
こんにちはコウカワシンです。
今回は河野英太郎さんの著書『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』から学ばせていただきます。



「10年働いたのに、誇れる仕事が何もない」
「なかなか収入が上がらない」
「今のキャリアは第一志望ではない」
「一生懸命やっているのに評価されない」
「いつか起業したいけど、勇気がない」
「マネジャーとかリーダーとか、何をしていいかわからない」
「これから求められるスキルって? わからなくて不安」
「今の職種は将来AI化されるかもしれない……」
このように考えている人はいませんか?
社会人になって10年ともなれば、社会生活や仕事の上でも慣れてくるころですし、それなりに世の中のこともわかってきた年代だろうと思います。
中には、どんどんと出世したり、転職や起業などで活躍されている人もいますよね。
インターネットが普及し、SNSなどで同世代の近況を知ることが容易な今、どうしても他人と自分の立ち位置と比べてしまい焦る人がいるのは仕方がないことなのかもしれません。
そういう意味で、社会人10年目前後の時期というのは多くの悩みを抱えつつも、キャリア上の最も大切な時期であります。そしてこれを「キャリア思春期」という人がいます。
世界最大級の総合コンサルティング企業アクセンチュアを経て、株式会社アイデミー取締役執行役員COO、株式会社Eight Arrows代表取締役を務められている河野英太郎さんです。
河野さんの著書『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』は、中堅社会人が抱えるモヤモヤした「キャリア思春期」を吹き飛ばしてくれる心強い一冊です。
なお、この『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』は、現在amazonの本読み放題サービス「キンドルアンリミテッド」の対象本になっています。
キンドルアンリミテッドは、ビジネス書からマンガまで幅広いジャンルの本が読み放題です。ぜひこの機会にご検討ください。
『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』は、どんな本?
本書の内容
『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』はズバリ!「将来が不安な社会人のための参考書」です。
amazonの書籍紹介より
若手でもベテランでもない「中堅社員」の教科書
著書累計170万部突破の「99%シリーズ」著者が悩めるあなたに贈る
「社会人10年目の壁」を乗り越える仕事のコツ
【こんなことはありませんか?】
・10年働いたのに、誇れる仕事が何もない
・思い描いてきた「10年目」よりも、自分が未熟に思える
・今の会社に留まるべきか、転職するか迷う
・一生懸命やっているのに評価されない
・マネジメントをしようにも、価値観の違うメンバーに困惑する
【10年目は悩みの季節】
「気力・体力の衰え」の壁
「やりたいこと不明」の壁
「求められるレベル上昇」の壁etc.
経験を積んできたからこそぶつかる、新しい壁。
でも焦ることはありません。
ちょっとの工夫で、その壁は乗り越えられます!
【壁を乗り越えたいあなたへ贈る、50のヒント】
大企業やスタートアップ、日系企業や外資系企業など、様々な環境に身を置いた人材育成の専門家が教える
より良いキャリアを築くために大切にしたい「考え方」と「行動」のヒント。
本書を読めば、当たり前のようでできていないことや、すっかり忘れてしまっていた志に気づき、
またフレッシュな気持ちで自分のキャリアに向き合えます。
本書が、おすすめな人
『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』が、おすすめな人
- 将来が不安で自分に自信がない人
- 今の仕事に満足していない人
- 社会人10年目の壁を感じている人




『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』の要点は?
社会人10年目は「キャリア思春期」といわれるくらい、自分の置かれた立場と社会との関わりにおけるギャップに思い悩む人が多いそうです。
新入社員のときにも戸惑う毎日だったでしょうけど、若さや勢いで乗り切れてきたことでしょう。でも社会人10年目ともなると世間を知り、知識やこれまでに身についたスキルもあるのに、焦りや不安が増えてきます。
本書は、「キャリア思春期」に差し掛かった人たちに、より幸せなキャリアを歩んでもらうために著者が経験を通じて身につけ、整理してきたことを50のメッセージにして書かれました。



その中から、わたしに独断と偏見で、「これ!」と思うものを取り上げてみました。
スキルの壁
10年働いたのに、誇れる仕事がないという人に
誰でも、職務について10年ほど経てば自分の残した足跡に対して、何かしら思うものですよね。
成果爆上げで結果を残した人、世界に誇れる輝かしい記録を残した人など、そのような人もいることはたしかなのですが、大半の人は、「何も成し遂げていない」と思っているに違いありません。
「自己紹介のときにアピールできることは、会社の肩書以外には何もない」
「自分の誇りにできる仕事の成果って何だろう?」
「もう10年以上仕事をしてきたのに、まだ何も成し遂げてはいない」
著者は35歳のころ、このような悩みを抱えていました。それに対し、日々焦り、絶望してこともあるそうです。ですが、それから年を重ね、何千人の人の様子や、自分自身の四半世紀以上のキャリアを振り返りわかったことがあるそうです。
たった10年で人に誇れるような仕事をできる人は、ほんの一握り。20年にひとつですら立派なものだ。なんなら、一生にひとつだって十分、人に誇れるものなのだ。
日本のコンサルティング業界を作り上げた人、老舗大企業のトップに上り詰めた人、出版業界に風穴をあけた人、政治家や起業家、オリンピックのメダリスト、プロのアスリートなど、結果を残した人たちにキャリアについて聞いてみると、
「目の前の仕事を、着実にやり遂げること」
もちろん
「理想は高く掲げつつ、ね」
という答えが返ってきたそうです。
それぞれの分野で「やること」というのは変わってきますが、目の前のことを確実にやるという点では共通の認識ですよね。



「自分がまだ、何も成し遂げていない」となげく人が陥りやすい落とし穴は、やるべきことが目の前にあるのに、視線を別のものに移してしまうこと。
たとえば、今注目の会社に安易に転職したり、正論だけを掲げたり、うまくいかないことを他責にして仕事を放りだすことだと著者は言っています。
そういった誘惑に流されなかった人が、大を成すのですね。
思い描いてきた「10年目」よりも、自分が未熟に思えるという人に
自分が社会人になりたてのころに10年目の先輩や上司って、すごくオトナに見えて、頼りがいがあり、会社の中心にいる人っていうイメージはなかったでしょうか。
それに比べて自分はどうか?
まだぜんぜん仕事の成果は出ていないし、日々仕事に追われて余裕がない。毎日上司に小言を言われるし、なによりも、新入社員として入ってきた後輩たちから頼られている気がしない。
先輩に比べて、自分はなんて未熟なんだろう・・・・・。
こんな思いにさいなまれている人は多いのではないでしょうか。
著者も同じ悩みを抱え、30歳になるのがいやでいやでしかたがなかったそうです。当時、新入社員時代に見てきた入社10年目のマネジャーと自分を比べて、あまりにギャップがありすぎると感じていました。
でも実際には、当時目指していたマネジャーですら、実は日々必死で仕事をこなしていたし、周りから見るほど自信満々ではなく、迷ったり悩んだりしていることがわかったそうです。
新入社員から見ればスキル面もメンタル面も高い有能な人に見えても、マネジャーはマネジャーなりにさらに難しい仕事にチャレンジしたり、より重い責任を負いながら、求められることのギャップを埋めようと必死だったということです。
さらに、その上の部長や役員の肩書を持つ人でも同じ境遇だったし、同じように
その人が若かりし頃、思い描いていた今のポジションのイメージとのギャップに、もがいていた
ということなのです。



つまり、実は自分が妄想の中で勝手に「この人はこうであろう」という偶像をつくり、その偶像と自分を比較して苦しんでいたということになります。
著者は、「存在しないものと戦って苦しむなんて、あまりに生産的な活動ではない」と言っています。
そう考えるとなんとなく肩の力みが取れてきますよね。
同世代の活躍が気になってしかたないという人に
先ほどの「何も成し遂げていない」という話とかぶると思いますが、SNSが日常の情報源となった現代は、世界中の情報がいとも簡単に入手できます。
「MBAを取った」
「花形部門に行った」
「転職して年収1000万円超えた」
といったような、友人や同期の活躍は、発信側がみなに知ってほしいがゆえに、高い頻度で、そして具体的な情報となって入ってきます。
もちろん、知り合いの活躍はうれしいはずですが、やはり現実的には同世代の活躍は焦りや嫉妬を生みやすいですよね。
でも、誰もが抱える焦りや嫉妬は、向上心の表れであり、これをうまく自分でコントロールし、焦りや嫉妬を消したうえで、さらに自分のキャリア向上の原動力に変えるという発想に立つのが良いと著者は言います。
そこで、取れる対策としては、
今の自分の仕事に没頭すること
SNS時代特有の情報に対する受け止め方を、冷静にコントロールすること
といったことをやっていくべきです。



つまり、雑音には耳を傾けず、地に足つけて今やるべきことに注力することが最強のセルフコントロールということです。
とくにSNSで拡散する「ウワサ」的情報は・・・ときに誇張されたり、部分的に切り取られたりするものですので、仮に事実でない情報に踊らされるなんていいことではありません。
そこのところを冷静に受け止める意識が必要ですよね。
他社でも通用する力をつけたいという人に
目まぐるしく世の中が変わり、今評価されていることも、将来的にそうではないと考え、転職なども視野に入ってくる。
そういったことで「他社でも通用する力をつけたい。そのためにはどうしたら良いでしょうか」という相談を著者はよく受けるそうです。
そんなときに著者が返す言葉が「まず考えるべきこととしては、今の会社で通用しているかどうか」です。
今の環境下で、お客様の期待に応えるためのスキルをつけ、今の会社で通用するようになれば、多くの場合他社でも通用する。
そのうえで著者は、「自社でしか通用しない力」というものは案外他社でも重宝するとしています。
たとえば、「オフィスのどこに物があるかを知っている」とか、「○○部長の性格はこうだ」とか、「自社開発のシステムや業務の運用法を知っている」、「自社製品の特長を知っている」といったようなものです。
これは何を指すかというと、「仕事を前に進めるための『自社の内部環境を知る能力』を持っている」ということなのです。



つまり、これらの能力を「自社でしか通用しない力」と卑下しないことが重要です。
それよりも、その能力を今の会社のなかで存分に発揮して、お客様のために結果を出すことのほうが「他社で通用する力」を養うための近道だと著者は説きます。
ですので、焦って軽率な行動をとらず、今できることに注力しましょう。
マネジメント・リーダーの壁
リーダーって、柄じゃない・・・正直めんどうなんだけどと思う人に
「リーダーになんかなりたくない」
「人の上に立つのは向いていない」
「リーダーというものに興味がない」
このように考えている人はかなり多いのではないでしょうか。
その理由はというと「管理職になると上下の板挟みになって大変だから」とか「忙しくなるのに残業代が出ない」といった役割の負担感や不公平感に対する拒否反応があるからです。
また、「人の上に立つのは向いていない」などの向き不向きに関する懸念もあるでしょう。
そもそも「リーダー=管理職」という考え方はちょっと違います。
管理職とはマネジャーといった組織上の役割であり、リーダーとは向かうところを示し、人々にそちらに向かって行動したいと思わせる人を指すのです。ですので、組織上のトップとは限りません。
リーダーに求められるのは「指針を指し示すこと」です。これは誰でも日常的にやっていることなのです。
たとえば、「このお店にしない? なんか食べログポイントかなりいいよ」という会話でも、確実にリーダーシップが発揮されます。
仕事上でも「わたしの担当するお客さんに、そちらの部門の製品を紹介したいので相談に乗ってください」というのもです。
つまり、やりたいことを持っていて、人を巻き込んでいくことそのものがリーダーシップなのです。
まとめると、
すべての当事者意識を持った仕事はリーダーシップが必要。
同時に、誰もが知らず知らずのうちにリーダーシップを発揮している。
ということです。



つまり、リーダーシップって、仕事をするうえで誰もが発揮しているということですね。
「自分にはリーダーシップがない」と思われる人は、日常から自分がリーダーになるようなことを実践してみてはいかがでしょうか?
たとえば、「飲み会の幹事を引き受ける」や「お客様との商談に自分の意見を提案してみる」といった具合に日常から指針を指し示す行動を取ることで磨かれていきます。
マネジャーとかリーダーとか、何をしていいかわからないという人に
ある日突然「あなたは今日からマネジャーです」と言われたら、戸惑いますよね。
「いったい何から着手すればいいか?」
「ちゃんとメンバーはついてきてくれるだろうか?」
「チーム目標は達成できるだろうか?」
など・・・心配や考えることがたくさんあります。
もちろん簡単なことではありませんが、著者は心構えとしてこんなふうに考えるべきだと言います。
「これまでの歴史上、日本だけで数百万人のマネジャーがいるはずだ。そこまで特別な、難易度の高い仕事であるはずがない」
こう考えると気が楽になりますよね。
マネジャーやリーダーの役割は、もちろんチームのビジネス目標を達成することです。それと同時に配慮すべきは「メンバーの育成」なのです。
育成を考えるときの心構えとしては、「ポジションに着任したその日から、後任となりうる人はどの人だろうか?という目でチームメンバーを見る」ということです。
ですので、「リーダーやマネジャーになったときの心構え」としてまとめると、
「チームのビジネス目標を立て、目標を達成する」
そして
「自分がいなくても回るチームをつくる」
ここで注意点があります。



ともすると、部下の仕事に嫉妬したりライバル視したりするマネジャーもいます。中には手柄を奪うとが、わけのわからない行動に出る人もいます。
そのような人は組織の成長も阻害します。
「自分を抜かしていけ」と言えるくらい器の大きなマネジャーを目指したいものですね。
それが結果的にビジネス目標を達成して、自分自身まで飛躍していくという効果も生んでくれますから。
仕事ができない人への対処はどうするのがよいかを知りたい人に
チームで仕事をするときに、組織目標の達成に向かってトントン拍子に進むことが最適解であり、仕事がうまくいくために力になれる人が「仕事ができる人」ということになります。
しかし、「仕事ができる人」でも、性格の不一致とかで、他のメンバーと衝突が多かったりしてチームの目標達成にマイナスの影響を与えていたらその人は残念ながら「仕事ができない人」ということになります。
同じく、チームの雰囲気を良くしても成果に結びつかない人も、仕事ができない人です。チームメンバーにこのような人がいる状況はよくあることです。
部下は「ほめて伸ばせ」とか逆に「ほめてはいけない」とかさまざまな説がありますが、当然現場はどちらか一方では成立しません。
ここでの結論は、「ケースバイケースで、相手の性格や経験、スキルなどの習熟度と周辺環境のセットで判断する」です。自信がない人には自身をつけさせ、調子に乗っている人には周りを見えるようにいさめるがベターだということです。
しかし、これらの努力を重ねても、どうしても浮揚してくれない人はいるものです。
そのときどうするかですが、考えるひとつの軸が、
「対象者本人の中長期キャリアの視点で考える」
であり、まるでその人自身かその人の親になったような視点で考える。
ということになります。
その人が活躍できる場所がここではないと感じる場合、「この状態で、今の場所に居続けることが本人のためになるだろうか?」そして突き詰めると「ここではないどこかで活躍させてあげたい」に行き着くことになるかもしれません。
一見、残酷というか「無責任」と言われたりするかもしれません。
しかし、少しでも気力体力がそろっているうちに、いくらでもキャリアの選択肢が残っているうちに、社外や業界・職種も考えてみようという選択肢を示すことが本人にとって最善策であると著者は言います。



もちろん、最後に自分のキャリアの責任を持つのは本人です。
しかし、考える軸や選択肢を示してあげるのは、周りの役割ですし、いろんな経験を積み、中堅どころとなり、そしてリーダーとなった者が当事者にかけるやさしさといえると感じます。
時代の変化の壁
これから求められるスキルは何かわからなくて不安な人に
「これから求められるスキルについて悩んでいる」
こんな人は、いないでしょうか?
これって、目的もないのに手段を探し求めているに等しく、考えても無駄なことだと著者は言います。
そんなことよりも「お客様の期待に応えたい」「そのためにこのスキルを身につけたいが、どうするのが良いか」といったような今必要なことを懸命に悩みましょう。
とはいっても、どんどんと新しいものが導入され、数年前では考えられなかったことが現在ではふつうに活用されています。
少し前までは「データをクラウド上に置いても本当に大丈夫か?」「AIが人間を駆逐するのではないか?」といった議論があり、みんな真剣に悩んだものでしたが、10年も経てば「そんなこと言ってたんだね」と笑って語らう話題になっているはずです。
「新しいもの」への人々の態度はこんなふうに分類されます。
- 不安に駆られて大騒ぎして動揺したりあおったりする
- 関係ない、軽視する
- 興味を持ち、研究する
過去の例から見て、その後の社会の変化をリードしたのは「興味を持ち、研究する」という態度を取った人たちです。
これらの人たちは、正確な情報をできるだけ集め、その道の専門家の話を聞き、それを自分の領域に当てはめて考えて、自分たちが理解できる状態にまで言語化して整理したのです。
不安に駆られた人や関係ないと軽視した人にはチャンスは訪れなかったのです。
ということで結論です。
周りで起きている変化にアンテナを張り続け、それを不必要に恐れすぎず、むしろ好奇心を持って近づいて探索してみる。



つまり、今目の前のやるべきことにベストを尽くし、新しいものにも柔軟に対応、興味を持って研究することで、よけいな不安を持たずにすみますね。
とにかく、「柔軟」と「興味」こそがこれからの新しい時代に向けて大事なスキルだということです。
流行りのデジタルスキルを身につけるべきか悩んでいる人に
時代に取り残されないように流行りのデジタルスキルを身につけるべきか悩まれている人も一定数いらっしゃるそうです。
❝イノベーション❞という言葉が巷にあふれ、多くの人は「技術革新」「大変革」といったとらえかたをし、戸惑うげんいんにもなったりします。
ですがこの❝イノベーション❞という言葉は、アメリカ人から言わせると日本語の「工夫」がしっくりくると解釈されています。
このように新しいものには、それなりに意味があって移り変わっていくものが多いということです。最近ではAI、DX(デジタル・トランス・フォーメーション)、クラウド、5Gなどの新しい技術が浸透しつつあります。
このことで、
「ああ、自分は流行りの技術についていけていない」
「将来、生き残れないのではないか」
と考えたり悩んだり焦ったりしている人はいませんか?
著者は、そういったものに対し大げさにとらえすぎずにむしろ
気軽に近づき、概要を知ることに努める
ことを推奨しています。
たとえば、
「すなわちこういうことである」
「背景はこうである」
「自分たちのビジネスへの影響はこんな感じである」
というように自分なりにまとめていけばいいということです。
もしその結果、もっと知りたいと感じたなら、そのまま学び続けて、その道のエキスパートに近づいていけばいいわけです。



わたしもデジタル音痴なため、新しい技術はちょっと戸惑い気味なのですが、著者の言葉から少し気分が軽くなった気がします。
とにかく柔軟に「興味」を持ってみることですね。
今の職種は将来AI化されるかもしれないと不安に思う人に
IBMが、創業者ワトソンの名を冠したAIを使って、クイズ番組でチャンピオンを破ってから10年以上が経ったそうです。当時はとんでもない大ニュースとなり、さらにそのノウハウをビジネスにも活用するという流れにもなっていきました。
その後、年を追うごとにビジネスや生活の中にAIが採用されていき、今では毎日何らかの形でAIと接点を持つようになっています。
そこで、日増しに大きくなってきたのが
「AIに置き換えられる仕事に就いている自分は、どうしたらいいか」
という悩みの声です。
AIに代替されてしまうとなると人員削減のイメージがつきまといますが、日本の場合は少し様子が違うと著者は言います。
経営者としては、次々にリタイアしていく熟練世代の補助手段であり、またすでに到来し、これからも確実にその影響が大きくなる人手不足を補う手段としてのAI、DX導入の側面がある。
といっても、AIへの仕事の移管は、AIを導入したらすぐにできる簡単なものではありません。
その業務を棚卸しして、仮のモデルをつくり、それが業務面、採算面で有効かどうか見ます。有効であれば実際に業務移管の準備を行い、関係者へ説明や調整を経て業務移管するのが一般的なのです。
ということは、AIプロジェクトにはプロジェクトメンバーが必要になります。AI移管したあともメンテナンスやバージョンアップなどの環境の変化に合わせた対応をする人員が必要なのです。
プロジェクトメンバーというのは、他ならぬ今その仕事を担当している人たちです。
現在の仕事、解決するべき課題やキーポイントを熟知し、AIやDXなどの知識を学びながら、主体的に移管作業を行い、結果的に移管したあとも運用を担当することになる可能性は高いのではないでしょうか。
ですので、自分は「AI化をする側」に立つという意識、つまり「変える側」になっちゃいましょう、そしてそれに乗っかっちゃいましょうということなのです。
ふだんから「変える側」に立っていれば、AIが来ても、DXが来ても、カーボンニュートラルが来ても、変える側で居続けることができる。



AI化という先進的な変革プロジェクトに関与しながらスキルアップする。そしてより高いレベルで仕事を進める・・・。
もしこういったことに関われなかったらという懸念はあるでしょう。
しかしそれはAIに仕事を奪われるという懸念ではなく、
「今の仕事においてリーダーシップを発揮できているか?」
「課題やキーポイントを理解できているか?」
といったことに着眼してみましょう。
『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』の感想・まとめ
本書は、「基本が大事」「周りは気にしない」「焦ってはいけない」「人は弱いもの」ということを改めて教えてくれました。
それと同時に、「前向きに」「ファイティングポーズを」「行動を」「一歩踏み出せ」といった鼓舞するメッセージもたくさん与えてくれます。
「人生100年時代」を迎えようとする現代では、なかなかリタイアできないという不安もあります。
ですが、その時その時を「柔軟」な思考でとらえ、適切な休息を積極的に取りつつ進んでいくことを著者は説いています。
江戸幕府を開いた徳川家康の言葉に「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし、急ぐべからず」があります。そして、この有名な遺訓の締めとして「及ばざるは、過ぎたるよりまされり」としています。
つまり「急がず、焦らず、地に足をつけて進んで行きましょう」ということなのです。
ですので、毎日悩み、もがき、その時その時を誠意をもって、しっかり対処していけば、それが尊い経験になり、わが身を助けるスキルになるのではないでしょうか。
この記事では「キャリアの壁」「職場環境の壁」といった個々の違いによるケースバイケースの事案は省略させていただきました。
本書はまだまだたくさんの、混とんとした社会を生き抜くためのスキルが満載です。
よろしければぜひ手に取って読んでみてください。
『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』の概要
本書の目次
『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』
はじめに
1章 スキルの壁
2章 キャリアの壁
3章 職場環境の壁
4章 マネジメント・リーダーの壁
5章 時代の変化の壁
著者の紹介
河野英太郎(こうの・えいたろう)
1973年生まれ。岐阜県出身。
株式会社アイデミー取締役執行役員COO、株式会社Eight Arrows代表取締役、グロービス経営大学院客員准教授
東京大学文学部卒業。同大学水泳部主将。グロービス経営大学院修了(MBA)。
電通、アクセンチュアを経て、2002年から2019年までの間、日本アイ・ビー・エムにてコンサルティングサービス、人事部門、専務補佐、若手育成部門長、AIソフトウェア営業部長などを歴任。
2017年には複業として株式会社Eight Arrowsを創業し、代表取締役に。
2019年、AI/DX/GX人材育成最大手の株式会社アイデミーに参画。現在、取締役執行役員COOを務める。
著書
『99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ』ディスカヴァー・トゥエンティワン (2012/3/10)
『99%の人がしていないたった1%のリーダーのコツ』ディスカヴァー・トゥエンティワン (2013/6/15)
『99%の人がしていないたった1%のメンタルのコツ』ディスカヴァー・トゥエンティワン (2017/9/14)
『どうして僕たちは、あんな働き方をしていたんだろう?』ダイヤモンド社; 第1版 (2020/8/26)
『VUCA時代の仕事のキホン』PHP研究所 (2019/2/28)
『現代語訳 学問のすすめ』SBクリエイティブ (2017/3/16)




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