
こんにちはコウカワシンです。
今回は山本博幸(やまもと・ひろゆき)さんの著書『日経新聞を「読む技術」「活用する技術」』から学ばせていただきます。
日経新聞は、経済専門紙。毎日読むのがビジネスマンとして必要!
そう意気込んで読んではみたものの・・・あまりの情報の多さにいったいどこを読めばいいのかわからなくなることってないですか?
わたしも社会人のはしくれとして毎日のように日経新聞を読んでいますが、自分の興味のある記事しか追えていません。あとは見出しとかをながめるだけに終わることが多々あります。
でも、せっかく毎日届く盛りだくさんの内容の詰まった経済ニュースをそのままたれ流すのはあまりにももったいないので、この 『日経新聞を「読む技術」「活用する技術」』からヒントをもらうことにしました。
なお、本書はamazonの本読み放題サービス「キンドルアンリミテッド」で読むことができます。
「amazonの読み放題サービス」キンドルアンリミテッドは、ビジネス書からマンガまで幅広いジャンルの本が読み放題です。ぜひこの機会にご検討ください。
『日経新聞を「読む技術」「活用する技術」』は、誰におすすめか?
本書は、このような人におすすめです。
『日経新聞を「読む技術」「活用する技術」』がおすすめな人
- 毎日、日経新聞を読むのが大変と思っている人
- 日経新聞のどこを読めばいいかよくわからないと感じている人
- 継続して読むことができず、途中で挫折した人




『日経新聞を「読む技術」「活用する技術」』は、どんな本?
本書の目次
『日経新聞を「読む技術」「活用する技術」』
はじめに
第1章 基本編 「記事読み」が続くようになるトレーニング
第2章 初級編 ひとまず、必要な情報だけ「インプット」する技術
第3章 中級編 さらに効率よく記事が読めるようになるコツ
第4章 上級編 情報を生きた知識にするために「アウトプット」する技術
おわりに
著者の紹介
山本博幸(やまもとひろゆき)
1976年早稲田大学商学部卒業後、野村證券に入社。
ベルギー ルーヴァン・カトリック大学大学院社費留学、野村中東投資銀行社長、野村証券ソウル支店長、野村證券投資調査部長、野村フランス代表取締役社長、大阪経済大学大学院経営情報学科非常勤講師(兼務)を経て、現在、帝京大学経済学部経済学科教授。日本証券経済学会所属。
専門分野:投資管理論、証券経済学、経営経済学、欧州学
研究テーマ:欧州投資信託ビジネスの現状、わが国のプライベートバンキング/現状と今後、日仏の国家経営比較、大企業病、経済発展と国民の幸福
主な著書
- 『社会人1年目からのとりあえず日経新聞が読める本』ディスカヴァー・トゥエンティワン (2016/3/30)
- 『図解 とりあえず日経新聞が読める本』ディスカヴァー・トゥエンティワン (2018/3/25)
本書の内容
『日経新聞を「読む技術」「活用する技術」』はズバリ!「日経新聞のトリセツ」です。
amazonの書籍紹介より
累計15万部突破!シリーズ最新作
いつの間にか読むべき場所がわかり、世の中の動きをつかみ、先が見通せるようになる
私は2016年、『社会人1年目からの とりあえず日経新聞が読める本』を出版しました。
日本のGDPや貿易収支、国債発行残高、日経平均など、「ビジネスマンが最低限知っておくべき数字」について解説したものですが、おかげさまで、図解版を合わせてシリーズ累計15万部のヒットとなりました。
それはとてもうれしいことなのですが、読者の方から、日経新聞に載っている経済数字、景気指標の意味はわかるようになったのに、
「日経新聞を毎日読まなきゃ、と思うのに挫折してしまう……」
といった声も、多く聞こえてくるようになりました。
話をよく聞いてみると、1面から一字一句、すべての記事を読もうとしていることが少なくないようです。
最初に言います。
慣れないうちから、全部読む必要はありません。
むしろ慣れるまでは、強制的に半分捨ててでも、読む量を減らすべきです。
つまり、日経新聞を読むにはコツがいるのです。
なのに、あの梅棹忠夫先生が大ベストセラー『知的生産の技術』(岩波新書)で書かれているように、「学校では知識は教えるけれど、知識の獲得のしかたはあまり教えてくれない」ため、そのコツを知らないという人があまりに多いのではないか。
だとしたら、まさに「宝の持ち腐れ」で、非常にもったいないことです。
そこで私は、続編といった形で、
日経新聞のどこを読んでいいかわからないという人が、読むべき場所がわかり、必要な情報を効率的にインプットし、その成果をアウトプットまでできるようになる。
その結果、世の中の動きをつかみ、経済の先行きを見通せるようになる
ことを目標として、本書を執筆することにしました。
私は現在、帝京大学の学生に経済学などを教えていますが、その前は野村證券に38年間勤務し、ソウルやパリなど海外の支店長も歴任してきました。
野村證券では、早く一人前の証券マンになるために、それこそ日経新聞の読み方、情報の取り方などの基本から、現在起こていることを把握する力、経済の先行きを予測する力を徹底的に叩き込まれたものです。
本書では、私が38年間実践していた日経新聞の読み方、情報の活用の仕方を惜しみなく披露していきたいと思います。
本書で読んだことを実践していただくと(これが一番大事!)、視力が回復するかのように、世界がよく見えてくるはずです。



日経新聞って、毎日盛りだくさんの内容満載で、読むの大変ですよね。
記者さんの毎日の苦労を感じたりもしますが、文字数が多いし読むほうはなかなかに大変です。どの記事も深掘りするには時間がいくらあっても足りません。
そこで、情報の取捨選択する必要があります。
どの情報を取り出し、どの情報を捨てるかは、ふつうならわかりません。
ですので、本書は日経新聞のよい道しるべになってくれるというわけです。
『日経新聞を「読む技術」「活用する技術」』の要点は?
本書は、情報のインプットからアウトプットまで盛りだくさんの内容です。



その中からわたしの独断と偏見で要点をアップしてみました。
日経新聞に慣れるため、読むところを限定し他を省こう
先ほども言いましたが、日経新聞は1部あたり20万文字です。効率よく読むためには読む場所を減らさなければ時間がいくつあっても足りません。
そして、日経新聞のどこを読めばいいのかもコツがいります。そこで、著者が提唱する日経新聞攻略法で日経新聞に慣れていきましょう。
その攻略法が次の通りです。
- 新聞を半分の半分に切り取る
- 「はじめの1週間」は、毎日、土曜版を「深読み」する
- 「次の1週間」毎日、新聞を買って「軽読み」する
- 「さらに次の1週間」1週間かけて、土曜版を「徹底的に深読み」する
1.新聞を半分の半分に切り取る
1面から20面あたりにある「マーケット商品」のページまでを残して、それ以降の分は思い切って捨てるんです。「私の履歴書」とか「交遊抄」は落ち着いたときにでも読むことにして、とりあえず1面から20面あたりの「マーケット商品」に焦点をしぼるのです。


ここで残った部分の奇数ページだけを読めばOKです。量的に言うと当初の半分の半分となり、およそ25%、そして奇数ページ部分の絞ると10%まで減らすことができました。
なぜ、奇数ページかというと、実は新聞は、スクラップブックに貼り付けられる運命を感じているのかどうかはわかりませんが、重要記事というのは、奇数ページに集中しているのです。
この部分を真剣にしっかり読むことが、日経新聞攻略の足掛かりになるのです。
2. 「はじめの1週間」は、毎日、土曜版を「深読み」する
次のステップとして、土曜日の日経新聞を手に入れましょう。
実は、日経新聞は曜日ごとに特徴があり、土曜版には書評欄や「時間をかけて丁寧に取材をした、読み応えのある記事」が盛りだくさんなのです。おまけに付録の新聞もついてきます。
ここでやることは、「最初は、情報量の多い土曜版を購入して、毎日同じ新聞を読む」ところから始めることです。
最低1週間は、「同じ新聞」を「何度も」読み続けてください。またまた新聞で読むところを10%程度に絞り込んでやってみましょう。
情報をインプットする練習なので「毎日、同じ新聞を読むのかよ~?」と思わずにやってみることが要領よく日経新聞を読み込むコツがつかめてきます。
1週間たったら、また土曜日に新しい新聞を購入し、同じことを繰り返してもかまいません。切り取って少なくなった分を徹底的に読み込むことを習慣化することが大事です。


記事を読むときのコツ
みなさまは、いつもどのような感じで新聞を読んでいるでしょうか?
1面の大きなニュースからその他の小さなニュースまでくまなく読む人もいらっしゃると思いますが、時間がない場合にはそれは無理ですよね。
そんなときの読み方にも役立つコツが次の通りです。
- 最初に見出しだけざーっと眺める
- 見出しでひっかかった記事は、リードまで読む
- もっと知りたい場合は、本文も読む
この順番で読んでいけば、あまり時間をかけずにニュースのあら方がわかると思います。
とはいっても、つかれているときや、やる気の出ないときもありますよね。そういうときは、1面だけは一字一句読むようにしてください。
3.「次の1週間」毎日、新聞を買って「軽読み」する
日経新聞に慣れるためのトレーニングのおさらいとして次のことをチェックしましょう。
- 土曜版の4分の3を強制的に捨てる(読むべき分量を減らす)
- 残りの奇数ページを最低1週間、何度も読む
- これを1カ月繰り返してもよい
このことを守りながら、同じ新聞を1週間読んでいくと、知らず知らずのうちに日経新聞を読む基礎体力がどんどん上がっていきます。
これを終えたら、今度は毎日新しい情報を仕入れる練習をしましょう。1週間だけ毎日、日経朝刊を購入します。
ここでは、毎日新しい情報を仕入れるのが目的なので、ざっと眺める程度でかまいません。「軽く読む」を意識して読んでください。
また、読み切った段階で次の新聞を買うようにします。多少時間がかかっても、あまり気にせず、ひたすら「切り込み・読み込み」をしていきます。
4.「さらに次の1週間」1週間かけて、土曜版を「徹底的に深読み」する
ここまでくると、なんとなく日経新聞が手になじんでくるのを実感できるようになります。そこからのステップアップで、「徹底的に深読み」をしていきましょう。
使うのはまたまた日経土曜版です。そしてその土曜版を2部買うことからはじめましょう。
土曜版を2部買う
ここではじめて「新聞をすべて読む」というステージになります。著者のおすすめは、日経新聞土曜版を2部買うことです。
2部のうち1部は、大切に保管しておきましょう。
もう1部は、切り刻まずに、つねに全部持ち歩き、初めから終わりまで、穴が開くほど読んでいくのです。
まず1面からスタートです。読んだところを赤ペンで囲み、わからない単語や新語に線を引きまくりながら、真っ赤になるまで読み込みます。
この作業は、かなり時間がかかると思います。おそらく、数日から1週間くらいかかると思いますが、それでいいのです。新聞をずっと持ち歩けばボロボロになり、赤ペンだらけになります。
すべて読み終わったら、ボロボロになった1部目をわきに置いて、保管してあったもう1部を取り出して再スタートします。
2回目は、自分の理解が進んだかを確認するために読みます。
今度は、あまり赤ペンを使わずに読み、前回よくわからなかった単語や文章もなんとなく理解できるようになっていることが実感できればOKです。
そして、気になる記事があったら切り取ってスクラップブックに貼っていきましょう。
そして、次の土曜日が来たら、また新聞を2部買って同じことを繰り返すのです。さすがに3ラウンド目で嫌になるかもしれませんが、知識はどんどん重層化していくのです。
最初の新聞読みトレーニングから、最後の徹底的に深読みまでで、「徹底的に深読み」のプロセスが一番つらいかもしれませんが、一番重要ですし習慣化するためにもがんばるべしというのが著者の願いです。
「深読み→軽読み→徹底的に深読み」の順の意味
「日経新聞を読むことに慣れる」ということをやりましたが、 これまでの過程で 深く、同時に軽く読むスキルが身についたことでしょう。
これらをやることで、極めて正確に「ななめ読み」ができるようになるといいます。そうすると、翌日の新聞の内容が頭に浮かんでくるようになります。
つまり、少し未来のことを予測できるようになるということです。細かくいうと、現実に起きていることと自分の思考との違いを比べ、探求していくうちにその精度が高まっていくということです。
ですので、「深読み」「軽読み」「徹底的に深読み」の3つの読み方を意識してみましょう。



日経新聞を克服するには慣れることが肝心ですね。
そのためにあえて読むところを減らし、限定する。
「深読み→軽読み→徹底的に深読み」という攻略法で記事を読むことが苦にならないまでになれば、もっと日経新聞を楽しんで読むことができるということですね。
必要な情報をインプット
日経新聞といったら数字。「大きな数字」から把握しよう。
日経新聞は、経済紙ですから必ず数字が出てきます。何が何の数字だか面喰ってしまいますよね。
そんなときの「数字を見るときの役立つコツ」を取り上げてみたいと思います。
日経新聞に載る1番大きな数字
まず、日経新聞に載る数字で1番大きいものは日銀の資金循環統計に出てくる「個人金融資産残高」です。これは、日本人すべての金融資産の総額のことで、1800兆円程度です。
この「単位」の感覚をしっかり覚えておきましょう。
通貨の単位
通貨の単位感覚に敏感になることがとても大事だといわれています。
米ドルやEUの通貨ユーロは、為替が日本円と2桁違います。韓国のウォンは為替が日本円の10分の1。ベトナムでは、日本で1000円の価値を持つ紙幣が20万ドンということです。
外国の通貨を取り上げるとキリがないのですが、大事なのは「円」の単位の感覚を身につけておくということです。世界の経済・社会がより鮮明に見えてきます。
よく出てくる数字を覚えよう
よく出てくる数字は把握しておきましょう。
たとえば、
- 日本の経済規模(GDP)は約500兆円であり、個人消費は約300兆円。
- 国家予算は約100兆円で、税収は約60兆円。
- 大きな税収は、消費税と所得税、法人税など。
これをどのようにとらえるかですが、日本経済の大きさは必ず押さえておくことと、日本の国家予算も知っておけば、ニュースなどを読むときに全体像をつかむのに便利です。
例をあげると、日本のGDPの60%は、個人消費からきています。政府は消費税10%を取っています。ということは、500兆円×60%×10%で、およそ30兆円が国と地方に配分されます。
今まで、こんなことを考えたこともなかったのですが、極めて大きなお金が徴収され、いろんなことに使われているんですね。
そして余談ですが、欧州では消費税が20%レベルになっている国があります。これを日本に当てはめてみると60兆円の税収ということですが、そうなるともう所得税や他の税は取らなくてもいいなんてことが頭で考えられたりしますよね。
でも、反対に経済の失速を招くなあ~とも考えたりと、税ひとつを取ってみてもこのような思考が働くなんておもしろいとおもいませんか。
日本企業の売上から考える
日本の企業で売上が一番高いのは、現在トヨタです。ですので、トヨタの年間売上を覚えれば、他の企業の売上は、それ以下と推測できます。
ちなみにトヨタは年間およそ30兆円の売上です。自動車1000万台を販売しての金額から考えられるのが、トヨタ車1台の平均価格が300万円と計算できることですね。
次にコンビニ業界に注目すると、全体でだいたい6万店弱の店舗数、売上はおよそ10兆円ということです。消費の合計は300兆円ですから、すべての消費のうち3.3%がコンビニということがわかるわけです。
日本企業の売上から見えることは、大きくなっている業界としぼんでいく業界が見えてくることです。
目安となるのが「1兆円」です。
これから力を入れていくであろう農産物の輸出額は1兆円。ブライダル産業も1兆円ということらしいです。
何か産業が生まれて、元気が出てくるのは1兆円の壁を超えるころなのだそうです。そうなると役所の中に担当の課ができて、規制が始まるといわれているそうです。
このように、大ざっぱでもいろんな数字を覚えておくことで日経新聞を読むことが苦にならなくなります。
覚えておいた方がいい数字を図にしたものがこれです。


ぜひ覚えて活用してください。
ニュースの着眼ポイントは「A、B、C、D、E、F」
日経新聞が取り上げるのは経済ニュースをはじめ、日々の多様な情報で埋め尽くされるので、毎日読んでいくには根気が必要となってきます。
経済初心者はどこに着目して日経新聞を読んでいけばいいかというと着眼のポイントは「A、B、C、D、E、F」だといいます。
「A」=アメリカ
アメリカは、現在世界第1位の経済大国で 人口で日本の2.5倍、経済規模では3.5倍 です。毎年およそ3%の経済成長を続け、世界一の規模と軍事力に裏打ちされたドル発行元ですからあらゆる事案に絡んでいます。
アメリカの大統領は、世界で最も影響力のある人物なので、毎日のように日経新聞でも記事が出てきます。
大統領選挙は4年に一度あり、その2年前から誰が候補になるかとか、現職はどうなるのかといった話が新聞を賑わせます。また中間選挙では、下院全員と上院3分の1が選ばれます。
したがって、2年に一度、アメリカでは大きな選挙があり、結果しだいでは経済に対しても世界的に影響があるのでアメリカの政治問題から目が離せないということです。
「B」=ブリテンとEU
ブリテンとは、イギリスのことです。もともとイギリスと欧州大陸は、別の動きをするものでした。EUのメンバーだったころも通貨ユーロを利用していませんでした。
北アイルランドとアイルランドの国境問題もさることながら、EUとのかかわりなど今後とも目が離せません。
イギリスもいろんな問題が山積していますが、欧州全体も折に触れ、移民問題や統合の理想主義と現状とのギャップなどの問題、ドイツのメルケル首相の後継問題なども目が離せません。
欧州中央銀行が存在しながら、各国に中央銀行や財務省が存在する中で統合したため、比較的弱い南欧と巨大経済国ドイツとのせめぎ合いがかならず起きることも今後の課題ですね。
日経新聞ではこのような欧州全体の域内格差、移民政策などがよく取り上げられますので要チェックですね。
「C」=中国
中国は世界で一番人口の多い国です。
50年前は、ただそれだけの国でしたが、今や世界の中心に躍り出てきました。中国の経済規模は、平成元年には日本の8分の1でしたが平成の終わりには日本の2倍とものすごい変貌を遂げたということです。
「鉄鋼生産量」において、すでに日本の10倍程度の能力がありますし、自動車の新車販売台数は2600万台前後とアメリカをも凌駕し日本の5倍もの市場規模になっているのです。
共産党の一党独裁の社会主義体制ながら、むしろ短期的には資本主義と親和性があるということですね。しかし、環境問題や言論封殺、少数民族や香港問題など、さまざまなひずみも見えてきています。
中国関連記事はトップ記事に等しいともいえますね。
「D」=デジタル
目新しいものはすべて「デジタル」という括りでニュースを見ていきましょう。
たとえば、ネットの世界や仮想通貨など。なかでも今後の世界をリードするのは、AIとロボットだとされています。これにより、雇用形態も変わっていくという予想もあるのです。
2030年には世界の主な工場が完全自動化になるとか、2050年には、500億台のロボットが働くなど・・・想定される世界の労働人口の5倍ものロボットが人間に置き換わるということなのです。
これにより人間が働く場所がなくなるのは明白で、その後の生活の移り変わりも目が離せません。AI化は、ベーシックインカムの議論も呼び起こし結果、人類の発展にも影響が出てくることでしょう。
まだまだ先のことだと思わずに注意深く見ていかなくてはいけないデジタル革命といえますね。
「E」=EV(電気自動車)
時代は刻々とエンジンを搭載した自動車から電気自動車に移行しようとしています。イーロンマスク氏の「テスラ」が自動車メーカーとして時価総額でアメリカ最大となったニュースは記憶に新しいですね。
それに伴い、いろんな事業も生まれようとしています。
かつては自動車を所有することで富や成功の象徴をイメージさせるアイテムとしての位置づけから、移動手段にすぎない「MaaS」と認識が変わり、新しい自動車コンセプトである「CASE」に向かうことで地殻変動が起きるということです。
「MaaS」とは、バス、電車、タクシーからライドシェア、シェアサイクルといったあらゆる公共交通機関を、ITを用いてシームレスに結びつけ、人々が効率よく、かつ便利に使えるようにするシステムのことです。


(出典:TIME&SPACE「“人の移動”に変革をもたらす『MaaS(マース)』とは? 交通手段の未来像を解説します」より)
つまり、運んでくれたら何も問わないというのがそれで、自動車がコモディティ化するということなのです。
「CASE」とは、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス/シェアリングのみを指す場合もある)、Electric(電気自動車)の頭文字をとった造語です。


(出典:日本経済新聞電子版「CASEとはつながる・自動運転・・・車産業の新潮流」より)
つまり、レンタカーのようなものから、月々お金を払えば、新しい車を使えるサブスクリクションまでを指すということですね。
サブスクリプションはもう始まっていて一定金額を払えば最新のレクサスが乗れるそうですね。
とにかく、EVを軸として自動車産業は今後新しい局面を迎えることは間違いないということです。
さらに環境問題ですが、EV自体は二酸化炭素の排出はないにしても、工場や発電所からは従来と変わらない二酸化炭素の排出があり、おまけに電力不足の問題を招く恐れがありますね。
このことを頭に入れて電気自動車関連の案件を追っていくといいと思います。
「F」=ファイナンス
ファイナンスとは、金融。人や物が動けば、最後は決済です。不足すれば資金を調達し、余れば資金を運用します、これをファイナンスと言います。
日経新聞は金融が大きな目玉ですから、紙面に登場するすべての金融情報を追う必要があります。
政府部門、企業部門、家計部門からの資金のやり取りは、すべてニュースの対象になります。特に外国の金融市場の動きは、すぐに日本にも影響を与えてきます。
日本では、個人資産を1800兆円も貯めこみ、また企業も金を貯めこんでいる状況とされています。逆に、政府部門の公的債務は異常値ともいわれ、日銀は、日本の経済規模と同じくらいの資産規模を持ち、さらに株式を30兆円近くETFという形で保有しています。
日銀は日本の中央銀行ですが、そんな中央銀行は他にはなく、金利が上昇することもなく、為替が急落することもない状態が続いているということです。
そして、企業の資金調達も重要なニュースです。
新しい企業が生まれ、証券取引所に上場したり、逆に、資金繰りが悪化し破綻する企業が出てきたりしますが、それをいち早く報道するのが日経新聞の役目です。
日本では、資金に余裕のある個人が、金利のつかない銀行にお金を預けて、投資には目を向けない傾向がありますが、これは、世界の中から見ても極めて特異だといわれています。
日本でも、子どもに対して金融教育をし、個人層の資金が動き出すと、もっと政治にも関心が高くなり、社会が大きく変化するのではないでしょうか。



一定の情報(数字やキーワード)を知っておくだけで、ニュースのポイントがすぐにつかみやすいということですね。
「日本の経済データ」と「A、B、C、D、E、F」は、ぜひチェックしておきましょう。
ニュースの主役を追おう(キーパーソン、3文字英語)
企業トップをざっと覚える
さらに効率よく記事が読めるコツとして、ニュースの主役を追うことが大事です。
その第一が、企業トップの「顔と名前」を覚えるです。
海外企業なら20社ていど
海外企業なら20社ほど覚えましょう。必須は「GAFA」や「FAANG」といわれるアメリカのプラットフォーム型企業やテスラ、UBER、Airbnbなどの話題性のある会社です。
そこで、一覧できるリストを作っておくのも良い手です。


これはほんの一例です。
実際に自分で作ってこそ意味があると著者は言います。その時に顔写真も入れて作ると頭への入り方がまったく違ってくるということです。
日本企業なら50社ていど
やはりわたしたちは日本に住んでいますから、日常生活に登場してくる商品を生産している企業を、どのような人が経営しているかを知ることは、日本経済の動きに目を向ける絶好の機会になります。
英単語と一緒で、一度覚えると日経新聞が読みやすくなってきます。メンテナンスも欠かさずやりましょう。新聞の人事欄を見落とさず読んでおけばいいと思います。
ニュースに登場する内外高官も覚える
「G7」のトップの名前を覚える
「G7」トップは、毎日のように紙面で名前が出てきますよね。それ覚えておくだけでも新聞記事がよくわかるようになります。
「G7」以外なら、ロシアと中国というように、世界的に政治の主導権を取りそうな人物を押さえておくと重大ニュースなどでかなりの理解度が得られます。
経済規模で中国が世界第2位となりましたから、もう「G7」という枠組みは古いのかもしれません。それなら「G20」のトップも押さえてみるのが正解かもしれません。
しかし、「G7」サミットは継続していますし、新聞を読むうえで目安となるのは間違いないところです。
財務大臣・中央銀行総裁を覚える
日本の財務大臣や日銀総裁は、必須ともいえる覚えなければいけないキーパーソンですが、こうなったら世界の財務大臣や中央銀行総裁も押さえちゃいましょう。
「G7」サミットには、各国トップの他にG7各国の財務大臣・中央銀行総裁も集まる「財務大臣・中央銀行総裁会議」があります。
ここに登場する人の名前や経歴を覚えておくととても便利です。
特に覚えておきたいキーパーソンは
- FRB(アメリカの中央銀行)議長
- 欧州中央銀行総裁
- イングランド銀行総裁
は、必ずですね。
G7以外では、中国人民銀行の行長も注目です。
国際機関のトップに目を向けると、IMF(国際通貨基金)の専務理事も注目です。IMFとは、お金の国連のようなもので、そこのトップは代々ヨーロッパ出身者、しかも多くの場合、元財務大臣だった人が充てられています。
「3文字英語」をたくさん覚える
日経新聞に出てくる3文字英語をすべて知っている人は素晴らしい!
わたしは、それがちんぷんかんぷんでなかなか読み進められない時期がありました。
たとえば、「市場全体は不調で、PBRが1を下回る可能性が出るなか、IPOは順調に伸びている。これらのIPO銘柄は、むしろPERは高くなる傾向にあるようだ」といった文面・・・わかる人が読めばわかるのですが、投資初心者にはきついです。
ですので、このような3文字英語をたくさん覚えておけば、日経新聞の読みやすさは高まります。一度覚えれば、簡単すぎるくらい簡単になります。マスターするべき3文字英語は30くらいも覚えればいいでしょう。
「IPO」「CSR」「SDGs」など。
先ほど出ました「IPO」は、新規公開公募という意味です。未上場企業が、新規に株式を証券取引所に上場し、投資家に株式を取得させることを言います。
「CSR」とは、企業の社会的責任という意味です。社会的責任とは、従業員や消費者、投資者、環境などへの配慮から社会貢献までの幅広い内容に対して適切な意思決定を行う責任のことです。
「SDGs」とは、持続可能な開発目標という意味です。資源や環境に配慮するため、 2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。
「ROE」「PER」「PBR」など。
「ROE」は、自己資本利益率という意味です。「その株に投資してどれだけ利益を効率良く得られるか」ということを表しており、株主から見て収益性の指標になります。
「PER」は、株価収益率という意味です。株価が1株当たり純利益(EPS)の何倍まで買われているか、すなわち1株当たり純利益の何倍の値段が付けられているかを見る投資尺度です。
ということで、「EPS」は、1株当たりの純利益という意味です。株価は1株の値段ですから、会社のその他の基準もすべて1株当たりで表示されます。その会社の1株当たりの利益も比較するのに使われるということです。
「BPS」とは、株価純資産倍率という意味です。1株当たりの純資産額を表した金額で、株価が純資産の何倍まで買われているかを示す指標です。
ちなみに株価をBPSで割ると、「PBR」(株価純資産倍率)を求めることができます。PBRが1を割り込むことは、株価が企業の解散価値を下回る水準になっていると読むこともできますし、不良在庫などの悪材料を市場が危惧しているとみることもできます。
主な3文字英語一覧表をつくろう
3文字英語を覚えるコツは、やはり一覧表をつくることですね。
一応、載せときますので参考にしてみてください。




著者がわかりやすく解説を入れてくれてるのでよくわかりますね。



これから、どんどんと話題の主役は移り変わっていくかもしれません。
トレンドの変化を感じながら、ニュースによく出てくるキーパーソンや3文字英語をチェックしておきましょう。
『日経新聞を「読む技術」「活用する技術」』の感想・まとめ
事実はすべて新聞の中にある
ニュースとか情報を入手する媒体はネットなどの普及により格段に増えました。
ですが、新聞を読む人は確実に減っているそうです。新聞を読む人は高齢者の方が多く、若い人の中では新聞自体をまったく読まない人もいるそうです。
それが悪いとは言いませんが、新聞というものは数千人の記者が張り付いて取材し、記事を書いています。しかも知識と知性のかたまりです。
今現在は、テレビやネットニュースなどのバラエティ色が入ったような情報がウケる時代です。面白みのない新聞は時代遅れなのでしょうか?
わたしはそうは思いません。
残念ながら国民経済的に見て正しく利用されていない、つまり現代の日本では「宝の持ち腐れ」という状態になってしまいましたが、逆にこの新聞を活用できる人が他の人と差がつけられるということにもなるのです。
いろんな全国紙、地方紙がありますが、日経新聞こそは毎日20万文字もの情報を届けてくれています。
ちなみに、日経新聞の発行部数は250万部ですが、配達される家庭数でいうと、全体の3%ていどということです。そしてある研究所の調査によると日本の総世帯で、純金融資産1億円以上の世帯は全世帯数の3%だともいわれています。
まさか日経新聞を取っている世帯が全部1億円以上の資産を持っているとは限りませんが、知識と富の関係は切り離せません。
それを考えれば、日経新聞の価値は十分にあるといえます。
日経新聞を含めて新聞自体をみんなが読まなくなった今だからこそ、勝ち組になれるチャンスです。日経新聞を徹底的に読み込んで自分のものにしましょう。
本書は、日経新聞を読み込むために大きな助けとなりますのでぜひご一読ください。




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