
こんにちはコウカワシンです。
今回は、斎藤孝(さいとう・たかし)さんの『質問力』から学ばせていただきます。
『質問力』はどんな本?


『質問力』は、ズバリ!「面接で、交渉で、会議で、今日から「できる人」になる」本です。
本書このような本
『質問力』の内容は、「コミュニケーション力」がこれからの社会で必要なスキルであり、初めて出会う人と、どれだけ短い時間で濃密な対話ができるかで社会で生き抜く力の差が生まれると斎藤さんは言います。
話し上手な人は、自身の話し方のうまさもありますが、質問がうまくて相手からおもしろい話が引き出せるという面も持っています。
逆に質問がうまければ、自分に実力がなくても優れた人たちから情報が引き出せるということです。
話の内容をおもしろくするのは難しいけど、質問は鍛えれば鍛えるほど誰でもうまくなります。
本書は、質問力を磨く技術が満載です。
そのうえ、 谷川俊太郎、河合隼雄、村上龍、黒柳徹子、ダニエル・キイスなどの対話名人らの事例も引用され大いに参考になる内容となっています。
本書は誰におすすめか?
本書はこのような人におすすめです。
『質問力』がおすすめな人
- 会話力をアップしたい人
- コミュニケーション力をアップしたい人
- ビジネスマン
『質問力』の要点は?


初対面の人とでも会話のハズむ人っていますよね。
相手の話したくなるようなことがらを引き出してふくらませられる人のことをいいますが、初対面の人とでも短い時間に濃密な対話ができるのはコミュニケーション能力の高さを意味します。
このコミュニケーション能力は、「段取り力」とともにこれからの社会で間違いなく必要とされる能力なのですが、これらの力を磨く教育を学校では教えてくれません。
コミュニケーション能力は、どのようにしたら磨かれるのでしょうか?
斎藤さんは、「質問力」こそコミュニケーション能力を磨く近道だとされています。質問するという積極的な行為によってコミュニケーションを自ら深めていくという提言を本書では説かれています。



その中から、わたしの独断と偏見で要点を選ばせていただきました。
質問力はその人の能力の表れ
日常会話は誰でもひんぱんにすると思いますが、実はその日常会話において相手のコミュニケーション能力を、もっとはっきり言えば相手の「質問力」をはかっているといいます。
誰でも、一度会話をし、あまりにつまらない質問ばかりをする人とは会いたくないと感じますよね。たとえその人が他にすぐれた実力を持っていても相手にされないのではしかたありません。つまり質問力がないばかりに損してるのです。
ということで、「コミュニケーション能力(質問力)」はその他の自分の力を発揮する舞台を用意するために、まず必要とされる力であるということなのです。
「雄弁は銀、沈黙は金」とは、イギリスの思想家カーライルの名言です。「沈黙することは多くを語る以上に価値がある」という意味で、取られている言葉ですが、これは類似語として「能ある鷹は爪を隠す」と表すこともできます。
ですが、たとえば建築家がプレゼン能力もディスカッション能力もなしに、家を立てさせてもらえるでしょうか? 「建てればわかる」では、納得するお人よしはいないでしょうね。
ですので、相手にお金を出させて、仕事を請け負うためには、対話で相手を納得させなければいけないということです。
たとえを建築家にしましたが、建物のように建つまでは現物を見出られないようなものであればあるほど「コミュニケーション能力(質問力)」の高さが生命線になるということなのです。
対話をし、相手を納得させる・・・相手の要望を聞き取る質問力は、建築家だけでなく、営業マンなども必須であり、その能力の高さが優秀であるかどうかの評価の分かれ目であると言えるのです。
いい質問とは?
「具体的かつ本質的」な質問を意識する
いい質問とは、相手が答えやすい質問です。
たとえば、「今、あなたはどこにいますか?」だと、誰でも答えやすいのではないでしょうか。それが、「生きるとはどういうことですか?」のような哲学の入った感じの何通りも答えがあるものって、答えづらかったりしますよね。
斎藤さんは、座標軸を使って座標軸思考法という考え方でいろいろなことを整理されているそうです。


横の線が「非本質的⇔本質的」、縦の線が「具体的⇔抽象的」と区分し、分類してやるのです。
たぶん、どの人でも「具体的で本質的」な質問が答えやすくて好感が持てるはずです。もちろん「具体的で非本質的」、「抽象的で本質的」な質問を好む人もいますが、基本となるのは「具体的で本質的」な質問をすることだということです。
この座標軸を身につけるのは非常に重要で、いつも自分の質問を座標軸に当てはめてみてチェックする習慣をつけると、質問力のレベルがかなりアップします。
頭を整理させてくれる質問
先ほどは、 「非本質的⇔本質的」 と 「具体的⇔抽象的」 の座標軸でした。もうひとつ大事な座標軸があるとのことです。
それは、縦軸が「自分が聞きたい⇔自分が聞きたくない」、横軸が「相手が話したい⇔相手が話したくない」という座標軸です。


子供ゾーンとは、子供が自分が疑問に思うことをやたらと質問してくる場合に、大人はうんざりして答えたくなる状況です。たとえば「テレビは誰が発明したの?」と聞かれても自分は知らないし興味もわかない・・・けど子供はしつこく聞いてくる。
このような質問は、子供に限ったことではなく相手の事情とか文脈を理解せず自己中心的な質問であり、したがって会話が弾むこともなく嫌な気分だけが残るという悪循環を招きます。
質問とは相手の状況、相手の興味、関心を推しはかり、自分の興味とすり合わせてするものであるというのが、この座標軸というわけです。
自分の一方的な興味だけで聞く質問は、相手にとって苦痛以外何ものでもないということを念頭に置くべきです。そうすることで大人の質問力というものが身についていきます。
「質問力」を鍛えるトレーニングメニュー
斎藤さんが提唱する「質問力」を鍛えるトレーニングメニューです。
「質問力」を鍛えるトレーニングメニュー
- 三色ボールペンで質問を色分けする
- 「質問力」ゲームでセンスを磨く
- 鍛えるチャンスは日常会話にあり
三色ボールペンで質問を色分けする
斎藤さんは、講演に参加した際、内容をノートにとるついでに質問もメモするそうです。その習慣は欧米での講演の終了後は質問タイムがあり、すぐに質問をするために質問したいこともメモるからです。
斎藤さんは、質問を三色ボールペンで色分けし、相手の話をまず青で引き、大事なところは赤にする。つまり、相手が話した客観的な事項は青と赤で色分けします。
自分が主観的に思ったところは緑にし、質問は主観なので、緑で「?」マークをつけて、質問の文章を書いて、( )でくくるか、丸でぐるぐる囲っておくのだそうです。
たしかに質問したいことが、たくさんできる場合もありますが、そのたくさんの中から一つだけ聞くようにすれば、それほど質の悪い質問にはならないとされ、たえず、「考えて質問する」ということを頭の隅に置いています。
なぜかというと、「日本では考えて質問する」ということが意外に習慣化されてなくて、答を要求されるときは考えて答えるのに、質問の時は深く考えず、なんとなく聞いている場面を何回も見ているからです。
「考えて質問する」という行為は、常日頃から習慣にしていないと身に付きません。そのためにも三色ボールペンを使い、自分が主観になり聞きたいことを視覚化するトレーニングはやるべきだと思います。
「質問力」ゲームでセンスを磨く
斎藤さんは、大学で学生たちに「質問力」ゲームというものをやって質問力を鍛えているそうです。
「質問力」ゲーム
40人の学生がいたら、5人×8チームに分け、1つのチームが前に出て順番に自分の好きな本や趣味について短いプレゼンを行います。
各グループは5人に1番から5番まで番号をつけておき、1番の人がプレゼンをした時は、各グループの1番の人が全員立ち上がって質問をします。
2番の人がプレゼンをする時は、グループの2番の人が質問する。つまり毎回7人が質問することになるということです。
早く手をあげた人から質問し、座ることができます。ただし、同じ種類の質問をしてはいけないので、グズグズするときくことができなくなってしまいます。
プレゼンターがいちばんいい質問を選び、その質問だけ答えます。
その答えをもらったチーム得点を得ることができます。
プレゼン終了後、得点の多いチームが勝ちということになります。
斎藤さんは、学生たちの質問を板書するだけで、プレゼンター、つまり質問を受ける学生がいい質問を選ぶところがポイントです。
このゲームをすることで、「優れた質問」というものがわかってきます。それこそ「こんなこと聞いてどうする」という質問は除外され、「こういう角度の質問もあるんだ」という驚きの質問もあったりします。
そして、自分が質問を選ぶ立場だったら、こういう質問を選ぶのに、今話した人は違うものを選んだと・・・考える能力も同時に鍛えられます。
たしかに選ばれる質問というのは一定レベルを超えると話し手の好みにもよりますが、「質問力」のセンスを磨くという点において十分に鍛えられるものであると思います。
鍛えるチャンスは日常会話にあり
「質問力」を鍛えることは「コミュニケーション力」の強化にもつながります。
コミュニケーションの基本は一対一です。つまり2人の対話から習熟させることにより、3人でも5人でも対応できるようになっていきます。ですのでまずは、2人の対話を深めることが先決です。
イメージで見ると、2人の対話は、サッカーの2人でやるパス練習です。2人なら相手を見て、確実にパスができます。正確なパスが出せるようになれば、複数で行う試合でも十分に対応できるようになるといった感じです。
対話力の強化においても質問力というポイントに重点を置くとコミュニケーション力が数段上がります。つまり、質問さえできれば、コミュニケーションはほとんど大丈夫ということです。
老若男女問わず瞬間的に対話を深めることができれば理想です。それが語学は別にして外国人とでもいろんな思想の人とでもきちんとコミュニーケーションを取れれば、アウェイでも強くなれるということになります。
日本人はホームでは強いがアウェイに弱いとよく言われます。アウェイとは相手がよくわからないという状況ですね。そのような場合でも質問さえできればコミュニケーションはできます。
質問しだいで相手の言葉を引き出すことができる・・・つまり相手との距離が近づくということです。関係性が深まることは間違いないでしょう。
そうした鍛錬に日常会話は大いに役立ってくれるということです。
『質問力』の感想・まとめ


「質問力」は、人間的魅力の一つ
「話し上手は聞き上手」と言いますよね。相手の関心事を引き出し、話をふくらませる・・・このような対話は意識的に質問力を駆使しないと成り立ちません。
そしてなんと恋愛にも役に立つ技術なんです。
「相手の意見を聞き出す能力」、たとえば、男性が女性に「自分はこう思うけども、貴女はどうですか?」と、きちんと自分に質問を投げかけてくれる・・・これが、女性にとって男性がステキに見えるということらしいです。
ふつうの会話術のようですが、最近の日本人男性にこのような「自然な言葉のキャッチボール」ができる人が少ないらしいです。
つまり、質問力は「もっとこの人と話がしたい」と思わせる人間的魅力の一つであるといっても過言ではないということなのです。
質問とは、「知らないことを教えてもらう」という側面のほかに多くの場合は「他人と自分の考えがどこでどのようにずれているのかを確認する作業」であるということを認識することです。
そしてそれは、コミュニケーション能力アップのためにはかかせないスキルであるのです。そういった意味で、日本人全員読んどいたほうがいいかなと思った良書であります。
『質問力』の概要


本書の目次
『質問力』
プロローグ
第1章 「質問力」を技化する
第2章 いい質問とは何か?~座標軸を使って
第3章 コミュニケーションの秘訣~①沿う技
第4章 コミュニケーションの秘訣~②ずらす技
第5章 クリエイティブな「質問力」
エピローグ
解説「質問力」は、人間的魅力の一つ 斎藤兆史
著者の紹介
斎藤孝(さいとう・たかし)
1960年 静岡県生まれ。
東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科学校教育学専攻博士課程を経て、明治大学文学部教授。
専攻は身体論、コミュニケーション論。
著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社、毎日出版文化賞受賞)、『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス、新潮学芸賞受賞)、『「できる人」はどこがちがうのか』(ちくま書房)、『段取り力』(ちくま文庫)、『仕事力』(筑摩書房)、『コミュニケーション力』(岩波新書)、『斉藤孝の「ガツンと一発」シリーズ』(全13巻、PHP研究所)、『会議革命』(PHP文庫)、『ストレス知らずの対話術』『使える!『徒然草』』『1分で大切なことを伝える技術』(以上、PHP新書)など多数。
小学生向けセミナー「斎藤メソッド」主宰。


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