
こんにちはコウカワシンです。
今回は、Dr.ヒロ(ドクター・ひろ)さんの著書『思い通りに人を動かすヤバい話し方』から学ばせていただきます。
『思い通りに人を動かすヤバい話し方』は、どんな本?
『思い通りに人を動かすヤバい話し方』は、ズバリ!「心理操作による説得術(洗脳術)」を教える本です。
本書はこのような本
人と話す仕事をされている人は、感じているでしょうけど、どんなに丁寧にきれいな言葉で相手に話しても伝わらないときがあります。
人と話をするということは、コミュニケーションをとるということですが、コミュニケーションは、学問でいうと国語よりも心理学に近いという人がいます。
人気YouTuberのDr.ヒロ(ドクター・ひろ)さんです。
ヒロさんの著書『思い通りに人を動かすヤバい話し方』では、心理学によって相手の心を動かすスキルを余すところなく教えてくれます。
本書がおすすめな人
『思い通りに人を動かすヤバい話し方』がおすすめな人
- 営業マン
- 話しベタで、上手に話せるようになりたい人
- 人から好かれ、信頼されるようになりたい人
- 異性からモテたい人




『思い通りに人を動かすヤバい話し方』の要点は?
話がうまい人とは、日本語を正確に使える人ではなく、相手の心に響く話ができる人です。
そのために必要なスキルは、「適切な言葉の使い方」ではなく、「適切な印象の与え方」です。
本書は、きれいな言葉の使い方についての解説ではなく、「印象操作」のやり方について重点的に解説しています。
印象操作のコツさえ知ってしまえば、口ベタな人が口ベタなままでも「あの人はコミュニケーション能力が高いなあ」と思ってもらうことが可能です。



それでは本書から、わたしの独断と偏見で、気になるポイントと話を上達させるスキルの一部を紹介したいと思います。
ほかにも有効なスキルがたくさんの本ですので、気になる方はぜひ手に取って読んでみてください。
うまい話し方をするには「印象」が大事
口ゲンカは勝ったほうが損をする
著者は、「口ゲンカは勝ったほうが損をする」と言います。
なぜなら、口ゲンカで勝ってしまったら相手の心象が最悪になるからです。
セールスを含めてコミュニケーションの鉄則というのは、「口先で勝ちを譲って、取引で勝たせてもらう」ことです。
著者は子どものころから頭がよく、同級生が1つのことを考えるうちに2つも3つも考えが浮かんだそうです。それにより「会話が成立しない」というコンプレックスをつくってしまいました。
頭の回転にまかせて、相手の反応を待たずに自分のペースで早口でマシンガントークをまくしたてるイヤな子どもだったと振り返ります。
そうなると、相手の印象は悪くなるばかりで、とても「話のうまい人」ではありません。
マシンガントークは、実は口ベタと同じで「話が下手な人」なのです。
コミュニケーションというのは、相手の心を動かすために行う行為なので、印象を悪くする話し方がうまいとはいえません。
つまり「上手な話し方」とは、文法的に正しい日本語を短時間で大量に発音することではなく、相手の心を動かせる話し方をすることなのです。
そのためにも相手の自分に対する「印象」は、気をつけるべきなのです。



「話し上手は、聞き上手」といった内容のハウツー本が、かなり出版されていますよね。
たしかにその通りです。
聞き上手ということは、コミュニケーションの基本といえるものですが、それと同時に「自分のことは話すな」ということも書かれていたりします。
つまり、会話が成立しない話はしてはいけないということですね。
相手の心理を読み、誘導するために心得ること
相手の心理を読み、誘導することを、聞こえは悪いですが、「洗脳」と言います。
本書で教わる「洗脳」って、カルト宗教などがやっているようなヤバい内容ではありません。
「相手を自分の誘導したい方向に動かすこと」を本書では洗脳の定義としています。
たとえば、テレビで見る全財産や命を奪うような事件も、エスティシャンがお客様から契約を取るのも、どちらも洗脳です。
「相手の心をどれくらい大きく動かすか」の違いでしかないのです。
ということは、「うまい話をする」ということは「洗脳力のある話し方」をするということにほかなりません。
洗脳で一番重要なのは「ポジショニング」です。
ポジショニングとは文字通り「どんな立場を取るか」ということです。
「この人の言うことを聞いておいたほうがいい。むしろ言うことを聞きたい!」と思わせることが洗脳の最重要ポイントになるということです。
自分の立場や立ち位置を有利にするために発言することを「ポジショントーク」と言います。
発言内容でポジショニングしようとするとポジショントークと批判されるかもしれません。
ですが、見た目・振る舞い・話し方でのポジショニングなら、気づかれることもなく、批判されることもなく、受け入れられやすいと著者は言います。
つまり、良いコミュニケーションをとり、自分の話を聞いてもらいたいなら、話す内容をあれこれ考えるのではなく、視覚・聴覚的にアプローチせよと言っているのです。



「馬を水辺に連れて行っても、水を飲むのは馬の勝手だ」という話を以前聞いたことがあります。
しかし、馬に水を飲ませるためにやれることはあるということですね。
つまり、話す内容より、話を聞きたくなる工夫をしろと著者は言っているんだと思います。
コミュニケーションの9割は見た目で決まる
「メラビアンの法則」をご存知でしょうか?
「メラビアンの法則」は、1971年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学名誉教授であったアルバート・メラビアン氏によって発表されました。
人と人がコミュニケーションを図る際に好印象を与える極意を表す法則として、「3Vの法則」,又は、「7-38-55の法則」とも言われます。
「メラビアンの法則」=「3Vの法則」=「7-38-55の法則」
言語情報=Verbal(7%)「ほとんど重要ではない」
聴覚情報=Vocal(38%)「まあまあ大切」
視覚情報=Visual(55%)「半分以上占める」
これを見ればわかるように、大切なのは、どんな見た目の人が、どんな振る舞いで、どんな声の出し方で話すのかです。
つまり、コミュニケーション能力を磨こうとして「正しい日本語の使い方」や「人の心を動かすフレーズ集」とかを重点的に学んでも、それはまったくの無駄ということなのです。
「上手に話せるようになりたい」と悩んでいる人は、7%しかない言語情報ばかり気にしてしまっている人がほとんどではないでしょうか。
うまい話をするうえで大切なのは、視覚情報(55%)と聴覚情報(38%)なのです。
ブサイクでも雰囲気イケメンになれる
上手に話をするためには、興味を持って話を聞いてくれる相手が必要です。
ブサイクが知恵を絞って入念に練り上げた渾身の面白い話より、イケメンが適当に話す「好きな食べもの」のほうが1000倍の興味を持って聞いてもらえます。
つまり、イケメンになればいいのです。
ブサイクにだってやりようによってはイケメンになります。
たとえば、今までよりちょっと高い美容室で髪を切ったり、ヒゲ脱毛をしたり、歯列矯正をしたり、眉毛サロンに行ったりです。
著者はこの方法で、ルックス偏差値40から、50くらいにはなれたといいます。
着る服にだって、気をつけましょう。
イメージアップを図るのも大事ですが、まずは自分に似合っているもので、他人から見てさわやかに映るものです。


見た目に自信がない人は、まず「ダサい」から卒業しましょう。
世間一般での美男美女にはなれなくても、自分史上で一番カッコいい、キレイを目指すべきです。
それを続けていけば雰囲気イケメン、雰囲気美女に必ずなれると著者は言います。
大事な相手に自分の話を聞いてもらうための一番重要な第一歩であるとも言います。


見た目を磨くために、自分に投資をしましょう。
著者は、「ブサイクに限って見た目にかけるお金をケチる」と、指摘します。
たとえば、著者が「5000円の店で髪切っておいで」というと、「今まで1000円だったので3000円の店に行ってきました」と言い、あまり変わり映えのしないヘアスタイルに満足しているといった感じです。
でも「アドバイス通りにしたのに成果が出ない」と文句をいう結果になることが多いともいいます。
一流とまではいかなくても、単価の高い美容師さんは自分に似合うカッコいいヘアスタイルにしてくれるでしょう。
著者は、「ブサイクは、生まれつきじゃない。その人のマインドが作り上げている」と言います。
現代では、ほんの少しのお金で誰でも身なりを整えられるのに、それを本人が阻害しているのです。



実際に、イケメンや美女は、そのまんまでも美しいのに、いつも身なりをきちんと整えていますよね。
見た目に気を使い、お金を惜しんでいないということです。
いいところはどんどん真似していきましょう。
話し方を上達させる
言葉よりボディランゲージ
日本の政治家が欧米に比べて体が小さく感じる要因は、日本人の体格の差だけではなく、体を大きく使わない人が多いことが関係していると著者は言います。
体を大きく使わないというのは、ボディランゲージ不足ということです。
メラビアンの法則で55%を占める視覚情報には、当然見た目の良し悪しも含まれますが、立ち振る舞いや、身振り手振りも含まれます。
著者もご自身のYouTubeでは、立ち振る舞いやボディランゲージを意識して取り入れているそうです。
「話しながらいろんな動きをするのは難しい」と考える必要はありません。
大きく分ければ、覚えるべき動きは次の4つです。
ボディランゲージ、基本の4つの動き
- 上下に動かす
- 横に動かす
- 円を描く
- 止める
この4つの動きを左右の手で交互に(ときには両手を同時に)動かすだけで、ボディランゲージがうまい人になるとのことです。


これだけのことで、仮に話の内容がつたないままでも、相手に与える印象・影響力は圧倒的に変わるといいます。
慣れないうちは、2パターンに絞って試してみるだけでもだいぶ印象が変わるとのことです。



ボディランゲージの練習は、自分が話しているところを録画するのがおすすめだと著者は言います。
大事なプレゼンがあるときは、めんどうかもしれませんが録画して練習してみましょう。
話すときの姿勢に意識してますか?
ボディランゲージだけではなく、姿勢も重要だと著者は言います。
スポーツでも音楽でも書道でも武術でも、姿勢(構え/フォーム)がいい加減なまま上達することはありません。
トークも例外ではなく、正しい姿勢をとれば上達が早くなりますし、姿勢がいい加減だと上達は遅くなるそうです。
鏡を見ながら修正すれば簡単に合格点が取れて、しかもほかのパフォーマンスの土台になるのが姿勢です。
トークする際にとるべき姿勢を顔・背筋・腕・脚の分けて、鏡を見たり、話している姿を撮影したりして、正しい姿勢に近づけられれば、自然とうまい話し方ができるようになります。
顔
顔は、眉と口角の2つのパーツに気をつけるだけで、いい表現が作れます。
まず会話するときは基本的に口角を上げましょう。
口角が上がっているだけで感じのいい印象を相手に与えることができますし、声も自然と明るくなります。
スマホで自撮りして、口角と眉を上げた状態、下げた状態を見比べてみるとぜんぜん違うこと気づくはずです。
表情は、人とコミュニケーションを取るときには常に作りましょう。
自分が話しているときだけでなく、話を聞くときや、電話で相手から顔が見えないときも必ず表情をつくりましょう。
背筋
背筋は伸びているに越したことはありませんが、就活の面接みたいにピンと伸ばし過ぎると不自然になりがちなので、やりすぎは禁物です。
しかし、猫背や、首が前に出過ぎていると体が小さく見えてしまうので、そこだけは気をつけましょう。
椅子に座った場合は次の3つを意識してみましょう。
- 椅子を思いっきり引く
- 椅子に深く腰掛ける
- 背もたれを使う
もちろん就活の面接では「背もたれを使わずに浅く腰掛けて座る」がいいとされますが、コミュニケーションにおける最優先は、疲れない自然体でいることです。
疲れた結果、結局気づいたらダラシない姿勢になったり、不自然に力が入ってぎこちない姿勢になったりしたら、元も子もないのです。
腕
腕はボディランゲージにとても重要なパーツです。
話に合わせて手を動かすのですが、動かしていないときにはどうするべきかというと、常に肩と腕は開いておくことだそうです。
腕組みはNGです。というのも腕は心の状態を拡張して表現する機能があるからです。
腕組みは防衛反応や拒絶を表すので、腕組みをしている人は心を閉じている印象を与え、コミュニケーションを取りづらいと感じられます。
逆に腕を開いている人は心を開いた状態なのでコミュニケーションを取りやすい印象になります。
また、テーブルをを挟んで向かい合って話すときは、自分と相手の間に物を置かないことも大切です。
なぜなら、間に物が置いてあると、腕を組んでいるのと同じような「ここから先には入ってこないで」とバリア働いてしまうことがあるからです。
逆にあまり距離を詰めてほしくない人には、腕組みや物を使ってバリアを張ると心地よい距離感が保てるともいえますので、ケースバイケースで使いましょう。
脚
脚はあまり気にしなくてもいいと著者は言います。
ですが、何かしらの正解があったほうが安心する人もいるでしょうから、2つの選択肢を提示されています。
基本姿勢の1つは、少し脚を開いて足裏をしっかり地面につける姿勢です。
これが一番力を入れやすく、いい声で話しやすいといいます。
足をピタリ閉じてしまうと、緊張や警戒のサインになってしまうので、少し開けておくほうがいいとのことです。
基本姿勢もう1つは、相手に合わせることです。
相手が脚を開いているときは自分も開き、相手が脚を組んでいるときは自分も組みます。
同じ姿勢を取ることで、ミラーリング効果が働きます。
ミラーリング効果とは、「同じ姿勢やしぐさの相手に好感を抱きやすい」という心理効果です。
やりすぎるとイヤミになりますので注意が必要ですが、お互いのコミュニケーションがうまく進んでいる時には、親近感や信頼感が増すことが期待できますので効果的に使いましょう。



相手に好感を持ってもらうためには、身なりとともに体いっぱいに使って表現しないといけないということですね。
気をつけるポイントも意識していればできることばかりですので、とにかくやってみるべきですね。
動じないメンタル
上手に話すためには、リラックスしている必要があります。
つまり、「心の平静」です。
緊張とはやっかいなもので、「緊張するな!」と自分に語りかけても逆効果になります。
人前に立つと緊張して思ったような話し方ができない、なんていうことを経験した人は、多いのではないでしょうか。
著者も以前は緊張しただでさえ早口な話し方がさらに早くなり、マシンガントークを加速させていたそうです。
しかし、今ではほとんど緊張とは無縁になったといいます。
著者が経験から緊張をコントロールするために有効だったノウハウを3つ紹介してくれました。
動じないメンタルのつくり方
- リラックスした姿勢をとる
- 深い呼吸をする
- ゆっくり大きく動く
リラックスした姿勢をとる
意識すべきは「自然体」です。
不自然な姿勢では、パフォーマンスを発揮することはできません。
自然体とは、リラックスしているときに「ちょうどいいと感じる姿勢」です。
緊張しているときは、ついカッコよく見せようとか余計なことを考えてしまい方に力が入り、自然体とは遠くなってしまいます。
ですので、無意識でしているちょうどいい立ち方・座り方を、意識して覚えておくことが役に立つといいと著者は言います。
さらにもう一つ、緊張したときにとるべき姿勢は、ふだんの自然な姿勢より、ほんの少しでいいので体が大きく見える姿勢です。
これをリラックスしているときにやってみることを著者はすすめています。
というのも緊張しているときはどうしても平常時よりも遠慮しがちなので、少し体を大きく見せようとするくらいでちょうどいい姿勢になるからです。
深い呼吸をする
呼吸も姿勢と同様、とても重要です。「深い呼吸」は、声に深みを持たせます。
浅い呼吸だと、薄く響かない声になってしまいます。
緊張していると呼吸はどんどん浅くなってしまいますので、緊張しているときこそ意識して深い呼吸をするべきなのです。
さらに、深い呼吸を意識することで話のペースも調整できます。
基本的に話をするときは、速いより遅いほうがいい場合が多いです。
緊張を感じたときには特にゆっくり呼吸をして、ゆっくり話すことを心がけましょう。
ゆっくり大きく動く
前出の2つのポイントを押さえると自然とそうなりますが、「ゆっくり大きく動く」が基本になります。
たとえば、資料をカバンから取り出すときに、せわしなくガサガサとあさるように探すのはNGです。
カバンから資料を取り出すときに「あれ、あの資料どこにいったっけ?」と内心思ったとしても「これは間をためているだけ。この沈黙が感動に変わる」くらいの気持ちで、ゆっくりと動くことを意識しましょう。
それに付け加えて、お辞儀をするときにペコペコするのもやめましょう。
お辞儀をするときは、ゆっくり深く1回がベターです。



人間と緊張は切っても切れない関係です。
メンタルがほどよく安定していれば、ものごとがうまくいく確率が高いです。
ですので、著者がこれまでの経験で培ってきたこの3つの「動じないメンタルのつくり方」は、大変参考になると思います。
しかもどれも難しいものではありません。
意識して、試してみましょう。
本当に使える心理効果
会話で気持ちよくさせる「ペーシング」
「ペーシング」とは、話す速度・声の大きさや高低、相づちや頷きの頻度・タイミングなど、非言語的な伝達によって信頼関係を生みだそうとするコミュニケーションスキルです。
心理学用語で、カウンセリングの手法の一つですが、ビジネスの分野でも広く用いられる手法です。
誰かと会話をしていて、こんなことはありませんか?
「この人声大きすぎ」
「話すの速すぎ」
このように思い話しづらい思いをした経験をした人は少なくないでしょう。
ペーシングは会話のスピードを合わせることで親近感を高める技術です。
コミュニケーションの相手に、話すスピード・テンポ、声のトーン・大きさなどを寄せてみましょう。
さらに慣れたなら、相手の話し方を基準にして少しだけペースを変えます。
主導権を握りたいときは相手より少しだけ大きめの声で話すとよいとされています。
やり過ぎない範囲でちょっとだけペースを変えると、主導権が握りやすくなったり、相手のペースをコントロールできるようになったりします。



著者のペーシングテクニックは、相手に気づかれないように少しずつテンポを上げていき、相手が「話しやすい」「楽しく話せている」と思い込ますことだそうです。
セールスなどの商談では、そのようにすることで相手の思考時間が減るのでノリでYesを取りやすくなるのだといいます。
これは営業マン必須のスキルですね。
営業・セールスで使える「アンカリング効果」
「アンカリング効果」とは、最初に提示された数字や条件が基準(アンカー)に考えることで、その後に提示された別の数字への認識が異なるという現象です。
心理学における認知バイアスの一つと言われています。
たとえば、同じ商品を
「はい、この商品は1万円」
と言われるよりも
「はい、この商品は定価3万円なんだけど、1万円でいかが」
と言われたら、割安で何だか得した気分になりませんか?
これがアンカリング効果なのです。
何をアンカー(比較対象)にするかで、物の価値はまったく違って受け取られます。アンカリング効果を極めてしまえば何でも好きな価格で売れるということです。
たとえば、化粧品のセットを100万円で売るとします。
ふつうだったら買わないですよね。
「この化粧品は300万円のところ100万円になっていて大変お得です」なんて言ってもその化粧品に興味を持った大富豪以外は、買ってくれないと思います。
この場合、何をアンカーにするかがポイントです。
ふつうの人に100万円のものを売るなら、その人が100万円を抵抗なく払えるアンカーを探すことです。
ふつうの人が100万円以上を抵抗なく支払える買い物は何がありますかね?
おそらく多くの人が、車、家、大学の学費あたりを想像すると思います。これらをアンカーにして化粧品を売り込めばいいと著者は言います。
お客様に対してこのようなセールスはどうでしょう。



「車1台買っても人生が劇的に豊かになることはありませんよね?
なぜなら、車なんて誰でも持っている時代ですから。
しかし、もしあなたのお肌が10歳若返ったらどうでしょう?
想像してみてください。今の時代に10歳若返ったあなたがいたら、今と同じ服を着ますか?
10歳若返れば、出逢える人が変わってくると思いませんか?
毎日が楽しくなると思いませんか?
100万円という金額は決して安くはありません。
だからこそ、自分の人生にとって一番いい形で使うべきです。
今乗っている車をほんの数年長く乗って、次に買い替える車を中古の安い車にしたら、100万円くらいすぐ浮きます。
もちろん中古車より新車のほうが乗り心地はいいかもしれませんが、今想像した10歳若返る喜びと比べたら、どちらが大きな喜びになりそうでしょうか。
想像してみてください。
ほんの少し新しい車に乗るのと、あなた自身が10歳若返って新しい自分に生まれ変わるのと。
同じ金額で手に入るとしたら、人生が豊かになるのはどちらですか?」
このセリフの中に著者のアンカリング効果のテクニックがいくつも詰め込んであることにお気づきですよね。
このようなセールスを聞いていると、ついつい引き込まれていくのではないでしょうか。





このようにセールスされたら、ついついその気になっちゃう気がしますよね。
このような「アンカリング効果」テクニックは、商談の機会に能力を発揮します。
参考にしてぜひ使っていきましょう。
全部揃えたくなる心理「ディトロ効果」
「ディドロ効果」とは、「自分が気に入った商品を購入すると、その商品に合わせた雰囲気の物で統一したくなる」という心理現象のことです。
先ほどのアンカリング効果で高額な化粧品のセットをまんまと買わされてしまった人がいたとします。
その人は、他にも何か売りつけられる可能性が高いといいます。
というのも、一度でも高額商品を買ってしまったら、その人は販売員から見て「カモ認定」されます。
販売員はすかさず追撃するというわけです。



「こちらの化粧品をお買い上げいただいた方だけに、
特別にご案内しているサプリメントがありまして、
肌だけでなく内側からきれいになることでより若々しくいられるという・・・・・・」
話を聞けば、そのサプリメントは化粧品とセットで開発されたもので合わせて使うと2倍の効果が期待できるということで、化粧品を買った人の8割がセット購入し、98%の人が大満足しているということだそうです。
実際にサプリメントを使ったという人の写真をを見ると、確かに若々しい!30代にしか見えない女性がプロフィールを見ると50代。しかもそのサプリメントの箱は高級感漂い、化粧品セットのデザインと相性抜群。
しかも今買えば化粧品セットと一緒にサプリメントを入れられる本革性のメイクポーチもプレゼント!
これが「ディドロ効果」です。
「1ついいものを買ってしまうと、それに合わせてほかにもいいものを揃えたくなる」という心理効果なのです。



わたしも昔マラソンをやっていたのですが、ランニングシューズをNIKEのものにしたら、シャツもパンツも帽子もNIKEで揃えたくなったことがあります。
そんな感じですかね(笑)
思考力を低下させる「希少性の原理」
「希少性の原理」とは、希少性の高いもの(なかなか手に入らないもの)に人は価値を感じるという心理効果です。
実際には希少性がなかったとしても、希少性があると思い込んでしまえば、それが欲しくなるのが人間の心理です。
「今だけこの価格!」
「今なら、このアクセサリーも付けさせていただきます」
「限定100着、受付終了!」
このような宣伝文句を見た人は、かなり多いでしょう。
テレビショッピングといったら、この売り方ですよね。
希少性の原理は、その名の通り「手に入りづらいものほど高い価値を感じる」という心理効果を使い、「今買わないと手に入らないかもしれない」というプレッシャーを相手に与える手法なのです。
人は時間的なプレッシャーを感じると、驚くほど冷静な判断ができなくなると著者は言います。
このようなあおり文句は、昔から使われ続けていますが、効力が衰えることはありません。たぶん100年後もこのようなあおり文句は使われ続けることでしょう。
ほんのひと言つけ加えるだけで顧客の思考力を奪う効果がありますから、自分が使われたときには気をつけましょう。



昔は、このような宣伝文句で、いろんな商品を買ってしまったことがあります。
とにかく、わたしは騙されやすいということです。
「見たものが欲しくなる」「限定されたものが欲しくなる」といったことを克服したくて、テレビショッピングというものを見るのをやめました。
結果、買い物で「必要なもの」以外は、買わなくなりムダづかいする率が下がりました。
このようなものには近寄らないのがいいのかなと思います。
しかし、商売人はこの手を使わないのはもったいないです。
嫌味にならないようにさりげなく、顧客にアプローチしたいものですね。
印象を自在に操る「リフレーミング」
「リフレーミング」とは、物事を違う視点で捉え、ポジティブに解釈できる状態になることです。
たとえば、コップに水が半分入っているとします。
「コップには、水が半分しか残っていない」
という見方をすれば、なんだかネガティブなイメージになってしまいます。
でも、
「コップには、まだ半分も水が残っている」
とすれば、なんだかポジティブなイメージがわかないでしょうか。
つまり、「ものは言いよう」効果を利用したわけです。
決してうそを言っているわけではなく、ちょっと言い方を変えるだけで印象をガラリと変えることができるということです。
リフレーミングを使った例をあげますと。
「30万円で人生が変わります!」
と言われてもあまりピンときませんが、
「給料たった1カ月分の投資で今後60年の人生が変わります!」
だとか、
「今給料たった1か月分の投資を惜しめば、今後60年、720カ月にわたって今の生活がずっと続くかもしれません!」
と言われたら、実はすべて同じ内容なのに印象は大きく違いますよね。
基本的に人間は得よりも損に敏感な生き物ですから、「100万円儲かるチャンス」を「このチャンスを逃すのは100万円損するリスク」と言い換えるだけで、人を動かす力は強くなるということです。
ですので、目の前の人にどの視点からものを見させるかは、このリフレーミング次第なのです。



昔、木の実ナナさんが劇団を率いて公演した際に、1日2回公演をする日を憂鬱に思う劇団員に向けて、「さあ、今日もがんばろう! 今日は2回も公演できるんだよ。たくさんのお客様に観てもらえるチャンスだよ!」と言って鼓舞したそうです。
これもリフレーミングですね。
ポジティブに考えることは、気持ち的にも余裕を生む効果がありますから、ちょっと心理的にしんどいときに使っていきたいものです。
『思い通りに人を動かすヤバい話し方』の感想・まとめ
人前で話をする前にやるべきことがある
この本を読む前は、「どうすれば人に聞いてもらえる話をすることができるか」ということばかりを考えていました。
話す内容ばかり気にしてしまい、いざ人前に出てみたら、準備した内容の半分も言えていないことが大半で、相手には伝わらないなんていうこともありました。
きれいな言葉づかいで、正しく内容を伝えることも大事なことですが、相手にとって自分の話が聞きたくなるような工夫・準備までは考えていませんでしたね。
それを本書が教えてくれました。
この記事では、紹介できませんでしたが、本書は元マルチ商法トップセールスだった著者が、培った経験から「洗脳力のある話し方」のコツをたくさん教えてくれます。
それを駆使すれば、仕事や人間関係、営業・セールス、プレゼン、雑談から恋愛などに使え、良いコミュニケーションをとることができるでしょう。
社会人なら読んでおいて損ではないと思いますので、ぜひご一読ください。
『思い通りに人を動かすヤバい話し方』の概要
本書の目次
『思い通りに人を動かすヤバい話し方』
はじめに
第1章 『人を動かす』を読んでも人を動かせないあなたへ
第2章 「洗脳力のある話し方」の秘密
第3章 相手に好かれる「話し方」の極意
第4章 思い通りに人を操る「伝え方」の極意
第5章 会話の達人になる「聞き方」の極意
第6章 話し方を上達させる極意
第7章 悪用厳禁!強力すぎる心理効果
おわりに
著者の紹介
Dr.ヒロ(ドクター・ひろ)
洗脳系YouTuber。
YouTubeチャンネル「Dr.ヒロの実験室」を運営。
早稲田大学政治経済学部卒。
大学4年生の時に「経済セミナーがある」と言われてマルチ商法の勧誘を受け、以来6年間どっぷりハマる。
日々の活動を行いながらセールスや洗脳のノウハウを実践。4年目にトップセールスになり、月収7桁を突破。以降トップセールスを維持し続け年収8桁を達成する。
しかしマルチ商法を引退してからは一転して貧乏に陥る。破産寸前の中YouTubeを始め、マルチ商法や洗脳などについて発信。
SNSフォロワー0の状態から1年半でチャンネル登録13万人を突破。審査基準が厳格なVoicyでもパーソナリティを務める。
著書
『一撃で相手の心をつかむ ヤバい雑談力』SBクリエイティブ (2022/8/23)
Twitter(@hiro_jikken)
YouTube( https://www.youtube.com/c/hiro_labo )




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