
こんにちはコウカワシンです。
今回は、守屋淳(もりや・あつし)さんの著書『最高の戦略教科書 孫子』から学ばせていただきます。
マンガ版はこちら
そして、本書は聴く読書としてオトバンクの「audiobook.jp」で、聴くことができます。
スキマ時間の活用にお役立てください。
『最高の戦略教科書 孫子』は誰におすすめか?
本書はこのような人におすすめです。
『最高の戦略教科書 孫子』がおすすめな人
- 企業家
- 指導者
- 古代中国に興味のある人




『最高の戦略教科書 孫子』はどんな本?
本書の目次
『最高の戦略教科書 孫子』
まえがき
1部 『孫子』はそもそも何を問題とし、何を解決しようとしたのか
第一章 百戦百勝は善の善なる者にあらず
第二章 敵と味方の比べ方
第三章 戦いにおける二つの原則(不敗と短期決戦)
第四章 兵は詭道なり
第五章 情報格差のある状況での戦い方(各個撃破と急所)
第六章 情報格差が作れないときの戦い方 (①主導権と裏の読みあい)
第七章 情報格差が作れないときの戦い方 (②無形と勢い)
第八章 自国内での戦い方(地形とゲリラ戦)
第九章 勝は度から導き出される
第十章 勝てる組織と将軍の条件
第十一章 情報を制する者は戦いを制す
2部 『孫子』の教えをいかに活用するか
第十二章 そもそも人生やビジネスに、戦いなんて必要ないのではないか
第十三章 そもそも戦略と戦術とは、どう違うのか
第十四章 試行錯誤ばかりしていたら心が折れそうなんですけど
第十五章 ジリ貧状態では、腐敗なんて守っていられないのではないか
第十六章 相手の急所をつけば、すぐに決着などついてしまうのではないか
第十七章 詭道やだましあいなんて、品性下げそうでいやなんですけど
第十八章 「各個撃破」なら勝てるのに、なぜ「選択と集中」では失敗するのか
第十九章 追いつめる以外の「勢い」の出し方はないのか
第二十章 弱者はどのように振る舞えばよいのか
著者の紹介
守屋淳(もりや・あつし)
作家。中国古典研究家。
1965年。東京都生まれ。
早稲田大学第一文学部卒。
大手出版社勤務を経て、現在は中国古典、主に『孫子』『論語』『荘子』「老子』『三国志』などの知恵を現代にどのように活かすかをテーマとした執筆や、企業での研修・講演を行う。
主な著書・訳書に『現代語訳 論語と算盤』(ちくま新書)、『組織サバイバルの教科書 韓非子』(日本経済新聞出版社)、『本当の知性を身につけるための中国古典』(PHP研究所)、『ビジネス教養としての『論語』入門』(日本経済新聞出版)、『渋沢栄一 「論語と算盤」の思想入門 』(NHK出版新書)、『『論語』がわかれば日本がわかる』 (ちくま新書)、『中国古典 名著の読みどころ、使いどころ』(PHP研究所)、『孫子・戦略・クラウゼヴィッツ』(日本経済新聞出版) 、『図解 最高の戦略教科書 孫子 』 (日本経済新聞出版)など多数。
本書の内容
『最高の戦略教科書 孫子』 は、ズバリ!「サバイバルゲーム勝ち抜き合戦の手引き」です。
amazonの書籍紹介より
孫子本ブームの火付け役となった赤本!
新聞各紙、週刊誌、ラジオでも話題沸騰。
読者の3割が女性と30代以下という、これまでの孫子解説書にはない読みやすさ、わかりやすさで、10万部を突破!
ビジネスだけでなく、スポーツや人生のさまざまなシーンで活用できる 「負けないための戦略」が数多く紹介されています。
複数の敵と戦わざるをえない今だからこそ読みたい、話題の兵法書です。
*勝ち続けるリーダーは必ず読んでいる。その戦略とは?
・短期で勝てる相手とだけ戦う
・正」と「奇」の運用
・こちらを小さく弱く見せる
・絶妙なエサのまき方
・危機感を刺激する
・情報格差は力なり
・流れの外で、流れを操る
・事前に負けておくことの重要性
・約束は控えめに、実行はたっぷりと
ソフトバンク孫正義社長、マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ、2002年ワールドカップ優勝ブラジルチーム代表監督スコラーリ、多国籍軍総司令官シュワルツコフ、そして古くは軍師・黒田官兵衛、武田信玄、諸葛孔明–。
『孫子』を愛読書としてあげる人物には、方面を問わずビッグネームがずらりと並びます。
彼らは単にこれを読むだけではなく、そこに「競争状態での原理原則」を見出し、いまの時代背景や自身の状況に引きなおして、「負けないために何をすべきか」を「自分の知恵」として実践しています。
戦争であれビジネスであれ、いまも昔も、「戦わなければならない」という状況に変わりはありません。
約2500年も前に書かれた中国の兵法書『孫子』が、現代も世界中で読み継がれ、人々をひきつけて止まないのは、そのためでしょう。時代や分野を超えて、勝負に勝つためのエッセンスが『孫子』には凝縮されているのです。
本書は、読者が自らのビジネスや生き方に実践していくために、『孫子』がそもそも何を問題とし、何を解決しようとしたのか、前提条件がまったく違う現代でも本当に役立つのかという観点から、わかりやすく解説しています。
著者は、中国古典の専門家として、多くの企業経営者・管理職を相手に勉強会を行ってきましたが、本書ではその会に参加した経営者の生の声や、経営・ビジネスの名著、偉人たちの言葉を盛り込みながら、『孫子』を初めて読む若い読者の方にも読みやすい内容になっています。



「孫子の兵法」は、学校の教科書にしてもいいくらいの良書です。
これからのサバイバルゲームを生き抜くための知恵が詰まっているといっても過言ではありませんね。
そして本書は、その「孫子の兵法」から現代への応用編としてとてもわかりやすく解説している一冊です。
『最高の戦略教科書 孫子』の要点は?
兵法書『孫子』は、今から2500年前の中国、春秋時代に孫武という武将・軍事思想家により書かれたとされています。
全13篇もあるという兵法書『孫子』。
『孫子』が、出るまでは、戦争の勝敗は天運に左右されるとされていましたが、孫武は戦争の記録を分析・研究し、勝敗は運ではなく人為によることを知り、勝利を得るための指針を得るための指針を理論化して、『孫子』として残したのです。
その『孫子』は、現代でも世界の名だたる企業家や指導者たちに読まれているほど絶大な影響力を持っています。
本書では、『孫子』の考え方と現在においての活かし方をわかりやすく解説してくれています。



『最高の戦略教科書 孫子』から、わたしの独断と偏見でポイントを押さえていきたいと思います。
百戦百勝は善の善なる者にあらず
百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり
(ひゃくせんひゃくしょうはぜんのぜんなるものにあらず。たたかわずしてひとのへいをくっするはぜんのぜんなるものなり)
「百回戦って百回勝ったとしてもそれは最善の策とはいえない。戦わないで敵を屈服させることこそが最善の策なのだ」
「孫子の兵法」とは❝戦わずして勝つ❞が信条です。
なぜなら、 百戦百勝は一見最善に見えるかもしれないけど、勝った方にも被害が出るからです。
ものごとは、すべて大局で見ないといけません。
孫武の生きた春秋戦国時代は周りをたくさんの敵国に囲まれ、「目の前の敵に勝てばいい」という単純な思考では対処できなかったのです。
「負けてはダメ。それどころか勝っても自分がすり減ってはダメ」という認識で臨む戦いは日本の戦国時代でもよく見られました。
それでは、『孫子』から、その極意を取り上げてみます。
相手を仲間に引き入れる
必ず全きを以って天下に争う
(かならずまったきをいっててんかにあらそう)
「相手を傷めつけず、無傷のまま味方に引き入れて、天下に覇をとなえる」
自分の力を背景に外交で相手を味方に引き入れたり、傘下に収めるというもので、この戦略がうまく続けられれば、力は増え続けます。
この手をうまく使ったのが『三国志』で有名な魏の曹操だったそうです。
曹操が名を上げるきっかけになったのが「黄巾の乱」です。周りの武将は黄巾軍をひたすら叩きまくりましたが、曹操は、敵だった黄巾軍を味方に引き入れ勢力拡大したのです。
最終的に三国時代の覇者になった曹操ですが、武将としても政治家としても優れた人で、『孫子』を再編さんして魏武注(ぎぶちゅう)と呼ばれる注釈まで施されたとのことです。



わたしも「三国志」は、大好きな話です。
三国志での曹操は、なぜか悪者扱いされてて、残念に感じますが、あの関羽でさえも一時では曹操の配下についたことがありました。
関羽と曹操の関係性も敵味方を超えた尊敬の念があったということですね。
兵は詭道なり
兵は詭道なり
(へいはきどうなり)
「戦争とは所詮、だましあいに過ぎない」
「戦いはだましあいだ」ということですが、「戦う素振りを見せない」というのもアリだし、「自分を小さく弱く見せる」というのもアリなのです。
その具体的な「だましあい」の内容については、『孫子』ではこのようにあります。
戦う素振りを見せない
作戦会議で「戦う」という結論になったら、敵に知られずに進めるべきです。
でもそれを探るべくスパイなどを送り込んでくることは大昔からあったようです。
必ず敵陣の間の来たりて我を間する者を索め、因りてこれを利し、導きてこれを舎す
(かならずてきじんのかんのきたりてわれをかんするものをもとめ、よりてこれをりし、みちびきてこれをしゃす)
「敵の間者が侵入してきたら、これを探し出して買収し、逆に「反間」として敵地に送り込む」
この言葉からスパイも人間だから、買収されたら弱いのかなあと思いました。
まあ、どちらにしても「情報を制する者が戦いを制する」ということは言えるわけで、相手に誤った情報を流すというのは有効な手であるといえますね。
特に国と国の関係がこじれ、戦争をするかしないかを考えるような状況であれば、相手もこちらの動きを警戒しているはずです。
作戦会議で「もし戦うという結論にいたったのなら、とにかくそれを隠せ」ということになるし、相手のスパイをも味方に引き込むことが戦いに勝つためには必要だということですね。
こちらを小さく弱く見せる
能なるもこれに不能を示し、要なるもこれに不要を示し、近くともこれに遠きを示し、遠くともこれに近きを示し、利にしてこれを誘い、乱にしてこれを取り、実にしてこれに備え、強にしてこれを避け、怒にしてこれを撓 し、卑にしてこれを驕らせ、佚にしてこれを労し、親にしてこれを離す。
その無備を攻め、その不意に出ず
(のうなるもこれにふのうをしめし、ようなるもこれにふようをしめし、ちかくともこれにとおきをしめし、とおくともこれにちかきをしめし、りにしてこれをさそい、らんにしてこれをとり、じつにしてこれにそなえ、きょうにしてこれをさけ、どにしてこれをみだし、ひにしてこれをおごらせ、いつにしてこれをろうし、しんにしてこれをはなす。そのむびをせめ、そのふいにでず)
「できるのにできないふりをし、必要なのに不必要と見せかけ、遠ざかると見せかけて近づき、近づくと見せかけて遠ざかる。有利と思わせて誘い出し、混乱させて突き崩す。充実している敵には退いて備えを固め、強力な敵に対しては戦いを避ける。わざと挑発して消耗させ、低姿勢に出て油断を誘う。休養十分な敵は奔命に疲れさせ、団結している敵は離間をはかる」
いやあ、まさに「だましあい」そのものですよね!
つまり、「だましあい」とは、
- 臨機応変に動く
- こちらを小さく見せる
- こちらの意図をとんちんかんに解釈させる
ということになります。
もしこちらに戦う意図があることを気づかれたとしても、相手は油断しますし、こちらはその間に戦いのための準備を十分にして臨むことができるということです。
情報格差は力なり
著者は、格闘技から「詭道」に対する視点を持たれました。それは、世間一般で知られていない武術や技は短期であれば強い武器になるということです。
そこから見えるのは、戦う意図や手の内が知られている場合と知られていない場合では戦い方が変わってくるということです。
それは自陣と敵陣で情報格差がつけられる場合とつけられない場合において勝ちやすい条件を作って戦うということを意味していることです。
言い方は悪いけど「詭道」というのは「だましあい」という以外ありません。



わたしは人間ができていないので、なかなか「自分を小さく弱く」見せることができません。
大局が見えてなくて、大人の振る舞いができないということです。
『孫子』から大いに勉強して、今後の人生に活かしたいと思います。
『孫子』の教えの活かし方
弱者はどう戦う?
何で勝つか、どこで勝つか、いつ勝つか
彼を知り、己を知れば、百戦して殆からず
(かれをしり、おのれをしれば、ひゃくせんしてあやうからず)
「彼を知り、己を知るならば、絶対に敗れる気づかいはない」
著者はおもしろい例えをしています。
将棋の羽生棋士に将棋でまともに挑んでも勝てません。ですので卓球に自信があるのなら羽生棋士と卓球で勝負してみるとか、もし羽生棋士が高所恐怖症ならば、吊り橋の上で将棋の勝負に持ち込むとか、弱者でもやりようがあるよといっているのです(笑)
これはバカバカしいながらも相手を知り、自分を知っていないと取れない戦術です。
「何で勝つか、どこで勝つか、いつ勝つか」をコントロールすることが生き残るために大きな武器となります。これは、ビジネスにおいても参考になる部分です。
さまざまな価値観や評価軸のある現代においては、こんな一見バカバカしい考えであっても弱者のとるべき戦術が見えてくるのではないでしょうか。
ゲリラの基本は逃げること
タリバンがアフガニスタン全土を掌握したというのは、記憶に新しいニュースです。アメリカがアフガニスタンに侵攻してからというものタリバンは「ゲリラ戦」に徹し、アメリカ軍を翻弄してきました。
軍事の世界では、弱者が強者に対抗するために編み出された戦い方が、「テロ」とか「ゲリラ戦」であり、たとえ弱者の立場であっても「情報だけは強者」となることが最低でも必要な条件になります。
タリバンにしても「地の利」とか「我が身を隠す」といった戦術は、「情報だけは強者」の条件を作りだしたといえますね。
これをビジネスの世界で表すなら「マイノリティである中小企業はゲリラ戦法で戦うしかない」ということで、樹研工業の松浦社長も指摘されています。
さらに、
世間では、勝ち残るだとか、勇ましい事を言いますが、私たちはむやみに競争して勝ち残ろうなどとは露ほども思いません。
競争などというのは、体力のある大手企業にやらせておけばいいのです。儲からなければさっさと引いて、別の仕事に乗り換える機敏さが、中小企業の大きな武器です。
中小企業の戦い方は、領域を絞ること。領域を絞ればその分野でナンバー1になることができます。
ただし、そこで収益が出ることがわかれば、他の企業が参入してくることはあると思います。でもその領域で踏ん張って戦うのも自らの専門性がより磨かれるという長所があるのも事実です。
しかし、「そんな状況なら、あまり手がついていない別の領域に移ってしまおう」という機動性のある戦略もいろんなジャンルで経験を積み、それが大きな武器に育つこともあるということです。
もちろん、自社の得意な技術や経営資源は決まっているので、そこから大きく外れることはないですが、方向転換・・・つまりブルーオーシャンを求める姿勢は小回りが利く中小企業ならではですね。
では、個人としての生き方の戦略はどのようなことに気をつけるべきでしょうか?
身軽さ、自由さ、経験の多彩さ
人の生き方となると、大きく二つのタイプがあります。
- 一つの領域で踏ん張るというタイプ
- さまざまな経験を結びつけて強みにしていくタイプ
一つの領域で踏ん張るタイプというのは「学者や技術者としてのジャンルを極める」人たちを指します。
さまざまな経験を結びつけて強みにしていくタイプの典型とされるのが、アップル創業者であるスティーブ・ジョブズ氏です。
ジョブズ氏は学費が高いために大学を中退し、興味の赴くままにさまざまな大学にもぐりこんで興味ある講義を聴講していた時期があるそうです。
その中の一つに、カリグラフ(書体)の講義があったとのことです。


ジョブズ氏によると最初のマッキントッシュを設計していたとき、カリグラフの知識が役に立ったといわれています。
美しいフォントを持つ最初のコンピューターを開発できたとし、「もし大学であの講義がなかったら、マックには多様なフォントや字間調整機能も入っていなかったでしょう。」と言われています。
そしてさらに「将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎ合わせることはできません。できるのは後からつなぎあわせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。」とも言われました。
これはジョブズ氏に限らず、わたしたちにも言えることですよね。
たぶんこの世の多数は、「さまざまな経験を結びつけて強みにしていくタイプ 」だと思います。
将来を大局的に見て方向性を決める。そしてさまざまな選択や決断、試行錯誤をしながらまい進することがわたしたちの取るべき道ということですね。
どちらにしても個人レベルなら小回りが利き、方向転換も可能、束縛もないということで「個人であることが武器になる」となります。
それには「彼を知り、己を知れば、百戦して殆からず 」という「孫子の教え」が、ひときわ光り輝くといえますね。



相手や状況を知ることも大事ですが、同時に自分自身のことを第一にわかっていないといけないということですね。
そして、方向性を見失わず、今やっていることを一生懸命やるということが後々に点と点を結ぶようにつながってきて成功の架け橋になってくれるということも頭に入れて日々を過ごしたいと思います。
『最高の戦略教科書 孫子』の感想・まとめ
『孫子』は人生の参考書
歴代の著名人が愛読書としている『孫子』は、これからも企業家や起業する人たちの道しるべになっていくと思います。なぜなら、これからの複雑な世の中と戦国の乱世が重なるからです。
戦争であれビジネスであれ「負けないためには何をすべきか」という課題は永遠に続いていくでしょう。
そこまで大げさなものではなく、個人としての『孫子』は、不安定な世の中や社会の多様化、対人関係をうまく乗り切るために必要な心得やスキルを身につけることができると思います。
そういった点で、本書は『孫子』をわかりやすく解説し現代に応用できる方法などを丁寧に説明してくれていると感じました。
『孫子』の入門編として大いに活用していきたいと思います。




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