
こんにちはコウカワシンです。
今回は、中竹竜二(なかたけ・りゅうじ)さんの著書『人を育てる期待のかけ方』から学ばせていただきます。
『人を育てる期待のかけ方』は、どんな本?
『人を育てる期待のかけ方』は、ズバリ!「戦略的にやる気スイッチを押させる」本です。
本書はこのような本
本書の著者は、ラグビー大学選手権2連覇に導いた元早稲田大学ラグビー部監督にしてTBS「情熱大陸」やNHKなどメディアから取材が殺到する智将・中竹竜二(なかたけ・りゅうじ)氏
社会生活のなかで、このようなことはありませんか?
部下に成果を出してほしい
子どもにもっと勉強して欲しい
自分は、もっと評価されてもいいはずだ!
ああ、もっと成長できると思っていたけど・・・・・・。
これを「期待」といいますよね。
誰もが日々、他者や自分に期待をかけています。
正しい期待をかければ、人も自分も必ず成長します。
間違った期待をかければ、人も自分もつぶれます。
つまり、「正しい期待」をかけないと伸びていかないと中竹氏は言います。
本書では、「人を伸ばす期待、つぶす期待」を豊富な実例、わかりやすい図解をまじえて徹底解説。
最高の成果を引き出す、「V(ヴィジョン)・S(ストーリー)・S(シナリオ)マネジメント」、意外な潜在能力を花開かせる、「スキルよりスタイル理論」、逆境もプレッシャーもはねのける「期待のコントロール法」、未知なる可能性を見いだす、「期待の哲学」を惜しみなく教えてくれます。
「期待のかけ方」次第で、すべてが伸びるがわかる一冊です。
本書がおすすめな人
『人を育てる期待のかけ方』がおすすめな人
- 部下の成長を願う上司、リーダー
- 子どもの成長を願う親、先生
- 就活中の学生
- 新入社員
- 自分の強みを見つけたい人
- 自己成長をしたい人




『人を育てる期待のかけ方』の要点は?
「人を育てる」「自ら成長を試みる」
誰もが思うことですよね。
人は日々、多くの「期待」を抱いて生きています。そのほとんどが、相手、あるいは自分の成長や成功を願い、正しい振る舞いを願い、「良かれと思って」「その人のためを思って」なされています。
しかし、ともするとその期待が、相手に、自分にあらぬプレッシャーをかけたり、やる気を失わせたり、本当の強みを見誤らせたり、逆方向に結果を向かわせることがあるといいます。
たとえば、子どもが絵を上手に描いたのを見て「絵の才能がある!絵の学校に通えばいい」、部下の頑張りで新規開拓ができたら「君はうちのエースだ!最重点エリアを任せる」など期待を込めて言いますよね。
サークルリーダーに推薦されたら「人前に立って率先して引っ張っていくのは苦手だけど就活の役に立ちそうだからやっておこう」という自分に期待をかけるということもあります。
もちろん、こうした言葉が意欲やモチベーションを高め、能力をどんどん伸ばすきっかけになることは少なくないと思います。
でも逆に、子どもは絵を描く気を失い、部下は新規開拓の足が重くなり、リーダーという重責に耐えかねる自分に気づくといったような、意欲もモチベーションも下がってしまうこともあります。
なぜこのようなことが起きるかというと、「正しく期待をかけていない」からなのです。
では、どのようにしたら「正しい期待をかける」ことができるのでしょうか。
著者は、早稲田大学ラグビー蹴球部の監督、杉並区学校運営協議会会長、日本ラグビーフットボール協会・コーチングディレクターという経験から、また保護者や先生という子どもの指導をする役割の人たちと関わったことで気づいたことを本書にまとめました。



それでは、わたしの独断と偏見で、本書から興味を持った「VSS」を取り上げてみようと思います。
この記事で紹介すること以外にも有益な情報満載の本ですので、ぜひ手に取って読んでみることをおすすめします。
期待を「VSS(ヴィジョン、ストーリー、シナリオ)」で考える
ゴールを成功、達成に導こうとするとき、著者は独自の手法「VSSマネジメント」を用いるそうです。
「VSSマネジメント」とは、現在からゴールまでの道筋を映画のようにストーリー化し、その裏側にあるシナリオを徹底的に考えていく方法です。
- V=ヴィジョン(到達したいゴールを描く)
- S=ストーリー(現在からヴィジョンにたどり着くまでのプロセスをストーリー化する)
- S=シナリオ(現実がストーリー通りに運ぶよう支援するための台本を作る)
V=ヴィジョン(到達したいゴールを描く)
まず、ヴィジョンとは、ゴールです。
到達できるゴールをまずは明確にします。このヴィジョンを描く際に重要なことは、ワクワクできることだと著者は言います。
なぜなら、ワクワクできることが、ゴールに至るまでに出合う困難や壁を乗り越えるために不可欠なモチベーションの源泉になるからです。
S=ストーリー(現在からヴィジョンにたどり着くまでのプロセスをストーリー化する)
ストーリーは、そのゴールに至る道のりです。
著者がラグビーの監督ですので、ラグビーにたとえますと「負け続きのラグビーチーム。一致団結して勝利に向かおうとするも、けが人が続出、内紛が勃発、チームが空中分解するなど、度重なる試練を経験します」
しかし、最終的にはチームが一つになって、貴重な1勝を手にした・・・・・・と、いったようなストーリーをあらかじめ作っておくのです。
スポーツだけではなく、どのような分野でもゴールまでの道のりは、楽しいことばかりではありません。
困難や、乗り越えなければならない壁がたくさん現れます。
このときに重要なのが、ヴィジョンでの「ワクワク感」とあらかじめそうした逆境を想定したストーリーなのです。
それにより、本当にそれが現実になったときも、くじけずに乗り越えることができるのです。
S=シナリオ(現実がストーリー通りに運ぶよう支援するための台本を作る)
シナリオとは、ストーリーを映像にしていくための演出です。
たとえばラグビーで、ケガ人が出たとき、負けたとき、どんなミーティングをするのか、そこで自分がどんな役回りを果たすのか、周到に準備するのです。
企業の組織でも、目標達成がほとんど無理、という状況になったとき、メンバーは意気消沈します。そのムードを払拭するために自分は何を言うべきか、再びモチベーションを上げるために何をすべきか、を考えておくことが必要だということです。
ストーリーが全員で共有し、困難を乗り越えるためのものならば、シナリオはストーリーが想定通りに運ぶように裏方から支援するための台本ということです。
VSSの流れ


正しく期待をかけ、最高の成果を引き出すために
期待をVSSでマネジメントする
他者に期待をかける場合のVSSの描き方は次のとおりです。
- 期待をかける相手のスタイルを明確にする
- その人のスタイルを反映したVSSを描く
- それを本人とすり合わせる
このような流れで進めていくのです。
たとえば、部下の半期営業目標の相談に乗ったときに、部下が「新規開拓件数にこだわって営業売り上げ目標を達成する」という目標を立てたとします。
それ自体は悪くないのですが、部下はどちらかといえば、新規開拓は得意ではなく、これまでに獲得した顧客との信頼関係を高めることが得意なタイプだとしたら、部下に向いている営業スタイルをアドバイスするのが、マネジャーとしての仕事なのです。
ですのでマネジャーは、部下の目標を立てる時にこのように配慮するといいと著者は言います。



新規開拓件数を営業目標に入れるのは、現実的だけど、同じ数字を達成するにしても、一つひとつの顧客を深掘りして、大型受注に結び付けたほうが、君らしいのではないか?
だったら、「既存顧客の受注額を平均して1.2倍にする」
というほうが目標としては良いと思うが、どうだろうか。



おっしゃるとおりです。
正直そのほうが、ストレスがありません。
実は新規開拓って、得意ではないし・・・。
でも、新規開拓件数が少ないと、途中で数字が伸びなくなるのではないかと不安なんです。



それでも、苦手な新規開拓に必死になるより、得意先との信頼関係作りに一生懸命取り組んだほうが、数字が伸びるはず。
そんなときこそ、顧客との対話の中から見出した課題の解決を、企画提案に盛り込んだほうがいいと思うよ。



確かにそうですけど・・・・・・。



もし、数字が伸びなくても、君は自分のスタイルを信じて続けたほうがいい。
そこがブレない限り、わたしも君のお尻を叩いたりしないよ。



はい、わかりました。
つまり、
「顧客との信頼関係を構築することにより、受注できる」というスタイルをもとに、
「既存顧客の受注額を平均1.2倍にする」というゴールを設定し、
「そのために既存顧客との会話から課題を見出し、その提案にじっくり取り組んでいく」
「数字が伸びないという逆境が訪れていても、粛々とスタイルを貫いて乗り越える」というストーリーを描くのです。
そして、本当に逆境に陥ったときには、
「スタイルを貫いている限りはマネジャーもお尻を叩かない」というシナリオを作っておく、ということです。
期待をかけるときに陥りやすい思い込みのわな
でも、このような対話をするには、期待をかける側も、期待をかける相手も、その人のスタイルを理解していることが前提です。
最もリスクが大きいのは、『期待をかける側が、かける相手を理解している』という思い込みです。「なんとなくこんなやつ」という決めつけが実ははずれていることも少なくないといいます。
気づかぬうちに、思い込みで人を判断するクセがついているということです。
思い込みというのは、いくつかのタイプがあるといいます。
ステレオタイプに起因する思い込み
ステレオタイプとは、多くの人に浸透している固定観念や思い込みのことを指します。
たとえば国籍・宗教・性別など、特定の属性を持つ人に対して付与される単純化されたイメージがそれに該当します。
○○県出身だから・・・。
A型だから、こうだろう。
人事部出身だから。
○○大学出身だから、こうだろう。
ひとは、どうしてもこのようなステレオタイプから離れることが難しい生き物だと著者は言います。
ステレオタイプで物事を判断しがちなのは、毎日、人はあまりにたくさんの情報に触れるので、世間的な価値観に照らし合わせたり、今までに出会った似たタイプに当てはめたりすることによって、その膨大な情報を処理しようとしているからです。
自分の経験からの思い込み
自分の経験から、「自分だったらこうする」という思い込みも要注意です。
「前に会ったあいつと似ているから、きっとこうするに違いない・・・・・・」
「自分はこれがストレスを感じないから、きっと彼もそうだろう」
といふうに、知らず知らずのうちに、このような考え方をしているおそれがあると著者は言います。
社会的な常識からくる思い込み
さらに人は自らや、一般的な価値観から生まれる「〇〇らしさ」という思い込みから逃れにくいといいます。
たとえば、「上司らしく」、「先輩らしく」、「リーダーらしく」、「新人らしく」、「長男らしく」というような言葉を使ったことは、誰しも少なからずあるのではないでしょうか。
しかし、この社会的な常識や肩書からくる「らしさ」を押しつけることもまた、その人の個性を見失わせるリスク要因で、こうした思い込みは、期待をかける側による「強制要望」だと著者は言います。
本人が自分のスタイルを知るために必要なこと
「引力」の影響をなるべく遠ざける
期待をかけられる本人が、自分自身のスタイルを理解しているとも限りません。
というのも、本人が「やりたい、こうなりたい、自分はこんなスタイルだ」と自認する内容が、必ずしも本当にその人に合っているとは言えないからです。
自分の「やりたい」「こうなりたい」を考えるとき、うちの会社の営業らしさ、成功体験など自らの経験や価値観、リーダーらしさ、長男らしさなど、一般的な役割意識を自らに押し付けている、つまり「引力」の影響を受けていることが多々あるそうです。
つまり、本人ですら何が「自分らしい」のか、わかっていないということです。
わかりやすい例が、就活中の学生さんで、希望企業がグローバルに活躍できる人材を求めているとすれば、自らの将来目標を「グローバルに活躍すること」に定め、それに合わせて自己PRを作り上げます。
もちろん、それが本当にやりたくて、向いているなら何の問題もありません。
でも、実際には世界で広く活躍するよりも、ある領域の中でコツコツと専門領域を深めていくことのほうが、本人の志向にも適正にも合う場合だってあります。
あるいは、将来的に起業したいので、ベンチャー企業に入り経営者の間近で働きたいという志向を持つ学生が、「大手に入って安定した人生を歩んだ方がいい」という親の価値観を、いつしか自分の価値観とすり替えていることも少なくないそうです。
やりたいこと、なりたい自分が、本当に自分自身の希望を反映しているのか、よくよく見極めなければいけないということです。
そして、そのやりたいこと、なりたい自分が、そもそも自分に向いているかどうかが、わからないこともあります。
つまり、その人のスタイルを反映したVSSを描こうとするなら、、本人も、期待をかける側も真剣に志向や適性を考え、話し合う時間が必要になるということです。
人は「多面体」という前提で、情報を集める
期待をかける側、期待をかけられる本人が話し合いをするだけでは足りない場合もあります。
というのも、期待をかける側の思い込みもありますし、本人自身が自分の志向や適性をわかっていない場合もあるからです。
ですので、できるだけ多くの人から情報を集めることが大事です。
人は「多面体」です。
本人が見ている彼、期待をかける側が見ている彼、そしてそれ以外の彼を取り巻く「第三者」、たとえば親、友だち、恋人、同僚が見ている彼は、それぞれ異なる場合が多いといいます。
「君は○○なタイプだよね」とか「あなたってA型っぽいよね」といわれたとき、違和感を感じることだってあると思います。
確かにその人が深く知らない場合もありますが、その人にとっては、それが「事実」なのです。
たとえ「自分はそんな人じゃないのに」と思ったとしても、ある人から見たらそうだったというのは、無視はできないということです。
そう考えると、VSSを描く前提となる「その人のスタイル」を知るには、期待をかける側、期待をかけられる本人だけが考えても、非常に一面的な情報でしかその実像をとらえられないといえます。
そこで、「第三者」です。
本人すら知らない「スタイル」を「第三者」が知っている場合もあり、もし、その情報を得られなかったとすれば大きな機会損失になりかねないと著者は言います。
まとめると、
- 期待をかける側が、自分が持っている期待をかける相手の情報を整理する
- 周辺の第三者からできるだけ情報を集める
- 期待をかける相手、本人も自分のスタイルとVSSについて考える
- そのうえで、期待をかける側、かける相手双方ですり合わせる
ということになります。
もし「第三者」からの情報が手に入らなかったとしても、最低限、期待をかける相手と、スタイルとVSSをすり合わせる場を持たなくてはいけません。
「ミスマッチを起こさない」ということが、期待のマネジメントの最低限ルールであることを、しっかり認識することが大切です。
VSS実践編
STEP1 スタイルを反映した「V(ヴィジョン)=ゴール」を描く
まずは、その人のスタイルを反映した期待のゴール、すなわち「V=ヴィジョン」を描きます。
設定としてここでは、期待をかける側のマネジャーも、期待をかけられる部下本人も、自らのスタイルを理解していないという状態で進めていきます。



今回は、新規開拓件数にこだわって、営業目標を達成しようと思います。
具体的には、前期の倍の20件を開拓したいです。



うーん。それって、何かしっくりこない。なぜだろう?
そもそも、営業の仕事で、君の好きなことって、何?



えーと、考えたことなかったですけど、そういえば、お客さんんと話しているときが一番好きですね。
仲良くなったお客さんのところは、数字も伸びます。
新規開拓もけっこう得意だとは思うんですけど・・・・・・。



そうだよね。
でも、君の隣の席のA君に聞いたところ、新規開拓に行けというと、すごく嫌な顔をするって言ってたよ。(「得意」と「適性」の確認)



あ、そうです。すごくやる気なくなります。
なんか・・・、拒否される感じがイヤなんですよね。



だとしたら、新規開拓にこだわるといっても、モチベーションが下がるだけだよね。(「苦手なこと」の確認)



確かにそうですよね。



新規開拓よりも、既存顧客1社1社の売上を伸ばして、営業目標を達成するほうが現実的だとは思わない?



そのほうがしっくりきますし、やる気が出ます。



部全体の中で考えると、君は対前年比130%くらいの目標にしたいんだけど。



う~ん。去年達成できませんでしたからね・・・・・・。



あ、そうだったね。であれば、まずは120%にしておいて、成功体験を積もうか。
そうすれば自信が持てるかもね。(「目標の高さ」の確認)



はい!
「その人のスタイルを反映したゴールの設定」に至るダイアログのなかでマネジャーが確認したものは、
- 好きなこと
- 得意なこと
- 適性
- 嫌いなこと
- 苦手なこと
- 目標の高さ
です。
これらは、ゴールを設定するために、できるだけ確認したい要素です。
これらを導き出すために、3つのポイントがあります。
- 好きな領域・嫌いな領域を考える
- 得意な領域・苦手な領域を考える
- スタイルに合った目標の高さを考える
この3つのポイントをもとに期待をかける相手とすり合わせをしてみることが大事です。
STEP2 スタイルを反映した「S(ストーリー)=達成までのプロセス」を描く
期待をかける相手のスタイルを反映した、ゴールを達成するまでのプロセス、すなわち「ストーリー」を描きます。
実はストーリーこそ、その人のスタイルが最も表れるそうです。
その人らしいゴールを設定しても、ストーリーがその人のスタイルとかけ離れていたら、達成ができない場合もあります。
逆に、たとえゴールに「その人らしさ」が反映できなくても、ストーリーがその人のスタイルを強く反映したものなら、ゴールの達成は可能なのです。
では、具体的にイメージするために、ストーリーを描いてみましょう。



今回は、お客さんと仲良くなって、数字を上げていくことにします。



でも、単に仲良くなるだけで数字が上がってくるとは思えないなあ。
特に数字が伸びるお客さんは、他のお客さんと何が違うんだろう?(「人に向き合う態度」の確認)



うーん。いろんな話をしていく中で、お客さんの課題が見えてくるんですよ。
それを真正面からぶつけて、結果的に受け入れてくださるお客さんは、大型受注になったりしますね。(「物事に向き合う態度」の確認)



そういえば、複雑な課題にはかなり没頭して取り組むよね。



論理的に課題を突き詰めていくのが好きなんです。



じゃあ、今までそれができなかった顧客とも対話を深めて、課題を見つけて、考え抜いて提案する。そして、取り引きを大きくしていく。
そんなスタイルに今期はこだわっていこうか。



そうします。
ただ、新規開拓しないと、数字が伸び悩んだときが怖いですね。



新規開拓したいか?



ぶっちゃけ、イヤです。



じゃあ、しなくていいよ。
期の最初の3カ月は、数字を気にしなくていいから、まずは顧客との関係作りに時間とパワーを注いでいこう。
それが実を結んで、期の後半で数字が伸びる。そんなストーリーを描いておこう。
(「あり得る逆境とそれに向き合う態度」「ゴールに到達するまでのスピード感」の確認)



そうですね。
じゃあ、まずはお客さんと会話する時間を多くとって、企画提案に力を注ぎます。
この会話のキーワードが、
- 人に向き合う態度
- 物事に向き合う態度
- ゴールに到達するまでのスピード感
と、それに加えて、
- その人のスタイルに起因する逆境
- それに向き合う態度
も確認しています。
もちろん、これらがすべてではありませんが、特に最初の3つのポイントはその人らしいストーリーを描くために重要であります。
STEP3 スタイルを反映した「S(シナリオ)=演出用台本」を用意する
ストーリーができたら、最後は演出のシナリオです。
現実がストーリー通り運ぶように、支援するための台本を用意しておくのです。



数字が伸びないっていう逆境に陥ったとき、心配になりそうなことは何かある?



やっぱり、焦っちゃうことですかね。
新規開拓したほうがいいんじゃないか、とか、余計なことを考えるんです。



じゃあ、数字が伸びなくても、私はお尻を叩かないよ。だから焦らずがんばれ。(部下と共有するシナリオ)
《同時に心の中で:あまりに数字が伸びない時には、数字に結び付ける提案が得意な先輩にさりげなく同行させよう》(マネジャーだけが持つシナリオ)



はい。
あと、もう一つ心配事があるんですけど。課題を見つけることにこだわると、ついついお客さんとケンカしちゃうんですよね。



そうだったね。
確かに、あまりに真正面からぶつかり過ぎて、お客さんとケンカすることがあるもんなあ。



ガマンしたほうがいいんですよね。本当は・・・・・・。



もちろん、トラブルはないに限る。
でも、本質的にはトラブルを恐れず、真剣にお客さんのことを考えるそのスタイルは貫いたほうがいいね。
それが結果的に数字につながるのであれば。



そうですね。そうします。



そのトラブルが真摯に取り組んだ結果であれば、一緒に謝りに行くよ。(部下と共有するシナリオ)
この流れを見ていると、シナリオを共有すべきときは、期待をかける側が、ストーリー通りに運ばせるために一役買わなければいけないときです。
たとえば、その人のスタイルを貫いたときに、トラブルになりそうなリスクがあったとします。
そのリスクが不幸にも現実になってしまったときに、本人がどのように振る舞ってそれを乗り切るかは、共有しておかなければなりません。
それともう一つ、期待をかける側だけが持っていればいいシナリオもあります。
それは、ストーリー通りに運ばせるために、期待をかける側だけがアクションすればいい、あるいはそのほうが効果的な場合です。



今回は「VSS」についてだけ、取り上げてみました。
きちんとヴィジョンを掲げ、ストーリーをつくり、シナリオで補正し演出することができれば、どのようなことも成功に近づいていきますね。
ぜひ実生活で取り入れていきたいものだと感じました。
『人を育てる期待のかけ方』の感想・まとめ
「正しい期待」は、人生を救う。
ものごとをポジティブに考える人もいれば、ネガティブに考える人もいます。
どちらがいいかは、わかりませんが、偏り過ぎはいけません。偏ってしまうのは、「正しい期待」ができていないからだと思います。
「正しい期待」をするためには、本書で紹介された「VSS」を用いるのが最適解です。
そのためにも「公正に見る目」と「経験」を積み、正しい自己判断ができるようにしたいものですね。
自分らしい人生を送るためにも、自らのスタイルを問い直し、それに沿ったVSSをぜひ作りましょう。
「期待は成長や成功を阻むものではなく、成長や成功を支援する欠かせないテクニック」です。
ぜひご一読ください。
『人を育てる期待のかけ方』は、現在(2022年9月1日時点)amazonの本読み放題サービス「キンドルアンリミテッド」の対象になっています。
キンドルアンリミテッドは、ビジネス書からマンガまで幅広いジャンルの本が読み放題です。ぜひこの機会にご検討ください。
『人を育てる期待のかけ方』の概要
本書の目次
『人を育てる期待のかけ方』
はじめに
第1章 なぜ、あなたの期待はかなわないのか
第2章 正しい期待が、人を成長・成功に導く
第3章 他者への期待を使いこなし、最高の成果を引き出す
第4章 自分への期待をコントロールし、ゴールを達成する
第5章 《実践》期待のマネジメント
第6章 成長しつづけるための期待の哲学
おわりに
著者の紹介
中竹竜二(なかたけ・りゅうじ)
株式会社チームボックス 代表取締役。
1973年福岡県生まれ。早稲田大学卒業、レスター大学大学院修了。
三菱総合研究所勤務後、2006年に早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任し、自律支援型の指導法で大学選手権二連覇を果たす。
2010年、日本ラグビーフットボール協会 において初めてとなる「コーチのコーチ」、指導者を指導する立場であるコーチングディレクターに就任。
2012年より3期にわたりU20日本代表ヘッドコーチも兼務。2019〜21年は理事を務めた。
2014年には、企業のリーダー育成トレーニングを行う株式会社チームボックスを設立。
2018年、コーチの学びの場を創出し促進するための団体、一般社団法人スポーツコーチングJapanを設立、代表理事を務める。
ほかに、日本車いすラグビー連盟 副理事長 など。
著書
『自分を育てる方法』ディスカヴァー・トゥエンティワン (2022/1/28)
『ウィニングカルチャー: 勝ちぐせのある人と組織のつくりかた』ダイヤモンド社; 第1版 (2021/2/16)
『新版 リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは』CCCメディアハウス (2018/1/17)
『判断と決断』 東洋経済新報社 (2011/3/3)
『挫折と挑戦 壁をこえて行こう 』PHP研究所 (2008/6/27)
『どんな個性も活きるスポーツ・ラグビーに学ぶ オフ•ザ•フィールドの子育て』エッセンシャル出版社 (2020/12/24)
『鈍足だったら、速く走るな』経済界 (2011/5/25)
『部下を育てる リーダーのレトリック』日経BP; 第1版 (2013/8/26)
共著
『insight(インサイト)いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力』英治出版 (2019/6/26)
『失敗から何度でも立ち上がる僕らの方法』PHP研究所 (2016/2/26)




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