
こんにちはコウカワシンです。
今回はサチン・チョードリーさんの著書『頭で考える前に「やってみた」人が、うまくいく』から学ばせていただきます。
『頭で考える前に「やってみた」人が、うまくいく』はどんな本


『頭で考える前に「やってみた」人が、うまくいく』はズバリ!「行動こそ最強の武器であり、発想の転換こそが未来を生む」です。
本書はこのような本
著者のサチン・チョードリーさんは、インド出身の事業家です。そして、お金にまつわる多数のビジネス書を出版しており、英語の教材やYouTubeチャンネル、テレビ出演などでご存知の方も多い方です。
サチンさんは、現在、東京を拠点に会社をいくつも経営され世界を飛び回られているそうです。
複数の企業コンサルタント、アドバイザーとして経営に参画するかたわら、個人向けの経営コンサルティングや講演、セミナー事業を行うAVS株式会社の代表取締役会長を務められています。
そんな、サチンさんの時給はなんと70万円!
まちがいなく本物の成功者といえる人です。
サチンさんが言うには、「国内外問わず、多くの成功者には共通点がある」ということです。
それは何かいいアイデアや、やってみようと思いついたら、頭で考える前に、とにかくアクションを起こすことです。たとえ失敗したとしても、すぐに行動に起こしているので、修正して再チャレンジすることもできるのです。
一番いけないのは「行動しないこと」。
なにかアイデアがあっても、ああでもない、こうでもないと、頭の中で考えることに時間を費やし、ようやくやろうとしたときには、時すでに遅しで、他の誰かがすでにやって成功していたり、失敗できる時間もなく、再チャレンジが難しい状況に追い込まれてしまいます。
これでは、せっかくのアイデアもムダになってしまうということです。
そこで、サチンさんは、「実行しない失敗」をしないためのメソッドを紹介してくれました。
それが、インドに伝わる生き方の知恵「ジュガール」というものです。
「ジュガール」とは、独創的な方法により施す間に合わせや急場しのぎを指し、規則をうまい具合に曲げて解決したり、現実にある障害をなんとか乗り切るための方策のようなものです。
たしかにインフラも整った日本に住んでいると、「間に合わせ」とか「急場しのぎ」をするような事態になることはないかもしれませんが、インフラなどがまだまだ未整備なインドでは、日常的に「ジュガール」の考え方が染みついているといいます。
今、世界的な企業のリーダーに就いている人はインド出身の人が多い状況です。この「ジュガール」が、躍進の鍵になっているといっても過言ではないのです。
本書がおすすめな人
本書はこのような人におすすめです。
『頭で考える前に「やってみた」人が、うまくいく』 がおすすめな人
- いろいろ考えすぎて行動ができない人
- 成功者になりたい人
- 現実主義で革新的な考えが思い浮かばない人
『頭で考える前に「やってみた」人が、うまくいく』の要点は?


サチンさんのようにインド国外に住んで活躍しているインド人のことを「印僑」(いんきょう)といいます。印僑には非常に優秀な人物が多く、フォーブスの世界長者番付には印僑を含むインド人が84人もランクインしているそうです。
マッキンゼー、マスターカード、ペプシコ、モトローラ、アドビシステムズ、シティグループなど、有名企業のトップはみな印僑なのです。
サチンさんは、多くの印僑の大富豪たちに話を聞いた結果、お金持ちになれた根底にあるのが「ジュガール」であると確信を持ちました。



日本に来日し、お金も人脈もないサチンさんが、「ジュガール」を使って大成功をおさめた事実は、基本的な考え方として再現性があると感じました。
そこで、本書からわたしから見た「ジュガール」を独断と偏見で、かいつまんで紹介したいと思います。
ジュガールとは?
「ジュガール」とは、インドにおいてマハラジャの時代から広く知られている問題解決ソリューションです。その考え方は少しだけ発想と行動を変えるだけで人生もビジネスも圧倒的に逆転するとされ、世界から注目されています。
たとえば、仕事の商談で急いでいるときに車のガソリンが切れて止まってしまったら、みなさまはどうしますか?
ふつうに考えたら、「先方に電話してスケジュールの調整をお願いする」というのが一般的です。ですが、この日この時しか商談のチャンスがないとすれば、どうしても間に合わせるしかありません。
こんなときにジュガールなら、「通りかかった車を止めて、ガソリンを分けてもらう」という手を使うのです。こんなことは無理だという人も多いと思いますが、実際にあった話です。
「少ない時間で済ませる」「不必要な時間や手間はかけない」「使えるものはなんでも利用する」ことが、ジュガールの精神というわけです。
今の日本人的な考えなら、あらゆる場面で遠慮したり、慎ましさを美徳 としているため、このような発想はなかなか思いつかないと思いますが、高度成長期をつくった昔の日本人なら、このようなたくましさがあったとサチンさんはいいます。
現代でも「ジュガール」の考えで、ものごとに当たる企業や事業家は日本にも存在します。
例をあげると、「人気あるアップル社のiPhoneを日本でいち早く独占販売し顧客シェアを伸ばしたソフトバンク」ですね。さかのぼれば、「音楽を携帯できるを実現したウォークマンをつくったソニー」もそうだということです。
そして、カレーハウスCoCo壱番屋(ココイチ)が2020年8月にカレーの本場インドに進出しました。これも衝撃的なニュースでしたが、現地では大人気なのだとか。
これ、ココイチ好きのサチンさんが、提案して実現した話だそうです。
「インドで日本のカレーなんて無謀かも」などと考えているとせっかくのアイデアも成功の目を見ることはできませんし、「突然電話するとか迷惑だよな」なんていうのは考えるだけムダということです。
とにかく、「思いついたら素早く行動」が大切ということです。
つまり、それが「出る杭」になったとしても、あつかましくやり続け、いずれは突き抜けてしまうほどのたくましさが、今の日本人には必要だとサチンさんはいいます。
ジュガールを理解するための7つのエッセンス
ジュガールの基本的な考え方として「ジュガールを理解するための7つのエッセンス」を理解する必要があります。
ジュガールを理解するための7つのエッセンス
- 少ない力で多くのものを得る
- 自分の枠を超えた発想で考え、行動する
- やわらか頭で考えてピンチをチャンスにする
- シンプルに考える
- 決してあきらめない
- 自分を抑えつけない
- セルフ・エフェカシー(自己効力感)を大事に育てる
少ない力で多くのものを得る
お金も人脈もないサチンさんが、日本に来日して最初に就いた仕事が飛び込み営業です。ですが、いきなり見ず知らずのインド人が訪ねていき商談してもうまくはいきません。
営業成績を上げるには工夫が必要です。「もっとたくさんの得意先を回る」とか「営業トークを磨く」というのも大事ですが、ジュガール的な考え方だと「親しくなった顧客にクライアントを紹介してもらう」なのです。
とても単純なことですが、多くの日本人はできていないとサチンさんはいいます。もちろん顧客との信頼関係がものを言うことではありますが、信頼の輪を広げるために最小限の努力でできることだということです。
- わざわざ不必要な手間はかけず、一番の近道を選ぶ
- 日本人ができていないのは、意外にも単純なこと
- ジュガールを取り入れれば、短期間で成功することができる
自分の枠を超えた発想で考え、行動する
日本人で「ドラえもん」を知らない人は、まずいないでしょう。
ドラえもんは、「あんなこといいな、できたらいいな」が基本的な考え方であり、今たちまちでは実現しないものが大半です。たしかに「そんなのは子どもっぽい考え方」だと、現実主義で考えるのは大切ではあります。
しかし、それでは「自分の枠」から出ることはできません。ジュガール的な考えでは、「自分の枠を超えた発想でものごとを考える、そして行動する」がよしとされるのです。
その典型的な例が、先ほども出てきた音楽を歩きながら聴ける「ウォークマン」です。それを発展させたのが音楽を1000曲以上も持ち歩ける「iPod」ということになります。
このような枠にはまらない考えこそが、人々の人生を変えるほどのビッグヒットを生む要因となり、成功の秘訣なのです。
今、インドでは「ミティクール」という電気の要らない冷蔵庫が空前の大ヒットを続け、最近では海外でも注目されてて輸出されるようにもなっているそうです。
その冷蔵庫の発明や構造の紹介は、ここでは省略させていただきます。発明者によるとインドでは、いまだに電気が通じていない村がたくさんありますから、冷蔵庫として利用できるのではないかと思いつかれたそうです。
電気の要らない冷蔵庫なんて、とても日本人には考えつきません。しかし、今のインドではこういった常識の枠を超えた発想で生まれた商品がたくさん登場して、貧困層から大富豪になるケースも珍しくはないといいます。
このように本当に人生を変えたいのであれば、「自分の枠を超えた発想で考え、行動する」というジュガールの考え方が必要になるということです。
- チャレンジする前に「どうせ自分にはできない」と決めつけない
- 始める前から「できない理由」や「断る理由」を考えない
- 子どものように、素直な気持ちで常識にとらわれない発想をする
やわらか頭で考えてピンチをチャンスにする
目の前に水が半分ほど入ったコップがあるとします。この半分ほどの水を見て、「もう半分しかない」と思うでしょうか?それとも「まだ半分もある」と思うでしょうか?
これはプラス思考の大切さを説明するときによく使われるたとえですが、水だとプラス思考に考えられても、お金となるとマイナス思考になる人が多くいます。
そりゃ、今まで貯金してきたものが半分になったとしたら、そのとらえ方で人の行動は変わります。
「もう半分しかない」ととらえる人は節約を始めるでしょう。一方で「まだも半分ある」ととらえる人は、これを元手に新たなチャレンジを考えるでしょう。
どちらが正しいとは一概には言えません。しかし、ものごとをプラス思考でとらえた方がチャンスや成長する可能性が増えることはたしかです。
だからといって、プラス思考一辺倒になることは、ジュガールでは良しとしないのです。
ジュガールでは「もう半分しかない」「まだ半分もある」の両方をきちんと考えた上で、最善の行動を取ることを求められます。
これは、「偏った見方をしてはいけない。常に頭をやわらかくして、常識や固定観念にしばられることなく、フレキシブルな行動をする」ことこそが成功への近道だということなのです。
この「偏った見方をしない」に通ずる話ですが、日本人はプライドが高いとサチンさんはいいます。プライドが高いというのは良い面もありますが、逆に足かせになることも多いといいます。
世の中には、自分が正しいことばかりではなく、むしろ知らないことや間違って覚えてしまったことのほうが圧倒的に多く、それを受け入れられるやわらか頭こそが必要なのだということです。
なので、プライドを捨て、自分の殻を破って、他人を受け入れるということが大きな成功をへの近道であり、成功は、みんなの協力があればこそ、得られるものだと認識することです。
- 他人の意見に、すぐに「右へならえ」しない
- プラスマイナスでなく、さまざまな面を見てものごとを考える
- やわらか頭になるためには、プライドを捨てる
- 大きな成功は、自分ひとりでできないことを自覚する
シンプルに考える
ジュガールでは、目の前のことを極力シンプルにとらえることを重視します。難しく考えそうになったりすることを意識的に排除し、なるべく単純化しようとするのです。
その単純化するというのは、「ものごとの核心をつかむ」ということです。
ものごとの核心をつかむためには、「キーワード・マネジメント」する必要があります。キーワードマネジメントを簡単に言うと、ポイントになるキー(鍵)を探すことです。
たとえば、子どもの算数の図形問題において難解でなかなか解けない場合でも、1本の補助線を引くとすべての謎が解けて一気に解決するみたいに、どんな問題でも「補助線というキー」を見つけ出すことでとんとん拍子に解決に向かうというイメージです。
家電製品を筆頭に日本製品は多機能で一見便利ですが、かえって複雑化し「使い方が難しい」と感じることがあると思います。ボタンだらけの機能満載のリモコンが良い例です。
一方でアップル製品などは、スティーブ・ジョブズ氏のシンプル思考を反映し、「人々に役立つ補助線」を見つけることにこだわりました。それに追随するかのように他国の製品もなるべくシンプルにこだわる製品を出しています。
これからは、たとえ複雑につくることができたとしても、あえてシンプルにつくるほうがいいし、人々がどういう補助線を求めているかを突き詰めていくほうがジュガールに沿った考え方ができるということです。
- 複雑なものより、単純なものの方が、普遍性がある
- 難しいことをできるだけ単純化してイメージする
- シンプルにものごとをとらえるための「補助線=キー(鍵)」を見つける
決してあきらめない
インド人はとてもあきらめが悪いそうです。
たとえばインドで買い物をする場合、日本人なら提示された値段が高くて不満があっても言い値で買うでしょうけど、インド人は自分が納得する値段になるまで、ねばり強く交渉を続けるそうです。
その他にも、飲食店で1時間以上待たされたにもかかわらず、自分の番になる寸前で売り切れた場合、インド人ならまちがいなく「明日来るから予約させてほしい」とか「1時間待たされたんだから、次回使える割引クーポンがほしい」と交渉するそうです。
日本人から見たら「がめついとか意地汚い」とか思うかもしれませんが、ジュガールでは当たり前なのです。つまり「何もせずにあきらめる」なんていうことはないのです。
たしかに交渉して相手から断られたら、むやみに交渉を引き延ばすことはしないといいます。それは相手に失礼ですし、時間のムダだからです。
こういったジュガールの考え方は「後悔をしなくなる」という利点もあります。あのとき、「ああしておけば良かった」「こうしておけば良かった」という後悔は誰にでもありますものね。
たしかに「そんな恥ずかしいことはプライドが許さない」と考える人もいますが、「あきらめないという姿勢は決して恥ずかしいことではない」がジュガールなのです。
- インド人の辞書に「何もせずにあきらめる」という言葉はない
- どんなに可能性が低くても、見方や発想を変えて一発逆転を考える
- あきらめないことで後悔しなくなり、人生に余裕ができる
自分を抑えつけない
かつて、アメリカの文化人類学者であるルース・ベネディクトさんは、日本の文化を「恥の文化」と表現されました。
日本人の思慮深さや奥ゆかしさ、慎ましさはすばらしい美意識であり、この「抑制のきいた繊細さ」があるから茶の湯や生け花などの美しい文化が発展したと著者は言います。
その一方で、「その美意識とあなたの人生は別だ」とも説きます。
これからの世の中は、どんどんグローバル化していきます。だから必要とあらば自分を前面に出して積極的にアピールできる人間になっていかないと生き残れません。
ですので、いつまでも「恥ずかしい」という気持ちを抱えたままではせっかく巡ってきたチャンスふいにする、それを断ち切り主張すべきことは主張するというアピール精神を持つことが必要であるというのです。
ジュガールでは、恥などで自分を抑えつけることを認めず、どんどん自分を前面に押し出してアピールすることを求めます。無用な気遣いや遠慮によって、自分の行動をためらう必要はないのです。
たとえば、偉い人に連絡を取りたい場合、日本人なら「いきない電話しても迷惑になるから」とメールなどで要件を伝えると思いますがジュガールを使う人は「まずは電話する」という選択をします。
良い例が、先ほども出た「CoCo壱のインド進出」です。大のCoCo壱好きのサチンさんが、CoCo壱社長に電話してインド出店を提案したなどというのは、日本人にはできないことですよね。
たしかにサチンさんは、インド事情を知っているインド人だし、実績もある人だから社長を説得できたとも言えますが、でも恥ずかしがって自分を抑えていたら実現できなかったともいえます。
やるかやらないかを迷うのではなくて、「とりあえずやってみる」という姿勢こそがジュガール流の自己アピ-ルで、成功の近道になるということです。
そのためにやるべきことが「自分を抑えないこと」です。次の2点を注意しましょう。
- 言い訳をしているうちは前進できない
- 前に出ることは、嫌われる行為ではない
言い訳や遠慮というのは、自分を否定される不安からくるもので、言い訳をすることで不安を先延ばしにしたところで、現実は一向に変わりません。
ですので、そのような「自分を抑えること」をやめ、積極的にアピールしていくべきです。その結果、質のいい人脈をつくれる可能性もあり、チャンスも広がるということです。
- 「恥ずかしい」という気持ちはチャンスをふいにする原因に
- やるかやらないかを迷うのではなく、とりあえずやってみる
- 自分がやらないための口実はつくらない
セルフ・エフィカシー(自己効力感)を大事に育てる
「自分ならできる」という感覚を「セルフ・エフィカシー」(自己効力感)といいます。
ジュガールを意識し、この「自分ならできる」という感覚を持ってこそ、それまでは「できない」と思っていた高いハードルを軽々と越えられるようになるのです。
しかも、この感覚があるのとないのでは、チャレンジに対する成功率が全然違うということです。
その「セルフ・エフィカシー」を育てるポイントですが、まずは小さなことでもいいから成功体験を重ねていくことが大事です。すると、いつの間にか「自分ならできる」という感覚が自然と大きくなっていきます。
もし、失敗をしてしまったとしても、失敗は成功の過程で必ず起きることですから、落ち込む必要はありません。すぐに立ち上がって、次のチャレンジをすることが肝心です。
すると、だんだんジュガールを上手に使えるようになっていき、セルフ・エフィカシーは大木のごとく大きなものに成長し、「自信」がゆるぎないものになるのです。
これが、「ジュガールは実践することでしか体感することはできない」と言われるゆえんです。頭で考えていても、実践しなければ理解できないということです。
そして、セルフ・エフィカシーを育てることは、「自信」がつくだけではなく、「自然と身の回りのことがうまく回りだすようになる」という利点もあるのです。
かねてから会いたいと思っていた人物を偶然にも人から紹介されたり、もっと事業を拡大しようと考えていたところにビッグプロジェクトが舞い込んで来たりと、自分の意志とは別のところで好転していくのです。
ジュガールを会得することで、「自分にはできないことはない」という恐れ知らずの人間になること、これを「エブリシング・イズ・ポッシブル」とサチンさんは言います。
「エブリシング・イズ・ポッシブル」という自信をつけることができれば、仕事も、人間関係も、恋愛も、お金儲けも、自分の人生のすべてがすべてうまくいくスパイラルをつくることができます。
それは、たとえ目の前に大きな壁で遮られたとしても、その壁を軽やかに超えることができるようになるのです。その壁は「自分の可能性」の目安ということで、超えようとすることで自分の未知の力を引き出していくことでしょう。
そして、自分の追い求める成功を確実に手に入れる意欲になるということです。
- ジュガールを使うと「自分ならできる」と思えるようになる
- セルフ・エフィカシーは、体験で積み上げていくことでしか育たない
- セルフ・エフィカシーが育てば、自然と幸運が巡ってくるようになる
ジュガール実践法
ジュガールは、成功体験を繰り返し、セルフ・エフィカシー(自己効力感)を育てる以外に、上達する道はありません。そこで、ポイントを押さえながら実践法を紹介します。
「行動」と「戦略」を同時進行する
- 行動するクセをつける
- 成功するための戦略を立てる
本書を読んだからといってもなかなか行動に移せない人がほとんどです。だいたいにして90パーセントの人はトライすらしようとしません。それはたとえ本を読んだとしても「行動する」がクセになっていないからです。
「行動する」クセをつけるとして、たとえば、何かの資格を取りたいと考えたなら、躊躇せずに直近の資格試験に申し込んでしまいましょう。そこで「いきなり試験を受けたって合格するはずがない」と考えるのはNGです。
一発で合格できなかったとしても経験は残ります。それよりも資格試験をいきなり受けることでモチベーションが高まりますし、失敗しても自分の何が悪かったかが明確になります。
行動ができるようになったら、次に立てるのは「戦略」です。
サチンさんの例で言うと、飛び込みの営業セールスマンをしていたとき「親しくなった顧客にクライアントを紹介してもらった」という秘訣は先ほども紹介しましたが、営業好調になった理由はそれだけではないのです。
それこそが「戦略的に行動する」ということです。サチンさんの実践した戦略は次の通りです。
この戦略で動き出してから、みるみるうちに営業成績が上がり、収入もけた違いに増えたとのことです。そして、お得意様が増えていったことで、さらなる一手である「顧客からクライアントを紹介してもらう」が使えるようになったということです。
サチンさんは10年先までの戦略をすでに用意されているとのこと。すべてがそのとおりになるとは限りませんが、 このように戦略を決めておけば、より行動がしやすくなります。
- 90パーセントの人間は、本を読んでも行動に移さない
- とにかく何でもいいから行動に移してみる
- 行動できるようになったら、戦略的に行動できるように考える
「能力」より「スピード」を重視する
現代のビジネスでは、スピード感が重要視されています。たとえば、インドの家電量販店では、サムスンやLGなどの韓国製のものがズラリと並び、日本製のものはほとんど見かけないそうです。
そこで、サチンさんが日本製品がないことを不思議に思い、売り場の担当者に尋ねたところ「日本製品は確かに素晴らしいが、日本のビジネスはスローでお話にならない」という答えが返ってきたのです。
それを聞きサチンさんも納得。なぜなら日本はビジネスを進めるまでに時間がかかりすぎるからです。
たとえば、「その件に関しては一度持ち帰って検討させてください」とか「会社に帰って上司と相談してきます」とか「役員会議で検討してから報告します」といったことが慣習化されていて、ビジネスをスピーディーに進める土壌が育っていないといえるのです。
つまり、日本のビジネスマンは、何ひとつ自分で決めることができないということが明らかで、量販店側が値下げの交渉をしてきた場合、即断即決できる韓国のほうが圧倒的に有利なのは間違いありません。
いくら良い製品をつくっても、こんなスローな対応をしていたら売れるものも売れないという典型的な例です。
そして、スピードがピンチを救うという例も紹介します。
サチンさんが、旅行会社を立ち上げたころのことですが、そんなときに起こったのが9・11の同時多発テロです。サチンさんの会社ではインドツアーがメインだったためか「イスラム教徒が多いインドへの旅行は危険」ということでキャンセルが相次ぎました。
結局、予定していたすべてのツアーが中止に追い込まれ、ふつうなら会社は倒産になるところですが、旅行会社とほぼ同時にITエンジニアの派遣会社も立ち上げていたため倒産にはならなかったのです。
「インド人ITエンジニアは引く手あまたなので、その仲介をするスタッフが急募」ということでのオファーでした。条件として「仲介した人材の年俸の30%が手数料として会社に入る」ということで、多忙ながらも引き受けたのです。
インドでは日本で働きたいというエンジニアがたくさんいましたし、日本でもインドのIT産業が話題になっていましたから、すぐに使ってみたいとオファーがあったのです。
こうして、ITエンジニアの派遣会社は、9・11ショックに揺れる旅行会社の損失を埋め、大幅な黒字をもたらしてくれたということです。
もし、サチンさんが旅行会社だけを設立するというビジョンだけを見ていたら、旅行会社はつぶれていただろうし、せっかくのチャンスをつかみ損ねていたといえます。
そこにチャンスがあると思ったら、とにかくスピーディーに動くことこそが、ビジネスを成功に導いてくれるといえるでしょう。
- 日本人や日本企業はビジネスにおいて対応がスローすぎる
- 中長期的な戦略は大事だが、目の前のチャンスがあれば放っておかない
- ビジネスはスピードが第一。フットワークを軽くする
「強さ」より「しなやかさ」が勝負を決める
ビジネスや人生においてジュガールを使うときに、その場に合った「キーワード」を見つけていくことが最も大事です。
先ほども「シンプルに考える」で紹介した通り、どんなに難しい問題でも、補助線を引いたとたんに問題を解くキー(鍵)が見つかります。そして難しい問題も簡単に解くことができるのです。
その補助線を見つけることこそが、ジュガールにおけるキーワードということになります。逆にキーワードをうまく見つけられなければ、いつまで経ってもジュガールを使いこなすことはできないでしょう。
そのキーワードを見つけ出すには、「変化に対応する適応力」を身につけなければいけません。
世界情勢をはじめ、経済状況、社会環境、もっと近いところでいえば、今日会う人と明日会う人、また、たとえ同じ人でも前回と今回とでは使うべきキーワードが違ってくる可能性があるのです。
ビジネスでも同じことで、たとえば同じ飲食業でもA社とB社では求めるものがまったく違うなんて言うことあります。
サチンさんがインドにすでに出店していた「IZAKAYA」。その「IZAKAYA」の2号店出店を巡り、高級スパ「Amatra」からのオファーを受けた件を例にあげられました。
実は 高級スパ「Amatra」というのはインド屈指の財閥が経営していて、会員制でVIP会員ともなると年間250万円の会費が必要です。
高級スパ「Amatra」側は、会員向けにヘルシーな日本料理を提供したいと考え、サチンさんにオファーを出したのです。サチンさんもインドの富裕層とつながりたかったので、オファーを受けました。
「IZAKAYA」が持つキーワード
- ヘルシーな日本食を提供している
- 評論家からも高評価を得ている
- おしゃれでデリーでの評判も高い
- 日本人の顧客も多い
「Amatra」が持つキーワード
- インド屈指の財閥が経営している
- 顧客はインドの富裕層ばかり
- 老舗ホテルのスパだけあってステイタスも高い
- 海外を含めて拡大している
この時点では、お互いが必要としているキーワードはほぼ一致していたのですが、大きな問題が浮かび上がりました。富裕層相手の「Amatra」に出店するにはあまりにも高額な家賃が必要だったのです。
利害は一致しているのに、高額な家賃のみがネックになり、また新たなキーワードを探す必要がありました。そこで考えたのが「家賃を無料にしてもらう代わりに、売上をシェアした」です。
「Amatra」側も高級スパなので、無償で店舗を提供するわけにはいきません。そこで、 「家賃を無料にしてもらう代わりに、売上をシェアした」 というキーワードを効果的なタイミングで使ったことで相手側もすんなりOKを出してくれたとのことです。
サチンさんにしてみても、「富裕層とつながりたい」がキーワードだったので、金銭的に儲けようというのは二の次でした。ですので、お互いがウィン・ウィンの関係となれたのです。
もし、一方が出したキーワードが、自分たちの利益を優先するものだったら、相手側は納得しなかったでしょうし、切り出すタイミングも非常に重要です。
ですので、使うべきキーワードは常に変化することを頭の片すみに置き、変化に対応する適応力を身につけなければいけないのです。
その適応力を身につけるためには、とにかく場数を踏むしかないとサチンさんはいいます。
- 問題を解決するキーワードは必ずどこかにかくれている
- キーワードは相手やタイミングで常に変化している
- キーワードを見つけるには、変化に対応する適応力がなければならない
『頭で考える前に「やってみた」人が、うまくいく』の感想・まとめ


本書について、賛否両論はあると思います。ですが、閉塞感に見舞わられ、立ちすくんだまま身動きが取れなくなっている日本人には、良きカンフル剤になるのではないかというのが、わたしの感想です。
グローバル化が急激に進んでいるこの社会で、今まで手かせ足かせをはめられた日本人は、それらから解き放たれることが必要です。
そういった意味で、ジュガールの力がすごく必要だと思います。
「元気な日本」「自信に満ちあふれた日本人」・・・活気あふれる社会にするためにぜひたくさんの人に知ってもらいたいし、読んでいただきたい一冊であると思います。
『頭で考える前に「やってみた」人が、うまくいく』の概要


本書の目次
『頭で考える前に「やってみた」人が、うまくいく』
プロローグ
第1章 成功の道を開く「ジュガール」7つのエッセンス
第2章 ジュガールが、お金の不安を消して、お金を引き寄せる
第3章 人をどんどん引き寄せるジュガール式「コミュニケーション」術
第4章 今すぐできるジュガール式「人間関係」のつくり方
第5章 ジュガールが、人生を豊かにする理由
エピローグ
著者の紹介
サチン・チョードリー
1973年生まれ。インド・ニューデリー出身。
日本企業のインド事業開発支援、マーケティング支援、M&Aアドバイザリーを業務とするアバカス・ベンチャー・ソリューションズ代表取締役会長、鳥取県の地域活性化をミッションとする株式会社ITTR代表取締役社長。
そのほか、経営コンサルティング会社、IT関連会社など、いくつもの会社を経営。神戸情報大学院大学では教鞭をとる。
幼少時に父親の仕事の関係で初来日、バブル期の東京で過ごす。帰国後も当時のきらびやかな印象が忘れられず、1996年に再来日。言葉の壁や差別など不遇の日々を送るが、印僑大富豪から「ジュガール」の教えを受けたことが大きな転機に。
今では母国インドはもちろん、日本でも数多くの事業を成功に導く実業家、パナソニックやアクセンチュアなど大企業の異文化経営・異文化戦略を指導する国際コンサルタントとして活躍。
8兆円企業のコンサルも請け負い、コンサルタントフィーはなんと時給70万円。多くの著書の他、国内外でセミナー、講演会も多数行なう。
NHK「探検バクモン」、テレビ東京「カンブリア宮殿」、日本テレビ「NEWSZERO」、「news every.」、フジテレビ「なかよしテレビ」など、テレビ出演も多数。
主な著書
『「運がいい人」になるための小さな習慣』アスコム (2019/5/25)
『これからの時代のお金に強い人、弱い人』フォレスト出版 (2018/7/18)
『大富豪インド人のビリオネア思考』フォレスト出版 (2012/11/4)
『会話はインド人に学べ!』フォレスト出版 (2014/4/2)
『インド人大富豪 成功の錬金術』サンマーク出版 (2013/12/25)
『世界のお金持ちがこっそり明かすお金が増える24の秘密』フォレスト出版 (2015/2/19)


コメント