
こんにちはコウカワシンです。
今回は、大嶋信頼(おおしま・のぶより)さんの著書『あなたを困らせる遺伝子をスイッチオフ!』から学ばせていただきます。
『あなたを困らせる遺伝子をスイッチオフ!』は、現在(2021年7月16日)キンドルアンリミテッドの対象本です。
キンドルアンリミテッドは、amazonキンドルの本読み放題サービスです。
これを機にぜひ始めてみませんか?
『あなたを困らせる遺伝子をスイッチオフ!』はどんな本?
本書の目次
『あなたを困らせる遺伝子をスイッチオフ!』
第1章 脳内で発作が起きているとしたら?
第2章 奥義「〇〇さんって、すげー!」
第3章 特徴的な遺伝子を特定してスイッチオフしてみる
第4章 尊敬は最強のカウンセラー
第5章 「すげー!」を連発!
第6章 人は遺伝子レベルで影響し合ってる
終章
夢(おわりに)
あとがき
著者の紹介
大嶋信頼(おおしま・のぶより)
心理カウンセラー。 株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。
米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。
ブリーフ・セラピーのFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発し、トラウマのみならず多くの症例を治療している。
アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックに勤務する傍ら東京都精神医学総合研究所の研究生として、また嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室非常勤職員として依存症に関する対応を学ぶ。
嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室長を経て、株式会社アイエフエフ代表取締役として勤務。
心的外傷治療に新たな可能性を感じ、株式会社インサイト・カウンセリングを立ち上げる。多くの人が自由に生きられることを目指し、治療を行っている。臨床経験のべ9万件以上。
著書に、ベストセラーとなった『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』。その他著書に、『それ、あなたのトラウマちゃんのせいかも?』『無意識さんの力で無敵に生きる』『支配されちゃう人たち』など。
本書の内容
生きづらさの原因は特徴的な遺伝子にあるという仮説を立て、その遺伝子のスイッチをオフにする言葉を伝授することで効果を試します。
その方法は2つあり、
- 症状の要因となっている遺伝子を特定して唱える方法
- 要因を探り当てなくても効く万能の言葉を唱える方法
その言葉とは、現代人が失っている「尊敬」をつくり出すものを使用します。
目の前の人にむかって誰でもよいから『○○さんって、すげー! 』と唱えてみる、唱えているうちに、人間関係の悩みが自然と解消されていくという事例を紹介した内容です。
『あなたを困らせる遺伝子をスイッチオフ!』は誰におすすめか?
本書はこのような人におすすめです。
『あなたを困らせる遺伝子をスイッチオフ!』はこのような人におすすめ!
- 自覚がないことで他人から注意をされる人
- 集団の中で自分の居場所がないと感じている人
- 催眠療法に興味のある人



ただでさえ、感染症や大災害、経済危機などで、生きづらい世の中になっています。不安や過去のトラウマにまで心の安住を奪われてはいけません。
「どうしてあの人は、このような言動や行動をしてしまうのだろう?」と思われたなら、本書を読んでみる価値があると思います。
『あなたを困らせる遺伝子をスイッチオフ!』の要点は?
こんなことは信じられないかもしれませんが、「自分の記憶が抜け落ちる」ということを経験したことはありませんか?
その抜け落ちた時に「ふだんならやったりしないことをやってしまい他人から注意を受ける・・・けど記憶にないから改善のしようがない」なんてことがあるかもしれません。
いわゆる「てんかん」の一種とみられます。
てんかん
てんかんとは、脳内の神経細胞の過剰な電気的興奮に伴って、意識障害やけいれんなど発作的に起こす慢性的な脳の病気とされています。
いまだに多くの誤解や偏見がありますが、過剰興奮が脳の様々な場所に起こるため、その場所に応じての症状も様々なものとなります。
この過剰興奮を記録するための検査として脳波を行います。
- 原因疾患が見つからない特発性(一次性)のてんかん
- 脳梗塞・脳出血・脳腫瘍・脳炎などの能の病変が原因となる症候性(二次性)のてんかん
があり、症候性の場合はMRIで異常が見つかります。
てんかんとは厄介で、たとえば「てんかん発作で浮気をする」という信じられないことも引き起こします。
だから何かのはずみやきっかけでスイッチが入り、人間の遺伝子に異常電気が走る、結果・・・思わぬ行動に出ることがあるということなのです。
これは、人前で話すのが苦手な人が、以前に失敗などで受けた屈辱などを思い出し、トラウマとなって反射的に異常な緊張状態になるのと似ているんですよね。
本書では、いろいろな事例をあげ、仮説を立て、考えられる遺伝子のスイッチをオフにすることで、脳が発する電気を止め、症状が出ないようにする方法を説いています。



その中で、ポイントを私の独断と偏見であげさせていただきました。
遺伝子をオフにするテクニック
それでは、具体的にどのように遺伝子をオフにするのか探っていきます。
たとえば、「感情を言語化できない」というスイッチが入っている場合とします。
ふてくされた態度を取る遺伝子
誰に対してもふてくされた態度を取ってしまう女性がクライアント。この女性が「自分の思っていることを相手に伝えられないんです」という悩みで相談に来たそうです。
この女性が言うには「周りのみんなや先輩たちはどんどん仲良くなってそして自分をアピールして昇格していくのに、自分だけ取り残されてみじめな感じがしているんです」と続けました。
「努力しても周囲から認められない」という感覚があるんですかと聞くと「努力することは嫌い」と彼女は言い切りました。
さらに聞いてみたら、家族のみんなも他人とのコミュニケーションを取るのが苦手ということで、彼女自身も学生時代から他人との交友を避けてきた経緯がありました。
つまり、遺伝的に受け継いだ可能性があるということですね。
大嶋さんは、感情が入っていないぶっきらぼうなしゃべり方をすることから「親密感を感じられない遺伝子があるのかも?」と仮定し、❝親密感の遺伝子❞の可能性を考えました。
一切、感情が伝わってこない無表情なしゃべり方で、「人とコミュニケーションが取れなくて困っている」という彼女に困惑したが、もしかしたら、「自分の感情を言語化できない遺伝子の問題かも?」と仮説を立てました。
この女性を他の専門家が見たら「会社にも行けて、仕事もできているんだから、それほど問題にすることはない」の一言で処理してしまうでしょう。
なぜなら、遺伝子的な特徴はそう簡単に変えることができないし、これまで努力しても変わらなかったものを変えたいという理由がわからない、となるからです。
ここで問題なのは、この女性が専門家に対して「自分が感じていることや求めていることを伝えることができない」ということなのです。
結局、「やっぱりわかってもらえなかった」となり、この女性の抱える問題解決にはならないとなります。
そこで、表面上にある状況だけでなく、もっと事態を深掘りする必要があるのです。
それまでの本人の話では「会社に入るまでは人とコミュニケーションが取れなくても困ることはなかった」と言っているけど、感情を言語化できない遺伝子のスイッチが入っているから「問題は感じません」という表現なっているだけ、考えてみることが大事になってきます。
「何も問題は感じていません」とふてくされた態度で言う女性を見ると、あきらかに怒りの感情があり、発する言葉と感情はウラハラというのが明白です。つまり、遺伝子的に見たら、怒りの感情を言語化できない遺伝子を持っているとなります。
ふてくされた態度の元になっている怒りは、「他の人に自分の気持ちをわかってもらいたい!」=「一体感を求める渇き」と見てみるとさらに深掘りできます。
自分の感情を本当に理解し共感してもらって得られる一体感を求めているのだが、それを得られない渇きが「怒り」となりふてくされた態度に表現されているということです。
でも・・・その渇きから発する怒りが強くなればなるほど、その怒りが他の人を遠ざけてしまい、ますます渇きが強くなり、怒り、人を遠ざける・・・という悪循環になってしまっているのです。
だから、そんなときは、❝尊敬❞を使って自分の特徴的な遺伝子のスイッチをオフにして周囲との一体感を感じてみるという方法を取ってみることです。
実際、この女性は大嶋さんから、「誰でもいいので、職場の中から1人ターゲットを絞って、自分にダメ出しの言葉が湧いてきたときに『〇〇さんって、すげー!』と頭の中でつぶやいてください」というアドバイスを受けました。
彼女がターゲットに選んだのは、わざと容姿もちんちくりんで仕事ができない上司マイケル(仮名)を選びました。いつもは仕事ができないと思い馬鹿にしている上司です。
ダメ上司に「すげー!」を連発した結果
やはり最初は、馬鹿にしたように「マイケルって、すげー!」と頭の中で連発していた彼女ですが、3日ほど経つと、変化が見えてきたのです。
「マイケル、すげー!」とつぶやくたびに薬を飲んでいるような感覚になりながら連発する自分。
彼女は常に「自分は仕事はできないし、みんなとうまく喋れない」と自分に対してダメ出しをしながらも「誰も私のことをちゃんと理解してくれないから仕事ができないし、誰も理解してくれないからみんなとわかりあえない」と思っていました。
だから、心のどこかで「本当は理解してくれる人さえいれば、自分は誰よりも一番仕事ができるはず」という願望をいだき、心の中では、本当は仕事ができる女なのだと思っていたのです。
しかし、ダメ上司に「すげー!」と唱えているからかはわからないけど、「あれ?自分って本当に仕事できない!」とはっきり自覚できるようになったそうです。
そして、それまでは目の前にいる自分より仕事ができないダメ上司と思っていたマイケルに対し、淡々と仕事をこなす姿がかっこいいと見えるようになったといいます。
「あれ?私ってマイケルのようにこんなに集中して仕事ができない!」と内心焦り始めた彼女は、大嶋さんのアドバイス通り、不快な感情が湧いてきたら「マイケルって、すげー!」を頭の中で連発したのです。
すると、さっきまでの焦りが消え、自分もマイケルと同じように、淡々と仕事をこなすようになっていたとのこと。それまでは、ちょっと仕事をやっては、頭の中に過去の嫌な人が浮かんできて、集中できなかったそうです。
それが、今では不思議と集中力が持続でき、周りの人のことが全く気にならない。フッと我に戻ると「あれ? 本当に私って他の人が気にならないの?」とチェックしたくなってきたので、またまた「マイケルって、すげー!」を連発してみることにしました。
すると彼女は、そのまま淡々と仕事を続けたくなり、いつの間にか就業時間が過ぎていました。いつもは嫌っている残業をし、なぜか頭がスッキリさわやかになる感じに「あ~!仕事をした!」と充実感も手に入れたのです。
その彼女の頑張りに、一緒に残業をしていたマイケルは、「お疲れさん、残ってるみんなで食事に行こう」と、声をかけてくれたのです。
いつもなら、断るところですが「ハイ!」と答え、そのいつもと違う感覚に戸惑った自分に対しまた「マイケルって、すげー!」と唱えると「コミュニケーションが苦手」というのが不思議となくなったそうです。
みんなと会食するうちに、同僚たちともうちとけて「キャッ!キャ!」と笑っている自分がいる。「あれ?いつの間にかみんなの輪の中に入っている」とびっくりしつつも、今までの「みんなから嫌われている」は思い込みだったんだと気がついたのです。
ここまででどうでしょうか?
女性自身は、仕事も生活スタイルも変えていないのですが、意識的にネガティブになった時に、「マイケルって、すげー!」と唱え、遺伝子のスイッチをオフにすることで、心の不安やいらだちを抑えることができ、周りの人たちと良い関係まで持てたのです。



これは一つの例ですが、ネガティブ感情の元であるスイッチをオフにするだけで、気持ちの負担をかけずにいられる方法があるのは驚きですね。
これは、日々の生活に大いに参考になると感じました。
尊敬は最強のカウンセラー
宮本武蔵と柳生石舟斎から得た教訓
宮本武蔵は武者修行時代、有名な剣士である柳生石舟斎に戦いを申し込んだが、石舟斎は己の刀で一輪の花を断って、それを断りのメッセージに添えた。
戦いを挑んだほかの武士は、その花を見ても何も感じなかったが武蔵だけは違った。
ほかの剣士が真似できないような切り口であることを見抜いて、居ても立ってもいられなくなり、石舟斎のところに乗り込んだ。武蔵はものすごい形相で石舟斎の前にたどり着いたのだと思う。
その武蔵の姿を石舟斎が見たときに、あの花で自分の太刀筋を見極められる能力の持ち主であることを悟った。石舟斎は武蔵の前で構えることはせず、無防備な己の姿をさらけ出した。
「春風の如し!」
暖かい緊張感のない穏やかなあの春風のように、石舟斎はたたずんでいた。武蔵はその姿を見て動けなくなってしまう。武蔵はここで初めての敗北を味わう。
石舟斎は、武蔵を見た瞬間に、武蔵のすべてを見極めて❝尊敬❞し、己のすべてをさらけ出した。その石舟斎の❝尊敬❞に触れた瞬間に、武蔵の特徴的な遺伝子のスイッチがオフになり、一体感が感じられるようになり、武蔵の人生が変わっていった
大嶋さんは、この「すべてをさらけ出す」ような❝尊敬❞こそが、特徴的な遺伝子のスイッチをオフにする究極の技ではないかと思っていたそうです。
そしてカウンセリングの中で、クライアントさんの前ですべてをさらけ出す❝尊敬❞を使うようになり、クライアントさんを同士として尊敬し、カウンセラーの苦しみや憂いをさらけ出したのです。
クライアントさんが受け止めてくださったときに、お互いの尊敬が成立して、特徴的な遺伝子のスイッチはオフになる。それにしたがい、クライアントさんが苦しんでいたものが自然となくなっていく具合になったそうです。
実際に、小学生のクライアントさんのカウンセリングのときに、お母さんが「先生とどんな話をしたの?」と尋ねても子どもは「先生と僕との話は大切だから、お母さんには話せない」と答えたそうです。
そんな話をお母さんから聞き、その子の尊敬に触れたときに、大嶋さんの特徴的な遺伝子がオフになって、一体感を感じられたと言います。
遺伝子の特徴的なスイッチの話に戻りますが、大嶋さんの著書『ミラーニューロンがあなたを救う!』では、❝さらけ出す尊敬❞の手法がメインになっています。
さらけ出すの背景にあるのは苦しんで生きてこられた人たちへの❝尊敬❞なのですが、相手がそのように受け取るかどうかはまた別の問題で、踏みにじられたりして何度も何度も痛みを感じていたそうです。
そこで「❝尊敬❞を受け取るも受け取らないも遺伝子の特徴なのかもしれない」と仮説を立てるようになったそうです。「遺伝子の特徴で❝尊敬❞を受け取れなくなるから、一体感から遠ざかり渇きが増していく」との仮説から、特徴的な遺伝子のスイッチを遺伝子の名前を唱えてオフにする手法が生まれたということです。
尊敬を邪魔する遺伝子
仕事をする能力は高いのにいつの間にか相手にされなくなり隅に追いやられる男性の話から
この男性は、「職場で自己主張ができない」という悩みを抱え、相談に来たそうです。その男性の特徴は、「無意識に言ってはいけないことを言う」であり、上司からも指摘されたことがあるということです。
たとえば、会話の途中でボソッとイラつく言葉をはさんできて会話が止まってしまったりする状況。やっかいなのはその男性に自覚がないことで、相手のがどんどん不快になるというものです。
この自覚がないままの発言に対し、「悪態の遺伝子でもある失語症の遺伝子のせい」と仮説を立て、そのスイッチをオフにする言葉を唱えてもらったそうです。
すると、次の面談では、その特徴的な遺伝子のスイッチがオフになっているのが明確にわかるほど、会話も弾み、一体感が感じられたそうです。職場でも評価が変わったと男性からの報告でした。
たしかに、そのような特徴的な遺伝子のスイッチがオンになっていたら❝尊敬❞なんかできるはずないということです。



この悪態の遺伝子がオンになっていたのがきっかけで、他の遺伝子も一斉にオンになる・・・結果、わけのわからない悪循環に陥るというのは、立ち直ることも難しくなりますし、実際、不安でしかたがないでしょうね。
『あなたを困らせる遺伝子をスイッチオフ!』の感想・まとめ
「自分をダメ人間だと思ってはいけない」
本書には、数々の事例が載り、どれも深刻ながら自分では対処できない問題が満載でした。
つまり、トラウマとか無意識のうちにやってしまいがちな失敗は、すべて遺伝子のスイッチがオンになっているからです。そのスイッチをオフにするだけで、今までとは違う人生が送れるようになるなら、それにこしたことはありません。
ただ、大嶋さんのようにいろんな原因を探り、仮説を立て、その仮説からわかる遺伝子のスイッチをオフにしてくれるようなカウンセラーに出会えなければ、無理かなあと思いますね。
わたしだって欠陥だらけの人間です。少しでも注意や指摘されることがあったら、その原因の遺伝子を探ってみたいと思うようになりました。
本書の冒頭、「カウンセラーのトレーニング」で、心理分析官のマネをするとして「FBI心理分析官」のごとくクライアントさんの心理を解くというのがすごく惹かれました。
といったところで、『FBI心理分析官』をポチってしまった(笑)
まあ、あとがきにもあるのですが、「遺伝子のスイッチをオフにする」という名の催眠療法ということで、マインドコントロールというのは、自分だけでは無理があります。
ですので、「そんなことをしてしまうあなたが悪い!」と相手を責めるのではなく、「あなたの特徴的な遺伝子のスイッチが入ってしまったから」と見るのが問題を適切に処理する近道だと思います。
それを避ける手段として催眠療法としての「遺伝子のスイッチをオフにする」という❝暗示❞が効き、これまで対処が困難だった症状にまでアプローチできれば問題を解決する近道になりますね。
しかし、本書を読み、自分自身のおいたちや性格、交友関係にまで興味が持てたのは、これからの人生を謳歌するためにも大事なことかなあと感じます。
よろしければぜひご一読ください。新たな発見があるかもです。
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