
こんにちはコウカワシンです。
今回は荻原博子(おぎわら・ひろこ)さんの著書『50代で決める!最強の「お金」戦略』から学ばせていただきます。
『50代で決める!最強の「お金」戦略』は、どんな本?


『50代で決める!最強の「お金」戦略』は、ズバリ!「老後不安解決テキスト」です。
本書は、このような本
「あと数年で50歳・・・・・・」
「もう50になったか・・・・・・」
と、50歳の節目を迎えるにあたり、その不安というものは、30歳になったときや40歳になったときに比べて重いというのが、世間の常識だそうです。
というのも、50代ともなると「人生の後半戦」を意識するようになりますし、後半戦ともなれば、人生の終着点も考えるようになります。
しかも親は70歳以上になっていることがほとんどで、介護をすることも含め、親の健康面でも不安が高まるという世代なのです。
「人生の後半戦」では、こういうことを考えたことはないでしょうか?
「人生100年もあるのか・・・・・・」
「これからどう生きる?」
「今の自分でいいのか」
それにも増して
「老後資金がない・・・・・・」
「子供がひとり立ちできていない・・・・・・」
「投資で失敗した」
なんていう心配があったら、なかなか幸せな老後を迎えるための準備もあったものではありません。
そう考えると、わたしたちが欲しいのは、心配を払しょくし、「老後の家計」をやりくりする工夫とヒントではないでしょうか?
その難しい問題を一挙に解決し「老後不安」を取り払ってくれる人が、経済評論家でテレビでもご活躍されているコメンテーターの荻原博子(おぎわら・ひろこ)さんです。
荻原さんの著書『50代で決める!最強の「お金」戦略』は、老後不安をお金の面で解決する「裏ワザ」をおしみなく指南してくれます。
50代なら、どころか50代になる前の人でも勉強になる一冊です。
本書がおすすめな人
『50代で決める!最強の「お金」戦略』がおすすめな人
- 50代の人
- 老後資金が貯められていない人
- 家族の介護などで良い知恵がほしい人
- 50歳からの投資に関するヒントがほしい人
- 50歳からの働き方を知りたい人
- これまでの家計のやりくりを見直したい人
『50代で決める!最強の「お金」戦略』の要点は?


『50代で決める!最強の「お金」戦略』は、「資産・働き方・給与・家計」の4本柱を軸に豊かで充実した後半戦に向けて、50代からやっておくべき「お金」戦略、知っておくべき働き方の「裏ワザ」を指南してくれる一冊です。



本書からわたしの独断と偏見で、50代なら気になる
「老後資金」
「50代が抱えるリスク」
「老後の孤独」
「働き方」
「50歳からの家計」
ついて、取り上げてみました。
わたしも50代ですから、この深刻な問題がすごく気になりました。
定年までに「無借金」が勝ち組の最低条件
雑誌などを見ると、❝60歳までに2000万円貯める❞などという記事の見出しが躍っていて、絶望に近い気持ちにならないでしょうか。
もちろん、60歳までに2000万円貯めるのは、不可能なことではありません。
50歳の時点で、貯蓄はなくても、借金もなければいいのです。
著者の意見はこうです。
50歳の時点で貯蓄がなかったとしても、住宅ローンを繰り上げ返済などで払い終えていれば、60歳までの10年は、住宅ローンで支払っていた年間150万円程度を貯蓄に回せます。
そして50歳になると、子どもが社会人になるので教育費なども要らなくなり、その分も貯蓄に回せます。それが年間50万円だとしたら、合わせて200万円となり、50~60歳の10年間で2000万円貯められます。
さらに、夫の収入で生活して妻はパートで働き、年間100万円のパート代を貯蓄に回せば、1000万円ほど上乗せで3000万円の貯蓄ができるということです。



とはいっても、これは「取らぬタヌキの皮算用」で、実際に、こんなにうまくいくのはごくわずかだと著者は言います。
ですが、これには続きがあって、本書では「無借金」にするメリットと方法、「マイナス金利」時代でも今あるお金をお得に運用する方法などを伝授してくれています。
お金を貯めるのは難しいと考えずに、無駄な出費や借金をしないことが重要ですね。
50代が抱えるリスクを考える
50代が抱えるリスクはこんなにたくさんある
50代になり、子供が社会人になって教育費がかからなくなったら、なんとかなると思っていませんか。
これからの時代、「なんとかなる」のは、恵まれたほんの一部だけと思ったほうがいいでしょう。
65歳まで働いて定年退職を迎えて、あとは退職金でつつましく暮らしていけばなんとかなるというのは、少し前までのスタイルで、いまは50歳以降にも予想しなかったさまざまなリスクが待ち受けているからです。
人生100年時代、50歳は人生の折り返し地点に過ぎず、その先にはこれまでたどってきた山坂同様、さらに50年近い長い道のりがあります。
その道のりを安全に過ごすには、途中にどんな落とし穴があるのかを知って、対策を立てておく必要があるでしょう。
そこで、著者がこれからの人生で待ち受けていそうな6つのリスクを提言されています。
これからの人生で待ち受けていそうな6つのリスク
- 週休3日の衝撃
- 子供が働かない
- 奨学金の延滞
- 結婚生活の波乱
- 遺産相続をめぐる争い
- 老後の孤独
この6つのリスクは、50代のすべての人が、そうだとは言えませんが、これからの社会の流れや現実に起こっていること、家族関係、考えておかなくてはいけない「一人の老後」という点において、頭の片隅に置いておく必要があることです。



この中から、「週休3日の衝撃」「子どもが働かない・諸学金の延滞」「老後の孤独」について考えていきたいと思います。
週休3日の衝撃
「週休3日」については。ユニクロを展開するファーストリテイリングやインターネットプロバイダー大手のヤフーなどすでに取り入れている企業も数多く、それほど珍しい制度ではありません。
長い人生を考えたときに、働き詰めの生活ではなく、育児や子育て、趣味、仕事のスキルアップなどに時間を費やせるようにしようという働き方の一貫です。
ただ、それは共働きが大前提になっています。
夫婦2人で稼ぎ、2人で子育てして家事を分担し、それぞれがスキルを磨いていけば、それなりに豊かな人生を送ることができるというものです。
多様な働き方ができるライフスタイルは、共働きで生活を支えるベースがあるからこそ、受け入れられたのです。
豊かな人生を送るための「週休3日」というモデルですが、みずほフィナンシャルグループが「週休3日・4日制」を導入したことで、いろんな問題がクローズアップされました。
50代の人すべてがそうであるわけではありませんし、休みが増えると「新しいライフスタイル」とか「豊かな人生」を連想してしまいますが、そのようなプラスの面よりは人件費のコストカットというマイナスの面も考えなくてはいけません。
ということはです。
「週休3日・4日制」を選ぶと、休んだぶん給料も減ります。ただでさえ50歳で激減する給料が、ますます減ってしまうことになるということです。
ただ、50歳前に、第二の人生を考える準備ができるメリットもあります。



「第二の人生」を考える準備ができるとはいえ、月々の収入が減るのは大問題となってきますね。
減った収入を補うには・・・?
ひと昔前なら会社の規定で「副業禁止」が多かったですが、これからは副業禁止の会社は徐々に減っていきます。
自由な働き方を選択できるメリットがある一方で、減った分の収入を副業で補うスタイルはこれから形になってどんどん出てくるでしょうね。
子供が働かない・奨学金の延滞
働かない若者が増えているのも、将来への大きな不安要素です。
総務省による「労働力調査」(2019年発表)によると、15~39歳までの働かない若者(若年無業者)は2018年時点で約71万人いて、15~39歳人口に占める割合は2.1%となっています。
働かない若者が増えているとのこと。
総務省の「労働力調査」(2018年)を見てみましょう。


求職活動をしない理由は、「病気・けが」「勉強のため」「探したが見つからなかった」「希望する仕事がありそうにない」などさまざまですが、働かないままの子供の将来まで背負っていかなくてはならず、このままでは親の将来設計にも影響が出ます。
こうした家庭はもはや特別ではなく、身近にあると認識しておいたほうがよさそうです。
また、文部科学省の「学校基本調査」(2019年)によれば、大学卒業者の10.9%が就職も進学もしていないか、就職していても正規の雇用ではないといいます。


こうやって、グラフを見てみると、大学を出てもなかなか厳しい状況というのが見て取れますよね。
いまは、子供1人を大学まで卒業させるには、約1000万円かかります。
子供が働かないまま家にいる状況が続いたとすれば、親が払った教育費がムダになるだけではなく、子供の面倒を、親がみなくてはならなくなり、それだけで親の「老後の安心」は、遠のいていきます。
大学進学に「奨学金」を借りて、社会人になったら自分で返済する流れというのも状況が変わる恐れがあります。
「子供が借りた奨学金が、親の老後まで脅かす」なんていうことも現実味を帯びてきているのです。
社会人になっても収入が少なくて返済が滞る人が増えてきたために、1998年から、3か月以上滞納している奨学金については、債券が日本学生支援機構から民間の債権回収会社に回されることになりました。
滞納が3カ月を過ぎると、督促が激しくなるだけではなく、個人信用情報機関に滞納記録がのせられるので、実質的にはブラックリスト入りしてしまいます。
ブラックリストにのってしまうと、給料が良い金融機関などへの就職は難しくなり、延滞金には5%という高い利息がつくので、借金が雪だるま式に増えていきます。
返済期限猶予もしてはもらえますが、適用期間は10年。2018年時点で返済期限の猶予者は15万人もいるそうです。こうした猶予が切れると、奨学金で自己破産する若者が増えていく恐れがあるのです。
しかも奨学金の連帯保証人に親がなるケースが多いのですが、借りた本人が自己破産で返せなくなると、債務は連帯保証人、親族や知り合いの保証人に移ります。
子供が社会人になり、これで一安心と思っていたら、ある日突然、債権回収会社から、延滞金で膨れ上がった奨学金の返済を求められるかもしれません。
この場合、債務を引き受けた連帯保証人である親も自己破産して免責を申し出れば、借金はなくなりますが、そのために家・土地は処分され、99万円を超える現金は没収されます。
20万円を超える車や宝石など価値を有する財産も没収されますから、老後に無一文で放り出される事態になりかねません。
子供の奨学金のために、老後の家まで失ってしまうとは、思ってもいない人ばかりでしょうけど、それが実際に起きているとのことです。



こわいですよね。
子供の自立と、より良い環境で就職して欲しいがために高学歴を受けさせたいのが親心なのですが、「働かない若者」や「奨学金の延滞」問題は、予想もしない人が多いと思います。
ですが、リスク対策はしておかなくてはいけません。
本書で、そうならないための「家計戦略」を著者が授けてくれてますので、ぜひ読んで備えたいものですね。
「老後の孤独」について考えてますか?
1980年には、65歳以上の高齢者と子供との同居率は約7割でしたが、2015年には約4割近くに減りました。
国立社会保障・人口問題研究所の推測によれば、2021年現在46歳の人たちが65歳を迎える2040年には、65歳以上の1人暮らしが占める割合は、22.9%、つまり、約4人に1人の高齢者は1人暮らしになるといわれています。
そうなったときのために考えておかなければいけないことが3つあると著者は言います。
「老後の孤独で考えておかなければいけない3つのこと」
- 老後資金は足りるのか
- 電話やネットでコミュニケーションをとれる人はいるか
- 人生の最後をどこで過ごすか
1.老後資金は足りるのか
お金の問題は「老後不安」に大きく作用します。
先ほども申し上げた通り、「無借金」でいることが何よりも大事です。
その他にも
- 住宅ローンの繰り上げ返済で総支払額を減らす
- 高利の借金を早く返済する
- 保険も「まとめ払い」で割引
- 国民年金も「まとめ払い」でおトクに
などを見直すだけでも手元にお金が残り老後のために頼りになります。
それから、50代になっても「NISA」とか「iDeCo」をやっていないのであれば、それはある意味、幸いかもしれません。
税金がかからないとはいえ、どちらもそもそも投資ですし、投資にはリスクがつきものだからです。
しかも「iDeCo」は、60歳になるまで引き出せませんし、心得ておかなければいけないのは、手数料とか維持費が意外に高いことです。
しかも専業主婦だと税金を払っていないので、節税効果はゼロ。会社員でも、医療費控除や住宅ローン減税で税金を取り戻したとしたら、節税する税金そのものがなくなってしまいます。
さらに恐ろしいことに、60歳のときに退職金とともに「iDeCo」の積立を一時金で受け取り、退職所得控除額を大幅に超えると、課税されるケースも出てきます。
2022年からは、65歳まで加入できるなどいくつか改正もあるものの「iDeCo」は、意外な落とし穴があるので、メリット同様にデメリットも、しっかり頭に入れておいたほうがいいですね。
2.電話やネットでコミュニケーションをとれる人はいるか
「電話やネットでコミュニケーションをとれる人」というのは、これからの時代「知人や友人」とは限らないそうです。
これはアメリカでの話ですが、あるソーシャルネットワークが、フィリピンの若者とアメリカの田舎の高齢者施設の加入者をつないだことがあります。
フィリピンでは、英語ができないと良い職に就けないので、若者は英語を勉強しようとしますが、貧しいと高い学費を払うことができません。
一方、アメリカの施設では、若者と話がしたいけど環境が整わない高齢者もかなりいるのです。
そこで、両者をインターネットで結びつけたところ、若者は英語の勉強ができ、老人には話し相手ができるというWin-Winの関係となったのです。
このように、誰かに必要とされれば「老後の孤独」はいやされることも多くなるということですが、日本でも似たようなものが、あるそうです。


これは、株式会社カヤックの「高齢者と外国人日本語学習者を結ぶサービス[Sail]」ということですが、高齢者も国際感覚を肌で感じる機会が増えますし、なによりも若者との交流が、自らを若々しく保つひけつにもなりますので、ぜひ目を向けたいものですね。
3.人生の最後をどこで過ごすか
いま、老後を迎えている人たちは、受難のときかもしれません。
というのも新設でどんどんできている老人施設も追いつかない感じで高齢者数が増えています。そしていまは、新型コロナウィルスの影響で医師、看護師不足がしばらく続いています。
そのような状況から、施設に入りたくても入れない人が多くいるということになります。
ですが、いまが50代の人たちは、老人施設で過ごすことを選ぶなら、30年後ぐらいには団塊世代(1947年−1949年に生まれた世代)の多くが他界していて、入居できる施設の数がかなり増えると予想されるからです。
しかも先ほどの医療の面でも恵まれると思われます。
先ほどの新型コロナウィルスにより、いまは医師、看護師不足が続いていますが、こうした突発的なことが起きなければ、10年後には余ることが予想されるそうです。
それ以外にも、「IoT」と「5G」の普及でさまざまなものとインターネットがつながったり、多くの情報を伝えられるようになるので、いまより便利に活用できるようになります。
たとえば、カーテンの開け閉めからコーヒーをいれることまで、スマホだけで遠隔操作できるだけでなく、センサーが健康状態を随時チェックして病院に連絡するなど、さまざまな技術の開発によって、在宅しながらでも晩年を過ごすことができるようになります。



お金の面でも、孤独を回避する面でも、終の棲家に選ぶ場所についても、自分の意志をしっかり持っておかないと、いけないということです。
著者は、本書以外でもお金のことで苦労しないような指南書をいっぱい出していますし、使うと便利なサービスについてもいろいろと提案してくれています。
わたしたちは、自分に合った情報を取り入れる柔軟さを持たなくてはいけないともいえますね。
50歳からの働き方でもっとも大事なのは、自分を軸に人生を考えること
この先、生きていくのに信じられるのは自分自身、そして自分を支えてくれる家族や友人たちだけです。
支えてくれる人たちのためにも、会社人間はやめて、自分を軸に前向きに物事を考えていくこと。
下りのエスカレーターに乗っているあいだは、がんばりすぎない。もしそうしたいなら、エスカレーターを降りてから、自分のためにがんばりましょう。
今50代の親世代(80~90代)は、日本の高度成長期に企業戦士として働き、年功序列と終身雇用に守られ、給料は右肩上がり、家だって安いときに買っているので資産価値は上がっています。
加えて、バブルがはじけても10年くらいは給料も下がらなかったので、高い給料をベースに退職金をもらい、さらに年金も受け取っています。
ですので、高齢者の6人に一人は家を除く金融資産だけで4000万円以上持っているということです。つまり、「心配なく暮らしていける」状態なのです。
でも、今の50代は厳しい状況です。
給料は右肩下がり。年功序列や終身雇用も崩れ、高いマンションを長期にわたる住宅ローンを借りて購入し、子どもの教育費は高いうえ、定年退職前の役職定年で給料が下がり、その給料を基準に退職金や年金が決まるので受給額も減ります。
そのうえに、リストラというつらい経験もするかもしれません。
つまり、親世代の時代のモデルは、すでに通用しなくなっているのです。
いままで長年忠誠を尽くしてきた会社でも、いまでは簡単にクビをいいわたすかもしれません。
会社に不利益をもたらしたわけでも、なまけていたわけでもないのに、そのような会社の変わりようはとてもつらく感じるのではないでしょうか。
著者は、「そんな会社はこちらからクビにしてもいいのだ」と言います。会社に残るとしても、自分のために働くべきです。
「会社を辞める」か「会社に残る」か
たとえば、ある本店勤務の銀行マンの場合。
50歳になると、一部の幹部候補を除いて退職するか、関連会社に出向するか、本店に残るかの三択になるところが多いそうです。
退職する場合は「早期退職制度」で通常の退職金よりも多い額が支給されます。
関連会社に出向する場合には、本店に戻れない片道切符が多く、待遇も関連会社の規定に準じるのが一般的だといいます。
本店に残る場合には、役職定年で給料も下がり、2021年4月に施行された「改正高齢者雇用安定法」により、希望すれば70歳までは会社に居続けることができます。
ですが、給料の減り方はすさまじく、6割程度に減ってしまうケースがざらにあるそうです。
銀行側でも、50歳になったときの選択について40歳くらいから理解してもらい、第二の人生に向けたトレーニングをおこなっているそうです。



これは銀行の例ですが、そうでなくても、給料が上がっていく社員をそのままにしておけないという企業は増えているそうです。
ですので、50歳になる前には今後の人生について、自分なりの考えを用意しておく必要があるということです。
「会社を辞める」「会社に残る」・・・これについてのメリット、デメリットを本書で著者が意見していますので、ぜひ参考になさってください。
50代の「転職」には「武器」が必要
30年ほど前にアメリカのシティバンクで聞いた話ですが、同行では、しっかりと時間とお金をかけて新入社員教育をします。
そして、教育した10人のうち7人は、教育期間が終わるとほかの金融機関に転職します。「シティバンクで教育を受けた」というだけで、転職のポイントが上がるからだそうです。
「それでは、教育した意味がないのでは?」と担当者に聞くと、「転職していった7人のうち4人くらいが、さまざまな金融機関でキャリアを積んで戻ってくる。しかも、すごい戦力に育っているので元がとれます」とのこと。
すでに日本も、アメリカのような転職社会になっていて、中途採用が急激に増えています。日本型の砦(とりで)といわれたトヨタでさえも、総合職の中途採用は3割に達しており、中長期的には5割にする方針だそうです(2019年度時点)。
そんな時代に大切なのは、転職に有利な「スキル」がどれほどあるかということ。
強力なスキルさえあれば、どこでも受け入れてもらえる時代になります。
日本でも、転職市場が活発化しているそうです。
そのような大「転職」時代に対応するためにやるべきことな何でしょうか?
しかも、50代を過ぎてしまった人は意に沿わない転職をするしかないのでしょうか?
自分をバージョンアップ!
「スキルを身につける」というと、語学とかITのようなものを連想し、自分には無理と思う人も多いのではないでしょうか。
けれど、語学は優れた翻訳機能がどんどん開発されますし、IT技術も日進月歩です。そのようなものを一から身につけても追いつけるものでもありません。
つまり、自分に必要なことだけできれば、それで事が足りるのです。
それよりも大切なのは、自分がやってきたことを❝バージョンアップ❞することです。
たとえば営業職なら、持ち前の営業力だけではなく、そこに「顧客管理スキル」を加え、データを駆使して顧客の特性やニーズ、人脈、攻略法などを分析できれば、採用する側は「この人はできる!」という印象を持つはずです。
自分でデータ作成ができないなら、得意な人に相談してつくってもらうという手もあります。操作方法さえ覚えれば、一から習う必要はありません。
大切なのは、「こうしたい」というビジョンなのです。



50代の転職は、「新しいことに挑戦」ではなく、自分のこれまでのスキルを磨くことだということですね。
「自分のこれまでのスキルを磨く」、つまりバージョンアップするのに大事なのは自分のこれまでの経験を尊重し、それを使って貢献するにはプラスアルファとして何が必要かを見つめ直すことだと思います。
「起業」するときは、絶対に自分のお金を使わない
起業の多くでは、それなりの資金が必要となります。たいていの人は、貯蓄や退職金を使うか、親戚縁者に頼ることを考えます。
けれど、それは絶対にやめること。
自分や身内のお金だと管理が甘くなり、失敗したときに大きな禍根(かこん)を残すことになりかねないからです。
起業するなら、金融機関から資金を借りることが大切です。
他人に使われるのはいやなので、そのまま会社に残ったり、転職したりせずに「起業」する人もいます。
起業で成功するためには、守らなくてはいけないことが2つあると著者は言います。
それが、
- 起業するときに、自分のお金を使わないこと
- 配偶者の同意を取りつける
です。
「配偶者の同意を取りつける」という点では、どなたも異論はないでしょうけど、「起業するときに、自分のお金を使わないこと」というのには、上記の理由があるのです。
さらに、著者はこのようなことも言っています。
資金を借りるなら「日本政策金融公庫」
なぜ、金融機関からお金を借りるべきかというと、金融機関は成功する可能性がない事業には貸してくれないからです。
裏を返せば、金融機関がお金を貸してくれるような事業なら、成功する確率が高いともいえます。
けど、「事業計画書」を持って、いきなり銀行に融資してくれと頼んでも、銀行員も忙しいですし、担保になるものがない事業計画書では取り合ってもらえません。
そこで、相談するのなら、創業支援の融資を積極的に行っている政府系金融機関の日本政策金融公庫へ行きましょう。創業支援相談にも対応してくれるそうですよ。
ただ、創業支援をしてくれるといっても、事業計画書を持って行けば、お金を貸してくれるというわけではありません。最初の申請の99.9%は融資されないはずです。
大切なのは、お金を借りることではなく、事業計画のどこが悪くて融資されないのかを指摘してもらうことなのです。
事業計画書の問題点を教えてもらい、改善して再び持って行きます。もちろん、そこでもさらなる問題点が指摘されると思いますが、そうやって何度も足を運ぶことで、確実に事業の欠点が改善され、起業の成功率が高まっていきます。



なるほど…。
わたしたちはついつい自己資金で起業しようと考えがちですが、金融機関に成功する手順を教わるというのは、良いアドバイザーを味方につけるともいえますよね。
さらに、金融機関からの借り入れなら、もし事業が失敗しても再起が可能だとも著者は言います。
とにかく、自己流による判断はリスクが大きいということです。
大事なお金をいい方向で使いたいものですよね。
50歳からは定年までに「年金だけで暮らせる家計」をつくる
会社に残るにしても独立するにしても、家計がぐらついては、老後も不安定になりかねません。
基本は、「どう転んでも大丈夫」という家計をつくっておくことです。
そのためにまずやらなければいけないのは、現在の資産状況がどうなっているのかを知ることです。
そのために、いま自分が置かれている状況をしっかり確認しましょう。「資産の棚卸しチェックシート」を参考にして、いま持っているプラスの資産とマイナスの資産(負債)を書き出すことが先決です。


この「資産の棚卸しチェックシート」は、必ずひと目でわかるように書くことが大事です。
プラスの資産とマイナスの資産をひと目で把握することができれば、現状の家計がすぐわかります。プラスの資産のほうが多ければ、それほどあわてることもありません。
けれども、もしマイナスの資産(負債)のほうが多かったら、早く返済しないと家計は安定しません。
たとえば、ローン、クレジット、キャッシングなどは、すべて借金です。借りたお金はいずれ返さなくてはいけません。家計にゆとりがあるうちに返済しておきましょう。
すべての資産を書き出してみると、住宅ローンが思ったよりだいぶ残っていたり、資産よりも負債が大きかったりと、不安になる要素が見えてくるかもしれません。
でも、正確な資産状況がわかっただけでも、今後の適切な対策が立てられますので、しっかり見直してみましょう。



我が家は、マネーフォワードMEで、資産管理していますが、使いやすくて一目瞭然。
ぜひたくさんの方におすすめしたいです。
それと、著者の「資産の棚卸しチェックシート」も活用できればいいですね。
節約は、「男の視点」と「女の視点」で
節約しようと思ったら、ひとりでがんばっても難しいでしょう。
妻が電気を消して歩くあとから、夫が電気をつけていくような家庭だと、節約にならないからです。
試算チェック同様に、毎月の出費の見直しも夫婦や家族みんなでやれば、効果はかなり上がりますが、一人では限界があります。
大切なのは、同じ目標を持ちながら、家計の節約については役割分担をすることです。
多くの女性は、スーパーの安い時間帯に買い物に行ったり、チラシを見ながら特売品を選んだりといった細かい節約についてかなり得意です。
ですが、住宅ローンや生命保険のような大きな節約になると、苦手な人が多い印象です。
一方、男性は、買い物など細かい節約が苦手な人も多いですが、会社で事業計画を立てたり、予算の内訳を考えたりなど数字をあつかっている人も多く、なかには経費削減を担当している場合もあります。
ですので、何をどうするべきかという目的がはっきりすれば、集中的にその攻略法を考えられる人が多いのです。
女性の細やかな視点と男性の大きな視点が合わされば、相乗効果で、コツコツ節約しながら、必要のないものはバッサリ落とせる家計のスリム化ができるということです。



我が家でも、妻の細やかな節約ぶりに頭が上がりません。
そこで、自分に何ができるかを考え、実行すれば、相乗効果で、より一層の節約が可能になると思います。
わたしはもともとがミニマリストです。
ミニマリスト視点で、家族に負担をかけずに我が家なりの節約ができればいいと考えます。
親の介護費用も「医療費控除」を活用
会社員なら、年末の「源泉徴収」で税金などの精算をしますが、そこで返ってこない税金は、翌年に「確定申告」で返してもらうことができます。
不動産を売却したり副業で20万円以上稼いだりしたという人は確定申告しなければいけませんが、それ以外に、義務ではないものの、確定申告したほうがトクな場合があります。
それは、医療費が年間に10万円以上かかった(医療費控除)、ふるさと納税などの寄付を行った(寄付金控除)、災害や盗難にあった(雑損控除)、ローンを組んでマイホームを購入した(住宅ローン控除・初回だけ税務署へ)などです。
また、その年の途中で会社を退社し、在職中にたくさんの所得税や住民税を払った人も、年末調整をしていなければ、確定申告で払いすぎの税金が戻ってくるかもしれません。
この中から、「医療費控除」を取り上げてみます。
「医療費控除」とは、年間に使った医療費が10万円以上かかったら、200万円を限度に10万円を超えたぶんが所得控除されるというものです。
医師の治療や入院でかかった自己負担分はもちろん、薬局で買った風邪薬、治療のためのハリ、灸、マッサージ、子供の歯の矯正費用(大人は美容整形とみなされるので対象外)など、かなり多くのものが対象になります。
夜間のオムツ交換や訪問入浴サービスなど介護費用も対象
じつは、介護費用も「医療費控除」になります。
対象となるのが、介護費用のうち、介護保険を使った場合の「施設サービスの対価」と「居宅サービス等の対価」です。
「施設サービスの対価」では、
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 指定地域密着型介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 指定介護療用型医療施設
が対象になります。
特別養護老人ホームや指定地域密着型介護老人福祉施設については、介護保険で提供される施設サービス費(介護費、食費、居住費)のうち、自己負担額の2分の1が対象になります。
介護老人保健施設、指定介護療養型医療施設では、介護保険で提供される施設サービス費(介護費、食費、居住費)のうち、自己負担分が医療控除の対象です。
「居宅サービス等の対価」では、
在宅で、介護保険制度を受けている人は、訪問看護や訪問リハビリテーション、医療機関でのデイサービスやショートステイ(短期入所量要介護)など、かなり幅広いサービスで自己負担分を医療費控除できます。
また、医療費控除対象の居宅サービスとセットなら、夜間オムツ交換や訪問入浴サービスなども対象になります。
ただし、福祉用具の貸し出し料金や生活援助のサービスなどは対象外となっています。
一応、「医療費控除の対象となる居宅サービス」の一覧を載せておきます。


これからの時代、高齢者はどんどん増えていきますし、介護となったら平均で5年かかるといわれているそうです。
保険でまかなえる部分は医療費控除の対象にはなりませんが、自己負担もかなり多くなるけーすがあるので、家族を介護しているなら、返してもらえる税金はしっかり申請すべきです。
医療費控除の確定申告は、世帯の中で一番税率が高い人が家族分をまとめて申告すると、返ってくる税金が高くなります。



「施設サービス」にしろ「居宅サービス」にしろ、使える医療費控除はしっかり使いたいものです。
これからのニーズに伴い、制度の変更があるかもしれませんので、いつでも情報をアップデートできるようにしたいものですね。。
「介護離職」はこれで乗り切ろう!
親の介護で仕事を続けるのが大変だという人は、数多くいます。
総務省が行っている「就業構造基本調査」(2017年)によると、2016年10月~2017年9月までの1年間で「介護離職」した人は全国で約10万人います。
安倍政権は「介護離職ゼロ」を目指しましたが、その成果が見えないだけでなく、2021年の制度改革では、訪問介護の生活援助の縮小や利用者の自己負担分を増やす方向での議論が進められています。
団塊の世代が続々と後期高齢者になってくると、「ゼロ」どころか、ますます介護離職は増えそうです。
これは大問題ですね。
介護離職してしまうと再就職の際に、もとの会社に戻るのは難しく、戻れたとしても同じような待遇というわけにもいかず、年齢的な問題に加え、仕事のブランクもあるので、雇う側もとまどうでしょう。
ですので、会社をやめなくてすむように、使える休暇はすべて利用しながら、仕事と介護を何とか両立させたいですね。
「介護休業」は最長93日、給料の3分の2が支給
介護と仕事を両立させるには、介護が必要な家族を預ける施設を探さなければいけません。もし介護される側が夜間も目を離せないような状態だと睡眠時間が削られ、仕事に支障をきたす恐れがあります。
また腰を据えて施設を探す際にも、会社を休まなくてはならないケースだって考えられます。
そんなときに使えるのが、「介護休業」「介護休暇」です。
「介護休業」は、自分の両親だけでなく、配偶者の両親や子や孫、兄弟姉妹などが2週間以上にわたって介護が必要な状況になったときに取得できる休暇です。
通算で最長93日まで、対象家族1人に対し3回までとれます。いくつかの条件を満たせば使え、休業中は会社から給料は出ないものの、会社が最寄りのハローワークに申請すれば、「介護休業給付金」が支給されます。
上限がありますが、支給額は給料の3分の2です。
3回に分けて取得できるので、介護でまとまった時間がほしいときに使うのがベターだそうです。
「介護休暇」は、対象家族1人につき年5日、2人以上なら10日まで取得できます。
介護休暇には給付金はありませんが、2021年より1時間単位で取得できるようになりました。
ケアマネージャとの打ち合わせで、出社時間を1時間遅らせるといった場合に便利です。1日8時間勤務の中で1時間ずつとして、8時間×5日ぶんで合計40回(40時間ぶん)とれるからです。
ただし、仕事の最中に1時間だけ抜けて取得するといった❝中抜け❞は、基本的にできません。



わたしも以前の職場で「介護離職」する人を見かけました。
数十年前のことで、たしかに仕事と介護の両立がしにくかった時代ではありますが、いまは良い制度がぞくぞくと出てきています。
これを利用しない手はないですね。
『50代で決める!最強の「お金」戦略』の感想・まとめ


「50歳になったら、全力疾走はやめましょう」
これは、冒頭の「はじめに」のところで著者が語った言葉です。
現在の50代ほど、この混沌とした社会で悩みを抱えた世代はありません。
起業するには遅すぎる。
転職するには危険すぎる。
会社に残るにはリスクが高すぎる。
離婚するには不安すぎる。
親の介護は負担が大きすぎる。
そのようなことを考えながら、毎日をゆううつに過ごしている人がたくさんいます。
今の生活を変えたい、より良くしたいという願望は強いのに、どうすればいいかわからない。
古い価値観のままの上司や親世代、そして、利己主義に徹する若い世代に挟まれ、前にも後ろにも動くことがままならないのが50代です。
でも、人生100年時代です。50代なんて折り返し地点に過ぎません。
第一に「お金の問題」、そしてもうすでにそこまで迫っている自らの「老後問題」、いつまでやらなければいけないのか「仕事の問題」、「子供の問題」、「介護の問題」と問題が山積しています。
そんな問題解決のヒントをくれるのが、この『50代で決める!最強の「お金」戦略』です。
著者の荻原博子さんは、本書の他、生活弱者になりがちなわたしたちのような一般人に向けての著書が多く、生活の助けになるようなアドバイスが満載です。
このような本を読み重ねていけば、しだいに生活に必要な情報が積み重なっていき、今より最適な人生が歩めるのではないでしょうか。
そのためにも一家で読み、家族みんなで情報を共有したい一冊です。
『50代で決める!最強の「お金」戦略』の概要


本書の目次
『50代で決める!最強の「お金」戦略』の目次
はじめに 50歳になったら、全力疾走はやめましょう
第1章 50歳になったら、ボーッとしていてはいけない
第2章 50歳からの最強の「資産」戦略
第3章 50歳からの最強の「働き方」戦略
第4章 50歳からの最強の「給与」戦略
第5章 50歳からの最強の「家計」戦略
著者の紹介
荻原博子(おぎわら・ひろこ)
1954年生まれ。長野県出身。
経済ジャーナリスト。
経済事務所勤務後、1982年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。
難しい経済やお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説し、女性では珍しく骨太な記事を書くことで話題となる。
また、経済だけでなくマネー分野の記事も数多く手がけ、ビジネスパーソンから主婦に至るまで幅広い層に支持されている。
バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。
テレビのコメンテーターとしても活躍中。
著書
『ズボラでも増えるコツがわかる! マンガ お金の基本1年生』 宝島社 (2022/5/13)
『私たちはなぜこんなに貧しくなったのか』文藝春秋 (2021/8/19)
『買ったら一生バカを見る金融商品』宝島社 (2021/10/8)
『知らないと大損する老後の「お金」の裏ワザ 』 SBクリエイティブ (2022/7/5)
『一生お金に困らない お金ベスト100』ダイヤモンド社; 第1版 (2021/12/14)
『年金だけでも暮らせます 決定版・老後資産の守り方』PHP研究所 (2019/1/15)
『役所は教えてくれない定年前後「お金」の裏ワザ』 SBクリエイティブ (2019/2/5)
『払ってはいけない―資産を減らす50の悪習慣』 新潮社 (2018/10/17)
『投資なんか、おやめなさい』新潮社 (2017/9/15)
『騙されてませんか―人生を壊すお金の「落とし穴」42』新潮社 (2019/10/17)
『郵便局はあぶない』 SBクリエイティブ (2020/8/4)
『「コツコツ投資」が貯金を食いつぶす~一生分のお金を守る投資・保険の考え方』大和書房 (2021/6/17)
『親が子供に教える一生お金に苦労しない12の方法』中央公論新社 (2021/9/10)
『保険ぎらい 「人生最大の資産リスク」対策 』PHP研究所 (2020/1/15)
『10年後破綻する人、幸福な人』新潮社 (2016/1/16)
『[老後のための最新版]やってはいけないお金の習慣』青春出版社 (2017/9/1)
『「郵便局」が破綻する』 朝日新聞出版 (2020/5/13)
『クロワッサン特別編集 荻原博子 節約の◯と× これで老後はこわくない。』マガジンハウス (2019/8/29)
『最強の相続』文藝春秋 (2020/2/20)
『貯め込むな! お金は死ぬ前に使え。』マガジンハウス (2014/8/28)
『コロナに負けない!荻原博子の家計引きしめ術』毎日新聞出版(インプレス) (2020/9/26)
『老前破産 年金支給70歳時代のお金サバイバル』朝日新聞出版 (2018/1/12)
『おひとり様でも、一生お金に困らない本』 PHP研究所 (2017/2/24)


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