
こんにちはコウカワシンです。
今回は、大前研一(おおまえ・けんいち)さんの著書『稼ぎ続ける力』から学ばせていただきます。
『稼ぎ続ける力』は、どんな本?


『稼ぎ続ける力』は、ズバリ!「死ぬ瞬間に最高の人生だったと言うためにやるべきことを教えてくれる本」です。
本書はこのような本
『50代からの「稼ぐ力」』という本をご存知でしょうか?
経営コンサルタントの大前研一(おおまえ・けんいち)さんの書かれた本です。
その内容は、
「稼ぐ力」さえあれば、自分の好きな人生を生きることができる。
逆に言えば、「稼ぐ力」がないと、会社依存の人生、他人依存の人生、政府にいいように左右されてしまう人生になってしまう。
だが、自分の人生は自分自身で操縦桿(そうじゅうかん)を握ってコントロールすべきである。
というもので、どのような時代になっても「自分の人生の舵取りをするのは自分」ということを再確認させてくれる本です。
『稼ぎ続ける力』は、そのアップデート版ということです。
2019年1月に発行された『50代からの「稼ぐ力」』ですが、あれから社会を取り巻く環境も変わりました。
新型コロナ禍にロシアのウクライナ侵攻による物価高。
そして、2021年4月、「70歳就業法」が施行され、いよいよ「70歳定年」が現実のものになろうとしています。
ということは年金支給開始年齢の引き上げも予想されます。
おまけに「年金2000万円問題」も問題解決にはなっておらず、このままでは「下流老人」や「老後破産」に追い込まれる人が続出する可能性だってあるでしょう。
こうなったら考え方を変えるしかありません。
大前研一さんは、「死ぬまで稼ぐ力を身につけるべきだ」と主張します。
定年になっても
解雇されたとしても
別の会社で求められる人材になる、又は起業も視野に入れるといった人生を他人任せにしないスキルや思考を持つ必要があります。
「稼ぐ力」も、もちろんですが、老後を含めた人生の後半戦を、より前向きに生きるための考え方とスキルをも伝授してくれる一冊なのです。
本書がおすすめな人
『稼ぎ続ける力』がおすすめな人
- 40代、50代の人
- 発想力、想像力を身につけたい人
- 老後を快適に過ごしたいと考えている人
『稼ぎ続ける力』の要点は?


人生を「国任せ」にしないために知っておくべきこと
退職後❝魔の15年❞、「取りやすい国民」に増税
政府は、公的年金の受給開始年齢を「75歳」に引き上げようとしている。
退職後❝魔の15年❞より
2014年に田村憲久厚生労働相が受給開始を選べる年齢の上限を現在の70歳から75歳程度まで引き上げることを検討すると発言し、2017年10月には内閣府の有識者検討会が受給開始選択年齢を70歳以降にできる仕組みづくりを求めた報告書をまとめた。
さらに政府は、それまで65歳まで働けるように企業に義務付けていた「高齢者雇用安定法」を改訂し、2021年4月から70歳まで働けるように努力義務を課した。
こうした施策は、最初のうちは「選択制」で各自が選べる、すなわち「任意」だという打ち出し方をするが、いずれ実態がそうなってきたからと法案化するというのが常套手段だ。
だから、いま50歳以下の人たちは、年金の受給開始年齢が65歳から70歳、70歳から75歳に引き上げられると覚悟しておかなければならない。
もう何年前のことになるのか、高齢者がお金を持っていて悠々自適のリタイア生活を楽しめるというのは、定年退職年齢と年金受給年齢が一致していた時代の話です。
今では、定年退職する60歳を迎えてから年金を満額受給できる65歳までの期間は❝魔の5年❞と呼ばれていますが、「年金75歳受給時代」が来たら、60歳で定年退職した場合❝魔の15年❞が襲いかかるということです。
65歳まで定年が延長されたり継続雇用されたりしたとしても、75歳までの10年間は無収入になってしまう可能性があります。
毎月の支出が15万円なら10年で1800万円、15年だと2700万円もの貯金が必要になってきます。ですので、「老後2000万円問題」を自分事として考えていかなくてはいけません。
それから、税金はどのように変わっていくのでしょうか?
2018年の税制改正で、「年収850万円以上」のサラリーマンは2020年1月から増税されました。
新聞報道によれば、与党と官邸の意地の張り合いで800万円でもなく900万円でもなく、間を取って850万円になったという。
「取りやすい国民」に増税する姑息より
そういう線引きは、「年収849万円」の人が得をして「850万円」の人が損をするわけで、理不尽極まりない。
また、今は850万円以上がターゲットになっているが、そもそもその基準に明確な根拠はないのだから、政府が将来もっと税収が欲しいとなれば、ボーダーラインは800万円、700万円と下がっていく可能性が大いにある。
増税の嵐は、まだまだあります。
- 国際観光旅客税(出国1回につき1000円)
- 森林環境税(年額1000円。2024年から導入)
- たばこ税(1本あたり3円増税)
その一方で、法人税は、賃上げしたり、IoTやAIに投資したりすると、最大20%程度まで減税が可能になりました。
つまり、この税制改正は、中流以上のサラリーマンや喫煙者など、取りやすいところから取る姑息な増税であり、国民には重税感だけがのしかかるということなのです。
政府は「年収850万円=高所得」という認識ですが、世界的に見れば年収850万円は決して高所得とは言えません。
しかも、税金や社会保険料などが差し引かれると、手取りは40万~50万円台になります。東京都区内で4人家族の場合、住居や食費、水道光熱費、通信費、教育費などを払っていたら、ほとんど余裕はないと著者は言います。
これにより、人々は財布のヒモをきつく締めて節約することでしょう。
モノは売れず、市場は縮み、企業は海外に出ていくか国内で低迷して人件費を削減することが予想されます。
これでは、景気がますます悪くなり、国の発展には程遠い形になるのは目に見えています。
そこで、著者が提唱するのが、「収入」ではなく「資産」に課税するという方法です。
もはや日本は人口が増えないので人口ボーナスもなくなり、高成長は望めない。
「収入」ではなく「資産」に課税をより
長引くデフレの中で、昇進も昇給もなく、高齢化が進んで社会保障負担が増える一方だ。そういう国では、「流れているお金=フロー(収入)」に対して課税するのではなく、「貯まっているお金=ストック(資産)」に対して課税するほうが理にかなっている。
またフロー課税の場合、今回のように「いくら以上の収入があれば高所得」という恣意的(しいてき)な線引きをしなければならない。
だが、ある所得以上は増税になり、それ以下は減税になるという税制は、納税者の間に必ず不公平を生む。収入が増えない日本のような国で税負担だけが重くなっていけば、あるいは重くなると心配する人が増えれば、早晩行き詰るだろう。
だから、私が長年提唱しているように、所得税や法人税など既存の税金はすべて廃止し、預貯金や不動産などすべての資産に課税する「資産税」と、消費に応じて課税する「付加価値税」の二つにシフトすべきである。
なるほど。
こうするとお金の巡りが活発になりますね。
とくに相続税も廃止されたら、そのためにお金をストックしておく必要がないし、資産に課税されることから資産を貯め込むよりキャッシュフローを増やして元気なうちにやりたいことをやらないと損だ、という発想にもなることでしょうね。
まあ、これをやる内閣が誕生するかどうかは・・・わかりませんが。



いやあ、知れば知るほど、国任せにできない実態が浮き彫りになり、自分にとって最適の人生設計をしていかないといけないということですね。
とにかく、必要な情報にはすべてに目を通し、世の中を俯瞰して見る能力を身につけたいものです。
「将来の不安」とは何かを知る
もともと個人金融資産の60%は60歳以上の高齢者が保有しているとされる。彼らは暮らしに余裕があっても「漠たる将来の不安」から、お金を使わずに貯め続けている。
まずは「将来の不安」を取り除くより
この状況をさらに悪化させたのが、安倍政権が不用意に飛びついたアンドリュー・スコット氏とリンダ・グラットン氏の共著『ライフ・シフト 100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)だった。
『ワーク・シフト』(プレジデント社)の著者であるグラットン氏は政府の「人生100年時代構想会議」の有識者議員にもなり、大臣たちを集めて自説を展開した。
それは自由だが、唐突に「人生100年」と言われると「80年」までは用意ができていると思っていた多くの人々が、いきなり「あと20年何とかしろ」と言われたような感覚になり、ますます財布のヒモをきつく締めてしまう。
景気にとっては、とてつもないマイナスのインパクトがあったと思うが、もはや覆水は盆に返らない。
その後、突如として襲来した新型コロナ禍によって、「将来の不安」はますます大きく膨らんでしまった。
結果的に、人々はこれまで以上にお金を使わなくなっている。
とても重苦しくて、不安な将来が待ち受けている感のする著者の言葉ですが、この状況を変えるには、人々の間にはびこっている不安を取り払う必要があります。
そのために、新型コロナの感染拡大を抑え込み、安心して日常生活を送れる状態にしなければいけません。
政府や産業界に求められるのは、社会に広がっていた不安を解消して次なる欲望を❝見える化❞することです。
そのために社会経済全体を「個人や企業経済の集積体」と考え、個人個人の心理を「人生を楽しみ、豊かにするためにお金を使おう」という方向にまずは動かすべきだと著者は言います。
そうすることにより、初めて世の中にお金が回り、景気はひとりでに良くなるとも言います。



お金は使うためにあるのですが、将来の不安があると、お金を今の自分の人生を豊かにするためには、なかなか使えません。
新型コロナの感染拡大リスクはまだまだ心配ですが、経済活動は、やはり動かしていかないと、活発化していきません。
新型コロナの治療薬の開発が急がれますし、ゼロコロナではなく、コロナと共存していくしくみが必要でしょうね。
しかし、まだまだ世界的に見て、工場の操業停止や紛争で、先が見えない混沌とした状況がしばらく続きます。
ですので、いましばらく我慢の日々が続くのではと思いますね。
明確なライフプランを定める
その一方で、これから個人はどうすべきなのか?
明確なライフプランを定めるより
公的年金の受給開始年齢を70歳以降に引き上げようとする動きや2018年度の税制改正などを踏まえると、いま50歳以下のサラリーマンは「国に見捨てられる」という危機感を持ち、「会社から給料をもらっている」うちに定年退職後の備えをしておかなければならない。
定年退職後も10年以上年金がもらえないという最悪の事態を想定し、「死ぬまで」自分で稼げるようにすることは、これから大事なスキルとなる。
そこで重要なのは、まず「自分はこういう人生を送りたい」という明確なライフプランを定めることだ。
日本人の多くは、「自分はこういう人生を送りたい」というライフプランを持っていません。社会に出てからも上司など身近なところに「あの人のようになりたい」と思える事例も少ないと著者は言います。
これが災いしてか多くの日本人は「漠たる将来の不安」を感じ、老後にお金があっても人生を楽しむために使わず、さらに貯蓄に励みます。
その結果、「死ぬ瞬間が一番金持ち」になっている人が少なくないのです。
このようにならないために、早いうち・・・つまり定年前の50代には、「自分はこういう人生を送りたい」という明確なライフプランを定めることが必要で、実際に始めないといけないということです。
著者は「大前経営塾」という講座の中で、受講者に著書『50代からの選択』を読んでもらい「老後にやりたいことはいくつありますか?」と質問するものの二つ以上答える人はほとんどいないそうです。
著者としては「老後にやりたいことが20くらいはないとダメ」とアドバイスされているそうです。
20ぐらいといっても、なかなか思い浮かびませんよね。ですので、カテゴリー分けして考えてみることです。
カテゴリーとして、
- 屋内でやること
- 屋外でやること
- 1人でやること
- 友人とやること
に、分けたマトリクスをつくり、考えてみることです。
なぜ、50代のうちから始めるべきかというと、リタイアしてから始めようとしても、体力が衰え、感性も鈍っているので、スポーツ系は危なくてしょうがないし、芸術系は上達しないからです。
著者は現在79歳ですが、これまでにクラリネットの演奏、音楽鑑賞、オートバイ、スキー、スノーモービル、水上スキー、sキューバダイビング、ゴルフ、テニスなど20以上の「やりたいこと」をやり続けているのです。
これは「著者が裕福だからできるのだろ?」と感じると思われますが、欧米先進国では、若い頃からライフプランをつくり、それにフィナンシャルプランを一致させて老後の過ごし方を明確に計画しているのです。
何回も繰り返しますが、お金は使うためにあります。
人生の最後に後悔しないためにも自分なりのライフプランをつくるべきですね。ライフプランは、別の言い方で「タイムバケット」といいます。
両学長も「タイムバケット」をつくろうという記事を書いています。


タイムバケットを成功させるためにもお金は必要ですが、そのフィナンシャルプランをつくる「ライフプランニング」の記事もありますので、ぜひご視聴ください。


この2つの動画を参考にして人生設計の「タイムバケット」とフィナンシャルプランを立てて、人生を楽しむために有効なお金の使い方を自分なりにアレンジすべしですね。



50代から老後を迎えても楽しめる20のこと、そしてフィナンシャルプラン、どちらも大事ですね。
しっかり考えていこうと思います。
お金を生む発想力を磨こう
もし、自分が社長だったら
私が学長を務めている「ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学」で、自分の講義の柱にしているのが、「RTOCS(Real Time Online Case Study/リアルタイム・オンライン・ケーススタディ)」というメソッドだ。
あなたがTSUTAYAの社長なら?より
これは、文字通りリアルタイムのケーススタディ ー-つまり現在の「誰か」に自分が成り代わり、その人の立場になって発想するというトレーニングだ。
他所のMBA講座でも、たしかに「ケーススタディ」はある。だが、それらの大半は「すでに終わってしまった事例」の研究でしかない。
ケーススタディと言いながら、最初から答えが分かっている事例を研究しているのだ。
これでは発想力は磨かれない。しかも、企業を取り巻く環境は加速度的に変化している。
10年前のケースをいくら研究しても、実際のビジネスの現場では役に立たないことが多いのだ。
つまり、お金を稼ぐことを想定し、自分がその立場に立って、物事を考えていこうということなのですが、リアルタイムで会社を運営している立場になったとしたら、どのような発想をするかを考えていくことはとても大事なことです。
たとえば、日本最大のレンタルチェーンを展開している「TSUTAYA」の社長に自分が就任したら、どのような運営をしていくかを考えてみるのです。
それには、まず現在のTSUTAYAを取り巻く状況を調べる必要があります。
- レンタル事業の同業他社の状況
- レンタルの実態
- ネット配信事業がどうなっているか
などを時間をかけて基礎データを集め、類似例を分析しながら、現状をしっかり把握する必要がありますよね。
こうした事実を積み上げた上で論理を構成し、その論理から自身の想像力を用いて発想を飛躍させることはとても大事で、大変な労力です。
そういった意味で、「RTOCS」というものは、思いついたアイデアを口にすればよいというような安易なものではないのです。
とはいっても、仮に社長になり、「社長として物事を考える」というのは、日頃からシミュレーションをしていないといけないし、アイデアの発想力も筋トレをするように常に鍛えてないとできないことです。
ですので、1週間に一度は「RTOCS」、つまり社長シミュレーションし、年間約50本はこなしていきましょう。1年でそれだけこなせれば、相当な知識と発想力が蓄えられていくと著者は言います。



お金を生み出す力は、経営者目線でないと養われません。
お金を稼ぐためにも「RTOCS」は、重視する必要はありますね。
もし自分が国のトップだったら?
日常のニュースも「RTOCS」を試みる絶好の機会となる。
あなたが金正恩だったら?より
たとえば、北朝鮮のトップに就任以来、ずっと世界を振り回している金正恩(キムジョンウン)総書記。安倍政権のように、何とかの一つ覚えで彼を批判するのは簡単だ。溜飲も下がるかもしれない。
だが、こうしたニュースでさえも、やり方次第で自分の発想力を鍛えるツールとなる。
「もし自分が金正恩の立場だったらどうするか?」と問うのである。すると、金正恩の追い込まれた立場が手に取るように分かる。
なるほど。
なかなかこのような発想はなかったですが、もし自分が金正恩の立場だったら、どのような行動を取るでしょうかね。
父・金正日(キムジョンイル)総書記の死によって、突然の北朝鮮のトップに就任したわけですが、そのとき、味方がいたわけではない。何か余計なことをすれば、暗殺されるかもしれない・・・という状況でした。
事実、中国は兄の金正男(キムジョンナム)推しという情報もあり、周辺諸国との関係もよくなく、しかもアメリカや中国も自分の命を狙っている可能性がありました。
そんな状況に自分の身を重ねたことがある人はまずいませんよね。
もし、トップに就任した年齢が60代だったとしたら、死ぬまでとぼけて、アホの振る舞いをすれば周囲の憐れみを受け、命を奪われる恐れもなくなるでしょうけど、20代の若さで就任した金正恩は、それはできないだろうと著者は言います。
このような生死の綱渡りのような状況を歩むことを強いられた彼の思考が、現在の行動に表れているとも言えるのです。
そう思えば、彼への対応も制裁一辺倒とすれば、なお一層危険分子を含んだものになるのもうなづけますよね。
トランプ前米大統領の対話路線を現在のバイデン米大統領が引き継ぐ形となりましたが物事が進展していないのはあきらかです。金正恩にしてみたら気が気ではないでしょうね。自分がその立場になったら悩ましいものです。
いま、二人のアメリカ大統領の話が出ましたが、「自分がアメリカ大統領だったら」と考えてみるのも思考力を鍛えるのにとてもいいと思います。
ニュースを右から左に見て終わりにするのではなく、「自分だったらどうするか」と考えるクセをつければ、先ほどの「社長だったら」と同じく思考力と発想力が磨かれるということです。



今だったら、「自分がロシアのプーチン大統領だったら?」と考えるのが、タイムリーですね。
普通だったら絶対やらないウクライナ侵攻をやっちゃいましたからね。
世界のリーダーに数えられるなかの一人であるプーチンがあのような蛮行を指示した経緯などを自分なりに考えてみて、いま置かれている状況に対しどういう心境なのかを探ってみるのもいいと思います。
「AIで何ができるか」と発想してみる
様々なモノがインターネットにつながり、パケット通信網で情報が集まってくれば、それはそのままビッグデータとなる。
「AIで何ができるか」と発想するより
ビッグデータを分析するのはAIの仕事だ。企業がAIに詳しい人材を求めている理由がそこにある。
しかし、「詳しい」だけではダメだ。AIが何たるかということは、1時間も勉強すれば把握できる。AIの開発者になるなら別だが、私たちに必要なのは、IoTと同じく、「AIで何ができるか」と発想することだ。
企業などでAI化が進んでいってるニュースをよく聞くようになりました。
つまり、AIはもう身近で活用されているということです。今後もっと生活に欠かせないものになるのは予想できます。
たとえば、災害の分析とか医療、マーケティングなど多くの分野のデータ分析で、すでにAIが利用され始めていますし、そのことで、人間がAIに取って代わられるなんていうことも起きるかもしれません。
でも、そのことを恐れるよりは、「AIで何ができるか」と思考することが、わたしたちがAI時代に有用な人間として生き残っていく道だと著者は言います。
たとえば著者は、AIはクレーム処理に能力を発揮すると言っています。
お客様からのクレーム電話の中身と対応したオペレーターの対応をデータ化し、AIに分析させるのです。
そして、「クレーム対応に優れたオペレーター」群を選び出し、それらのオペレーターがお客様とどのようなやり取りをしているのかの共通項を探ります。
これを「優秀なオペレーターのスキル」としてマニュアル化してしまうのです。
しかし、これはテキストを作るのではなく、実際のお客様とのやり取りをリアルタイムでAIに分析させて、事前に危険を察知してアラームで知らせたり、最適解をモニターに表示させるのです。
たしかにAIにお客様対応までさせてしまうのは行き過ぎです。
ですが、これを使うことで、まだまだ不慣れな新人オペレーターでもその時その時の最適解を瞬時に導き出すことができ、ベテランオペレーターに成り代われるためそれぞれの業務の負担が軽くなるのは予想できます。



わたしなんかは、スーパーやコンビニでのレジ待ちの時間がもったいなくてしかたありません。
ですので、「勝手に自動精算レジ」ができてくれたらなあと思います。
稼いだお金は死ぬまでに使い果たす
「人生百名所」を自分なりに選定し旅行をする
新型コロナ禍の影響で、旅行やグルメを楽しむのが難しくなってしまったが、ワクチンや治療薬が開発されれば、徐々に移動や外食の制限も緩和されるだろう。
「人生百名所」旅行のススメより
そうなった時に、インバウンドの外国人がいなくなった今の日本は、日本人が「3密」を避けて安心・安全な旅行を楽しめる最高の場になると思う。
とくに中高年世代の長いセカンドライフは、もっと国内旅行を楽しむことでいっそう充実したものになると思うのだ。
今でも定年退職後に随筆家・登山家の深田久弥(ふかだ・きゅうや)氏が、選定した「日本百名山」の制覇を目指すシニアは少なくなったが、これからの「人生100年時代」は自分なりの「人生百名所」を選んで旅行することを目標にしてはどうだろうか。
たとえば、年に4~5回程度の国内旅行をすれば、20年超で100カ所を巡ることができます。
すべて別々の場所でもいいし、気に入ったところに繰り返し通ってもいいですね。
旅行プランもそのときの体力に合わせて、元気なうちは自分であちこち動き回る旅もいいし、サポートが必要ならJR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」のような全部おまかせ旅にするという方法もあります。
テーマなどを決めて旅をするのもいいでしょう。
たとえば「花の名所」巡りなどは、季節ごとにいろんな景色に出会うことができます。川下りなどの体験型レジャーも素敵ですし、蒸気機関車などの鉄道旅も楽しめます。
そしてなんといっても、各地の温泉やグルメを楽しめるのも旅行の醍醐味ですね。
このようなテーマを設定し、各地の情報(温泉、グルメなど)を組み合わせて、旅程を作り予算も決めておけば計画も立てやすいとのことです。
年間5回、夫婦二人で一回20万円、1年あたり100万円という具合です。
著者のおすすめは、自分で好きな目的地と宿泊施設や交通手段を選んで組み立てるというものです。
このようにしてリタイア後に「人生百名所」をめぐる旅を楽しむ趣味が広がっていけば、いまの日本人の国内旅行消費額22兆円が軽く2倍になるのではないかという経済効果だって予想されます。
このことがポストコロナの日本再生にもつながっていくはずです。



うわあ、なんだか夢のある構想ですね。
わたし自身、旅行は好きなのですが、ここ何年かは、なかなか行けない状況です。
本当にリタイア後は「人生百名所」を選定し妻と旅行したいと思います。
悔いのない人生のためのお金の使い方
生活を切り詰めて老後の蓄えを増やしても、幸福度はほとんどアップしない。余分なお金をいくら持っていたところで、その分、他の人よりも幸せになれるわけではないのである。
死ぬまでに貯金を使い果たそうより
だったら月15万円の稼ぎで精神的安定を確保し、日々「ちょっとした贅沢」をして人生を謳歌すればよい。死ぬ時までに貯蓄を使い尽くしてゼロにしてしまおうと考えれば、精神的な枷(かせ)も外れ、文字通り何でもできる。
想定よりも長生きして、かつ貯金も使い果たしてしまったら、最後は年金、ということになる。
それが75歳を超えていれば、いくら意地の悪い日本の政府でも年金だけはちゃんと払うはずだ、割り切るしかない。
私たちがこれから歩むべきは、漠たる不安にさいなまれる老後ではなく、生きがいのある楽しい老後であるべきなのだ。そしてそれは、思うほど難しいことではないのである。
たった一度の人生です。
老後のために大事に貯めたお金をエンジョイするために使うのは、充実した人生を送るために大切なことです。
元気なうちは働いて、月15万円くらいの収入を確保すれば、年金などと合わせて、旅行、グルメ、個人的な趣味などの楽しみにお金を注ぎ込むことができます。
そして、シニア世代がお金をどんどん使えば、景気回復にもひと役買うのです。
先ほども申し上げたように、人生設計の「タイムバケット」とフィナンシャルプランを立てて、人生を楽しむために有効なお金の使い方を自分なりに考えておくことで、ますます安心で楽しい毎日が送れるのではないでしょうか。
著者の言うように、生活を切り詰めて老後の蓄えを増やしても、幸福度はほとんどアップしません。余分なお金をいくら持っていたところで、満足いく人生にはならないということです。



人生100年時代ですが、「死ぬまでにいくらお金が必要なんだろう?」と考え、ついつい貯蓄にばかり気が行きがちですが、切り詰めっぱなしの人生ではつまらないですよね。
著者の考え方は、すっきりしてわかりやすいと感じました。
ただし、無計画ではいけません。きちんと人生設計していきたいものですね。
『稼ぎ続ける力』の感想・まとめ


老いても情弱ではいけない。そしてある意味、割り切りが必要。
著者は、毎日早朝にNHK・BS1の「ワールドニュース」を視聴されているそうです。
これは世界18の国と地域、23の放送局のニュースをダイレクトに伝える番組で、世界で起きていることをほぼリアルタイムで知ることができるそうです。
これが、著者にとって極めて貴重な情報源になっていて、その場で必ず人や場所の固有名詞と数字をメモするそうです。こういう一連の作業が新しい事業のビジネスモデルを考えるときに大きな刺激になると言います。
ここまでしなくてもいいかもしれませんが、せめて自分の生活に関わるようなニュースには必ず目を通し、自分なりにその情報を解釈し、自分のこれからの生活のプラスになるように活用していくということはやらなくてはいけません。
知っている人と知らない人には、大きな差ができます。
知らない人は、常にものごとを決めるときに人任せにしがちです。
人任せにしている人ほど、何かあったときの責任を人に押しつけます。
一方で、必要な情報を常に自分で探り、自分なりに思考する人は、ものごとを決めるときも自分で結論を出し、人任せにはしません。
そういう人ほど、的確な取捨選択をし、不要なことで悩まないのです。
これから何があるかわからない老後も、ある意味割り切ってそれなりの快適さを手に入れることもできるでしょう。
大事なのは、死ぬ前に「いい人生だった」と言えることなのです。
それを目指して、頑張っていきたいものですね。
それを知るうえにもとても参考になる一冊です。
ぜひご一読ください。
『稼ぎ続ける力』は、現在(2022年7月8日時点)amazonの本読み放題サービス「キンドルアンリミテッド」の対象になっています。
キンドルアンリミテッドは、ビジネス書からマンガまで幅広いジャンルの本が読み放題です。ぜひこの機会にご検討ください。
『稼ぎ続ける力』の概要


本書の目次
『稼ぎ続ける力』
新書版まえがき 「定年」は自分で決める
はじめに 「稼ぐ力」は❝見えない貯金❞である
第1章 [近未来予測]2040年に「老後」は存在しない
第2章 [思考改革]人生を「国任せ」にするな
第3章 [実践編1]会社を実験台にして「稼ぐ力」を身につける
第4章 [実践編2]❝お金を生む❞発想力を磨く
第5章 [実践編3]稼げるビジネスはこれだ
第6章 [終活編]稼いだお金は死ぬまでに使い果たそう
おわりに 稼ぐ「発想力」の鍛え方
著者の紹介
大前研一(おおまえ・けんいち)
1943年、福岡県に生まれる。
早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。
日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。
「ボーダレス経済学と地域国家論」提唱者。
マッキンゼー時代にはウォールストリート・ジャーナル紙のコントリビューティング・エディターとして、また、ハーバード・ビジネスレビュー誌では経済のボーダレス化に伴う企業の国際化の問題、都市の発展を中心として拡がっていく新しい地域国家の概念などについて継続的に論文を発表していた。
この功績により1987年にイタリア大統領よりピオマンズ賞を、1995年にはアメリカのノートルダム大学で名誉法学博士号を授与された。
英国エコノミスト誌は、現代世界の思想的リーダーとしてアメリカにはピーター・ドラッカー(故人)やトム・ピータースが、アジアには大前研一がいるが、ヨーロッパ大陸にはそれに匹敵するグールー(思想的指導者)がいない、と書いた。
同誌の1993年グールー特集では世界のグールー17人の一人に、また1994年の特集では5人の中の一人として選ばれている。2005年の「Thinkers50」でも、アジア人として唯一、トップに名を連ねている。
2005年、「The Next Global Stage」がWharton School Publishingから出版される。本著は、発売当初から評判をよび、既に13ヶ国語以上の国で翻訳され、ベストセラーとなっている。
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。
経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。
趣味はスキューバダイビング、スキー、オフロードバイク、スノーモービル、クラリネット。
ジャネット夫人との間に二男(長男:創希,次男:広樹)。
著書
『大前研一 世界の潮流2022-23スペシャル』プレジデント社; 第1版 (2022/5/31)
『企業参謀』プレジデント社 (1999/11/9)
『経済参謀』小学館 (2022/4/27)
『日本の論点 2022~23』プレジデント社; 第1版 (2021/12/11)
『考える技術』講談社 (2009/3/13)
『発想力』小学館 (2018/12/5)
『AI時代を勝ち抜く学び』ビジネス・ブレークスルー (2022/3/18)
『大前研一 稼ぐ力をつける「リカレント教育」』プレジデント社; 第1版 (2019/6/14)
『ザ・プロフェッショナル』ダイヤモンド社; 第1版 (2005/9/29)
『デジタル小売革命』プレジデント社; 第1版 (2021/8/28)
『DX革命』 プレジデント社; 第1版 (2021/2/27)
『21世紀を生き抜く「考える力」』ビジネス・ブレークスルー出版 (2020/3/18)
『「100日」で結果を出すM&A入門』プレジデント社; 第1版 (2017/7/14)
『ニューノーマル時代の「構想力」』プレジデント社; 第1版 (2020/8/6)
『「国家の衰退」からいかに脱するか』小学館 (2019/10/6)
共著
『勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全』KADOKAWA (2018/3/16)
『大前研一「ビジネスモデル」の教科書』 KADOKAWA (2016/7/15)


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