
こんにちはコウカワシンです。
今回は枡野俊明(ますの・しゅんみょう)さんの著書『心配事の9割は起こらない』から学ばせていただきます。
『心配事の9割は起こらない』はどんな本?


『心配事の9割は起こらない』は、ズバリ!「肩の荷物をおろして楽に生きなさい」を教えてくれる本です。
本書はこのような本
禅僧にして、大学教授、庭園デザイナーとしても活躍する著者・枡野俊明(ますの・しゅんみょう)さんがやさしく語りかける「人生のコツ」。
余計な不安や悩みを抱えないように、他人の価値観に振り回されないように、無駄なものをそぎ落とし、限りなくシンプルな生き方を指南してくれる、48の禅の教えを紹介した一冊です。
本書は、amazonの本読み放題サービスである「キンドルアンリミテッド」の対象本であります。
「amazonの読み放題サービス」キンドルアンリミテッドは、ビジネス書からマンガまで幅広いジャンルの本が読み放題です。ぜひこの機会にご検討ください。
本書は誰におすすめか?
本書は、このような人におすすめです。
『心配事の9割は起こらない』がおすすめな人
- 過去にとらわれすぎる人
- すぐ他人と比べてしまう人
- 将来の不安がぬぐえない人
『心配事の9割は起こらない』の要点は?


長い人生のうちには、楽しいことばかりではなくつらいことや心配事もたくさんありますよね。
それでも、その場で立ち止まることはできないし、時間はどんどん過ぎていきます。心配事や悩み事をかかえたままでは心が重たく感じ、生きるのがしんどくなるときだってあるでしょう。
そんなときにどうすればいいか?
著者は、「禅の教え」をもとに、もっとラクに、のびのびと、前向きに生きるべきだと言います。
「禅の教え」は、日々の暮らしとしっかり結びつき、客観的に見たら「なんでもないこと」に振り回されている自分を見つめ直し、「いま」「ここ」だけに集中するきっかけ与えてくれます。
本書は、そのような「禅の教え」から48もの改めるべきポイントを紹介してくれています。



その中から、わたしの独断と偏見で5つほどあげさせていただきます。
「いま」に集中する
「自分を大切にする」とは、こういうこと
過去の出来事にクヨクヨしたり、落ち込んだりしたことはないですか?
たぶん、多くの人がそのような経験をお持ちだろうと思います。わたしだって、苦い過去がかなりあり、今でも思い出してはネガティブな気持ちになります。
過去に縛られているということですよね。
その苦い過去だって、ポジティブシンキングで前向きに考えられたら良いのですが、そこまで人間が器用ではなく、ズルズルと引きずっている自分がいます。
それから、過去の栄光を引きずって、いまだに他人にひけらかしたり、いまが思うような活躍ができないことをうらやむ人だっています。
ではどうしたらいいかですが、「いま」に集中することだと著者は言います。
禅には「一息(いっそく)に生きる」という言葉があります。
文字どおり、「ひと呼吸する瞬間、瞬間を一生懸命に生きなさい」、ということです。
この言葉は、やはり仏教でいう「三世(さんぜ)に生きる」と同じ意味です。
「三世に生きる」
三世というのは、「過去」「現在」「未来」のことです。人はその三世のつながりの中で生きていますが、現在を生きているとき過去はすでに死に、その現在もたちまち過去となって未来に生まれ、それが現在となるのです。
つまり、死んだ過去のことを思い返してもしかたがないし、まだ来ない未来のことはそこに生まれてから考えるしかないということです。
したがって、わたしたちは「いま」をどう生きるかしかないということなのです。
著者がこのような川柳を紹介してくれました。
「欠け椀も、もとは吉野の、桜なり」
いまでこそ、このようなみずぼらしい欠けた椀の姿に身をやつしているが、もとをただせば吉野の山にみごとに咲き誇り、大勢の人たちに「おお、なんと美しい!」と感嘆の声を上げさせた堂々たる一本桜だったのだ。
過去の栄光、栄誉が現在を生きる「よりどころ」となっている姿を映した川柳ですが、わたしたちだって少なからず過去を引きずり「欠け椀」になってしまった自分にショックを受けたり、過去の栄光をひけらかしたことはあると思います。
過去にいつまでもこだわっていることは、そのまま、いまの生き方に対する自信のなさを表明しているということですし、これでは、自分を大切にしている生き方とはいえません。
「いまはもう、所詮、欠け椀(閑職)の身だからなあ・・・」と嘆いたら、みじめさがつのるだけです。ここで考え方を変え、欠け椀だって、人の気持ちまであたたかくしてくれる美味しいみそ汁の器になることができると思うことです。
「いま」に集中するとは、「欠け椀であってもいまを存分に生きてやる」と考え、「一息に生きる」を実践することであるということなのです。



苦しかった過去や栄光は現在の糧として切り離し、「いま」を受け止め一生懸命に生きる姿勢が大事ですね。
「色眼鏡」を外す
人間関係の悩みの9割は、これで消える
人間関係の悩みは尽きないし、それにからんだ自己啓発書もそれぞれだされていますが、「相手がどのように考えているかをはかり知ることはできないし、それを悩んだところでしかたがない」といったものが大半ですよね。
たしかにそうなのですが、自分が改善すべき点も考えなくてはいけません。
著者は、「相手を見る目に色眼鏡をかけていないか?」と言います。関係のもつれをたどると、きっかけは些細なことが多く、その時の感情は相手の一面から受け、相手に先入観を持ってしまうということです。
そのほか、初めて会う人にも、「あの人は気むずかしい人」という情報が入ってきたら、先入観から警戒した対応を取ってしまい、「言葉は少なく、神経質そうだけど、本当はいい人」という「真」の姿を見抜くことができません。
「情報」だけで、また相手の一面を見ていだいたイヤな感情や否定的な思いをもって、全人間性を決めつけてしまったら、その人を見誤ってしまいます。
禅には「一切衆生(いっさいしゅじょう)、ことごとく仏性あり」という言葉があります。
「一切衆生、ことごとく仏性あり」
生きとし生けるものはすべて生まれながらにして仏となりうる素質をもつということです。
「自分が接したのは相手のほんの一面にすぎない。今度は相手の中の❝仏性❞を見つけよう」という意識を持つことが大切ということです。
禅語が教えてくれる、誰にでも仏性(やさしい思いやり、あたたかさや包容力)がある、ということを信じ、そこを見ようという姿勢でいたら、必ず胸に響くものが見つかるはずだとされています。



そういったところから色眼鏡を外し、ふたたび相手を見ると、ふとした瞬間に仏性が見えてくるということですね。
朝を大事にする
心に余裕をつくる一番の方法
日々を心身ともに健全に送るには、生活のリズムを整えることが大切です。
起きる時間も寝る時間も、その日その日でバラバラというのでは、いい体調は保てませんし、心だって疲れてくるのではないでしょうか。
そこで、自分の中に、生活のリズムを保つための「ルール」をつくることが必要で、注目すべきは「朝を大事にする」という意識だと著者は言います。
「朝を大事にする」というルールで、もっともキモになるのは「毎日、一定の早い時間に起きる」ことだと声を大にして提案したいとも言われています。
なぜなら、早く起きれば朝の時間帯に余裕が生まれるからです。
一日のスタートである朝において、ギリギリまで寝て、あわてて起きて、あわてて準備し、あわてて出かけていくといったことを経験した人は少なくないのではないでしょうか。
たぶん、その日の流れは、思うようにいかないことの連続ではないでしょうか。
最初から時間に追われ、気が急いてますので、心には余裕はないわ、忘れ物はするわ、仕事でミスするわ、といったことの可能性も大きいはずです。
こんなときはこの禅語をしっかり噛み締めろと著者は言います。
「汝(なんじ)は、一ニ時に使われ、老僧は一ニ時を使い得たり」
「汝(なんじ)は、一ニ時に使われ、老僧は一ニ時を使い得たり」
中国・唐時代の趙州従諗(じょうしゅうじゅうしん)と言う禅師の言葉で、「時間に追われるような生き方をしてはいけない、時間を管理する事が大切だ」と言う意味です。
ここで大事なのは、「時間に対し主体的になる」ということです。時間に使われるのではなく、自分が時間をコントロールできるようにしないと、余裕ある一日を過ごすことはできません。
これはなにも、毎日仕事で忙しい現役世代だけでなく、定年を迎えた退職者においても実践してほしいことだと著者は言います。
なぜなら、それまで仕事に打ち込んでいたらいただけ、心がしぼみ、気力がなえるといったことになりやすい、つまり、定年を迎えて一気に老け込んでしまうからです。
仕事に定年はあっても、人生に定年はなく、現役時代と同じように朝を大事にする意識をもって、一日を始めると、気力も体力もあふれた毎日が送れるようになります。
朝を大事にするという、たった一つのルールが、「ああ、今日も一日なすこともなし」という心の閉そく感を吹き飛ばし、「いま」「ここ」を全力で生きている実感でいっぱいの豊かな時間をもたらすということです。



わたしも朝早く起きると生産性の高い一日が送れるので実践していますが、これからも続けていきたいと心に決めました。
「勝負」にこだわらない
勝っても負けても同じ、ということ
「同期のアイツには絶対負けたくない!」
「今月は課内でトップの成績をあげた。どうだ!」
このように考え、日々仕事に打ち込んでいる人は多いのではないでしょうか。
仕事には常に成果が求められ、とくにいまは「成果主義」が幅をきかせています。ビジネスマンなら誰でも成果に対し敏感にならざるをえないということですね。
そしてよくやるのが、誰かと「引き比べて」成果を考えることです。
自分自身を競争原理の中に投げ込んでいるとも言えます。もちろん、競争は自分を高めるモチベーションになります。ですが、すべての価値観が「勝ち」「負け」だけになり、それが心の動揺や、一喜一憂にいつも振り回されることになります。
「勝ち」「負け」が、モチベーションを高めるのに作用すればいいのですが、過剰に意識することにより、ストレスになったのでは、健やかな心を保つことはできません。
そこで、紹介されたのがこの禅語。
「八風(はっぷう)吹けども動ぜず」
「八風吹けども動ぜず」
「八風」つまり、八つの風とは、人の心を揺さぶりやすい次の8つの事柄のことです。
- 利益
- 衰退
- 陰口
- 名誉
- 賞賛
- 悪口
- 苦
- 楽
たとえば、利益になる話を聞けば興奮し、衰退する舟には乗りたくないと思い、褒められたら嬉しくて舞い上がり、悪口を言われたら不安や怒りの気持ちが湧いてくる。
そのように、生きているうちにはさまざまな風が吹き、よい風もあれば、悪い風が吹きすさぶこともあります。
しかし、、いちいちその風に心動かされることなく、どんな風も楽しんでしまおうというのが、この言葉の意味です。
つまり、そのときどきに、それぞれの風が吹いているだけのことです。ですから、どの風も自然に受け止めたらいいと著者は言います。
自然に受け止める・・・「真摯にその状況と向き合う」ということですが、そのためには、目を外側の「誰か」に向けるのではなく、内側の「自分の心」に向けることが大切です。
ものごとに全力投球しやりとげたことに満足感を得れたのならそれでいいと著者は言います。つまりそれは、それぞれの仕事にたいする「納得感」であり、その「納得感」がなにより大事なのだということです。



誰かと競うということをモチベーションにし、ものごとの出来に対して自分の心の中で「納得感」を感じることでおり合いをつければ、「勝ち」「負け」などに惑わされることがないのでしょうね。
「また会いたい」と思わせる
禅に学ぶ、人間的魅力の育て方
またまた人間関係の話になりますが、人とつきあうのは苦手だ、どうも人間関係がうまくいかない、と感じている人は決して少なくないでしょう。
実はわたしもその一人です。
どうしても人間は自己中に考え、価値観や意見の違う人間を遠ざけたくなる習性がありますので、そのように思うのも無理はないと思います。
しかし、仕事も社会的なかかわりも、人とのつきあいなしには成立しませんし、人づきあいが苦手であれば、精神的なストレスを生み出すことにもなります。
「そうはいっても、苦手なものはどうしようもないのでは?」という意見もあると思いますが、著者は、そこから脱却することは難しくないと言います。
それは、人づきあいに大事な原則である「恕(じょ)」を、意識することです。
「恕」
恕(じょ)の意味は、「許すこと」「思いやること」です。
この「恕」は、論語に出てくる言葉で、孔子の弟子の顔淵(がんえん)が師である孔子に「一生守るべきもっとも大切なことはなにか?」と尋ね、孔子が「それは、『恕』である」と答えます。
さらに孔子はこう続けました。
「おのれの欲せざるところ、人に施すことなかれ」
「おのれの欲せざるところ、人に施すことなかれ」
「自分が人からされたら、いやだなと、思うことは、人にはしてはいけません。
いつも、相手を思う、いたわりの心をもてたらいいですね」ということです。
これが、人づきあいに大事な「恕」の精神ということなのでしょうね。
自分がされていやなことは、人に対してしない、それを実践するだけで、人づきあいは確実に変わっていきます。
たとえば、人にされていやなこととして、
- 「約束の時間に相手が遅れてきたのに腹が立った」
- 「あの人のあの横柄な態度は感じが悪かった」
- 「すぐに声を荒げるから、こちらの言いたいことが何も言えない」
こんなことは本当に不愉快に感じますが、それを人に対してしないと決めたら、いい変化がたくさん起こると言います。
- いつも約束を厳守していれば、相手は信頼感を持ってくれます。
- 丁寧な物腰で接するように努めると、相手は自分が大切にされていると感じます。
- 穏やかに話すことにより、相手には親近感を感じてもらえます。
信頼感、満足感や幸福感、親近感は、人づきあいに良い影響を与えてくれます。それによって苦手意識も薄まっていくのではないでしょうか。
そして著者は、更にもう一歩進んで、「人からされてうれしかったこと、ありがたかったこと、幸せに感じたこと」を、相手に積極的にすることをすすめています。
つまり、自分がされて感激したことを、そっくりそのまま自分の行動の流儀にしてしまうのです。これが、実践できたなら間違いなく人間的にあふれる自分がいるはずです。
そうなれば、だれからも「おつきあいをしたい」と思われるのではないでしょうか。



道元禅師の「同時」という言葉も紹介されていました。
「相手の立場に立って、喜びも、悲しみも、自分のものとする」という意味ですが、わたしもこのような人間になりたいと思います。
『心配事の9割は起こらない』の感想・まとめ


「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」「喫茶喫飯(きっさきっぱん)」
「脚下照顧 」(きゃっかしょうこ)
身近なことに十分気をつけるべきだということ。また、自分のことをよく反省すべきだということ。他人にとやかく言う前に、まず自分自身を見つめ直せという戒めのことば。
「喫茶喫飯 」(きっさきっぱん)
お茶を飲んでいるときには、目の前のお茶を飲むことに集中し、ご飯を食べるときには、目の前のご飯を食べることに集中しましょうという意味。
「禅の教え」というものは、この二つの言葉のように、日常生活に深く関わっています。
これを丁寧に整えることで、自分の心から「余計な悩みをかかえない」、「他人の価値観に振り回されない」、「無駄なものをそぎ落とす」といったことが自然にできるようになるということです。
「ネガティブよりはポジティブ」、「他人は他人、自分は自分」、「大切なことに集中する」といった前向きに生きることによるメリットは、これからの人生にとてつもない力になります。
重ねて言いますが、これはぜひ老若男女すべての人に読んでほしいものです。
『心配事の9割は起こらない』の概要


本書の目次
『心配事の9割は起こらない』
はじめに
1章 さっさと減らそう、手放そう、忘れよう
2章 「いま」できることだけに集中する
3章 「競争」から一歩離れると、うまくいく
4章 人間関係が驚くほどラクになるヒント
5章 「悩み方」を変えると、人生は好転する
著者の紹介
枡野俊明(ますの・しゅんみょう)
1953年、神奈川県生まれ。
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学環境デザイン学科教授。玉川大学農学部卒業後、大本山總持寺で修行。
禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行ない、国内外から高い評価を得る。
芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。
また、2006年「ニューズウィーク」誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
著書に『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力』 (知的生きかた文庫)、『禅が教えてくれる美しい人をつくる「所作」の基本』 (幻冬舎文庫)、『傷つきやすい人のための図太くなれる禅思考』、『無心のすすめ 無駄なものを削ぎ落とす』 (中公新書ラクレ)、『禅、シンプル生活のすすめ』 (知的生きかた文庫)、『小さな悟り―人生には「小さな答え」があればいい』 (知的生きかた文庫) 、『禅と食 「生きる」を整える』、『怒らない 禅の作法 怒らない禅の作法』 (河出文庫)、『片づける 禅の作法 怒らない禅の作法 』(河出文庫)、『心がスッと軽くなる禅の暮らし方』、『比べず、とらわれず、生きる』 (PHP文庫)、『こども仏教 強くてやさしいこころを育てる』など多数。


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