

不適切な行いをしたときに本人がそれを正したいという気持ちを持つには、まず❝自分の今の姿を知る❞といったプロセスが必要になります。

自己の問題や課題に気づかせ❝もっといい自分になりたい❞といった気持ちを持たせることが、変化のための大きな動機づけになるからです。

ところが、多くの問題や課題を抱える人が、❝自分には問題がない❞❝自分は良い人間だ❞と信じていて自分の姿を適切にひょうかできていなければ、自己へのフィードバックが正しく行えるはずがありません。

当然、「自分を変えたい」といった動機づけも生じないので、誤りを正せないばかりか対人関係においてもさまざまな不適切な行動につながってしまうのです。

たとえば少年院では、

  • 自分のことは棚に上げて、他人の欠点ばかり指摘する
  • どんなにひどい犯罪を行っていても自分はやさしい人間だという
  • プライドが変に高い、変に自信をもっている、逆に極端に自分に自信がない

といった少年たちがみられたそうです。

実際、殺人事件を起こしている少年さえも「自分はやさしい人間だ」といったことに驚かされた著者でしたが、同時に「この自己への歪んだ評価を何とか修正しなければ更生させることはできない」と課題の所在も強く感じたと言います。

なぜ自己評価が不適切になるのか

なぜ少年たちは適切な自己評価ができないか?

それは適切な自己評価は他者との適切な関係性の中でのみ育つからです。

たとえば、

「自分と話をしているとAさんはいつも怒った顔をしている。自分はAさんから嫌われている気がする。自分のどこが悪かったのだろう」

「あのグループのみんなはいつも笑顔でわたしに接してくれる。きっとわたしはみんなから好かれているんだ。意外とわたしは人気があるかも」

といったように、相手から送られてくるさまざまなサインから、「自分はこんな人間かもしれない」と少しずつ自分の姿に気づいていくのです。

自己を適切に知るには、人との生活を通して他者とコミュニケーションを行う中で、適切にサインを出し合い、相手の反応をみながら自己にフィードバックをする作業を数多くこなすことが必要なのです。

逆に「僕は自分が嫌いだ、好きなところなんてない、いいところもない」と答えるような自己肯定感が極端に低い少年もいて、自己肯定感が低いと「どうせ自分なんて・・・・・・」と被害感を募らせ、ひいては怒りへとつながる可能性があるそうです。

つまり、何ごとにおいても自己評価が不適切であれば、対人関係でトラブルを引き起こし、不適切なな行動に結び付く可能性があるということです。

対人スキルの乏しさ(人とのコミュニケーションが苦手)

人間が抱えるストレスの一つに対人関係のトラブルがあります。

さまざまな場面で対人関係がうまくいかないと、職場や日常生活においてストレスが溜まりますし、トラブルにもつながります。

これは大人はもちろんですが子どもたちも同様です。

対人スキルが弱い子どもたちが特に困ることは、主に2つあります。

  • 嫌なことを断れない(悪友からの悪い誘いを断れない)
  • 助けを求めることができない(イジメにあっても他者に助けを求めることができない)

といったことです。

悪いことを断れないと流されて非行化してしまうし、助けを求めることができないと心に深刻なダメージを残します。

対人スキルの乏しさはさまざまな要因があって、生育環境や性格的なもの、自閉スペクトラム症など発達障害によるものなども考えられますが、認知機能の弱さが対人トラブルにつながることもあるといいます。

たとえばこういったことです。

  • 聞く力が弱い→友達が何を話しているか分からず話についていけない
  • 見る力が弱い→相手の表情やしぐさが読めず、不適切な発言や行動をしてしまう
  • 想像する力が弱い→相手の立場が想像できず、相手を不快にさせてしまう

見る力や聞く力、創造する力といった認知機能の弱さのために次のことが起こります。

  • 相手の表情や不快感が読めない
  • その場の雰囲気が読めない
  • 相手の話を聞き取れない
  • 話の背景が理解できず会話についていけない
  • 会話が続かない
  • 行動した先のことが予想できない

つまり、うまくコミュニケーションが取れないということです。

そのためイジメに遭ったり、友達ができないので悪友の言いなりになる、といった非行に可能性が生じるということです。

性の問題行動につながることも

対人スキルの力がもっとも試されることの一つに、異性との交際があります。

たとえば、男性が女性と付き合いたいと思ったとき、「デートしたい」といった気持ちを、いつ、どのようなタイミングで、どうやって伝えるかには、とても高度な対人スキルが必要です。

デートに誘えたとしても、女性との距離を縮めるためには、さらなる対人スキルが必要になってきます。相手に「付き合って欲しい」と伝えたとしても、時期が早過ぎたり、脈がない場合もあります。

ですので、事前に十分に相手の気持ちを読み取っておく必要がありますが、それにもスキルがいります。

こうしたプロセスの途中で相手の気持ちを見誤り、自分の思い込みで一方的に進んでしまうと、ストーカー行為や性の犯罪行為につながってしまうことがあるといいます。

性犯罪の中には、「相手の同意があった」と勘違いして一方的に行為に及び、結果的に強制わいせつや強姦になってしまったケースが多いといいます。

知的障害や発達障害をもった非行少年の中には思い込みの強い少年もいて、「相手の女の子が僕を誘ってきた。ぼくは騙された」となかなか主張を曲げないそうです。

原因は、相手の気持ちを想像するのが苦手、こだわりがある、といった発達障害の特徴が災いし、微妙なやりとりが必要な男女関係でいえば、性の問題行動のリスクが高くなるのかもしれないと著者は言います。

身体的不器用さ(力加減ができない、身体のつき方が不器用)

非行少年の中には、身体の使い方が極端に奇妙で、不器用な少年たちがしばしば目についたそうです。

具体的には、体育の時間には、

❝野球でキャッチャーをやっていた少年がボールを1塁に投げたのに、少年の右側にいる教官に向けてボールが飛んでいった❞

❝サッカーでゴールにボールを蹴るところを相手の脚を蹴り、一試合で何人も捻挫した❞

といったことが起こりました。さらに少年院の日々の日常でも、

❝洗面台の水道蛇口を回し過ぎて蛇口をもぎ取ってしまった❞

❝トイレで便器の外ばかりに小便をしてトイレを汚し続けた❞

など、「わざとやった」と言われても仕方がないような動きをする子もいたそうです。

社会でも、

❝皿洗いのアルバイトをしていたが何度も皿を割ってしまいクビになった❞

❝お客さんに料理を出すときに、ドンと勢いよく置いてしまいお客さんとトラブルになった❞

❝建設現場で親方に危ないと怒鳴られてばかりで嫌になって辞めた❞

といった就業上のエピソードや、

❝ケンカで相手の頭を軽く踏みつけただけなのに頭蓋骨を陥没させてしまった❞

❝じゃれあっただけなのに相手に大けがをさせたと言われ、傷害罪で逮捕された❞

といった非行に関するエピソードもありました。

ですので、少年院を出て真面目に働こうとしても、身体的不器用さ故に仕事をクビになり職を転々としたり、本人にそのつもりがなくても傷害罪になったりしていたケースがあったのです。

それに加えて、認知機能の弱さも伴っていたので、サービス業に就くよりも建設現場で土木作業員といった肉体労働に就く傾向があります。

しかし、身体の使い方が不器用であると、そういった肉体労働でも問題を起こして仕事が続かず、生活ができなくなるのです。

安定した就労は再非行防止に欠かせませんが、身体的な不器用さが就労のハードルとなり、再非行のリスクを高めるのです。

身体的不器用さの特徴と背景

不器用な少年たちの特徴としてたとえばこのようなものがあります。

  • 力加減ができない
  • 物をよく壊す
  • 左右がわからない
  • 姿勢が悪い
  • じっと座っていられない

❝力加減ができない❞❝物をよく壊す❞というのは、自動車の運転でいえば「どのくらいアクセルを踏めばどれだけスピードが出るのか、ハンドルをどのくらい回せばどれだけ曲がるか」といったことが正確につかめていない状況に似ています。

つまり自分のボディイメージがうまくできていないということです。

❝左右が分からない❞という人は相手の真似をすることが苦手です。たとえば先生が黙って右手を挙げ、「これと同じ真似をして」と言われて、すぐに右手を挙げることができないと左右がわかっていることにはなりません。

これは相手のボディイメージをを自分にうまく置き換えられないということであり、左右がわかっているということにはならないのです。

❝姿勢が悪い❞は筋肉の調整機能に問題がある場合があると著者は言います。

身体の筋肉の緊張が弱いと関節が柔らかく、まっすぐ立ってもお腹が出るような姿勢になってしまい、姿勢が悪く見えます。

姿勢の悪さから❝じっと座っていられない❞ということになります。じっと座っていられないと指先の細かい作業ができず、手先が不器用になります。

身体的不器用を甘くみてはいけません。

じっと座っていられなければ学習にも、力加減ができなければ対人関係にも影響します。ですので、学習面や社会面に加えて、身体面への支援も欠かせないことが分かります。

1日5分 認知機能トレーニング

非行少年から学ぶ子どもの教育

少年院に入ったばかりの少年は、

  • 態度が大きい
  • 妙に馴れ馴れしい
  • 妙に素直
  • 非行を他人事のように答える
  • 少年院送致に不服で逆ギレしている

など、さまざまな問題を露呈している少年がほとんどなのだそうです。

そんな中、だいたい8カ月頃から大きく変わり始める少年たちがいます。

彼らは、「少年鑑別所や少年院に入ったときは、反省しているように見せていたけど、今は違う。本気で変わるのは今しかないと思った」と述べ、今まで自分がしてきた愚かな行為を客観的に分析できるようになるといいます

もちろんこれで全て解決というわけではありませんが❝彼らが変わろうと思ったきっかけ❞があるのは、間違いありません。

彼らが変わろうと思ったきっかけを実際の声を基にまとめたのが次の通りです。

「先生」とは少年たちの担任となる法務教官を指します。

家族のありがた味、苦しみを知ったとき

❝これでもかというほど非行をしてもそんな自分を見捨てずに毎月面会に来てくれる家族や、何百万という被害弁償に対しても何も言わずに働いて払ってくれている親を見て、もう二度と裏切りたくないという気持ちになった❞

被害者の視点に立てたとき

❝被害者の手記を読んで、もし自分の家族が被害者だったらと考えると、犯人をボコボコにしてやりたい。自分のやったことが怖くなった❞

将来の目標が決まったとき

❝今まで何をやってもできなかったけど、将来やりたいことが見つかった。資格を取って頑張る❞

信用できる人に出会えたとき

❝先生は厳しいけど話を聞いてくれて僕のことを真剣に考えてくれて、今の僕に必要なアドバイスをくれる❞

人と話す自信がついたとき

❝社会では人と話すのが苦手だったけど、ここに来たら、人に頼んだり、お礼を言ったり、謝ったりしなければならないので、話すことに自信がついてきた❞

勉強がわかったとき

❝漢字が全然読めなかったけど、ここに来て漢字テストで(漢字検定の)級が上がった。新聞が読めるようになった。もっと勉強がしたい❞

大切な役割を任されたとき

❝先生にはいつも叱られていて、先生は僕のことを嫌っていると思っていたけど、少年院の中で難しい係を任されて、信頼されていると気がついた。先生を裏切りたくない❞

物事に集中できるようになったとき

❝社会では全然集中できなくて勉強にやる気が出なかった。病気だと言われていた。でもここで集中できるようになって勉強が楽しくなった❞

最後まであきらめずにやろうと思ったとき

❝いつも途中であきらめて最後までやったことがなかったけど、先生から途中であきらめたらだめだと言われ、最後まであきらめずにやったら、できた。とても自信がついた❞

集団生活の中で自分の姿に気がついたとき

❝先生から注意されている他の子をみると、自分も昔はああだったのだと思った。どうして注意されているのかわかった❞

共通するのは「自己への気づき」と「自己評価の向上」

この実際の声は、大きく二つにまとめられます。

一つは自己への気づきであり、もう一つは自己評価の向上です。

人が自分の不適切なところを何とか直したいと考えるときは、「適切な自己評価」がスタートとなります。

適切な自己評価ができるからこそ❝悪いことをする自分❞に気づき、❝また悪いことをやってしまった。自分ってなんてダメなんだろう❞❝いつまでもこんなことしていられない。もっといい人になりたい❞などといった自己洞察・自己内省が行えるのです。

そして、理想と現実の間で揺れ動きながらも、自分の中に「正しい規範」をつくり、それを参照しながら❝今度からがんばろう❞と努力し、理想の自分に近づいていくと著者は言います。

自分が変わるための動機づけには、自分い注意を向け、見つめ直すことが必要です。

押しつけではなく少年自身が自ら「気づきのスイッチ」を入れることが肝心なので、わたしたちも少しでも多くの、かつさまざまな気づきの可能性のある場を提供し、スイッチを入れる機会に触れさせなければいkrないということです。

これって、少年院だけの話ではなく、学校教育でも社会に出てからでも必要なことなのは間違いありません。

認知機能に着目した新しい治療教育「コグトレ」

本書で、何度も出てくる「認知機能」の強さは、社会を生きるうえでとても重要です。

というのも、認知機能が弱いとそれが学習への妨げにもなりかねないからです。

近年、学校教育においても認知機能面への介入の必要性が認識されるようになり、気になる子供に対して心理発達検査でWISC検査などの知能検査が施行され、その結果が担任の先生にも伝えられるようになってきたそうです。

学習の土台にある認知機能をターゲットにせよ

著者は、ワーキングメモリを含む認知機能向上への支援として有効な、「コグトレ(認知機能強化トレーニング)」を提唱しています。

コグトレは、認知機能を構成する5つの要素(記憶、言語理解、注意、知覚、推論・判断)に対応する、「覚える」「数える」「写す」「見つける」「想像する」の5つのトレーニングからなります。

著者の本で代表的なものが『コグトレ みる・きく・想像するための認知機能強化トレーニング』です。

子どもの心を傷つけないトレーニング

認知機能のトレーニングであるコグトレは、ときおり認知症予防の脳トレと混同されるそうですが、子どもにとって漢字や計算ドリルが脳トレではなく学習であるように、コグトレも学習の一部という位置づけです。

漢字を覚える上で形を認識する力が必要です。計算ドリルでは数字を記号としてではなく量としてみる力が必要なのです。つまり、これらがないとどちらもできません。

コグトレはそこをトレーニングするのです。

漢字や計算ドリルを行う上で、さらに土台となっている認知機能をトレーニングしていくのです。

また、漢字や計算ドリルといった練習は、できなければ子どもは「学習そのものができない」と思って傷つきますが、コグトレは間違い探しなどパズルやゲームのような課題なので、直接的には学習という感じがしないそうです。

ですので、たいていの子どもは楽しみながら課題に取り組むそうです。

コグトレは、学習の土台になっている認知機能を学習と感じずにゲーム感覚で向上させ、知らず知らずのうちに学習の土台を固めて成績向上につなげることができるということです。

朝の会の1日5分でできる

現在、日本の学校のカリキュラムは、学習指導要綱に沿って厳格に管理されていて、教員が独自にまとまった時間を使って何かしらの系統だったトレーニングなどをすることは難しいといいます。

一方、通常の学校教育では、認知機能におけるつまずきをもった児童には何ら対応できていないのが現状だといいます。

実はこれ、現場の先生も問題視しているようで、「コグトレをやらせてみたいがどうやって学校の日課に組み込んでやらせたらいいかわからない」といった質問を著者にされるようです。

著者は「朝の会の5分を使うのが良い」と言います。

5分あれば、「最初とポン」を5題やれますし、週に4回、1年で32周(1、2学期各12周ずつ、3学期は8週)やったとして128回もできます。

時間にして640分、約10時間ぶんです。

学習の土台となる認知機能トレーニングを実施することで、学習のつまずきをせずに学べるのであれば、今後の日本を支える粒よりな人材を確保しやすくなるのではないでしょうかね。

『ケーキの切れない非行少年たち』の感想・まとめ

褒める教育だけでは問題は解決しない

最近の教育では「褒めて伸ばす」が主流なのだそうです。

わたしが子どものころは、怖い親や先生を筆頭に「大人って怖いもの」という認識がありました。

先生は、厳しい教育をふつうに行い、できても褒めず、「できないのはお前の努力不足。できるようになるまでがんばれ」と、時には体罰もあったりで、親に話しても「それはお前が悪い」と言われる時代でした。

だからと言って「褒めて伸ばす」という教育法が悪いといっているわけではないのですが、厳しさの中にも愛情がある教育はもっと認められてもいいのではないかと思うのです。

本書では、まず学習障害に堕ちる原因を探り、その背景にあるものに着目することから教育は始まるのだということを思い知らされました。

例に挙げられた非行少年が悪いのではなく、愛情のあるきちんとした教育を不運にも受けることができずに知らず知らず犯罪に手を染めてしまった事態を嘆かなくてはいけません。

そしてこういったことは、今後の日本社会の縮図として残っていく要素があるのも見逃してはいけません。

幸か不幸か、犯罪に手を染めないにしても、社会に息苦しさを感じながら生きている若者はたくさんいると思われます。

もしかしたら、「認知機能」の弱さが災いして起こっているのかもしれません。

ですので、偏りがなく誰もがつまずかずにがんばっていける社会にするためにもぜひ「コグトレ」を取り入れ、落ちこぼれない社会にしていきたいものですね。

とても意義深いものを感じた本書です。

ぜひたくさんの人にご一読いただきたいと感じました。

『ケーキの切れない非行少年たち』は、現在(2022年9月13日時点)amazonの本読み放題サービス「キンドルアンリミテッド」の対象になっています。

キンドルアンリミテッドは、ビジネス書からマンガまで幅広いジャンルの本が読み放題です。ぜひこの機会にご検討ください。

『ケーキの切れない非行少年たち』の概要

本書の目次

『ケーキの切れない非行少年たち』

はじめに

第1章 「反省以前」の子どもたち
第2章 「僕はやさしい人間です」と答える殺人少年
第3章 非行少年に共通する特徴
第4章 気づかれない子どもたち
第5章 忘れられた人々
第6章 褒められる教育だけでは問題は解決しない
第7章 ではどうすれば? 1日5分で日本を変える

おわりに

著者の紹介

宮口幸治(みやぐち・こうじ)

 立命館大学産業社会学部教授。医学博士、臨床心理士。

京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。

児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務、二〇一六年より現職。困っている子どもたちの支援を行う「コグトレ研究会」を主催。

著書

どうしても頑張れない人たち―ケーキの切れない非行少年たち2』新潮社 (2021/4/19)
不器用な子どもがしあわせになる育て方』かんき出版 (2020/7/22)
ドキュメント小説 ケーキの切れない非行少年たちのカルテ』新潮社 (2022/9/20)
1日5分、マンガで楽しく 大人の脳強化ドリル コグトレ』幻冬舎 (2021/9/16)
医者が考案したコグトレ・パズル』SBクリエイティブ (2020/8/19)
CD付 コグトレ みる・きく・想像するための認知機能強化トレーニング』三輪書店 (2015/3/7)
1日5分! 教室で使えるコグトレ』東洋館出版社 (2016/11/2)
CD付 やさしいコグトレ 認知機能強化トレーニング』三輪書店 (2018/2/9)

共著

ケーキの切れない非行少年たち バンチコミックス』新潮社 (2020/12/9)
境界知能とグレーゾーンの子どもたち  扶桑社 (2020/8/28)
困っている子を見逃すな』扶桑社 (2021/7/2)
生きづらい子をあきらめない』扶桑社 (2022/3/1)
傷ついた子を救うために』扶桑社 (2022/9/2)
マンガコグトレ入門 ~子どもの認知能力をグングン伸ばす!~』小学館 (2022/3/20)
学校でできる! 性の問題行動へのケア』東洋館出版社 (2019/11/18)
ひらがなコグトレ』東洋館出版社 (2022/5/11)
感情をうまくコントロールするためのワークブック』明石書店 (2020/9/10)
対人マナーを身につけるためのワークブック 』明石書店 (2020/9/10)
NGから学ぶ 本気の伝え方』明石書店 (2020/4/15)
社会面のコグトレ 認知ソーシャルトレーニング1』三輪書店 (2020/2/4)
DVD付 不器用な子どもたちへの認知作業トレーニング 』三輪書店 (2014/6/21)

コウカワシン

最後までお読みいただきありがとうございます。

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この記事を書いた人

四国在住。
ミニマリスト。趣味は映画観賞と音楽鑑賞、読書、野球観戦。
映画は特に好き嫌いなくほとんどのジャンルーを観ます。音楽はジャズとクラシックが大好きです。読書は歴史書が好きでよく読みます。

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