
こんにちはコウカワシンです。
今回は、だいたひかるさんの著書『生きるために、捨ててみた。』から学ばせていただきます。
「わたしだけ・・・」とか「どーでもいいですよ・・・」などの出だしで始まる芸風で知られる人気女性芸人のだいたひかるさんは、40歳で乳がん、43歳で再発、45歳で妊娠と、かなり波乱万丈な人生を送られています。
がんにかかってはじめて、「時間は有限なこと、人間も必ず寿命が訪れること」を、深く実感され、残りの人生をどう生きたいのか、人生の終着駅を目の前に突き付けられたことにより、自分を見つめ直されました。
病気になるまでは、なかなかモノが捨てられない性格だった、だいたさん。
どう考えても着ない服、趣味であり必要数を超えた文房具、絶対に使わない子ども時代のグッズなど、どれも愛着があって、なかなか手放せなかったのですが、病気を機に断捨離を決行しました。
目指したのは「自分や家族にとって居心地のよい空間」。
本書はいわゆるミニマリスト的な「高みを目指す」片づけ方法ではなく、だいたさんから見た断捨離記録簿で、モノだけではなく、人、コトへの向かい方、そして不妊治療を経て授かった子どもへの思いもこもった本なのです。
『生きるために、捨ててみた。』 は誰におすすめか?
本書はこのような人におすすめです。
『生きるために、捨ててみた。』がおすすめな人
- なかなかモノが捨てられない人
- 病気になり今までの生活が一変した人
- これからの自分を見つめ直したい人




『生きるために、捨ててみた。』はどんな本?
本書の目次
『生きるために、捨ててみた。』
はじめに
part1 生きるために、モノを捨ててみた。
part2 生きるために、考え方を変えてみた。
part3 生きるために、楽しみを残してみた。
part4 生きるために、未来を欲してみた。
おわりに
アルバム こんなことやってました
著者の紹介
だいたひかる
1975年生まれ。埼玉県出身。
気になる人やモノに対し、「どーでもいいですよ」や「私だけでしょうか?」とツッコミを入れる漫談で人気を博し、2002年に第1回『R-1ぐらんぷり』で優勝。
2016年、乳がんが発覚し、右胸を全摘出。「1日1捨」の片づけ生活を始める。
2019年に再発するも、闘病前から続けていた不妊治療により、2021年に妊娠。
2021年1月、第一子出産予定。
本書の内容
『生きるために、捨ててみた。』はズバリ!「自分らしく生きるために❝最優先❞することを決め、無駄なことを削ぎ落していこう」です。
amazonの書籍紹介より
40歳で、乳がん発覚。絶望を吹っ切るために片づけてみたら、本当にいるもの、いらないものが見えてきた――。
45歳で奇跡の妊娠! 話題の女芸人が贈る、5年間にわたるモノ、コト、人の片づけ記録。
未来を良くしたいのは、「私だけ」ではないはず。 片づけたら、未来が見えてきた――。
思い出の写真だって、捨てていい/「再利用しよう」ほど、無駄なことはないかもしれない/冷蔵庫の片づけは、自分のからだも家族も喜ぶ/”せっかく来たんだからテンション”でモノを買わない/がんになって「地球ってテーマパーク」と気づいた! /「死んでもいいからやってみたい」不妊治療へのチャレンジ



本書はだいたひかるさんの波乱万丈な人生、「乳がん、再発、不妊治療」といった重苦しいテーマであるけど、そんなに深刻さを感じずに読むことができます。
これはひとえにだいたさんのお人柄であり、読者の方に対しての配慮があると思います。
誰でも自分が病気になったら落ち込むでしょうし、これからどうなっていくのかわからなくなるのが当然といえます。
ですが、だいたさんは「今自分にできること」に集中し、信頼する旦那様とともに未来を歩んでいこうとされています。
本書は、ただ単に断捨離方法を記したという本ではなく、「自分らしく生きるために、自分が無駄と思えることを削ぎ落していった」という記録や思いをだいたさんお言葉で語られています。
読めば、温かい気持ちになるし、目からうろこのような内容もあります。
読んでみて損はないと言える本であります。
『生きるために、捨ててみた。』の要点は?
本書で見るだいたさんの生き方には、「すべて自分で決めてきた」というしっかりした自分軸があります。
「生きるために」をテーマに、モノを捨てたり、考えを変えてみたり、楽しみなことや未来への希望の思いのたけをかたっているのです。



その中から、わたしの独断と偏見でグッときたものを取り上げてみました。
自分らしさを取り戻すモノの捨て方
もともと捨てられない人というのはモノに執着しますよね。いざ捨てようと思っても、使い込んで愛着のあるモノなら手放したくないし、一方で使わないものは、なんで買ってしまったのだろうと後悔したり、まだ使いみちがあるかもと考えますよね。
捨てられないモノって、いろいろありますがだいたさんが行ったモノの捨て方を3つほど紹介します。
化粧品の整理をしたら、飾らない自分が手に入った
まずは化粧品。
だいたさんは、35歳くらいから、メイクで自分をキラキラさせようとする行為が恥ずかしくなり、それがきっかけで化粧品の断捨離に踏み切りました。
捨てたのは主に、アイシャドウや口紅、グロスなどの❝盛る❞ほうのアイテムです。特に色鮮やかなものは長年使っていなかったので手放したとのことです。
若い頃に海外旅行のお土産でもらったブランドものの化粧品も使い切れたためしがなかったので、これも一気に捨てていきました。
残った化粧品は、リキッドファンデーション、チーク、色付きリップクリーム、マスカラとビューラー、アイブロウといったところです。化粧品を入れるパニティポーチも手放したそうです。
化粧品の片づけをして得たのは、「無理して自分を飾る必要はない」ということです。自然体で生きていけばいい、メイクには時代性もあるし、年齢に沿って変化していくことも必要です。
ですので、古いアイテムは思い切って捨ててみることから始めてみるといいかもしれないということです。



化粧品じゃありませんが、わたしは着る服とかを限定し、着ない服は処分しました。
そうしたら、管理がとても楽になりましたね。
本は、気に入ったフレーズのみ残す
だいたさんは、大の読書家。若い頃から本を買うお金は惜しまずに、家には大量の本がありました。ですが、ふつうの量を超えていたため、引っ越しのたびに業者さんに「まだあるんですか?」とあきれられていたそうです。
そこで、次の物件には図書館に近いところを選び、家に置いておく本を減らすようになったのですが、本って、何度も読み返さないことに気づき、もっと言えば、心に響く「本の中の一部のフレーズ」のみを手元に残せばいいと思われたそうです。
そうして本を読んで、気に入ったフレーズがあったら、ルーズリーフに書き写すようになられたとのことです。こうして、手元に残しておく本は備え付けの棚におさまる30冊程度と決められたそうです。



わたしも今でこそ、電子書籍などを利用して、本棚いらずの生活をしていますが、やはり、本って一度読むと読み返さないですね。でも、だいたさんのように心にひっかかるフレーズって、大事にしたいと思います。
ですので、だいたさんのようにそのようなフレーズを紙に書き記すことを真似したいですね。
思い出の写真だって、捨てていい
思い出の品物って、なかなか捨てられないですよね。子どものころからの思い入れのあるモノならなおさらです。
だいたさんは病気になったことで、過去のものにとらわれていては新しいものは入ってこないという心の変化があり、捨てにくい思い出の品にまで手をつけることにしたそうです。
そこで、活用したのがその品物を写真で残すこと。写真に残すことで捨てる罪悪感を軽減できるというメリットもあります。
しかし、見方によっては写真だって残しておく必要はないかと気づかれました。
写真っていわば過去のものだから、未来を見なくちゃと考え、プリントしてある風景写真や微妙な写りのものなどは、ガンガン捨てられたそうです。
今は携帯の機種変で、中のデータを新機種に移行できますが、少し前まではできなかったですよね。だから、携帯変えたら中の写真も同時にさようならということになりますが、それはそれで平気でした。
そう考えたら、残したい写真なんて、かなり少ないんじゃないかと思えるのではないでしょうか。
それよりも、写真をきれいにアルバムにしなくちゃというプレッシャーから解放されるというメリット(?)もありで、なかなかに進んだ考えであると言えます。



わたしも同感です。
性格上、モノに執着しないですし、とにかく整理ベタが災いして写真の整理ができたためしがありません。
時間が経てば写真の存在なんて忘れちゃうでしょうしね(笑)
考え方の転換
考え方というのは人それぞれですが、昔と今じゃ、かなり考え方を変えてきたという人はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
だいたさんも病気を機会に自分を見つめ直し考え方を変えてこられました。つまり、人は何かのきっかけで違う考え方をするようになるということです。
そこで、だいたさんの考え方を転換させたものを3つほど紹介します。
新しいものを買うのではなく、あるものを生かす
なるべく買わないようにするためには、今、あるものを活用するということも大事です。
たとえば、旅行用のスーツケースは、頻繁に利用しなければ、スペースを取るだけのただの箱です。そこで、だいたさんは避難グッズをまとめて入れられているそうです。
キャスター付きのスーツケースは移動しやすいし、旅行のたびに全部出して見直しができるので、適材適所のアイデアではないでしょうか。
水、食料、ティッシュ、ビニール袋、簡易トイレなど、一般に防災グッズとして推奨されているもの一式をスーツケースに詰めて、所定の場所に置いておけば、大きな災害が起きたときに大いに役立つでしょう。
その他、パスポートケースにお薬手帳と通帳ケースや保険証、通帳などの大切なものもまとめられているそうです。



これは、防災グッズについてのだいたさんのアイデアですが、わたしも里山を散策するグッズを防災時に転用できるように備えています。いつもリュックにはコンパクトコンロやガス、ヘッドライト、水、食料、防寒着などを忍ばせています。
特別に防災グッズを買わなくていいように、食料は保存期間を見て、定期的に入れ替えています。それプラス、スーツケースなどで、余分に準備しておけば、非常時に慌てなくてすみますね。
その他にも、買わなくても今あるもので代用できるものはかなりあると思います。買って後悔するよりも、今あるもので利用できるものはとことん利用するという気持ちが、災害に見舞われても慌てないメンタルを育ててくれると思います。
「がん=死」ではないと思えるようになった夫の言葉
病気になったら、そばに信頼できる人がいるかいないかで、今後の向き合い方が変わるというエピソードです。
だいたさんの旦那様は、とにかくスーパーポジティブ。趣味も合い、いろいろ話せたりと友達のような存在だった旦那様が、だいたさんにがんが見つかってからというもの、すごく心の支えになってくれたそうです。
特に「乳がん」というのは女性にとってみたら、一大事なできごとですし、治療によっては「全摘」するか「温存」するかというのはかなり悩まれると思います。
だいたさんの主治医も「全摘」をすすめられ、悩んでいたところ骨董を集めるのが好きな旦那様がこう言ったのです。
「欠けた器を金継ぎすると、それが新しい景色になって味わいが増すでしょう? 人間も同じように、たとえ胸がなくなっても、辛い経験や哀しみを乗り越えるわけだから、きっと味わい深い人間になっていくと思うんだよ」
この言葉にだいたさんは救われたと言います。たとえ胸を失っても、マイナスではなくプラスになれるんだと思いなおすことができたのです。
さらに旦那様は、とにかく不安がるだいたさんのために、家中に「大丈夫」と書いた紙を貼って励ましてくれたというのです。
手術後の支えも気が利いてて、術後のケアや退院祝いに旅行に連れだしたりと、だいたさんが乳がんになったからといってできないことは意外に少ないと思える一助になったのです。
正直、がんが発覚したてのころは、「がん=死」だと思っていたけど、実際にがんになってわかったことは、治療法も薬も日々新たに開発されていて、がんになっても100歳くらいまで平気で生きる人がいる。
つまり、現実は進んでいることが確認できたのです。
さらに旦那様はこうも言いました。
「がんは虫歯のようなもの。できれば取ればいい。虫歯になったらどうしようって心配しても仕方がない。万が一、再発しても、悪いところを取って、いつものひかるちゃんに戻ればいい」と。
実際に2019年にがんの再発を経験。今も再発や転移の不安がよぎらないこともないけど、生き物はみな平等に、いつか死にます。だったらその恐怖におびえるよりも、がんに振り回されずに前向きに生きたほうがいいとだいたさんは思えるようになったのです。



苦しいときに支えてあげる、身になって考えてあげる、、、だいたさんの旦那様に脱帽です。自分もかくありたいと思います。
「ないもの」でなく、「あるもの」を数える
だいたさんの芸風といったら「どーでもいいですよ~」というネタもありました。これは「どうしてわたしの人生ってこんなにつまらないんだろう」と不平不満から出たものだそうです。
「何をやっても、パッとしないし、美人じゃないし、運動神経も悪いし、勉強もできないし」と、マイナス思考のループにはまっていたのです。
しかし、40歳で乳がんが見つかったとき、この歳まで五体満足で自分の好きなことをして生きてこられたことに気づき、ようやく前向きに考えられるようになったそうです。
そして今まで、自分に「ないもの」ばかりを数えてきたけど、「あるもの」も実はたくさん持っていると気づき、そこにフォーカスすることで、自分の中の欲深さが薄まっていき、初めて人生に対して謙虚になれたとも言います。
でも人間って、弱いものですから、治療中は「どうしてこんなことになってしまったんだろう」という思いが打ち寄せてくるのも事実です。これまでの行いや生活を後悔もされました。
しかし、体は動けるようになってくると気持ちも立ち直り、「やっぱり生きているだけで十分じゃないか」と思えるようにもなったそうです。



こういう考え方は尊いし、いざ自分が病気になったらと思うと良い教訓になると感じますね。
『生きるために、捨ててみた。』の感想・まとめ
誰にでも転機はありますが、それがどんなにネガティブなことでも受け入れなくてはいけません。
よく「現実を見ろ」といいますが、目を背けたいような現実もありますし、なかなか受け入れることができないかもしれません。
ですが、だいたさんの生きる姿勢には、たくさんのことを教わった気がするのです。
だいたさんは、2016年には乳がんになり、19年に再発。さらに20年には、骨に血液が流れなくなる骨頭壊死(こっとうえし)の診断を受けました。そんな中で踏み切った21年の不妊治療、そして妊娠・・・ものすごい濃い5年間を過ごされました。
自分の人生を取り戻すために始めた片づけ生活は、毎日「1日1個、生活用品以外の何かを捨てる」をルールに19年の1月から捨てたものを写真つきで、一言そえてブログにアップされています。
絶望を吹っ切るために始めた片づけが「本当にいるものだけ」を教えてくれました。それが「モノ」に始まり、「コト」、「ヒト」の整理術へとつながっていきます。
捨てることがすべてに万能であるとは言いませんが、自分を見つめ直すには、整理が必要です。そしてそれが未来へとつながるきっかけにもなるということです。
立ち止まってばかりでは進めない、同じ進むならネガティブに進むよりポジティブに進みたいものです。だったら今までの自分をリセットするべきではないでしょうか。
人間は弱い生き物ですので、ひとりでは前に進めないかもしれません。ですので、身近な親、パートナー、信頼できる友人などに打ち明け、できる協力をしてもらうというのもあっていいと思います。
決して依存するのではなく自立した意識が必要ですが、 すべては「自分を取り戻すため」ですから、 感謝の気持ちで甘えるのもいいのかなあと思います。
とにかく、だいたひかるさんが歩んだ5年間は、決して無駄ではない生きた5年間だと思いますし、われわれも学ぶべき経験だと思います。
この記事だけでは伝えきれていないことも多くありますので、ぜひ本書を手に取って読んでいただき、自分なりの感想を持っていただきたい一冊です。




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