「ギブ・アンド・テイク」
❝何かを与えたら何かをもらう、何かをもらったら何かを与える❞という関係を意味しますよね。仕事でもプライベートでも、ほどよい人間関係を保つには、大事な考え方です。
では、「ギブ・アンド・テイク」で、人間関係をうまく保つには、どうすればいいのでしょうか?
それはズバリ「与えること」だと、本書には書いています。
日本のことわざには、「情けは人のためならず」(人に対して情けをかけておけば、巡り巡って自分に良い報いが返ってくる)がありますが、本書で書いてあることはまさにそれです。
そこで、本書から「与える」コツを深掘りしてみましょう。
なお、本書はAmazonの聴く読書「アマゾンオーディブル」とオトバンクの本効き放題サービス「audiobook.jp」で聴くことができます。
スキマ時間などにぜひ活用してください。
『GIVE&TAKE』は、誰におすすめか?
本書は、このような人におすすめです。
『GIVE&TAKE』がおすすめな人
- いつも人の役に立とうと思っている人
- 自分はいつも与えられてばっかりだと思う人
- 成功者を目指している人



ねえねえ、「ギブ・アンド・テイク」って、とても合理的で誰もが納得する考えだよね。
でもね、友達のお父さんなんか、仕事がただでさえ大変なのに同じ職場の人のサポートしたりして残業や休日出勤でなかなか家にいないんだって。
とてもやさしいし、いい人なんだけど、報われないというのはこういうことだよね。
そんなんだったら、少しくらい見返りが欲しいものだよ。



そーか~。
友達のお父さん、大変だね。
そういうのを、「自己犠牲型ギバー」というらしいよ。
「ギブ・アンド・テイク」という考え方で、成功者に多いのが「ギバー」といって「与える人」といわれているんだ。でも、同じギバーなのに、他の人に利用されたり時間を奪われたりするといった人もいるんだ。
なぜそういうことになるかというと、たぶん同じ職場とかに「テイカー(奪う人)」が、いる可能性が高いね。
本当ならテイカーを避けるべきだ。
アダム・グラントさんの著書『GIVE&TAKE』では、テイカー対処法がいろんな事例と一緒に書いてあるよ。
ぜひ、その友達のお父さんにも読んでほしいなあ。
そして、多くの社会人で自己犠牲を強いられている職場の人は、一度読んで、自分自身の身の置き方を考えることが大事だと思うよ。




『GIVE&TAKE』は、どんな本?
本書の目次
『GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代』
PART1 あなたは、まだ「ギブ&テイク」で人生を決めているのか
PART2 「名刺ファイル」と「フェイスブックを見直せ
PART3 チームの総力を活かせる人
PART4 荒野で❝ダイヤモンド❞を見つける方法
PART5 「パワーレス」の時代が始まった
PART6 「与える人」が気をつけなければならないこと
PART7 気づかいが報われる人、人に利用されるだけの人
PART8 人を動かし、夢をかなえる「ギブの輪」
PART9 「成功への道」を切り拓(ひら)く人たち
著者の紹介
アダム・グラント
1981年生まれ。アメリカ合衆国ミシガン州出身。
ペンシルベニア大学ウォートン校教授。組織心理学者。同大学史上最年少の終身教授。
『フォーチュン』誌の「世界でもっとも優秀な40歳以下の教授40人」、『ビジネスウィーク』誌の「Favorite Professors」に選ばれるなど、受賞歴多数。
「グーグル」「IBM」「ゴールドマンサックス」などの一流企業や組織で、コンサルティングおよび講演活動も精力的に行なう。
本書は24カ国語以上で翻訳され、世界中の人びとの「働く意義」を変えたといわれる大ベストセラーになっている。
本書の内容
『GIVE&TAKE』は、ズバリ!「与える人になり自分も相手も幸せになろう」です。
amazonの書籍紹介より
「ギブ&テイク」とは、この世の中を形成する当たりまえの原理原則に思える。
しかしこれからの時代、その“常識”が果たして通用するのかどうか
著者の問題提起が、アメリカで大論議を巻き起こしている。
人間の3つのタイプである
●ギバー(人に惜しみなく与える人)
●テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)
●マッチャー(損得のバランスを考える人)
もっとも成功するのは誰だろう。
このそれぞれの特徴と可能性を分析したするどい視点。
世界No.1ビジネス・スクール「ペンシルベニア大学ウォートン校」史上最年少終身教授、待望のデビュー作!!
全米トップ・ビジネススクール「ウォートン校」の史上最年少終身教授でもあり、
気鋭の組織心理学者が教えるビジネスの成功の秘訣。
他人に優しくしていたら、厳しい競争を勝ち抜けない?――それは大きな誤解だ。
これからは、他者志向の思いやりの発想とコミュニケーションが、
あなたの仕事に大きな成功をもたらす。
リーダーシップ、営業、交渉、事業の立ち上げ、昇進まで……
ありとあらゆるシーンで この考え方が役に立つだろう。
一橋大学大学院教授・楠木建
(『ストーリーとしての競争戦略』『経営センスの論理』)の
監訳と解説で、日本初デビュー!
「世の“凡百のビジネス書”とは一線を画す一冊だ!」



誰もが成功者になり、幸せな生活を送りたいと願っています。
そして世の中の人々は、ギバー(与える人)、テイカー(奪う人)、マッチャー(損得のバランスをとる人)に分けられます。
成功者の多くは、ギバーが多いそうです。つまり、与える人は最強ということですが、与える人というのは、なぜ成功できるのでしょうか?
それから、与えてばかりの人は、損しないのでしょうか?
他者から奪ってばかりの人は幸せになれないのでしょうか?
この『GIVE&TAKE』は、そのようなことをいろんな事例を通して教えてくれるのです。
ですので、社会人、とくに新社会人になられる人にはぜひ本書を読んで、自己犠牲で、疲弊するのではなく自分自身を大切にする気持ちを持っていただきたいものです。
『GIVE&TAKE』の要点は?
「ギブ・アンド・テイク」という概念は、持ちつ持たれつといった意味で言えば、「平等・公平」のイメージが強い言葉ですよね。
「何かしてあげたら、何かで返してもらう」、「見返りのないことはできない」、「与えるだけの人生なんて考えたくもない」などと、人は自分中心にものごとを考え、バランスをとる人が多いです。
しかしながら、この『GIVE&TAKE』では、❝「与える人」こそが成功する❞ということを主題にしているんです。
たしかに「与える」ことが成功への架け橋になるのですが、中には「ただ単にいい人」で終わる人も多いといいます。成功者と「ただ単にいい人」では、どこがどのように違うのでしょうか?
「与える人」・・・本書ではギバー(GIVER)として、いろんな事例からギバーが成功者へ歩むための最強な方法として紹介しています。



そこで、本書の内容をかいつまみ、わたしの独断と偏見で、要点を押さえてみようと思います。
世の中にはギバー、テイカー、マッチャーの3種類の人間がいる
世の中の人は、「ギバー」「テイカー」「マッチャー」の3種類に分けられます。
- ギバー(人に惜しみなく与える人)
- テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)
- マッチャー(損得のバランスを考える人)
ギバーの特徴
自己犠牲を払ってでも他人に対し惜しみなく与える人をギバーといいます。ギバーは見返りを求めません。
まずギブしようとします。相手のことを考え、まっ先に相手に与えるのです。
その時点で見返り(テイク)があるわけではないのですが、それでも結果「どこからかお返しをもらえる」のもギバーなのです。
昔話の「かさじぞう」が、ギバーのよい例ですね。
出典:ボンボンアカデミー「かさ地蔵 – かさじぞう(日本語版)アニメ日本の昔ばなし」より
テイカーの特徴
自分が与えるのではなく、まずは自分が受け取ることを優先する人をテイカーといいます。時にはテイカーも受け取る目的を達成するために与えることはあります。
自分から奪い取る。それでも、テイクするためにはその過程で手段として取られるもの(テイクン)が出てくるのはしかたがないと考え行動するのがテイカーなのです。
たとえば、時代劇によく出てくる「悪代官とそれにつるむ欲深い商人」の関係などテイカーそのものですよね。
出典:みつやサイダー「【龍が如く 見参!】 #87 千両屋 そちも悪よのう・・・・・」より
マッチャーの特徴
与えることと受け取ることのどちらを優先するのではなく、損得のバランスをとろうとする人をマッチャーといいます。なぜならマッチャーは「人間関係の損得は五分五分であるべき」と考えているからです。
本書では、人の大半は、このマッチャーであると説明しています。
ギバー、テイカー、マッチャーの割合
それでは、ギバー、テイカー、マッチャーはどれくらいの割合でいるかということですが、本書では、全体的にギバーが25%、テイカーが19%、マッチャーが56%くらいな割合で存在するとしています。


マッチャーが、半分以上いるのは納得なのですが、テイカーって意外に少ない印象です。それよりちょっと多いのがギバーですが、全体から見ると、ギバー、テイカー合わせても半分に満たないのです。
ただし、「見るからにテイカーだ」とする人は、ほぼいなくて、人というのはそれぞれ、ギバー、テイカー、マッチャー的な要素を持っています。
たとえば、他者からみてテイカーと思われる人でも、家族に対してはギバーだろうし、ビジネスの面ではマッチャーのような振る舞いをします。
つまり、その人物がどのタイプかは、第一印象ではわからないし、どれかひとつに固定されるものではないといえますね。しかし、どの要素が強いかを見極めていくことが人間関係を円満にするコツといえます。
結局、成功者に多いのはギバー
さて、本書では成功者になるのは「ギバー」だとし、「与える人」こそ成功するとしています。しかしながら、失敗するのも「ギバー」だと、しているのです。
いったいどういうことでしょうか?
それには、「ギバー」には2種類のタイプがあるからだそうです。
成功するのも失敗するのも多いのは、ギバー
その2種類のタイプとは、
- 成功する他者志向型ギバー
- 失敗する自己犠牲型ギバー
です。
そこで、著者が本書での中で、社会で成功しやすいタイプを順位付けました。
1位 他者志向型ギバー
2位 マッチャー
3位 テイカー
4位 自己犠牲型ギバー
これを見てると、自己犠牲型ギバーって、割に合わないですね。
自己犠牲型ギバーは、相手の利益を優先しすぎてしまい、与えるばかりで利益が得られず、結果、成功につながらないということなのです。
一方で、他者志向型ギバーは、相手と自分の利益を同じように考える・・・つまり、「Win-Win」の関係を構築することを目指すため、相手の信頼と利益どちらも得ることができ、結果、どのタイプよりも最も成功しやすいのです。
マッチャーが、2位なのは、予想通りですが、テイカーって、得ばかりしてるような印象なのに3位とは意外ですね。これにも理由があって、自分の利益ばかりを優先させる戦略は、見抜かれやすいので成功に発展しにくいからだといわれています。
他者志向型ギバーになるための心得
誰もが、成功を手に入れる「他者志向型ギバー」になりたいはずです。
では、「他者志向型ギバー」になるために心得ることは何でしょうか?
本書では、次のようなことがポイントだとしています。
- 周囲からサポートを受ける柔軟性
- 他者の幸せが自分の幸せと感じる
- 自分の時間を大切にする意識
周囲からサポートを受ける柔軟性
自己犠牲型ギバーの特徴は、他者から助けを受けることがはるかに少ないことです。それにより、精神的にも肉体的にもダメージを受け疲弊してしまいます。
それに比べ、他者志向型ギバーは、自分自身の幸せを守ることの大切さを理解しています。なぜなら、自分自身が幸せに感じないことは長続きしないからです。
そのために燃え尽きそうになると、他者に助けを求め、やる気や気力を維持するのに必要なアドバイスや、協力を仰ぐのです。
他者の幸せが自分の幸せと感じる
他者に尽くす喜びを感じることが重要です。そのようなマインドがないと、自己犠牲的な気持ちになり、自己嫌悪に陥ります。
他者志向型ギバーは他者貢献を義務感からではなく「楽しみ」としての意識を持ち、自分の知識や時間、アイデアなどを与え喜ばせようという気持ちを持っているのです。
それぞ、「他者の幸せが自分の幸せ」と感じ、自己肯定感を高めているということですね。
自分の時間を大切にする意識
他者志向型ギバーになるには、自分自身が疲弊してしまっては長続きしません。
そこで重要なのが「自分自身の時間を大切にする」という意識を持つことなのです。
他者への奉仕や相談ばかりに時間を使っていると、いつしか自分自身の精神状態に支障をきたし、せっかくのギバーとしての活動が長続きできなくなってしまいます。
他者に与えるだけの関係が続いているのなら、それを見直し、相手から離れ自分の時間を確保するようにしたいものです。
成功するギバーになるには
ギバーといっても、「ひたすら他者に与えるだけ」ではありません。同じく、テイカーも「人から取ろうとするだけ」ではないのです。
どのタイプも最終的に「ギブ&テイク」になることは変わりなく、世の中は「ギブ&テイク」で成り立っているということです。
そこで、成功を手に入れる他者志向型ギバーは、必然的にマッチャーとなり、テイカーと思われる人物を排除します。
テイカーを排除する
ひと口に「テイカー」といっても見た目ではわからないものです。
見た目は愛想もよくギバーを装うテイカーもいて注意が必要です。
そこで、戦略的にテイカーを排除する「寛大なしっぺ返し」というものを本書では紹介しています。
「寛大なしっぺ返し」とは、最初はギバーとして振る舞い、その状況に応じマッチャー的な損得の駆け引きをするのです。
「寛大なしっぺ返し」のルールは「よい行いはけっして忘れず、悪い行いをときどき大目に見る」です。
つまり、最初は協力的な態度に出て、相手が張り合ってこないかぎり、そのままの態度を維持し、相手が張り合ってきても、常に同じように張り合ってはならないということです。
その目安として「3回に2回は張り合うが、3回に1回は協力的な態度で応じる」くらいな感覚でいけば、ギバーとしての信用を損なうことはないし、効果的にテイカーを排除していけるということです。
テイカーの特徴
テイカーとは、「奪う人」。
自分の得のない関りは好みません。ですので、利害関係のうすい人に対しては人当たりが良くない傾向があります。
たとえば、レストランとかで、お店の人に対し横柄な態度をとる人とか見かけたりしますよね。ギバーは利他の心を持っているので、相手が自分より弱い立場の人に対してもぞんざいな扱いはしません。
そしてテイカーは、
- 自分自身を良く見せたりするので自慢話も多い
- 求めてもいない意見を言ってきたり、話の途中から入ってきて横取りをする
- 上司にはうまく取りいるのに後輩や部下への対応は真摯でない
といった特徴があります。
こういう人物を見かけたら、近づかないようにしましょう。
そして、「自分はテイカーではないか?」と気づいたなら、ぜひ改善して他者志向型ギバーを目指しましょう。実はわたしも過去を振り返れば、テイカーだった自分を見つけることができます。
つまり、誰にでもテイカーの要素はあるのです。それに気づくか気づかないかで、今後の展開が明るいものになっていきます。
テイカーの見分け方
まず、「わたしはテイカーです」と、名札をつけている人はいません。温厚な素振りを見せて近づいてきて、知らず知らずに相手の利益や時間を奪っていく・・・そんな人がテイカーなのです。
でも、何か見抜くコツというものはないものでしょうか?
本書では、テイカーを見ぬく目安として次のことをあげています。
- SNSアカウントのプロフィール写真(テイカーは自分を良く見せるためにプロフィール写真を盛っている可能性大)
- SNSでやたらと友達が多い(facebookなど)
- SNSでの投稿がほぼ自慢話
- 主語が「わたし」(自分を第一に考えるため、三人称の「わたしたち」ではなく、一人称の「わたし」を使う場合が多い)
- 尊敬する人物は有名人(身近にいる人ではなく、会ったこともない有名人から影響を受けたアピールをする)
まあ、、、これだけでテイカーとは決めつけられないと感じますが、判断する材料の一つだとは思います。
実際に会う機会があるのであれば、テイカーかの判断材料として把握しておくのもひとつの手ですね。
『GIVE&TAKE』の感想・まとめ
「お人よし」のままでは、損ばかりする。
「お人よし」、つまり「ただ単にいい人」は、テイカーに搾取され続ける人生を送る羽目になります。
この『GIVE&TAKE』では、いろんな事例を取り上げ、ギバーの優位性を紹介されています。ただ、いいところばかりではなく、自己犠牲型ギバーの悲惨な現状も取り上げているのです。
できるなら、他者志向型ギバーとなり、自己肯定感を高めたいものですよね。
そのためにはテイカーを見極め排除することも必要となります。
ギバーといえど、自分自身を大切にできない人は、幸せから遠ざかってしまうのです。
そういった意味でも、本書は人生で大事なことを教えてくれます。ぜひ、手に取って読んでみてください。




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