
こんにちはコウカワシンです。
今回は、ジョン・J・レイティ/エリック・ヘイガーマン両氏の共著『脳を鍛えるには運動しかない!』から学ばせていただきます。
勉強というのは、机の前に座り、じっくり本を読んだり、ノートなどに書き取りさえすれば、読解力や計算力、思考力が身についていくものだと思っていました。
ですが、それだけではなく運動でしっかり体を動かさないと、そのような能力が高まらないという研究結果が出ているそうです。
それだけではなく、運動が精神的な安定やストレス耐性を高めるということも確かめられ、運動することによるメリットが次々に明らかにされてきたということです。
『脳を鍛えるには運動しかない!』 では、このことを細かく教えてくれる本であるということで、ぜひたくさんの人に読んでいただき運動する習慣を身につけて欲しいと感じました。
『脳を鍛えるには運動しかない!』 は、誰におすすめか?
本書はこのような人におすすめです。
『脳を鍛えるには運動しかない!』がおすすめな人
- 運動習慣のない人
- いつもストレスをかかえている人
- 体も見た目も若返りたい人



アメリカの高校で「運動したら成績が上がった」という研究成果があります。
ただ机に前でガリ勉するより、運動したほうが頭が良くなるということですね
ということで学生さんにもぜひおすすめしたいものです。




『脳を鍛えるには運動しかない!』はどんな本?
本書の目次
『脳を鍛えるには運動しかない!』
序文 結びつける
第一章 革命へようこそ~運動と脳に関するケーススタディ
第二章 学習~脳細胞を育てよう
第三章 ストレス~最大の障害
第四章 不安~パニックを避ける
第五章 うつ~気分をよくする
第六章 注意欠陥障害~注意散漫から抜け出す
第七章 依存症~セルフコントロールのしくみを再生する
第八章 ホルモンの変化~女性の脳に及ぼす影響
第九章 加齢~賢く老いる
第十章 鍛錬~脳を作る
あとがき 炎を大きくする
著者の紹介
ジョン・J・レイティ
1948年生まれ。
医学博士。ハーバード大学医学部臨床精神医学准教授。
マサチューセッツ州ケンブリッジで開業医としても活躍。研修医訓練の監督補佐を務めるマサチューセッツ精神衛生センターでは10年以上にわたって研修医やハーバード大学医学部学生たちを教える。
また、ハーバード大学医師生涯教育プログラムの常勤講師として精神科医たちを教えている。
臨床研究者として精神医学と精神薬理学分野のピアレヴュー専門誌に60以上の論文を発表。
1986年にはボストン自閉症研究センターを設立、また、攻撃的行動への新しい投薬治療についての彼の研究から、88年にはアメリカ精神医学会に新しく攻撃性に関する研究会が生まれた。
80年代にエドワード・ハロウェル医師とともにADHDの研究を始め、94年に初めてこの障害をわかりやすく説明する著書『へんてこな贈り物』(インターメディカル)を執筆。
97年には臨床的障害のより軽微な症例について研究した『シャドー・シンドローム~心と脳と薬物治療』(河出書房新社)をキャサリン・ジョンソン博士との共著で発表。
また2001年にはベストセラーとなった『脳のはたらきのすべてがわかる本』(角川書店)を刊行し、神経科学が感情や行動、そして心理学全般に与える影響について論じた。
1998年から毎年、同業者の選出による全米ベスト・ドクターのひとりに選ばれ続けている。
また最近では、本書のテーマである定期的な有酸素運動の普及に貢献したとして、非営利団体PE4Lifeより最優秀支援賞を受けている。
エリック・ヘイガーマン
サイエンス・エディター。Popular Science誌、Outside誌で編集主任を務める。
本書では ジョン・J・レイティの執筆・構成をサポートした。
本書の内容
『脳を鍛えるには運動しかない!』 は、ズバリ!「頭良くなりたかったらとにかく走れ!」です。
amazonの書籍紹介より
人間の脳は走りながら進化した。
脳と気持ちが劇的に変わる脳科学からの運動指南。
空前の脳ブームとランニング・ブームを結ぶ待望の書!
アメリカ・イリノイ州のとある学区では、朝の授業の前に「0時間体育」の試みを始めたところ、参加する生徒の成績が上がりました。しかも、0時間目の直後に受けた1時間目の教科にとくに顕著な効果が現れたのです。その理由は──予想もしなかった運動と脳の関係にありました。
運動すると気分がスッキリすることは誰でも知っています。けれどもなぜそうなるのかわかっている人はほとんどいません。本書は「運動と脳」の関係に神経科学の視点から初めてしっかりとメスを入れ、運動するとなぜ学習能力が上がるのか──のみならず、ストレス、不安、うつ、ADHD、依存症、ホルモン変化、加齢といった人間の生活・人生全般に影響を及ぼすのか、運動がいかに脳を鍛え、頭の働きを取り戻し、気持ちを上げるかを解き明かします。



人間はもともと狩猟採集生活をしていました。つまり、生き延びるために知恵を働かせて食べ物を見つけ、蓄えなくてはならなかったのです。食べ物と体の活動と学習のつながりが組み込まれていたといえます。
しかし、現在では狩りも採集もしていません。体を動かさなくても食べ物が手に入り、生活ができる状態なのです。
でもこれでは脳が死んでしまうという意見が出てきました。なぜなら脳は狩猟採集していた時代からあまり進化していないからです。ですので、われわれ現代人は無理やりにでも運動して脳の機能を維持しなくてはいけないのです。
しかも運動することで脳の機能を高める効果があるという研究結果が出ているのです。
本書では、運動が脳を鍛える根拠を知るのに最適な内容になっています。
『脳を鍛えるには運動しかない!』 の要点は?
運動が体の健康にいいのは誰でも知っていることですが、運動が脳を活性化させるというのはあまり知られていない事実です。
運動がもたらすメリットとしてあげられるのが、
- 頭が良くなる
- 集中力が高まる
- メンタル向上
- 性格が良くなる
- 幸福度アップ
です。
しかも、いろんな研究結果から明らかにされています。
本書は、そのいろいろな研究事例から脳科学的に解説してくれています。



その中からわたしの独断と偏見で3つほどポイントをあげさせていただきます。
運動こそが脳を活性化させる
わたしはプロ野球が大好きなのですが、試合後のヒーローインタビューで、活躍した選手がすばらしいコメントをするのをよく見ます。
「いいこと言うなあ~。唐突に質問されても動じないし的確だ。頭いいなあ~」と感じます。
たしかにプロ野球以外でも注目されるスポーツ選手はそれなりにマスコミからインタビューされることを前提に準備しているのかもしれませんが、頭の回転の速さを感じます。
そしてスポーツ選手で、❝文武両道❞といわれるくらい勉強の成績のいい人がめずらしくないのも事実としてあり、運動が脳に良い影響を与えていると言えるのではないかということなのです。
これは研究成果として実証されています。
アメリカ、シカゴのネーパヴィル・セントラル高校では、午前7時10分の座学授業の前にやる「0時限体育」として、トラックを走りながら心拍数をあげることを生徒に課しています。
その取り組みの結果、ネーパヴィル203学区の生徒19000人は、全国一健康になり、成績も目覚ましく向上したそうです。
運動がなによりの刺激となって、脳が学びの準備をし、意欲を持ち、その能力を高めることがわかってきて、特に有酸素運動は心身のシステムのバランスを整え、その能力を最大限にするということなのです。
なぜ、運動すると頭が良くなるのかというと、それはBDNFという脳由来神経栄養因子が運動することで多く分泌されるからです。
BNDF
BDNFとは、神経細胞の発生、成長、維持、再生を促進させる脳由来の神経栄養因子です。
記憶中枢である脳の海馬に多く発現するほか、血液中にも存在しています。
血中BDNFの濃度を調べると、65歳以上になると加齢に伴って低下、認知症やうつでも大幅に低下します。
またBDNF濃度が高いと記憶力や学習能力などの認知機能評価スコアが高いなど脳機能との深い関わりがわかっています。
もう少し細かく説明するとBDNFというのは脳にとって栄養になるので脳の成長には欠かせないものなのです。
BDNFが分泌されることで記憶力や学習能力が向上し、生物の脳を構成する神経細胞ニューロンを新しくつくり出し、情報伝達のための接触構造であるシナプスの伝達効率を上げることができます。
そもそも大昔は狩猟採集で生き延びてきた人間はいまもそのDNAを受け継いでいます。先祖の原始人は獲物を追って50~100km移動することは当たり前で獲物となる草食動物が体力負けするまで走って追いかけたそうです。
走ることで脳が活性化し、自分にとっての危険個所なども覚えたり、獲物をしとめたり危険から身を守るための集中力も運動によって養われたということなのです。
つまりは、人間とは常に運動してこそまともな生活ができる生き物であるし、現代のように運動しなくても生活ができる状況というのは危機感を持っていいレベルだということなのです。
座りっぱなしでは寿命が1時間ごとに22分縮むと言われています。ですので適度に体を動かすことを習慣にするべきだということなのです。
詳しくは下記のリンクの記事をご覧ください。精神科医の樺沢紫苑先生がわかりやすく解説してくれていますし、本書のことも取り上げてくださっています。





もともと文化部出身のわたしですが、体を動かすことは大好きで、近くの里山を定期的に登ったりしていますし、以前はマラソンもしていました。
こんな話を聞くと、またマラソンをやりたくなってきますね。
ストレス、うつに効き不安を除く
運動がストレスを緩和
ストレス・・・現代人は、さまざまなストレスにより心身に影響を及ぼしています。ストレスとは、外側からかかる圧力によって心や身体に歪みが生じた状態を指します。
ストレスも、運動で緩和されると本書では記されています。ウォーキング、ランニング、サイクリング、ダンスなどの有酸素運動で体に酸素を取り込むことがストレスを減らしてくれるということです。
有酸素運動で酸素を体に送り込むことで、筋肉の緊張がほぐれ副交感神経が優位になって体がリラックス状態になります。そして、脳内のセロトニン分泌も増え、心の安らぎが生まれてストレスが癒されるということなのです。
セロトニン
セロトニンは、精神の安定や安心感や平常心、頭の回転を良くして直観力を上げるなど、脳を活発に働かせる脳内物質です。
そして気分転換がてら外に出て散歩をすることやリラックス効果が得られる緑の多い公園などで活動的に過ごすことでも良いとされています。
運動する目安は身体が温まり、軽く汗ばむ程度で、「ああ、スッキリした」と思えるぐらいであり、運動時間は1日20分を目安にして、1回にたくさん運動を行うよりも継続することが大事です。
腹式呼吸でリラクゼーション効果の得られるヨガや、筋肉の柔軟性が促され、血流が改善することで筋肉のコリをほぐす作用のあるストレッチなどもおすすめであるとのことです。
ただし、運動のやり過ぎはかえって疲労を残し、次の日の生活にも差し支えてしまいます。無理せず、焦らず、やり過ぎずに適度な運動を継続することを心がけましょう。
うつにも運動が効く
うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスなどを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態です。また、うつ病になると、ものの見方や考え方が否定的になります。
厚生労働省「知ることから始めよう、みんなのメンタルヘルス」より
発症の原因は正確にはよくわかっていませんが、感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じているものと考えられています。うつ病の背景には、精神的ストレスや身体的ストレスなどが指摘されることが多いですが、辛い体験や悲しい出来事のみならず、結婚や進学、就職、引越しなどといった嬉しい出来事の後にも発症することがあります。
うつ病は、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいといった身体症状が現れるそうです。
これでは、健全な日常生活は送れませんよね。
本書では、うつ病に対しても運動がかなりな効果があるとされています。
うつ病になる原因して、まず考えられるのが、先ほども説明に出てきた神経伝達物質のひとつセロトニンの分泌が少ないのではないかということです。
そこで、有酸素運動のような筋肉にあまり負担にならない運動をすることによりセロトニンの分泌を促進させることがうつ病の症状改善や予防にいいとされているのです。
運動は不安も除く
不安といっても色々ありますが、主なものは「全般性不安障害」と「社会不安障害」に分けられます。
「全般性不安障害」
全般性不安障害は、毎日の生活の中で漠然とした不安や心配を慢性的に持ち続ける病気です。
ただ心配しているだけなら良いのですが、尽きることない不安と心配のために徐々に身体症状や精神症状が現れるようになり、不安が悪循環していきます。
「社会不安障害」
社交不安障害は、社会恐怖とも呼ばれ、対人恐怖症、赤面恐怖症といわれています。
人前で恥をかいたり、恥ずかしい思いをすることを極度に恐れ、そのような社会的状況に強い不安や苦しみを感じ、避けてしまいます。
人前に出ると緊張する、わけもなく不安・恐怖するなどの症状から、その程度が大きくなると社会生活にも支障をきたすようになります。
「不安」という要素も病気の一種と分類できるんですね。
では、運動がどのように「不安」を除いていくかですが、有効なのが有酸素運動です。
有酸素運動をすることにより交感神経が優位である時間が長くなりポジティブになりやすいことがわかってきて、ストレスを解消させるためにホルモンが分泌されます。
そのホルモンが、心を安定化させる働きを持つセロトニンやエンドルフィンといわれる物質です。
エンドルフィン
エンドルフィンは、脳内で機能する神経伝達のひとつです。鎮痛効果や気分の高揚・幸福感などが得られるため、脳内麻薬とも呼ばれます。
マラソンなどで長時間走り続けると気分が高揚してくる作用「ランナーズハイ」は、エンドルフィンの分泌によるものとされています。食欲、睡眠欲、生存欲、本能などが満足すると分泌されるとのことです。
セロトニンが、精神の安定や安心感や平常心、 頭の回転を良くして直観力を上げるなど、脳を活発に働かせる脳内物質 というのは先ほど説明した通りです。
特に、ストレスに対して効能があり、自ら体内で自然に生成されるので、精神安定剤とよく似た分子構造をしています。
エンドルフィンとは、痛みの緩和、免疫力向上やリラックス効果など、気分をよくするホルモンであり、その分泌量が減ると、代わりにノルアドレナリンという興奮ホルモンの分泌量が増加し、常に不安や興奮を感じるようになるということです。
ノルアドレナリンの弊害
ノルアドレナリンとは、激しい感情や強い肉体作業などで人体がストレスを感じたときに、交感神経の情報伝達物質として放出されたり、副腎髄質からホルモンとして放出される物質です。
ノルアドレナリンが交感神経の情報伝達物質として放出されると、交感神経の活動が高まります。その結果、血圧が上昇したり心拍数が上がったりして、体を活動に適した状態にします。副腎髄質ホルモンとして放出されると、主に血圧上昇と基礎代謝率の増加をもたらします。
通常ノルアドレナリンはその人のおかれている状況にあわせてバランスを保ちながら働いていますが、その働きが不均衡になると神経症やパニック症(パニック障害)・うつ病などを引き起こすといわれています。研究が進み、この物質の作用を促進したり、阻害することでこういった精神疾患の治療に高い効果が上がることがわかってきています。
運動はストレス解消だけではなく、ストレスに強い心身をつくる意味でも効果的であり、日常的に運動を続けることで、セロトニンやエンドルフィンが安定的に供給され、ストレスや疲労回復に効果を発揮するのです。



運動することで精神的にも安定しストレス耐性ができるということですね。心の病はとても複雑で治療法がないと言われますが、まずは運動してみることですね。
運動は、薬と違って副作用がないといいますから、やって損はないと思います。
運動が脳をつくる
それでは、どのような運動が脳に良いのかを探っていきます。
有酸素運動が効果大なのは、先ほどから説明した通りですが、目安としては、
行うと良いそうです。
やる運動としては、
- ランニング
- ウォーキング
- エアロバイク(サイクリング)
- 水泳
- ダンス
などを息が切れるくらいな感じで行うのが良いとされています。
それと、トランポリンも効果ありという意見もあります。最近は手ごろに自宅で使えるトランポリンもあるようですので、わたしも買ってみようかな。
そして、60歳以上の人とかうつ病の人は、30分~1時間の有酸素運動を、週4回とは言わず、毎日やった方が良いそうです。
では、筋トレとか全力ダッシュなどの非有酸素運動(無酸素運動)ではダメなのかというと、そうではありません。
非有酸素運動でもBDNFの分泌はされるのですが、有酸素運動ほどたくさんは分泌されないとされています。ですが、筋トレや全力ダッシュなどの運動は筋力アップや体力の増加につながります。
ですので、有酸素運動も非有酸素運動もバランスよく継続していくことで脳や心身ともに健康的になっていくということです。



つまりは、原始人の生活様式をマネることが、現代人にとって一番の健康法ということですね。
原始人が獲物を追い求めウォーキングやランニングを繰り返していたのごとく、そして獲物を見つけるやいなや全力ダッシュで走ったりと。
これを現代にアレンジすると、ウォーキングから始めて体を温め、その後、息が切れるくらいランニングし、最後の数百メートルを全力ダッシュする!
これによりBDNFやセロトニン、エンドルフィンがドバドバ分泌されるのが目に浮かぶようです(笑)
『脳を鍛えるには運動しかない!』 の感想・まとめ
野生の本能に立ち返ろう!
やはり、❝人間は運動しなければいけない動物❞なのだということです。
今多くの人が抱えている悩みや不安、そしてそれがエスカレートして起こるうつやパニック障害は、まさに動かなくなった人間の行きついた姿なのだと感じます。
先日『スマホ脳』の書評記事を書きましたが、現代病ともいえる事態をまず認識しなければいけません。そのうえで、自分がとるべき最良の道を歩まないと手遅れになるということです。


つまりは、人間は本来あるべき姿に回帰すべきということですね。
そういった意味で、ぜひ本書を一読し、生活習慣の改善にお役立てください。




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