
こんにちはコウカワシンです。
今回は太田泰彦(おおた・やすひこ)さんの著書『2030 半導体の地政学』から学ばせていただきます。
『2030 半導体の地政学』は、どんな本
『2030 半導体の地政学』は、ズバリ!「半導体を制す者が世界を制す」を知ることができるほんです。
本書は、このような本
昨今の台湾をめぐる米中対立。


表向きでは、台湾の独立を支持するアメリカと台湾は自国の領土と主張する中国が「内政干渉だ」と反発し起こっているといえます。
ですが、アメリカが台湾に肩入れするのは、それだけではないのではないかという見方がありますし、中国も台湾を手放したくない理由が他にあるとする事情もあるそうです。
それは、「半導体」ではないでしょうか。
今、「半導体」に関する動きが活発化しているそうです。
アメリカのバイデン政権は、政府助成による国内企業のテコ入れを急ぎ、台湾半導体の巨人TSMC(台湾積体電路製造)のアメリカへの誘致を進め、中国のサプライチェーンを分断する政策を矢継ぎ早に打ち出しました。
日本でも同様にTSMCの誘致を実現させるなど半導体産業の復興を目指した国家戦略が始動しています。
自動車で進むCASE革命をはじめ経済のデジタル化において半導体は大変重要な存在であり、需要は高まり高度化もますます進んでいます。
経済のグローバル化が進み、半導体をはじめとするテクノロジー産業では、国際的な分業・物流が発達しました。
米中で二極化する世界では、複雑化したサプライチェーンの要衝(ようしょう)を戦略的に支配下に置かなければ、経済の安定と競争力を保てなくなっています。
そして、かつての日本は「半導体王国」と呼ばれ、世界の市場を席巻(せっけん)しました。ですが、いまでは米韓台との競争に破れ、見る影もない姿です。
そんな日本に再びチャンスがやってくるのでしょうか?
そのようなことが気になったら、太田泰彦(おおた・やすひこ)さんの著書『2030 半導体の地政学』をぜひ読んでみましょう。
著者の太田泰彦さんは、日本経済新聞社編集委員。アメリカ、ヨーロッパ、アジアと外交、通商、イノベーションなど国際情勢をテーマに、世界を取材して回っています。
本書は米中対立の情勢分析、最先端の技術開発の現場ルポ、過去の日米摩擦の交渉当事者の証言などを交えながら、技術覇権をめぐる国家間のゲームを地政学的な視点で読み解き、日本の半導体の将来像がわかる一冊です。
本書が、おすすめな人
『2030 半導体の地政学』が、おすすめな人
- 半導体に興味のある人
- 半導体によって見える未来に興味のある人
- 半導体をめぐる世界の動きに興味のある人
- 米中対立に興味のある人
- 日本の半導体戦略に興味のある人




『2030 半導体の地政学』の要点は?
20世紀は、プロイセン王国の首相ビスマルクが「鉄は国家なり」と語ったように国の力の象徴、産業の中心は「鉄鋼業」でした。
21世紀に入り、現代の基幹産業となったプラットフォーマーでは、心臓に当たるのがデータセンターですが、その心臓を形づくる一つ一つの細胞が「半導体チップ」です。
自動車では、30~100個の半導体チップが使われ、電気自動車が普及すれば、もっと役割が重くなり、自動運転が実用化される頃には、半導体のかたまりのような電気製品になるといわれています。
社会においても、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進み、さまざまな異なる仕事をする少量生産の専用チップが必要になるそうです。
そして忘れてはならないのが、「軍事力の要」としての役割です。
兵器に搭載されているのは周知のとおりですが、その半導体の性能の差が勝敗を決める事例も出てきました。
2020年9月に黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方で起きたアゼルバイジャンとアルメニアの紛争は、まさに両陣営の「半導体の戦い」だったとされています。
アゼルバイジャン側が投入した偵察ドローンはイスラエル由来の兵器で、国境の向こう側からドローンを飛ばし、防御しやすいはず山岳地帯で攻撃対象をピンポイントで爆破しました。
一方、アルメニア側はロシア製のドローンで対抗しましたが、実はこのドローン・・・飛ぶことすらできなかったそうです。
搭載された半導体の性能は、さまざまな兵器の差となって表れます。
もはや高コストで大人数で動かす空母が活躍した戦争スタイルが、少数の低コストの兵器を少数の人間が操作する戦争スタイルへと変わっているのです。
つまり、「半導体を制する者が世界を制する」ということです。



それでは本書から、わたしの独断と偏見で、台湾をめぐる動き、世界は今、日本はこれからどうなる、といったことに視点を当ててみたいと思います。
台湾争奪戦
TSMCとは?
まず話題のTSMC(台湾積体電路製造)はどのような会社なのかを見ていきたいと思います。
TSMCは、世界最大の半導体メーカーです。
半導体メーカーといったら、インテルやサムスン電子などの名前が思い浮かびますが、自社で半導体の設計はしても半導体そのものを製造まではしない会社も多いそうです。
それらの会社の製造部門を担うのがTSMCです。
半導体集積回路の生産を専門に行う企業・工場をファウンドリーといいます。
一方、設備投資のかかる製造部門をもたず、製造は他社にまかせて、ソフト開発・販売などをもっぱら行って収益を上げることをファブレスといいます。
半導体集積回路の生産設備は莫大なコストがかかるため、1990年以降、一つの企業が設計開発から生産までを一貫して行う業態からファウンドリーとファブレスの分業化が進みました。
イメージではこんな感じです。


設計から製造まで自社で一貫してやるインテルやサムスン電子のような会社もある中、AMD、アップルなど多くの会社は、設計こそ自社でするものの製造はTSMCに委託しているのです。
これだけを見ると、ただの下請け企業に見えますが、2021年8月に製品値上げに踏み切ると、世界が震撼しました。高度なチップの製造技術と供給力を独占するTSMCには半導体チップの価格決定力があるからです。
2021年6月時点で時価総額は約61兆8000億円。世界で10番目に価値がある企業として市場に評価されています。
これは日本で時価総額首位であるトヨタのほぼ2倍だというから驚きですよね。
なぜここまで価値があるかと言いますと、TSMCに生産を委ねる企業は世界に約500社ほどあり、これらの企業との取引を通して、世界の需要を把握できる立場だからです。
つまりTSMCは、世界のファブレスにとって頼みの綱というわけです。
このように「化け物」と形容されるTSMCですが、これが災いすることがあります。
コロナ禍で、起きた半導体不足に拍車をかけた2021年3月31日の工場火災です。
火災現場は「FAB12B-P6」と呼ばれる最先端の半導体チップを極秘で試験的に量産するラインでした。関係企業の従業員が重体になるなど人的被害も出たことでパニックに堕ちったのです。



台湾は半導体産業が盛んであるということくらいは知っていましたが、これほどまでの会社があるとは知りませんでした。
けど、ここまでこのTSMCに半導体の製造が、かたまってしまえば、供給リスクが高まるのはわかる気がしますね。
やはり、分散しなければと考えます。
地政学を意識してリスクヘッジ
トランプ政権が、ファーウェイへの輸出にストップをかけるまでは、TSMCの売り上げの約半分はアメリカ向け、約2割が中国企業向けだったそうです。
つまり、TSMCにとってアメリカ企業だけではなく中国企業も大事なお客さんなのです。
アメリカ政府の立場からすれば、米企業の技術情報がTSMCを通じて中国に流出するのではないか心配するのは当然で、米商務省と国防総省は2018年から20年にかけて何度も担当者を台湾に派遣し、TSMCからのヒアリングを実施したそうです。
アメリカの信頼は、TSMCにとり絶対に守らなければならない防衛策でした。
ただし、完全にアメリカの言いなりになるわけにはいきません。
アメリカのアリゾナに作る新工場は最先端と言いつつもそれよりも高性能な工場を台湾につくり、アリゾナ工場ができる2024年には、もう最先端ではないという状況になるもようです。
アメリカと敵対する中国にも生産拠点を置きます。2018年末に稼働した南京工場は1世代前の中程度の工場だそうで、いわゆる「枯れた技術」を使い、半導体不足が深刻な自動車向けの半導体をつくる工場としての位置づけです。
アメリカは、台湾にある高性能半導体をつくれる工場を要求していますが、アリゾナ進出をめぐるアメリカ政府との交渉がまさに大詰めを迎えていた時期に中国にも投資するという緊張した状況をわざとにつくり出したといえます。
あえて中国に近づくような行動をとるのは、バランスをとって米中間と適度な距離を保つためで、移転するのが中程度の技術であれば、アメリカも目くじらを立てないだろうと読んだといえます。
これが地政学に敏感なTSMCのリスクヘッジ策なのです。



やはり、TSMCも生き残りに必死です。
イコール台湾の生き残り策とも思うのはわたしだけでしょうか。
中国、自給自足の夢
アメリカによって技術封鎖された中国は、半導体の自給自足を急いでいます。
というのも、中国企業は設計の面でアメリカの有力企業と肩を並べる力はありますが、製造技術が弱いからです。
米中貿易戦争で、トランプ政権が中国企業に制裁を加えますが、ファーウェイは1年以上持ちこたえました。
その理由の一つは、半導体を社内で開発し、自社の通信機器やスマホに自社製チップを使っている点です。
ですが、実はその自社製チップと思われていたチップの多くをTSMCが供給していたことがわかりました。
アメリカ政府の目論見に反し、TSMCからファーウェイへ半導体が流れていたということですが、この抜け穴をふさがなければいけないと、輸出管理法の域外適用をアメリカは強化しました。
これにより、ファーウェイは自社のチップを台湾から運んで来ることができなくなり、とうとう2019年5月に白旗をあげたのです。
アメリカから見た抜け穴は、中国にとって弱点です。今度は、習近平政権が焦ります。
莫大な補助金、国策ファンドからの投資、市場での資金調達の支援、工業団地の整備。国産化の夢を果たすために政策を総動員するその姿は、なりふり構わず猛進する巨象のようだと著者は言います。
いまはまだ力不足の国産ファウンドリー(半導体工場)にてこ入れするしかないのですが、台湾がそっくりそのまま手に入れば・・・なんていうことを考えているのではないかとも思えますね。



中国も半導体覇権を握りたい気持ちはアメリカと同じです。
今後の中国の動きに目が離せませんね。
デジタル三国志
アメリカの「鎖国」
中国による軍事侵攻は、いつ起きてもおかしくない。腕力で香港の民主化運動をねじ伏せた習政権の暴挙を見れば、可能性はさらに高くなったと思わざる負えませんね。
中国から見て、香港も台湾も自国の一部であり、政府だけでなく国民の多くも台湾を他国とは見なしていません。
台湾の近く、沖縄に拠点を置く米軍とアメリカから武器供与を受けた台湾の防衛線に少しでも隙ができれば、中国軍の侵攻は難しくありません。
半導体の覇権を握りたいアメリカがとれる選択肢は、
- アメリカが必要とするファウンドリーの集積地である台湾を守るか
- 台湾のファウンドリーをアメリカ国内に移転させるか
という二つにしぼられます。
バイデン政権は、その両方ですばやく手を打ちました。
軍事面では、横須賀の第7艦隊の東シナ海、南シナ海での活動を増やし、英仏独など欧州連合主要国からの協調も取り付けて、この海域に軍艦を送り込ませました。
日米豪印4ヵ国が連携するQuad(クワッド)の枠組みも強化され、2020年秋から4ヵ国の海軍・海上自衛隊が共同演習を実施しています。
2021年8月には総額約820億円に上る台湾への武器売却も決めました。
もう一つの課題、アメリカ国内での半導体製造力の強化は、アリゾナに新工場を建設する要求をTSMCに呑ませ、返す刀で韓国にも圧力をかけサムスン電子とSKハイニックスにも同様の直接投資を決めさせました。
アジアのファウンドリーに網をかけ、アメリカにごっそり引っ張ってきたということです。
ここでひとつ疑問があります。
オバマ政権下で推し進めた「TPP」。バイデン大統領は当時、副大統領でした。
トランプ政権で、加盟をとりやめた「TPP」。
バイデン政権では、アメリカが再加盟するのではないかと思われましたが、その気配はなく、機能不全に陥っている世界貿易機関(WTO)の立て直しにも動いていません。
経済の安全保障を優先し、半導体サプライチェーンの国内での完結を目指すバイデン政権は、本質的に自由貿易と矛盾するといえます。
たとえば、TPPは、要件を満たせば後からでも自由貿易に参加できる「開放性」を看板に掲げています。
自由化に向けて国内改革を進めていくなら、中国でも参加できるという建つけです。アメリカ主導で国際ルールを築き中国を誘い出すのが、TPP最大の眼目なのです。
しかし、いまの世界の状況では、こうしたTPPの理念はアメリカにとって受け入れられるものではありません。
信頼できる仲間のなかだけで貿易障壁をなくし、中国を自由貿易圏から切り離すほうが安全であり、アメリカの安全保障の目的にかなっています。
著者の意見は、「習近平が支配する中国では改革は起きないと、バイデン大統領は考えている」です。
バイデン政権が新たな通商戦略を打ち出すとしたら、仲間内でのデジタル分野での国際ルールづくりで、技術の流れとデータの流通の仕組みを築くために、有志国とだけ交渉に乗り出す可能性はあると予想されます。
アメリカがもともとのTPPの条文に盛り込んだデジタル貿易の条項は、環太平洋で企業が国境を越えて自由にデータのやり取りができる取り決めでした。
この条項で最も恩恵を受けるはずだったのは、GAFAをはじめとするアメリカのクラウド企業です。
同様の枠組みを今度は中国を排除する形で築こうとするかもしれません。
アメリカとその友人たちで構成される枠組みは、内側から見れば貿易自由化ですが、外側から見れば排他的な保護主義になります。
ということは、TPPの「開放性」に戻ることは、もうないということではないでしょうか。
つまり、「開放」から「鎖国」へ・・・・・・ということになります。
デジタルをめぐる通商政策の大きな方向転換が起きる要因が、いまのアメリカにはそろっています。
世界からデータを集めるGAFA、データを処理する半導体の開発、AI研究、サイバー空間など、要となるデジタル技術のほとんどはアメリカが握っているのです。
あと、欲しいのが半導体の製造技術です。
これさえ整えば、デジタル分野で自由貿易を追求しなければならない理由はかなり弱まります。
ということは、アメリカの「鎖国」化が、進んでいくということです。



アメリカは、やはり「アメリカ・ファースト」です。
ということは、日本もアメリカに全面的には頼れないと考えたほうがベターです。
そして、アメリカと本当にWin-Winの関係のなれるように考えていかなければ、将来もないと思います。
中国の「自由貿易」
半導体確保のための武器① 制海権
アメリカが台湾のTSMCを欲しがるのと同じように中国も台湾の半導体生産の能力を必要としています。
サプライチェーンの要である台湾を実質的に支配したいところですが、台湾に侵攻する政治的リスクは中国にとって大きすぎます。
つまり、自ら進んで攻撃を仕掛けるシナリオに現時点で合理性はないということです。
ですが、台湾からの半導体の供給に再び道を開くためには、台湾とアメリカに圧力をかけ続けなければいけません。
中国は「その気になれば台湾を実効支配できる」という状況をつくり出し、軍事的な脅威として認識させようとするはずです。
いまのところアメリカとその同盟国によって封じ込まれていますが、九州を起点に沖縄からフィリピンのボルネオ島に至る「第1列島戦」までは、できるだけ早く制海権を握りたいと考えていることでしょう。
もちろん台湾はその内側にあります。


南シナ海の南沙諸島周辺に点在する暗礁を埋め立てて築いた人工島に軍事拠点の建設が加速しています。


そして、台湾海峡を挟んで台湾と目と鼻の先にある福州(ふくしゅう)や寧波(にんぽー)などに、いくつもの軍事基地があり、超音速の戦闘機ならものの5分で台湾まで飛んでいけます。
つまり、台湾のまわりは中国軍の基地だらけなのです。
こうして着々と進めた事実を見せつけ「いつでも行けるぞ」というアピールを台湾とアメリカに対して送っているのです。
半導体確保のための武器② 国内市場
そして中国には❝国内市場❞という武器があります。
2020年の半導体の市場規模は、中国のシェアが圧倒的に大きく、中国だけで世界の需要の35%を占めます。このマーケットパワーがこれからさらに強まっていくのは間違いありません。
もし米中の対立がなければ、世界の半導体メーカーは中国の成長市場を目指して輸出を増やすことでしょう。
現にアメリカの半導体企業は、戦略的にデリケートな製品を除き、むしろ自由に中国に輸出したいと考えています。
アメリカの企業は忖度(そんたく)では動かないため、禁輸リストを作成する商務省は、「ここまでなら輸出してよし」という線を明確にひかなくてはいけません。
このような輸出拡大のチャンスをうかがうアメリカ企業の存在は、中国にとって好都合です。
アメリカ政府は安全保障の観点から半導体企業国内で支援するものの、企業は中国市場に依存しています。
そこで、企業側が政府に輸出規制の緩和を働きかければ、中国にとって有利になるに違いないということで、アメリカのジレンマがあるのです。
2019年ごろから習近平政権が世界の貿易の牽引役を自任するようになったのも、こうした貿易面での米中のいびつな依存関係があるからだと著者は見ています。
TPPを乗っ取る
トランプ政権が自由貿易のルールづくりの舞台から降り、アメリカは保護主義に傾斜しました。バイデン政権になってからもアメリカの内向きの傾向に変わりはありません。
アメリカが自由貿易主義から貿易保護主義へ変節したこの潮目を習政権は見逃しません。
2020年5月、中国首相の李克強が記者会見で環太平洋経済協力協定(CPTPP=TPP11)への参加に言及し、「中国は前向きで開放的な態度をとっている」と公式に明言しました。


CPTPPはアメリカが離脱した後に、日本が中心となってまとめた11か国による協定です。
正式な名称は「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」です。
中国が加入するには、すでに出来上がっている協定の内容に沿うように、国内で改革を進める必要があります。簡単ではありませんが、不可能ではないと中国は踏んだのです。
もともとのTPPは、中国を囲い込んで国際ルールの舞台に誘い出すために考えた仕掛けでした。アメリカが抜けた今、中国が自由貿易の国際ルールを形成する側に回ろうと画策しているのです。
つまりTPPの乗っ取りです。
もしそうなったらTPP構想を立案したアメリカにとって予想外の展開になるのではないでしょうか。
国際ルール形成でも覇権競争
中国が通商の国際ルール形成への積極的な関与をうたう文言が増えているのは事実です。自由貿易の枠組みに加わることで国内改革を進めようとする改革派の声が、中国国内で強くなっているという指摘もあります。
でも、実際の国際舞台での中国の振る舞いを見るかぎり、こうした中国国内の意見調整はコップの中の嵐にすぎないということです。
中国がいう「国際ルール」は、中国にとって都合がいいルールのことのようです。
習政権が語る自由貿易は、自分勝手に南シナ海に引いた9段線の発想と根っこは同じなのです。
習政権は「自由貿易」の旗を掲げて世界に打って出ました。
今後、中国がデジタルの分野で、世界貿易機関(WTO)や国際電気通信連合(ITU)などの国際機関を積極的に国際ルールの形成に参加してくるのは間違いないです。
もちろん多国間で協議してルールを決めますので、中国の思いどおりにならないかもしれません。
ですので、デジタル分野の国際ルールづくりからは目が離せないのです。なぜなら半導体とサイバー空間のデータ貿易は表裏一体だからです。
米中2国間の対立だけではなく、多国間の通商交渉もまた、覇権競争の舞台です。バイデン政権の通商政策が始動すれば、国際ルール形成でまたまた米中が主導権を争うことになります。



中国は、したたかです。
「柔」と「剛」を使い分け、軍事面や経済面で覇権を狙っていくことでしょう。
日本も中国とのつきあい方に苦慮する部分はありますが、良い距離感でつき合いたいものですよね。
欧州の黒子たち
バリューチェーンといって、原材料や部品の調達活動、商品製造や商品加工、出荷配送、マーケティング、顧客への販売アフターサービスといった一連の事業活動を、個々の行程の集合体ではなく、価値の連鎖として捉える考え方があります。
図で表すとこんな感じです。


出典:BizHINT「バリュー・チェーン」より
これに対し、これらのものがどのように供給されているかの流れを着眼点にした考え方をサプライチェーンといいます。
欧州では、バリューチェーン全体を支配することができなくても、急所となるチョークポイントを探して陣取れば、地政学リスクを抑えて戦況を有利に運べると考え、他の国々の動きを左右するような突出した技術を確立することに注力しています。
欧州最強の❝武器❞ 露光装置を独占するオランダ企業
シリコンウエハーとは、半導体に使われる基板材料ですが、そのシリコンウエハーの上に電子回路を焼きつける作業を「露光」(ろこう)といいます。
フィルムに人物や風景を写して現像する銀塩カメラと同じ原理です。
これは半導体の製造で最も基本的な工程なのですが、この露光を施す装置が、欧州最強の❝武器❞になっているのだそうです。
というのも、高度な露光装置をつくれるメーカーが、世界でオランダのASMLという会社なのだそうです。
ASMLは、電機メーカー大手、フィリップスを母体としたオランダ企業でオランダの技術だけで製品を作っているわけではありません。
光学系の装置はカメラのレンズで有名なドイツのカールツァイスが製造し、レーザー光線の発生器ドイツのトルンプ製です。
欧州連合(EU)の補助金も流れ込み、ASMLはオランダ企業というより、オール・ヨーロッパで支えられた企業ということです。
技術力の背後にIMEC
ベルギーの研究開発機関にIMEC(アイメック)というのがあるそうです。
IMECとは、微細電子工学と情報技術を専門とする非営利の組織で、2000人近くの研究者、エンジニアが世界中から集まっています。
会員制のような形で企業を募り、企業はお金と人材をIMECに送り込んで共同研究プロジェクトに参加します。
日本企業も例外ではなく、日本の半導体業界の主要企業は、何らかの形でIMECと提携し、本部があるルーベンには常に40~50人の日本人が駐在しているそうです。
日本企業、東京エレクトロン元会長の東哲郎氏は、「研究開発をすることが目的ではなく、情報を得るために人を送っている。IMECとうまくつきあっておかないと最先端の技術動向がわからなくなるから」と言います。
付け加えて、「IMECは技術者が集まるクラブのようなもので、メンバーにはライバル企業もいるけど、自由闊達(かったつ)に議論できる雰囲気がある」とも言います。
こう考えているのは、他国の企業も同じなのでしょう。IMECは、オープン・イノベーションのハブであり、お金と人材だけでなく、世界の製造現場からホットな情報が集まってくるのですから。
図面を握る英国企業アーム
2016年7月21日、ソフトバンクグループ会長の孫正義氏がアームという英国企業を買収すると発表しました。


アームは半導体チップの設計に特化したファブレス企業です。オランダのASMLと同じく、バリューチェーンの最上流でチョークポイントとなる企業でもあるのです。
約3兆3000億円の買収ということで世間を驚かせました。
クアルコム、アップル、エヌビディアなどのメーカーは、アームから基本回路の設計図をライセンスの形で買い、このアームの図面を組み合わせることで、自社のチップの設計図を完成させるのです。
スマホやタブレット端末に搭載されるチップの多くは、アーム仕様の基本回路を使って設計されています。
極端な言い方では、各メーカーはアームの図面がなければ自社チップをつくることができないということです。
ソフトバンクがアームを傘下に収めるということは、孫正義がバリューチェーンを丸ごと支配下に置くに等しく、世界の半導体産業を手中に収めたということでもあります。
ところが、2020年9月、ソフトバンクはアームをアメリカのエヌビディアに売却すると発表します。
売却額は、約4兆4000億円で、買収額より25%の利益を得ることになるのですが、そこにイギリス政府から待ったが、かかります。
理由は、イギリスにとって、アームはバリューチェーンの要であり、アメリカの企業エヌビディアに買収されたなら、半導体地政学上の戦いの駒を失うからです。
つまり、アメリカは台湾のTSMCと韓国のサムスン電子に工場を進出させ、製造面で欠けていたパズルのピースを埋め、さらにエヌビディアによるアーム買収で半導体産業すべてを握ろうとしていたのです。
それだけは阻止するとしてイギリス政府がアームを手放すことを拒んだのです。
ソフトバンクの発表から1年経ちましたが、2021年10月時点で、買収は成立していません。


イギリスをはじめヨーロッパのしたたかさが垣間見えますね。



ヨーロッパでの半導体は、これまで知らないことばかりでした。
ですが、優秀な頭脳が集まるところですから、注目しなければいけませんね。
日本再起動
半導体バリューチェーンのボトルネックとなる要衝は、世界にはいくつかあるものの、いまの日本には残念ながら要衝と呼べる企業はありません。
しかし、半導体の地政学図は、新しい技術が登場するたびに塗り替えられていきます。
「戦いはすでにある要衝を奪い合うだけではなく、いま要衝がないなら、新しい要衝を国内に築けばいい」ということで、日本の新たな挑戦が始まっているそうです。
東大とTSMC
台湾をめぐり、米中の争いのなかで日本は何もできないのかというと、そのようなことはありません。
東京大学と台湾企業TSMCが組み、次世代の半導体技術を研究しています。
半世紀にわたって発達してきた技術の枠を超え、産業界を巻き込んで異次元のチップをつくり出そうとしています。
東大は、東芝で約20年間、半導体の開発に携わり、学会で100本以上の論文を発表していた慶応大教授の黒田忠広(くろだ・ただひろ)氏を2019年に迎え、そのプロジェクトを任せました。
その後に日本の政官界、産業界を覚醒させることになる作戦が起動したそうです。
ディーラボとラース
東大とTSMCの連携には伏線があります。
東大総長の五神真(ごのかみ・まこと)氏が2018年末に台湾を訪れ、会長のマーク・リュウ、米スタンフォード大学教授兼TSMCの研究開発部門のトップであるフィリップ・ウォン両氏と語り合ううちに「一緒に何かやろう」という話から始まりました。
五神氏は、日本に帰国すると同時に、日台連携の枠組みを練り始めます。
慶応大教授の黒田氏に白羽の矢を立て、2019年10月にシステムデザイン研究センター(ディーラボ)を発足させ、2020年8月には先端システム技術研究組合(ラース)を立ち上げました。
ディーラボは、会員制で広く企業を募り、知見を共有しながらオープン方式で課題を話し合う、いわば研究者の広場です。
「半導体を使って何をしたいか、どんなチップをつくるか、そのためにはどんな技術が要るか」。学内の電子工学系の研究室も協力し、会員企業が自由に議論するのです。
ラースは、個別の企業と東大・TSMCが具体的な技術の開発をクローズドで進めます。
核となる企業として、日立製作所、パナソニック、凸版印刷、ミライズテクノロジーズの4社が手を挙げました。各社のプロジェクトの中身は、もちろん企業秘密です。
ラースのメンバーには外国企業はいません。
なぜなら、日本の地政学的リスクにかかわる国家戦略そのものだからです。
ミライズ トヨタが見ている自動車の未来
ミライズというのは、トヨタ自動車とデンソーが、グループの専用チップを開発する目的で2020年4月に設立したばかりの会社です。
実はトヨタとデンソーは、これまでに半導体を自社で製造してきました。自動車に載る機器を動かすためのパワー半導体や、加速度センサーなど車の五感となるセンサー類です。
ですが、機器の頭脳にあたる高度なロジック半導体製造の経験はありませんでした。
そこで、先ほどのラースに参加しました。これはつまり、トヨタが半導体の大口ユーザーという立場から、自前で半導体をつくるメーカーの立ち位置に下りてくることを意味します。
トヨタが東大・TSMCと何をやるかは秘密ですが、トヨタが近未来のビジネスモデルとして、「MaaS」(マース)を掲げていることを考えれば、容易に想像できますよね。
MaaSとは、車のハードウェアではなく、車によって移動すること自体をサービス事業として売る考え方です。


たとえば、実用化に向けて実験が続いている「自動運転」は、高性能な半導体が必要です。
自動車というのは高速で走るので、データをいちいち遠方のサーバーに送るのでは間に合いません。信号や標識の確認、前を走る車との車間距離の把握、ふらふら走る自転車、飛び出す歩行者への対応。
視覚センサーがとらえる道路の状況は刻一刻と変化し、リアルタイムで地図情報と照らし合わせながら車を操作する必要があるということで、映像を人間以上の素早さで認識するにはAIが要ります。
つまり、大量のデータを車の中でローカルに処理しない限り、人間なしでの運転は不可能です。
それをやるために必要となる専用のチップをつくれるのは、車のすべてを知る自動車メーカーだけです。
逆に言えば、自動車メーカーは専用チップを自分の力で開発しない限り、自動運転にたどり着けないということになります。
半導体の民政化
ディーラボのセンター長に就いた黒田氏は、いま「50年に一度の大舞台が回ろうとしている」と語ります。
これまでの半導体ビジネスは安価な凡用チップを大量生産することが王道でしたが、特注で少量生産する専用チップに主役が変わりつつあります。
規格化した出来合いのチップを組み合わせるだけでは、社会問題を解決し、未来の社会を築くためのサービスや機器をつくることはできず、カギを握るのは社会問題を肌で感じている企業、つまり、これまではチップを使う側にいた企業ということです。
ですが、専用チップには費用も時間もかかります。
ユーザー企業が俊敏に設計できるようになるには、コンピューターによる自動設計が欠かせません。ソフトウェアを書くようにプログラミングするだけで自動的に半導体チップができるようなツールが必要になります。
そこで、黒田氏が掲げているのが、「開発の効率を現在の10倍に引き上げる」という目標です。
これができるようになれば、半導体開発がアメリカや中国などの一部のメーカーの独壇場ではなくなり、さまざまな企業が自前の半導体を手にすることができるのです。
半導体が社会のインフラであるなら、誰もが半導体の技術にアクセスできなければならないはずで、黒田氏はこれを「半導体の民政化」と呼びます。
ここでショックなお話をします。
日本の通信キャリアが、試作用のチップの設計を日本の半導体メーカーに頼んだところ、半年から1年かかると言われました。困って中国のメーカーに頼んだら、2カ月で持ってきたというのです。
中国企業には、それだけの技術があり、大人数の設計エンジニアがいます。
日本は人海戦術で戦わなければ太刀打ちできないということです。中国と対抗するには、自動設計ツールが要ります。
現在、設計支援ツールはアメリカの3社による寡占状態です。
日本もアメリカに依存するのではなく、次世代の自動設計ツールの知的財産を日本企業が持ち、外国の企業に供給する立場になれば、日本の優位は一気に高まります。
黒田プロジェクトには、地政学的な変革を起こす起爆力があると期待されているのです。



いまの日本の立ち位置は、決して満足できるものではありませんが、着々と研究開発ができる土壌ができつつあるということですね。
「日の丸半導体」の復活に期待がかかります。
「ジャパン・アズ・ナンバーワン・アゲイン」を目指して
動き出した自民党
「半導体戦略は国家の命運をかける戦いになっていく。半導体を制する者は世界を制すると言っても過言ではない。日本はこんなもんじゃない。ジャパン・アズ・ナンバーワン・アゲインを目指して先陣を切りたい」
2021年5月21日、自民党の議員グループが、半導体をめぐる政策を検討する「半導体戦略推進銀連盟」(半導体議連)を結成し会長に就任した甘利明(あまり・あきら)氏がこのように語りました。
さらにこうも付け加えました。
「全産業のチョークポイントとなりうる半導体は、経済安全保障の観点からも見なければならない。一産業政策としてではなく、国家戦略として考える。いままでの補助金の延長線上ではなく、異次元でやらなければならない」
このような背景には、経済産業省の思惑があり、経済産業省は半導体産業復活のシナリオを練ったものの、実現するには政治の力が要るということで、かねて日本の経済安全保障に危機感を抱いていた甘利氏に話を持ち掛けたのです。
目を凝らす中国
この状況を遠くから目を凝らしていたのが中国です。
経済産業省は、中国を敵視し、霞が関のなかでも中国に厳しい路線をとっています。
議連の設立趣意書には「供給網と技術の開発・保護などで日米を基軸に連携を強化」と記されています。
バイデン大統領は、2021年2月に、半導体サプライチェーンの構築で同盟国との連携を強化する大統領令に署名、4月に開かれた日米首脳会談の共同声明で、「日米は半導体を含む機微(きび)なサプライチェーンで連携する」と宣言しました。
この目的は、サプライチェーンからの中国の排除に他なりません。
この政治の動きが軌道に乗れば、日本の安全保障政策は一段と中国排除の方向に加速します。
この動きを中国が警戒するのは当然だと言えます。
ギリギリのタイミング
甘利氏は半導体議連の立ち上げから1ヵ月後にこう語っています。
「いまがギリギリのタイミングだと思う」
これは、いま動き出さないと日本の半導体産業の復興はない、という強い危機感に他なりません。
「データの世紀には半導体の高性能化の競争に勝った国が世界標準を握る。データを抜かれるリスクもあり、外国に依存できない。今までの競争とは質が違う・・・・・・」
このようなメールを、盟友である安倍晋三氏と麻生太郎氏に送り、半導体議連の発足を呼びかけたのです。
こうして自民党内に、「中国に対抗するためには日本の半導体産業を強くしなければならない」という認識が浸透していったのです。



政府も「ジャパン・ライジング・アゲイン」を真剣に考えだしました。
今しかありません。
2番じゃダメなんです。
光と電子を混ぜる
光トランジスター誕生
光信号と電気信号を組み合わせた「光論理ゲート」というのをご存知でしょうか?


NTT物性科学基礎研究所の納富雅也(のうとみ・まさや)氏の研究チームが2020年3月、一連の研究にもとづく成果を発表すると、世界の学界に衝撃が広がりました。
研究チームが開発したのは、電気と同じ動作をする光のトランジスターやスイッチです。
電子回路は電気の流れで信号を処理しますが、この技術を使えば電気の代わりに光で動く超高速の半導体チップをつくれる可能性があります。
NTTのIWON(アイオン)構想は、こうして生まれたそうです。


電気ではなく光で情報処理する世界を築き、デジタル技術を丸ごと塗り替えるという構想。
これまでのデジタル技術は、必要な情報だけを残して、あとは省くことで成り立ってきました。
光電融合の技術を発展させれば、アナログの自然界を丸ごととらえて情報として処理する道が開けます。つまり、電気だけではできなかった、高速、大容量、省エネルギーのデジタル社会も夢ではないのです。
通信会社NTTは、もともと光の技術が強いです。これまでは光は通信の手段であり、情報処理は電気の仕事だと考えられてきました。
ですが、その壁を光電融合技術が破るかもしれません。
コンピューター同士をつなぐ回線に使われている光ファイバーは、光を電気に変換する素子を小型化することで、半導体チップの入り口と出口にまでたどり着いています。
光電融合素子の発明によって、今度はさらに光がチップの中内部にまで入り込みます。電気に代わってチップの中を光が走り回るのです。
次元の違うデータのやり取りの速さを想像するのさえも難しいですが、NTTは構想の目標を2030年に据えています。
そしてそれまでに研究開発だけではなく、光電融合技術を使って何らかの製品、サービスを世に中に出してくることでしょう。
2020年6月にはNECに出資し、2021年4月には、子会社を通じて富士通と資本提携した通信会社NTT。2020年9月にNTTグループの稼ぎ頭NTTドコモを完全子会社にしました。
これにより収益の基盤を強固なものにしたのです。
世界でただ一国、日本が光電融合素子を生産できる国になれば、日本は半導体バリューチェーンの新たな要衝になります。
そのためには、日本国内に工場があることが不可欠で、富士通と組む理由がここにあるということです。



わたしもよくは知らないのですが、次世代通信技術「6G」の研究開発も進んでいると聞きます。
こういった技術が土台になっているのでしょうね。
『2030 半導体の地政学』の感想・まとめ
「半導体」を通して、世界が見える、未来が見える。
本書を取り上げ、「半導体」について、これまでの自分には何の知識のないことを反省しつつも、「半導体」を通して、未来が見えるなんて、すごくワクワクした気分にもなりました。
「半導体」の世界が想像していたより広く、奥深いことや、「半導体」をめぐり、米中が対立していることがわかれば、いま懸念されている台湾への中国の武力侵攻が現実となるのかが想像しやすいと思います。
わたしは、台湾への中国の武力侵攻は、ほぼないと考える派です。
理由は、現時点で台湾を武力で襲い、半導体産業に影響を与えることが、中国にとって有益ではないからです。
ですので、日本も台湾にならって、新たな半導体産業を起こす必要があるということですね。
「世界で一国」という希少性は、新たな安全保障だと思います。
ぜひ成功して欲しいです。
とにかく本書は、読めば読むほど面白い!
この記事には書きませんでしたが、まだまだ興味深い話題が満載の本です。
「半導体」そのものにフォーカスを当てるのもいいですが、「半導体」を通して見える世界というのも年を追うごとに代わっていくと思います。
ぜひ本書を手に取って読んでみてください。
『2030 半導体の地政学』の概要
本書の目次
『2030 半導体の地政学』
序章 司令塔になったホワイトハウス
1 バイデンのシリコン地図
2 デカップリングは起きるか
3 さまよう台風の目~台湾争奪戦
4 習近平の百年戦争
5 デジタル三国志が始まる
6 日本再起動
7 隠れた主役
8 見えない防衛線
終章 2030年への日本の戦略
あとがき
著者の紹介
太田泰彦(おおた・やすひこ)
日本経済新聞社編集委員。
1961年生まれ。北海道大学理学部卒業。
85年日本経済新聞社入社。
科学技術部、産業部、国際部、ワシントン支局、経済部、フランクフルト支局、論説委員兼国際部編集委員、アジア総局編集委員などを経て現職。
著書
『プラナカン 東南アジアを動かす謎の民 』日経BP (2018/6/22)




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