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『貧乏はお金持ち』から学び「マイクロ法人」を立ち上げ節税スキルを磨こう

コウカワシン

こんにちはコウカワシンです。

今回は、橘玲(たちばな・あきら)さんの『貧乏はお金持ち』から学ばせていただきます。

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目次

『貧乏はお金持ち』はどんな本?

本書の目次

『貧乏はお金持ち』

まえがき グローバル資本主義を生き延びるための思想と技術

1. 楽園を追われて/フリーエージェントとマイクロ法人の未来
2. もうひとつの人格/マイクロ法人という奇妙な生き物
3. スター・ウォーズ物語/自由に生きるための会計
4. 磯野家の節税/マイクロ法人と税金
5. 生き残るためのキャッシュフロー管理/マイクロ法人のファイナンス

あとがき 「自由」は、望んでもいないあなたのところにやってくる

著者の紹介

橘玲(たちばな・あきら)

1959年生まれ

早稲田大学第一文学部卒業。

元・宝島社の編集者、雑誌『宝島30』2代目編集長。
日本経済新聞で連載を持っていた。
海外投資を楽しむ会創設メンバーの1人。


2006年『永遠の旅行者』が第19回山本周五郎賞候補になる。
国際金融小説『マネーロンダリング』『タックスヘイヴン』などのほか、 『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『幸福の「資本」論』など金融・人生設計に関する著作も多数。

言ってはいけない 残酷すぎる真実』で、2017年新書大賞受賞。近著に『もっと言ってはいけない』『働き方2.0vs4.0』『人生は攻略できる』など。

本書の内容

『貧乏はお金持ち』 の内容は?

2009年初版。

『貧乏はお金持ち』という題名から変な誤解を受けそうですが、日本のサラリーマンは税金を取られ放題に搾取されています。

それは、会社での雇用形態がそうさせています。本書では「「雇われない生き方」で格差社会を逆転する」とし、その方法が会社内独立であるとしています。別名「マイクロ法人」というこの形式は、かなりな費用を経費とし、利益を限りなくゼロにすることで税金ゼロを目指すという社会的弱者が合法的に国家から搾取する方法を伝授してくれます。

つまり、「儲けは出ていない、しかも赤字なのに、ゆとりのある生活をしているね」というのが本書の題名にもある狙いなのであります。

『貧乏はお金持ち』 は誰におすすめか?

本書はこのような人におすすめです。

『貧乏はお金持ち』がおすすめな人

  • サラリーマン
  • 独立起業を考えている人
  • 学生および新社会人
コウカワシン

リベ大の両学長も橘さん同様、「国民みんながマイクロ法人になったらえんや!」といわれています。

たしかにメリットもありますが法人にまつわる会計やファイナンスの知識はなくてはいけません。

そんな知識を知るのも本書を読む意味があると思います。

ということで、両学長がブログの中で「マイクロ法人」のことを語っています。お時間がある方はぜひ見てください。

『貧乏はお金持ち』 の要点は?

橘さんと言ったら「マイクロ法人」というくらい会社内独立を提唱し、❝社畜を卒業しよう❞といった書籍をたくさん出されています。

先日、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』の記事を書きました。

本書でも、マイクロ法人になることがお金持ちになる近道だとされていて、表紙にも書いてある通り「税金ゼロで利益を最大化!合法的に国家から搾取する方法」を伝授してくれます。

コウカワシン

それでは、要点を独断と偏見であげてみたいと思います。

サザエさんゆかりの「磯野家」のマイクロ法人化の話がわたし個人的には好きです(笑)

マイクロ法人

本書の狙いとして、「個人とマイクロ法人を使い、会計とファイナンスの力で税金を減らそう」ということが込められています。

つまり、利益の部分を大幅に削り、帳面上では、儲かってない・・・貧乏に見える・・・だから払う税金が減るということを合法的にできる方法ということなのです。

マイクロ法人の必要性

まず、サラリーマンと法人では、経費の算入の違いや年金・社会保険料の支払いなどが変わってきます。

  • サラリーマンの場合は、会社ですべてを計算するので確実に決まった分を税金として徴収されます。
  • 法人の場合は赤字を出したり利益を調整したりすることで税金を最小限に抑えることができます。

サラリーマンは、国から見たら確実に確保できる財源であり、それでいて自分が納めている税金についてあまりよくわかっていないということで搾取しやすい存在であるのです。

一方、法人は経費費用を計上することで利益の圧縮が可能で、戦略上赤字にだってできます。赤字ともなると税金を逃れることができるということになり、サラリーマンよりも恵まれているのです。

なぜこのようなことが法人ではできるのかは・・・「ルールをつくる側」にいるからです。政治家にとって法人は貴重な票田であり、法人(権力者)にとって不利になるようなことは政治家は絶対やりません。

だったら、サラリーマンもちゃっかり「ルールをつくる側」にまわり、恩恵を受けた方が得ですよね。

マイクロ法人で節税

まず、どのようにするのかというと、「法人」と「家計」の連結決算をするということです。

図に表すとこうなります。

Image from Gyazo

「両方の課税所得を0にする」

このようにすることで、払う税金をなるべく少なくして蓄財するということです。

よくいろんなところで「領収書ください」という声を耳にしませんか?

事業者とかお金持ちはとにかく「経費」を大事にします。

Image from Gyazo

収入の中から経費(費用)を引き、残った利益に対して課税されるので、お金持ちはできるだけ経費を計上し、利益を削るのです。

Image from Gyazo

この経費って、どういうものが適用されるかですが、本来使っているもの(家賃・水道光熱費・新聞や書籍の購入・電話や携帯電話などの通信費・インターネットの接続料など)は、仕事にも関係してくるので経費として計上しやすいですね。

そして、マイクロ法人から給料をもらう、法人は人件費として計上、そして家賃や諸々の経費の支払いで課税所得を0にする、家計側は、給与所得控除・扶養控除・社会保険料などを差し引き課税所得が0になるようにすると税金0ということになります。

Image from Gyazo

これって、日本の法制度の穴を突くということですね。

そこで、橘さんが口を酸っぱくして何回も言っている「国に依存せず、国を道具とせよ」という意味がわかってくるというものです。

コウカワシン

「マイクロ法人」については、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』にも詳しく書いていますので、ぜひそちらも読んでみてくださいね。

それでは、これをサザエさん家に当てはめて見てみましょう。

サザエさん家の節税

マスオさん、人生最大の決断とは?

その日、マスオさんはふだんより早く帰宅すると、けげんな顔をする妻のサザエさんや、義理の両親である波平とフネ、浪人中の甥のカツオ、高校1年生の姪のワカメを前にして宣言した。

「ぼくは今日、『サラリーマン法人フグタ』を設立しました」

原作の設定から8年後、平凡なサラリーマンだったマスオさんは人生最大の転機を迎えることになる。それによって磯野家の家計がどのように変わるのかを観察するのが、ここでの趣向である。

サラリーマン法人化とは、会社との雇用契約を業務委託契約に変え、同時にマイクロ法人を設立して、これまでと同じ仕事をつづけながら委託費(給料)を法人で受け取ることをいう。

サラリーマンからサラリーマン法人に移行するメリットには、大きく次の3つがある。

①隠れていた人件費を顕在化することで収入が増える。
②厚生年金・組合健保(協会けんぽ)から脱退し、国民年金・国民健康保険に移ることができる。
③法人を利用した節税やファイナンスで家計を効率化できる。

マイクロ法人を立ち上げたマスオさん。勤めていた会社と業務委託契約を結び、今までと変わらぬ仕事をこなすということです。これにより、何が変わってくるのかを見ていきます。

サラリーマンとしての場合

まず前提条件として、マスオさんの現在の年収を1000万円とします。

扶養家族は妻のサザエさん、長男タラちゃん、そして定年を迎えた波平さん一家も扶養しているとします。サラリーマンの手取り所得は収入から定められた諸経費を控除した残額です。

年収を1000万円とするとおよそ控除額は220万円になります。そして厚生年金の保険料を算定すると年金110万円、健康保険90万円、合わせて200万円です。労使折半ですので、100万円とします。

配偶者控除や扶養控除などは、概算で400万円あるとします。これらを合計すると、給与から控除される総額は720万円、課税所得は280万円となります。

これに対し、所得税約18万円、住民税28万円が課せられることになるのです。税金が約45万円と社会保険料100万円ということで実質税負担は145万円。

1000万円ー145万円=855万円 手取り収入855万円

手取り収入が855万円ということになりましたが、生活経費を600万円とすれば、

855万円ー600万円=255万円 

磯野家の家計には255万円が残るというのが、少々荒っぽいけど、簡単に算出した結果です。もちろんこれには住居費は含んでいません。もし、家を建て替え住宅ローンを抱えていたり、年1回ほどの家族旅行をするとなると・・・かなりカツカツになりますね。

サラリーマン法人化した場合

こちらも前提条件としての売上(収入)1000万円と設定します。

マイクロ法人フグタの収支構造

雇用者という立場からサラリーマン法人になれば、社会保険料などの隠れた人件費が不要になるため、それを顕在化させて収入(委託費)に加えることができます。

隠れていた人件費を20%ととすると会社の負担を変えずに、マスオさんの収入はサラリーマン法人化で1000万円から1200万円にアップします。(年収と委託費が同額なら会社としてはその分人件費を節約でき、マスオさんにとっては実質減収になってしまうから)

そして、法人側で、生活費の一部を損金として収入から差し引くことができ、たとえば、自宅をマイクロ法人として登記したなら、家賃、水道光熱費などの半分は損金にできます。

新聞や書籍の購読料、電話・携帯電話の通信料、インターネットの接続料なども経費になります。余談ですが、場合によっては法人の経費で車を買ったり、家族と海外旅行に行くことも可能です。

経費などの損金を300万円と計上します。家計の総支出が900万円(生活経費600万円+損金300万円)そしてその3分の1が、法人の経費に置き換わると、

1200万円ー300万円=900万円

これに加えて、マイクロ法人からマスオさんに役員報酬を支払う、税法上、役員報酬は給与所得と見なされるので、所得に応じて猶予所得控除が認められます。

そしてマスオさんは、妻のサザエさんや甥のカツオくん、姪のワカメちゃんなどを役員や従業員、アルバイトとして雇用し、課税が発生しない範囲で給与を支払うことができます。

マスオさんに700万円、サザエさんに300万円、カツオくん、ワカメちゃんに合わせて100万円、総額1100万円の人件費を払い、経費300万円を加えた1400万円とすれば、マイクロ法人フグタの売り上げは1200万円だから、200万円の赤字となりますね。

(出典:『貧乏はお金持ち』よりマイクロ法人フグタの損益計算書)

次にマイクロ法人フグタの役員・従業員である磯野家がわの収支を見てみます。

磯野家の収支構造

マスオさんは、700万円の年収に対して194万円のの給与所得控除と扶養控除など300万円の所得控除が受けられるから、課税所得は200万円になります。

一方、サザエさんは、300万円の収入に対し、給与所得控除(108万円)など、約150万円の所得控除があり、課税所得は150万円。

カツオくん、ワカメちゃんの人件費は、課税最低額を下回っているから非課税です。

そして、マスオさん・サザエさんが小規模企業共済と国民年金基金に加入すると合計で年間300万円が所得から控除されます。これにより、税務上の2人の所得はゼロになるのです。

(出典:『貧乏はお金持ち』より磯野家の税務会計の損益計算書)

マイクロ法人フグタと磯野家を連結させる

それでは、マイクロ法人フグタと磯野家を連結させてみます。

(出典:『貧乏はお金持ち』よりマイクロ法人フグタと磯野家の連結決算)

このケースでは、磯野家側では課税所得は発生せず、所得税と住民税はかからないということです。国民年金保険料は、夫婦で年額33万8400円。国民健康保険料が約20万円、したがって社会保険料は約54万円ということですね。

そしてマイクロ法人側で法人住民税7万円がかかるので、連結決算での税・社会保険料コストが約60万円、つまり売上(収入)1200万円に対する実質税コストは5%となります。

これは、サラリーマン時代の手取り855万円に対する税コスト15%よりも格段に抑えることができたということであり、まったく同じ仕事をしていても手取りが300万円ちかく増えているということです。

この収入増は、実質税コストの圧縮と隠れた人件費の顕在化からもたらされたものです。

たしかに思ったほど家計は楽ではないという見方はあります。でも、前と違ったのは、年間330万円を非課税で貯蓄(小規模企業共済・国民年金基金)し、将来の退職金や年金として受け取れるのです。

最後に補足として、マイクロ法人で発生した赤字の200万円の件ですが、これは人件費から発生したもので、損失を役員(マスオさん)が法人に貸し付けるということで連結決算では相殺されます。

コウカワシン

なにはともあれ、マスオさんの一世一代の決断は、ある程度の成功をおさめたということですね。

25年後の磯野家

「いその」の表札がかかる古い日本家屋に真っ赤なランボルギーニ。法事に呼ばれた和尚が引き戸を開けると、34歳になったワカメが「二人ともすごいひさしぶりじゃない」と笑顔でお茶を運んでくる。「オトナグリコ」のテレビCMでは、25年後の磯野家が描かれている。

イクラちゃんはIT企業のCEOになり、タラちゃんはたこ焼きの屋台を引いている。カツオがなにをしているかはわからないが、野球バットを担いで法事に現れるのだから定職に就いているようにな見えない。四半世紀を経て、磯野家にはサラリーマンはいなくなってしまった(ついでに言えば、30代になったカツオもワカメも独身のまま実家に暮らしている)。

磯野家の節税では、一念発起したマスオさんがサラリーマン法人として独立した姿をシュミレーションしましたが、会社勤めを続けていればマスオさんも60歳が近くなり、リタイアが間近に迫っています。波平さんも80歳をむかえているころですね。

このころの磯野家では、フリーターや二ートが高齢者とひとつ屋根の下に暮らすという状態で、 団塊世代の退職にパラサイトシングル という今の日本の状況を物語っていますね。

実際、マスオさんのサラリーマン法人化は、どの方も興味をひく内容だと思いますが、雇用の安定としては、まだまだ不安が残り、サラリーマンが独立するのを躊躇させる要因になりますね。

社畜を続けるか、サラリーマン独立をしてひとり社長として会社と契約するかは、契約条件次第だと思いますが、それでも会社に所属することを選ぶ人が多いでしょう。

なぜなら、人は群れの中でしか生きられない動物だからで、「どこにも所属していない」というのは根っこにある不安となります。心理学者エーリッヒ・フロムは、これを「自由からの逃走」と呼びました。

たしかに近代社会は「自由」に至高の価値を見出すことに成立しましたが、心理的に実は自由を憎み、社畜礼賛の風潮の社会を見れば、「自由でなくてもいい」ということになるのでしょうね。

コウカワシン

会社のあり方が今後、いろいろと変わってくると思います。もしかしたら、会社側からマイクロ法人のへの打診があるかもしれません。

その時の備えて、知っておいてもいいかもですね。

『貧乏はお金持ち』 の感想・まとめ

自由に生きることは素晴らしい

この本のコンセプトです。本書で書かれていることは、「国家に依存するな。国家を道具として使え。」ということです。

というのも、日本という国は、サービスの提供は申請主義を原則としていて、たとえ、失業したり今たちまち生活に困っていても、それだけでは行政が援助の手を差し伸べてくれないからです。

利用者は自治体の窓口に自ら足を運び、必要な書類を整えたうえで失業保険や生活保護などの申請をしなければいけません。つまり、国家の援助を受けられるのは、自分自身で「社会的弱者」であると証明した人だけなのです。

そりゃ、行政の方にも言い分があります。それは、財源です。サンタクロースのようにお金を配って歩くわけにはいきません。行政サービスは、ルールにのっとり適正な手続きでされなくては信用もされないからです。

鉄のルールといいますか、行政は国民に対し特別扱いはしません。職員の善意や悪意とは無関係に、提出された書類に基づいて機械的に処理するのが行政であり国家なのです。

ですので、国家に依存せず、国家を道具として使う意識でいけば、自己の責任はあるものの自由も享受できるというわけです。

たしかに、サラリーマンでいた方が気楽でいいかもしれません。ですが、事実を知っているのと知らないのでは大きな差が出ます。

ですので、ぜひ本書を読み、知識だけでも頭に入れておくことが国の思うツボにはまらないひとつの手です。

コウカワシン

最後までお読みいただきありがとうございます。

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この記事を書いた人

四国在住。
ミニマリスト。趣味は映画観賞と音楽鑑賞、読書、野球観戦。
映画は特に好き嫌いなくほとんどのジャンルーを観ます。音楽はジャズとクラシックが大好きです。読書は歴史書が好きでよく読みます。

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