
こんにちはコウカワシンです。
今回は、飯野謙次(いいの・けんじ)さんの著書『仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?』から学ばせていただきます。
『仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?』は、どんな本?


『仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?』は、ズバリ!「仕事の効率化を図り、できる人の思考を身につける」バイブルです。
本書は、このような本
人生これまでを振り返って、このように思ったことがある人はいませんか?
ああ、自分の人生は失敗の連続だ~
何をやってもうまくいかない。きっとこの環境が悪いんだな。
またあいつのせいで、だいなしだ~。どうしてオレはツイてないんだ・・・・・・。
こんなシーンは、ドラマの場面でも見ることがありますよね。
ここまでではなくても、このようなことに自覚がある人はいませんか?
ああ、またミスっちゃった・・・・・・・。いつも同じことでミスるんだよなあ。今度は気をつけよう。
ああ、まだ終わんない。オレって仕事遅いなあ~。
ああ!あの仕事忘れてた!!これはまた部長に怒られるなあ・・・・・・。
「失敗」「ミス」「うっかり」など、思い出せば思い出すほどあれもこれもと出てきますよね。
それを「ちょっとしたミスだから・・・・・・」とか「ついつい、うっかりしちゃうんだよね。今度から気をつけます」と言ってそのままにしていませんか?
それではいけません。
ちょっと自分の周りを見てみましょう。仕事でミスもなく、しかも仕事の速い人がいるのではないでしょうか。そのような人は評価も高いはずです。
つまり、「ミスしない」は武器であり、仕事の効率化も図れ、「できる人」と周りからも信頼される最短ルートなのです。
そのためにも失敗やミスを回避し、仕事を効率化するコツを知る必要があります。
それを教えてくれるのが「失敗学」が専門で、スタンフォード大学工学博士の飯野謙次(いいの・けんじ)さんの著書『仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?』です。
本書は、仕事の質とスピードを同時に上げるとともに「できる人になる」ことで、自分の評価も向上し、同時に満足度も高まる方法を教えてくれます。
本書がおすすめな人
『仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?』が、おすすめな人
- 「自分はミスが多い」と自覚のある人
- 「自分は仕事が遅い」と自覚のある人
- 「自分は何をやってもダメ」と思っている人
『仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?』の要点は?





本書からわたしの独断と偏見で、「うっかり起こるミスの原理」と「仕事が速くて失敗しない人が心得ていること」、「仕事で失敗をしないために心得たいこと」といったことを取り上げてみました。
まだまだ参考になる部分の多い本ですので、ぜひ手に取って読むことをおすすめします。
うっかり起こるミスの原理
「以後、気をつけます」では、失敗はなくせない
もし仕事で失敗してしまったら反省し、「自分はもう、こんなミスはしない」と重大ともいえる決心をしますよね。
もっと詳しくいえば、「次に同じような状況に遭遇したら、その遭遇したことを、自分の注意力でもって気づいて、失敗を回避しよう」というふうに誓うと思います。
しかし、だいたいにおいてこの誓いは破られます。
人間の決心はいい加減で、ましてや注意力はもっといい加減です。
機械であれば細心の注意が必要な作業をし続けることができますが、人間には不可能です。
実は機械が、注意して細かい作業をしているわけではありません。機械には、「注意力」どころか「意識」もないのです。指示されたことを組み込まれたロジックに従って忠実に再現し続けているだけなのです。
一方、人間には意識があり、その意識は常に揺れ動いています。
仕事をしていても突然ほかごとが頭をよぎったり、空腹や体調の変化を感じたり、となりの人が気になったり、イヤな上司に怒られて気持ちが沈んだりと、人間に意識はいつでも自由気ままに飛び回っているのです。
それが人間というものですから、「注意力をいつでも向けておけ」というのは、どうしたって無理な話ですよね。
しかも、そうそう何でも注意していられるわけではないので、一つの注意すべきポイントにとらわれた結果、他の重要なポイントを見逃してしまうことだってあるのではないでしょうか。
ですので、機械のように「注意力」も「意識」も要らないようにする方に考えるのがベターなのです。
つまり、システムそのものを変えて、「ミスが起こらないしくみ」に切り替えるということです。
たとえば、著者は忘れ物が多いそうです。ですので、「ものをほとんど持ち歩かない」というしくみを習慣化されました。
高校時代には、自分のロッカーに教科書を全部入れていたそうです。
宿題は持って帰らないために学校で終わらせる、どうしても終わらない場合は、必要なページだけ切り取って持って帰るというふうに「ものを持たない」ことを徹底されていたとのことです。
それを今ではさらに進化させ、仕事には可能な限り「手ぶら」で出かけます。
携帯電話とその日に飲む薬、ペン、サングラス、USBメモリーをベルトバックに詰め込み、ポケットには財布、小銭入れ、ハンカチ、折り畳み傘などなど、これだけが出かけるときの持ち物です。
これにより、ズボンが重いという難点はありますが、置忘れの心配は絶対にないそうです。
このように、自分の弱点を補うためのしくみづくりこそが、「失敗」を未然に防いでくれるということです。



「忘れ物」というのは、やってはいけない事と、わかっているんだけど、なかなか無くせないですよね。
そういった意味で、忘れないためのしくみづくりは大事だと思います。
あらゆるミスには、「起こるサイン」がある
「ああ、危なかった。まあ、こんなことはめったに起こらないし、今度から気をつけよう」
「ああ、失敗しちゃったなあ。けど、これくらいの失敗は大したことない」
というような場面って、ありますよね。
「ひやり」とすることや「小さな事故(失敗)」となると、
「周知徹底しよう」
「管理を強化しよう」
「そのように教育しよう」
というような言葉を返し、いかにも「大いに対策を行っている」という雰囲気を醸し出します。
テレビで不祥事を起こした企業の会見でも「周知徹底」「管理強化」「教育訓練」など、このような言葉をよく使いますよね。
しかし、失敗学から見ると、これらの3つは「三大無策」、何もしていないに等しいと著者は言います。
失敗はすべて「人間」が起こすものです。人間は注意力の持続しない生き物ですから、その注意力に頼らなければいけない手順があるならば、それは手順そのものの未熟さを改善しなければ「ひやり」も「小さな事故(失敗)」もなくなりません。
そしてそれが「大事故・大失敗」につながる恐れだってあるのです。
「ひやり」とすることや「小さなミス」で済んだとき、「この程度で済んでよかった」と胸をなでおろすだけでなく、どうすれば「ひやり」とせずに済むか、「小さなミス」を防げるか、徹底的に考えなければいけないと著者は言います。
「失敗やミスをなくすコツ」は、実際に失敗が起こったときだけではなく、何か失敗が起こりそうになったときでも使わなければいけません。
そのために「凡ミス」や「小さなミス」への感度を上げていきましょう。



「ちょっとした失敗」こそが、気づきの第一歩なのですが、なかなか自覚して改善しないものですよね。
大事故につながらないようにしっかりと「ヒヤリハット」に対応していきたいものです。
仕事が速くて失敗しない人が心得ていること
必要最低限を見極める。
著者がしてきた失敗というのが、先ほどでも出てきた「ものをなくす」「忘れ物」です。
ライターやペン、読みかけの本からセーターなど、「なんでそんなものなくすことができたのだろう」と、後になって悩むものまで、なくしてきたそうです。
大学で受け持っていた授業の採点表を公衆便所に忘れたこともあったそうです。昔のおおらかな時代だったからよかったものの、今そんなことをしたら大問題になっていたでしょうね。
「なくし物」は発見されれば、笑い話ですが、かつては電車内に企業秘密を置き忘れたり、個人情報が漏洩して事件になったこともありました。
このことから「ものをなくす」「忘れる」というのは、想像以上に大きな失敗の引き金になるので、そうならない対策をしなければいけません。
そこで、著者が行ったのが、明日の荷物を「最低限ないと困るもの」だけにするというものです。
こうすれば、すべてをコントロールできるといいます。
持ち歩くものは、「管理しなければいけないもの」です。自分自身で管理できるものしか持ち歩かないことで忘れ物やなくし物が極端に少なくなると著者は言います。
ぜひ自分で「自分の必要最低限の携行物」を考えるべきですね。
そうは言っても、必要最低限以外に持って出かけなくてはいけないときだってあります。
そのときはどうするか?
著者は、「それを持たずには出かけられない」しくみをつくりました。
具体的にいうと、「朝、履いていく靴の中に入れるようにした」ということです。
「大きなものなら靴の上に置く」です。
これなら忘れ物をなくせそうですよね。



なるほど、忘れないように靴の中に入れちゃうんですね。
皆さまにもお聞きしたいのですが、この他にも忘れ物をしないために有効なアイデアがありましたら、ぜひ教えていただけたらうれしいです。
記憶・記録、スケジュール管理にメールを活用する。
ビジネスに欠かせないツールである「メール」。
この「メール」でもさまざまなミスを防ぐことができるといいます。
- 予定管理ツールとしてのメール
- メモとして利用
- 記憶装置&相手への思いやり
予定管理ツールとしてのメール
著者は「リマインダーメール」の機能でスケジュール管理しているそうです。
具体的にいうと、予定が近づくと、あらかじめ登録したメールアドレスにリマインダーが送信されるようにしたのです。しかも、携帯とパソコンの両方にメールが届くようにしているので、外出していても予定を知らせてくれます。
今では、Googleカレンダーなどでもリマインダ機能が加わり、予定を入れて設定しておくだけで、告知してくれるようになりました。
ほかにも日々便利なツールは開発されていますから、スケジュール管理に役立てない手はないですね。
メモとして利用
メールをメモ代わりに使うというのは、覚えておきたいことなどを自分で自分あてにメールするということです。
たとえば、出先でメモができなかったり、会話の中でちょっと頼み事されたりすることを、メールにして送るのです。
次にメール画面を開いたときには「未読メッセージ」がありますから、必ず思い出すことができるということです。
記憶装置&相手への思いやり
「今すぐ伝えたい」というときがあります。
電話一本で済む話ですし、すぐとなりにいる人になら、口頭で伝えたほうが速いに決まっていますが、あえてメールを使うのです。
というのも、相手はこちらの都合に合わせてくれないからです。
電話の向こうでは、相手が何をしている状況かが、わかりませんし、すぐとなりにいる人でも、いろいろとやることを抱えてテンパっているかもしれません。
ですが、話をするタイミングをはかるのは、なかなかに大変です。
そこで、伝えたいことをメールにして送るのです。
こちらは、こちらのタイミングでメールを送ることができますし、相手も手が空いた自分のタイミングでメールを見ることができます。
そして、メールのメリットは「メールは揺れ動かない」です。
メールなら「あのとき、こう伝えた」という文面が証拠として残ります。
人間の記憶はあいまいです。電話だったら、



「おまえ、あのとき電話でこう言ったよな」



「いや、そんなことは言ってない。おまえの聴き間違いだ」
というようなことが、メールでは起こりません。
とくに、細かい数字の話や契約のやりとりなども、メールでならきちんと記録が残りますし、後々、訂正も補足もできて間違いのない仕事ができます。
メールで細かいニュアンスを伝えにくいのなら、対面や電話で話したうえで、「備忘録として」と、同じ内容をメールで共有しておくといいと著者は言います。



他の人への連絡も、電話ではなくメールを使う。
間違いがないやりとりのためにも有効に使いたいものですね。
メールの整理・管理が上手。結果、仕事力がアップする。
仕事のできる人は、メールを便利に活用しますと同時にメールの整理・管理も優れています。
ところで、このようなことはないでしょうか?
「必要なメールがとっさに出てこない」
「出先で、スマホでメールを読んで、後で返信をしようと思っていたのに忘れた」
「宛先を間違えた」
「添付ファイルを忘れた」
実際にこのようなことがあったら、焦りますよね。
でもどれも、メールの整理・管理がきちんとできていたら防げるものだと著者は言います。
まず初歩的なこととして徹底したいのは次のことです。
- 受信箱に溜めない
- 即答できるメールは即答する
- 対応が残っているメールは、読んだ後でも未読にする
- 受信箱の未読メールは常に25通までに留める
受信箱に溜めない
メールを読み終わったら、すぐにフォルダー分けしましょう。
フォルダは、重要度が高いメールから重要度が低いメールも含めてフォルダをつくり階層構造にします。
著者のやり方では、やりとりした「年」ごとに分け、それから大きな15個の分類に割り振って、その下に中分類をそれぞれ2~10個つくって対応するそうです。
中分類によっては、さらに小分類に分ける場合もあるそうです。
「年」ごとに分けるのは、10年以上経って見なくなったメールフォルダは、CDかDVDに焼いて保存し、ディスクから消すようにしているからだそうです。
分類の分け方として、たとえば本の執筆に関するメールであれば、「年」というフォルダの中の「出版社」という大分類になり、次に「小学館」という中分類になります。
このまま何冊も本を出し続けることになれば、さらにその下の小分類をつくって、本のタイトル別にメールを管理するのです。
著者は、一日に届くメールが、50~200通だそうですので、すぐに受信箱の溜まってしまいますから、このような対策を取らないと大変ですよね。
このフォルダの分け方や扱い方は、日々やり取りするメールの数や相手の人数によって変わってきます。ですので、著者のように発信者別に分けたほうが便利だという人もいますよね。
「受信箱にメールを入れっぱなしにしない」というルールをつくり、自分でやりやすいフォルダ管理の方法を考えたいものですね。
即答できるメールは即答する
メールでの失敗をなくすためには「返せるメールはすぐ返す」ということが大事です。
なぜなら、即答しないでそのままにしておくと、次に開けたときに、また最初からメールを読んで回答することになります。この二度手間が、思考力と時間の無駄だと著者は言います。
それから、メールを開いたのに返事をしない状態にすると、うっかり返信をし忘れることがあります。
対応が難しい案件なら時間をおいて返事をしても許されることもありますが、すぐに返せるような内容のメールをなかなか返信しないのは、仕事ができる人のやることではありません。
しかし、こまめにメールを確認することを求められる人、外でも見ておいたほうが気持ちが楽だという人もいます。そういう人は、「読んだ後でも未読にする」ということが効率よくメールの処理ができます。
対応が残っているメールは、読んだ後でも未読にする
先ほどの難しい案件ですぐに返事ができない、あるいは出先でメールを見て、返事しないままになっているっていうことはありますよね。
そういう場合は、一度読んでも「未読」に設定し直しておくといいということです。
たいていのメールサービスでは、「未読メール」は目立つように強調しています。その状態であれば、「うっかり返信し忘れた」ということを防げます。
受信箱の未読メールは常に25通までに留める
「未読メール」は、目立ちますから、たくさんあると落ち着かないものです。
そこで、未読メールは25通までに留めるようにするといいと著者は言います。
「25」の数字に明確に理由はないですが、著者が経験したなかで、ギリギリ漏れずに対応できるのがこれくらいだとされていました。
まあ、「25」でなくてはいけないことはありませんが、自分の管理しやすい上限は設定して、それ以外のメールは読んですぐに対応するクセをつけるべきだということです。



メールの対応は素早く済ませるのが鉄則ですが、すぐに対応できないときの処置が、後々の抜け漏れを防ぎますよね。
そして、しっかり管理できるように分類する。
とても大事なことだと思います。
仕事を「抱え過ぎない」「滞らせない」
どのような組織でも、一つの仕事だけをずーっとやっているというのは希で、だいたいがいくつもの仕事を掛け持ちして、同時進行でこなしていますよね。
しかし、なかには同時進行でいろいろな仕事を進めるのが苦手な人もいて、いくつもの案件を抱えた結果、締め切りを過ぎてしまったり、ふだんならしないようなケアレスミスをしてしまったなんてこともあると思います。
良い組織というのは、忙しくしていても、ミスが起こらない。あるいは、誰かがミスをしてもそこからの復帰が早いのです。
具体的にいうと、ミスの少ない組織は、仕事の配分が的確で、一人ひとりの業量がうまく管理されています。ですので、一人のミスも周りが有機的にフォローでき、前に進んでいくことができるのです。
つまり、ミスの多い組織というのは、この逆だということです。
仕事量は「時間」でとらえる
自分の仕事量を自覚しているという人は、どれくらいいらっしゃるでしょうか?
もし、「そんなことはわからない」という人は、日頃から「自分の工数」を数えてみましょう。
「自分の工数」を数えるというのは、仕事を依頼された時点で、その仕事にどれくらい時間がかかりそうかを何となく考えておくことを指します。
著者は、技術翻訳(専門的な内容の書類を翻訳する仕事)をこなすうちに原稿をざっと見れば、だいたいの文字数と、翻訳にかかる時間がわかるようになり、仕事の時間管理ができるようになりました。
こうして自分の工数を数え、予測することができるようになれば、何か仕事を依頼されたときに、「それは時間内には無理ですね。○○までなら何とか」と、引き受ける仕事に責任が持てるようになるのです。
工数を数えるコツ
うまく工数を把握する方法は、やはり仕事の経験を積むということでしかわかりません。
同時に抱えられる仕事の本数が人によって違うように、人によっては仕事をこなした経験が多ければ多いほど、こなせる仕事量が高まっていきます。
まずは予測を立ててみましょう。最初のうちはその予測ははずれるかもしれませんが、繰り返していくうちに、ほとんど誤差なく計算できるようになります。
あるいは、依頼してきた人に、「この仕事はどのくらいの時間がかかると思いますか?」と尋ねてみるのもいいと著者は言います。
また仕事には突発的な作業があるかもしれません。ですので、少し余裕を持たせるのがコツです。





仕事を抱えすぎるのも自分への負担が大きくなりますし、その仕事が滞ったら結局同じチームの同僚にも迷惑をかけることになります。
しっかり自分で管理できるように「時間」を意識しましょう。
そして、何かあったときのために余裕を見ておくのも大事なことですね。
「伝達度合い」をなるべく深める
皆さまは、このようなことを経験されたことはありませんか?



「3日前に頼んでいた資料、もうできているかな? 1時間後の会議で使うんだけど」



「今日までって言われてた資料ですよね。・・・・・・え!今日までって、今日中じゃないんですか!?・・・・・・今から30分でやります」
といったような食い違いです。
その結果、
上司の指示を勘違いした。
チーム内の役割を果たせなかった。
いつも自分が行っている連絡をつい忘れた。
などのようなことが起こります。
仕事のミスや、思いがけない時間のロスの多くは、人との関係で起こります。
こうしたことは、ちょっとしたことに見えるかもしれませんが、これがもし重要な取引先との間に起こったとしたら一大事ですよね。
このようなミスを起こさないために理数系思考を取り入れましょう。
理数系思考が確実な意思疎通の決め手
たとえば、社内で指示を受けるとき、多くの場合は「話し言葉」による指示です。
「✕✕を3日後までによろしく」といったような感じではないでしょうか?
これが、双方の認識の差となり、思い違いにもつながっていくのです。
ですので、このようなあいまいな指示を受けたら、その返事としては目標達成のための要件を言語化しなければなりません。
たとえば、「これとこれを、24日の17時までに部長にお渡しすればいいんですね。わかりました」と言葉を変えて復唱するのです。
それで、相手の反応がピンとこないのであれば、指示を間違って受け取っている可能性が濃厚です。
ただ単に復唱するよりは、勘違いや認識の差による失敗を100パーセント、撲滅できるはずです。





結局、人から信頼されるって、こういう部分だと思うんですよね。
「依頼された仕事は、納期を確かめて、きっちりやる」
これは、フリーランスでも会社員でも同じことです。
キーパーソンを味方につける
わたしたちは、つい、自分に任された仕事は自分の力だけでやろうとします。試行錯誤し、より良い方法を考えるのは、自分の成長にもつながる大事な姿勢ですよね。
でも、その仕事の中には、少し自分の専門とは違うことだってありますよね?
または、何らかのトラブルで仕事がはかどらないこともあるかもしれません。
そのようなときは、専門家、もしくはその仕事が得意な人、つまりエキスパートに頼りましょう。
つまり、他力本願でうまくいく仕事は意外とあるということです。
「その道の達人」といわれる人は、やはりふつうの人とは違います。わたしたちが何人集まって出なかったアイデアを思いついたり、新しい視点で物事を見てくれます。
結果、ミスをしないための大きな一手になります。
正直、専門家は近寄りがたく、「あの人は気難しくないのかなあ?」と感じ、話しかけにくいかもしれません。
でもそうした人の多くは、「自分でなければできないと思われる相談」には、無上の喜びを感じます。
「あの人は気難しい」というレッテルに流されるのではなく、助けが必要なときはその力を借りましょう。
素直に専門家に相談することが、失敗回避の確立を格段に上げるということです。



いい仕事がしたいのなら、こういう姿勢は大事なことです。
「まずは自分で考え、行き詰まったときは専門家の力を素直に借りる」
こういう柔軟さは必要です。
「あえて外から」の視点を持つ
専門外や得意ではない仕事をこなすには、専門家やエキスパートの力を借りるというのが、ミスを防ぐうえで有用な方法です。
それから、専門家以外にも、ミスを防ぐうえで、とても頼りになる人がいます。
それは、「専門外の人」です。
まったくその分野について知らない人が、実はとんでもなくたよりになるのだと著者は言います。
たとえば、探偵ものや刑事もののドラマで、主人公が事件解決の糸口がつかめずに悩んでいるとき、他人がかけた何気ない言葉がきっかけとなってひらめくシーンがありますよね。
「ああ、そうか!」と叫ぶ主人公を、他人はわけがわからずポカンとして見ているあのシーンです。
言うまでもなく、主人公がひらめきや気づきを得られたのは、知識や経験のない人の言葉があったからです。
その分野について何も知らないということは、裏を返せば、先入観や思い込みにとらわれていないということです。つまり、ありのままを見られると言っても過言ではありません。
その視点は、ミスを防ぐことにも活用できます。
「ブレインストーミング」の活用
「ブレインストーミング」をご存知の人もいるでしょうけど、これがまさに専門外の人の力を借りる有効な方法です。
ブレインストーミングとは、一種のアイデアを生み出す「集団発想法」手法です。略して「ブレスト」と呼ばれることもあります。
一人でもアイデアを出すことはできますが、複数の人でディスカッションしたほうが先入観にとらわれずに新しいアイデアや改善策を引き出すことができます。
複数人で会議の際に意見を出し合って頭をかき回すことで新しいアイデアを生み出すのが、ブレインストーミングです。


「他人の意見」を聞くメリット
また、専門外の人の力は、アイデア出し以外でもとても頼りになると著者は言います。
それは、自分がしていることを自分自身が十分理解できているかを確認することができるという点です。
たとえば、自分の日々の仕事を、まったくその分野の知識がない人に説明するって、なかなか難しいものです。
なぜなら、何も知らない人にわかりやすく説明しようとすると、まず自分自身が深く理解していないといけないわけですから。
そこで、それを逆手に取ってみましょう。
何か問題を抱えているとき、適切な方法が見つからなくて悩んでいるときは、自分が今、抱えている問題を、なるべくわかりやすく専門外の人に説明することを心がけるのです。
話すうちに、自分の中で解決策が見いだせることも少なくないと著者は言います。
もちろん、アドバイスをもらうだけでも有意義です。
注意すべきは、「素人意見だ」と軽視することです。
専門外の人は先入観や思い込みがありません。専門家のように「これはこれ」と、決まったやり方がない分、柔軟な意見が聞けるのです。
ですので、聞く方のわたしたちも柔軟に受け取る姿勢さえ持っていれば、「他人の力」は案外頼りになると感じるのではないでしょうか。



これも大事だと思いますね。
だって自分には気づかないところを気づかせてくれるのは、「外からの意見」ですからね。
とにかく柔軟にいきましょう。
仕事で失敗をしないために心得たいこと
ミスをプラスに転化するために素直に現状を認める
ミスをしたときに一番してはいけないことは、「言い訳」をすることです。
まずミスを認めないと、そのミスを自分の中で正当化しようとする考察が始まります。
つまり、人に対して説明する前に、自分の中で自分に対する言い訳が始まるということです。実は、これほどネガティブな思考はありません。
何かのミスが起こってしまったとき、最初にすべきことは、そのミスの被害が拡大しないようにすること。次に、起こってしまったミスの後始末をすること、そしてそのミスを繰り返さないようにすることです。
それをせずに、正当化するほうに思考を向けてしまえば、そういったミスの正しい後処理は一切しないままになってしまいます。
さらに負の正当化の中で、他人や環境への責任の押し付けが始まります。
けど考えてみてください。
どんなに自分を正当化しても、周囲から見れば責任の所在は明らかですよね。ミスを正当化している様子も含めて、他人からの評価をさらに下げることになります。
本当は、その失敗の責任が自分にあるかどうかは、自分が一番わかっていますよね。そのうえ、失敗を他人の責任にできたとしても、心理的には「相手に借りをつくった」という意識が芽生えてくるものです。
それよりは、たとえ相手に落ち度があっても、自分の責任として宣言したほうが、その後の自信にもつながり、自分が大きくなったように感じます。そして、気持ちを大きく持ったほうが、いい対策を思いつくものなのです。
まずは、自分自身に対して自分のミスを認めましょう。
それが肝心だと著者は言います。



「言い訳」は、何と言っても見苦しいものです。
これを改善するためにも「原因自分論」で、いることですね。
ものごとは「原因他人論」では、解決しません。
そして、「原因自分論」にすることで、仕事に対する姿勢まで変わります。
それは絶対、自分にとってプラスになります。
仕事は「謝って終わり」ではない
本書では、「失敗は『以後、気をつけます』では、防げない」ということを伝えてきましたし、失敗を繰り返さないために「ミスが起こらないしくみづくりが大切」とも言ってきました。
起こしてしまった失敗やミスの種類によって対策も変わってきますから、一概に「こうしたほうがいい」とはいえないものの、しくみづくりを考える際に、忘れてはいけないことがあります。
それは、「仕事は『謝って終わり』ではない」ということです。
2007年に「船場吉兆事件」と「赤福事件」がありました。
「船場吉兆事件」と「赤福事件」の明暗
詳しくは、上の記事を見ていただきたいのですが、船場吉兆という老舗の料亭で、産地偽装と製造日改ざんが発覚しました。
その後しばらくは、がんばりましたが、ついには廃業に追い込まれた事件です。最終的には料理の使い回しまで発覚してさんざんな幕引きとなりました。
そしてもう一つの「赤福事件」。
こちらも和菓子の製造日改ざんでした。
最初の記者会見がお粗末だったのは、どちらも似たり寄ったりでした。しかし、その後の両者はまったく異なる道をたどります。
廃業に追い込まれた船場吉兆に対し、赤福は不祥事発覚から5か月後には復活、その後は、売り上げを回復して今に至っています。
ではなぜ、両者は違ったのでしょうか?
船場吉兆の場合、記者会見で、平身低頭平謝りし、「今後は二度としないので信じてほしい」と精神論に訴えました。
一方、赤福は、製造日改ざんを可能にしていた冷蔵設備を壊して見せ、さらにそれまで包装紙にだけ刻印していた製造年月日を、中箱にも打つようにしたのです。
「中箱に刻印? 中箱を取り換えれば改ざんはできるでしょ」という声もありますが、赤福餅はこしあんを五十鈴川の波に見立てて餅に乗せているそうですが、いったん箱から取り出したら、こしあんで作った波が崩れるので改ざんは無理です。
つまり、赤福は「自分がしてしまった不正を二度と繰り返さないためのしくみ」をつくったということになります。
ただ精神論に頼った船場吉兆とは、失敗へのフォローとして二つも三つもレベルが上の対応をしたのです。
これを踏まえて考えますと、自分たちの失敗を冷静に分析し、それを繰り返そうにもできないような❝カラクリ❞ともいえるしくみを考えないといけないのです。
そして、また別のミスをしたら、謝るだけでなく反省し、そのミスをも防ぐしくみをつくるのです。
こうして、失敗を100個したとしても、その対策を100個身につければ、怖いものなしの百戦錬磨。つまり「仕事の達人」になれます。



失敗を繰り返さないためにも、しっかり考えたいものです。
これができるか出来ないかで、自分も変わり、周りの見る目も変わります。
本書のキモになる部分だなと感じました。
人生最大の失敗は「失敗しないこと」
本書では、「ミスせず、仕事を効率化すること」を掲げています。
ですが著者は、あまりに小さな事柄の一つひとつを「ミス」や「失敗」と捉えないようにと言います。
なぜなら、あまりにも小さい一つひとつを「失敗」と捉えていると、新しいことをするのが怖くなってしまうからです。
「失敗を恐れて、一歩を踏み出さなくなる」ことは、本書の目標とは根本的に違うのだということです。
有名な事業家や名人・達人だって、今の地位に就くまでの間に数多くの「失敗」を経験されています。その失敗の経験こそが、成功への礎になっているのです。
何か新しいことを成し遂げるとき、わたしたちは試行錯誤を繰り返すはずです。
一度失敗しても、また別の方法で、何度も繰り返し、軌道修正しながら適切な方法を知り、結果を得ることができます。
つまり、「いろんな方向から試行をしてみては、小さな失敗を何度も繰り返し、やがて進むべき道がわかってくる」その結果として一つの物事を解決していく、または達成していくということです。
この考え方は、とても大切で、失敗しても落ち込んで立ち止まってしまわないためにも、常に肝に銘じる必要があります。
失敗は成功のもと
失敗したと、感じたときに落ち込まない人はいません。
失敗したときの落ち込みやイヤな気持ちというのは、何か悪いものを食べたときの腹痛と同じだと著者は言います。
悪いものを食べて腹痛を起こしたなら、それ以上食べようとはしないし、その悪いものを体内から排出する反応をします。
失敗に伴うイヤな気持ちも、そのまま続ければより大きな失敗になりかねないものを察知して踏みとどまらせる。そして、次に似た状況になったときには、イヤな気分に頭の中が満たされることのないような行動を選び取るようになるのです。
その、イヤな気分に頭の中が満たされることのないような行動というのが、「失敗しない方法」です。
つまり、失敗しないと、失敗しないような行動をすることができないのです。
したがって失敗は、「この先行き止まり」の道路標識ということであり、「成功のもと」でもあるのです。
発明王エジソンは、このことに関して、数多くの名言を残しています。
『失敗したわけではない。
それを誤りだと言ってはいけない。勉強したのだと言いたまえ』
『私は失敗したことがない。
ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ』
『私たちの最大の弱点は諦めることにある。
成功するのに最も確実な方法は、常にもう一回だけ試してみることだ』
『私は決して失望などしない。
なぜなら、どんな失敗も新たな一歩となるからだ』
『それは失敗じゃなくて、その方法ではうまくいかないことがわかったんだから成功なんだよ』
『人生に失敗した人の多くは、諦めたときに自分がどれほど成功に近づいていたか気づかなかった人たちだ』
まだまだ、こんなもんじゃないのですが、5つほど選んでみました。
とくに最後の言葉は、厳しい言葉だと思いませんか?
人生に失敗した人の多くは、「諦めた」人なんです。
失敗を「単なる挫折」として落ち込んで立ち止まるか、それともそこから新たな何かを習得し、その後の生活や考え方を変えるステップにするかの分岐点は、ここにあるのです。



「何度やってもうまくいかない・・・・・・」と、あきらめてはいけません。
それは「失敗」ではなく「うまくいかないやりかた」を学んだということです。
どんな失敗も「学習」と考えれば、努力するモチベーションも高まるのではないでしょうか。
しかし、エジソンはいいこというなあ~
『仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?』の感想・まとめ


たとえ失敗しようと、捉え方次第で「成功のはじめの1歩」にできる
わたしの周りにも、いつも冷静沈着でミスしたところなど見たことがない人がいます。
その仕事ぶりに「○○さんの仕事には、ムダがないですね。ミスなんかしたことないでしょ?」と質問すると、その人は、「いやいや、そんなことはないですよ。わたしだってこれまでにたくさんの失敗をしてきました」と返されました。
たしかに失敗の頻度にもよるし、その人の能力が大きく左右するのも事実です。
でも、「失敗しない人はいない」ということです。経験値や熟練度で、それを補っているのです。
ですので、小さい単位で「失敗か、失敗でないか」を見るのをやめてみましょう。
ことが起こったときに、それが失敗であるかどうかは、時間範囲を設定してはじめて決まるのですからね。
たとえば、ようやく伝い歩きをし出した赤ちゃんが壁から手を離し、よろよろしながら人生最初の1歩、2歩、と歩きはじめます。ですが、5歩もいかないうちに転んだとしましょう。
転んだのは、赤ちゃんの歩行能力がまだまだ未熟だったからですが、はたしてこれは失敗でしょうか?
でも、あと1カ月もすれば、その赤ちゃんは、何にもつかまらずに相当な歩数を歩くことができるようになります。それも、最初の1歩、2歩を、おぼつかないながらも歩いたからこそできるようになったのです。
この転んだ経験がなければ、いつまで経ってもこの赤ちゃんは歩けなかったでしょうね。
長い目で見れば、転んだことも成功の一部だったのです。
大人になれば、転ぶことすらめずらしいくらい歩くことがふつうになるし、速く走ることも可能になります。
これを仕事に置き換えて考えると、「仕事が速いのにミスをしない人が何をしているのか?」の質問に関する答えが、自分なりにわかってくるのではないでしょうか。
そういった意味で、人間生きていたら悩むであろうことの一つである「ミス」や「失敗」に対して向き合える一冊であると思います。
ぜひご一読ください。
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『仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?』の概要


本書の目次
『仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?』
はじめに
1章 なぜあの人は、仕事が速いのにミスしないのか?
2章 仕事の質とスピードを同時に上げる方法 入門編
3章 うっかりを防ぐ「最小・最短・効率」 仕事編
4章 メールを制する者が、ビジネスを制する
5章 自分のパフォーマンスを最大まで高める仕事術
6章 「ずば抜けた仕事」の決め手となる人間関係とコミュニケーションのコツ
7章 仕事の質とスピードが同時に上がる逆転の発想法
8章 「自己流・万能仕事術」のつくり方
9章 自己実現を最短でかなえる仕事の取り組み方
著者の紹介
飯野謙次(いいの・けんじ)
1959年 大阪生まれ。スタンフォード大学工学博士。
1982年 東京大学工学部卒業
1984年 東京大学大学院工学修士
1984年 GE Nuclear Energy 入社
1992年 Stanford Univ. 工学博士
1992年 Ricoh Corp. SW Res Ctr
2000年 SYDROSE LP、General Partner 就任 (現職)
2002年 NPO法人 失敗学会 副会長
2009年 失敗学会 事務局長兼務
2019年 東京大学ESC特任研究員
現在、東京大学環境安全研究センターで安全教育と研究を行う他、上智大学大学院、九州工業大学大学院、東京大学大学院(英語)で創造設計、関西大学大学院で英語での論文・発表を教える。社会人対象の失敗学・創造設計講座も教える。
また、消費者庁で製品事故情報専門調査会委員、安全調査委員会臨時委員を兼務。
著書
『ミスしても評価が高い人は、何をしているのか?』 日経BP (2019/11/14)
『思考停止する職場』大和書房 (2018/3/23)
『「失敗をゼロにする」のウソ 』ソフトバンククリエイティブ (2006/7/15)
共著
『ミスしない大百科 ❝気をつけてもなくならない❞ミスをなくす科学的な方法』SBクリエイティブ (2021/3/5)
『設計の科学 価値づくり設計』養賢堂; 第1版 (2008/4/14)


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