
こんにちはコウカワシンです。
今回、脳科学者の中野信子(なかの・のぶこ)さんと独身研究科の荒川和久(あらかわ・かずひさ)さんの共著『「一人で生きる」が当たり前になる社会』から学ばせていただきました。
『「一人で生きる」が当たり前になる社会』は、現在(2021年7月14日)キンドルアンリミテッドで読むことができます。
キンドルアンリミテッドとは、amazonキンドルの本読み放題サービスです。




『「一人で生きる」が当たり前になる社会』はどんな本?
本書の目次
『「一人で生きる」が当たり前になる社会』
はじめに
第1章 「ソロ社会」化する日本
第2章 孤独とは悪いことなのか?
第3章 ソロの幸せ、既婚者の幸せ
第4章 恋愛強者と恋愛弱者の生存戦略
第5章 ソロ化と集団化の境界線
第6章 自分とは何か~一人の人間の多様性
第7章 世の中を動かす「感情主義」のメカニズム
終章 「with コロナ時代」の生き方を考える
あとがき
著者の紹介
荒川和久(あらかわかずひさ)
1963年 栃木県生まれ。
独身研究家、マーケティングディレクター。
ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。
韓国、台湾などでも翻訳本が出版されるなど、海外からも注目を集めている。
著書に『結婚しない男たち~増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会~「独身大国・日本」の衝撃』(PHP新書)など。
本書の内容
2040年には、独身者が人口の5割になり、既婚者(64歳まで)は3割になると予測されています。
ただでさえ少子高齢化が進む日本に追い打ちをかけるように迫りくるこの真実を目の前にして、わたしたちは「一人で生きる」ことが当たり前の社会になることを独身研究家の荒川和久さんは唱えます。
この「一人で生きる」という予測をテーマに脳科学者の中野信子さんと対談方式で意見を交わす内容となっています。
『「一人で生きる」が当たり前になる社会』は誰におすすめか?
本書はこのような人におすすめです。
『「一人で生きる」が当たり前になる社会』がおすすめな人
- 独身の人
- 既婚者の人
- 社会に出る前の若い人



独身者にしても既婚者にしても「一人で生きる」ための心構えはしなければいけません。
なぜなら・・・将来のことはわからないから。
そう心がけておくだけで、あんがい気持ちが軽くなるのではないでしょうか?
『「一人で生きる」が当たり前になる社会』の要点は?
「2040年には、独身者が人口の5割になり、既婚者は3割になる」と言われています。
これを見て、「既婚者である自分たちは、少数派になるのか」「このままだと少子高齢化がますます進む。日本の将来が心配だ」と思う人はかなりいると思います。
ですが逆に、「今も一人だが、20年後には自分たちのような人が多数派になるらしい・・・ということは、社会のあり方も大きく変わるだろうから、今よりも暮らしやすくなっているかもしれない」と前向きに感じた人もいますよね。
そこで、「これからの日本は『一人で生きる』ことが当たり前の社会になる」と考えてしまえたら、それなりの覚悟もできるのではないでしょうか?
そこで、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』の著者 中野信子さんと荒川和久さんの対話形式で進むこれからの「ソロ化社会」を知ることで、その時に備えようと思いました。
本書は、いろんな観点から意見を交わされていますが、その中から一部をサクッと取り上げてみようと思います。



取り上げた内容は、わたしの独断と偏見です。
孤独とは悪いことなのか?
孤独には、「選択的孤独」と「排除による孤独」の2つがある
ちょっと前に「おひとりさま」という言葉が流行ったのを思い出します。
わたしは現在50代なのですが、友達に独身の人が何人かいます。みんないろいろと苦労もあるようですが、それぞれが独身を楽しんでいます。
そりゃ、収入も時間もすべて自分のものですし、自分なりの生活スタイルを持っていれば不足のない暮らしができますね。
このように自分で選んでいる場合を「選択的孤独」というそうです。経済的、時間的に満たされていれば非常に心地の良い「贅沢としての孤独」をエンジョイできるということですね。
一方で「排除による孤独」というのがあるそうです。
「排除による孤独」とは、自分はここになじめないという孤独感を持ち、それが大きなストレスとなります。
これは何の差なのかといったら「自己肯定感」ではないでしょうか?
自己肯定感
自己肯定感とは、「自分の存在に価値がある」とか「自分自身に満足できている」など、自分の価値や存在意義を認め尊重することができるという感覚です。
だいたいは自分が他人からどう評価されているかではなく、自分自身が今の自分に満足できているかどうかを基準にすることで自己肯定感の高さが決まるのです。
社会に生きていれば、いろんな人にも会うし話もします。そのような中でも、自分を出せず孤独感を感じている人は自己肯定感が低い状態、つまり「排除による孤独」ということになります。
荒川さんは、「大勢に囲まれているのに、「なんか私、ものすごく孤独なんだけど」と感じること」が、最悪の孤独といいます。このような思いを抱えた人の中から自殺者もいるので要注意とされています。



見かけとして孤独ではないのにコミュニケーションは断絶した状態・・・これは避けなければいけませんね。
周りと共存するという本人の意思も必要だし、周りの人もことあるごとに気づかわなくてはいけません。
「コミュ障」でも、コミュニケーションスキルは学習可能
他人とつき合うって、かなり大変だし、ストレスを抱える原因にもなります。しかしながら人間関係の中でこそ生じる「癒やし」の物質があると中野さんは言います。
それは、オキシトシンという俗名「愛情ホルモン」といわれる物質だそうです。
オキシトシンは体を修復したり、精神を安定させたりする効果があるといわれています。ですので「孤独がつらい人」「人とうまく関係を築けない人」は、このオキシトシンを意識してみるといいと言われています。
第一に人とうまく関係を築けない人というのは、単にコミュニケーションをうまく取るスキルがないだけで、それができるようになると他人から「承認」や「共感」といった感覚を得ることができるとなります。
孤独感、つまり寂しさを埋めるには、少なくとも共感や承認を得られたらいい、そのためのコミュニケーションスキルは、トレーニングして後から身に付けたらいいというのが中野さんの考えです。
それはなかなか難しいとは思います。でも、身につける方法として、まず「コミュニケーションを取るという本人の自覚」そして「コミュニケーションスキルのある人のやり方を学ぶ」を実行するべきです。
たしかに時間はかかります。でも、自分のペースでいいからやることが大事です。
一つの方法として、ペットを飼うとコミュニケーションスキルが上がると荒川さんは提案します。ペットとしゃべる・・・その感覚を人との会話にも活かせるということですね。



ペットを飼っていない方は、ペットとしゃべるという感覚がわかりづらいかもしれませんが、実際飼ってみてペットの世話をしているとけっこう話しかけるという感覚がわかってくると思います。
わたしも昔、金魚とカメを飼ってみてそれに気づきました。
自分は「コミュ障」だからとあきらめないでやってみるといいと思います。
要は、「相手に対する優しい気持ち」「相手の役に立ちたいという思い」からコミュニケーションスキルが身に付いていくのです。
恋愛強者と恋愛弱者の生存戦略
30年前から変わらない「恋愛強者3割の法則」
コミュニケーションスキルの中に、やはりあるのが「恋愛」ですよね。みんな誰もが好きな人と結ばれたいという気持ちが少なからずあると思います。
でも、なぜか差がついてしまうスキルですよね。
恋愛が得意な人、不得手な人というように分類されるのですが、この割合というのが、恋愛が得意な人、つまり「恋愛強者」は全体の3割しかいないそうで、あとの7割は恋愛が苦手なのだということです。
そういわれてみたら、昔からモテモテで彼女がいなかった時がないヤツっていましたね~!ちょっと腹立つけどイイオトコなんですよ。そんな3割しかいない恋愛強者男性が一人で何人もの女性と付き合えちゃったりするんですよね。
もちろん同じ割合で恋愛強者女性もいます。
そこで面白い統計を荒川さんが示してくれました。それは、「恋愛強者の浮気率」も男女未既婚(未婚の場合は現在恋人がいる人)ともに3割であるということです。
しかもですね。恋愛強者は男女ともに年収が高いという点です。
これは、何でだろうと考えてみたら、モテる男性というのは自信家で活動派、経済的にも優位に立てる可能性が大きいということです。容姿がモデルのようにカッコよくなくても自信に満ちあふれた人って魅力的に見えますよね。
そのような男性がモテる女性をゲットしちゃうんですよ。だから結果的に恋愛強者は年収が高くなると荒川さんは説明します。



男性は女性を顔やスタイルで選ぶ。女性は男性を心と経済面で選ぶということですね。
は~ぁ、切ないです(笑)
自分から能動的に動ける3割の人がモテまくる
「結局、恋愛強者は金もオンナもすべてのものを手に入れてしまう・・・ちきしょう!」と思った人は、わたしだけではないはずですね。
では、恋愛強者とそうじゃない人の違いって何でしょうか?
荒川さんは「恋愛強者とは能動的に動ける人」と仮説を立てました。能動的とは、「自分から働きかけ、他に影響を与えること」をいいます。
「自ら動き、他に影響を与える」って、どういうことなんでしょうね。ただやみくもに動いただけではダメな気がしますよね。
そこで、「ナッジ」という概念を説明されています。ナッジとは、「ひじで軽く突っつく」という意味で、ちょっとしたきっかけをつくって良い行動をうながすことを指します。
有名な事例で、「いつも汚れている空港の男子トイレを汚れないようにするには?」を考えた時に小便器の真ん中にハエの絵を描くことを思いついたそうです。
そうすると、男性はこのハエめがけておしっこをするようになり、おしっこが飛び散らなくなったそうです。結果として小便器が汚れなくなり清掃員を8割も削減できたということです。
たぶん、「トイレを汚さないでください」と張り紙をしても効果はないと思います。しかし、便器にハエの絵を描くだけで「きれいにしましょう」と言わなくても、結果的にきれいになる・・・「ナッジ」を利用して無意識に誘導しているということです。
荒川さんは、この「ナッジ」が、恋愛においても大事だとされています。
たとえば、道に落ちているごみを減らそうと、ナイキがゴミ箱にバスケットボールのゴールを設置したところ、人はゴミを道に捨てずゴールめがけて捨てるようになりました。しかもゴミを拾ってきてまで捨てるようになったので結果的に街がきれいになったということです。
世の中の人の7割が受け身(受動的)です。その7割の人を無意識に振り向かせることができる3割の能動的な人がモテるのは、ある意味しかたがないし、これが世の資本主義につながっているともいえるのです。



なんか、恋愛もビジネスと同じにおいがするのは、わたしだけでしょうか?(笑)
女性は、男性を選んで育てるのが早道
ちょっと前までは、女性が男性を選ぶ基準って「3高」でしたよね。
3高
- 高学歴
- 高収入
- 高身長
恋愛時期真っ盛りの20代で、「高学歴」に「高身長」というと、クリアできる男性は多いでしょうけど、高収入となると、なかなかにハードルが高いと言えます。
そこで、荒川さん、中野さんが推奨するのが「女性が稼げる男に育てる」というあげまんスタイルです。あげまんと言えば、「一緒にいるだけで男性の運気が上がる女性」のことを指しますが、それプラス「炭焼き長者」を目指せとも言われます。
「炭焼き長者」
ある貧しい炭焼き男のところへ神のお告げにより都から姫が訪ねてきて妻になった。
妻は小判を男に渡して買い物に行かせたが、途中で男はそれを水鳥に投げてしまう。妻がお金を粗末にしたことをなじると、男はあんなものは山に行けばいくらでもあるという。
そこで山に行くと黄金の山があり、妻が黄金の価値を男に教え、男は出世してお金持ちになる。
だから、最初から高収入の男性をゲットするのではなく、これぞと見込んだ男性を自分も協力しながら高収入の男性に仕上げていくというのは、現実味があると思いますね。



市場価値を高めた男性は高収入を得、社会的地位も手に入れます。
それを側から支えた女性自身も価値が高いと言えますね。
ソロ化と集団化の境界線
ソロ化と集団化の境界は、状況によって変化する
人間は大昔から集団で生活してきました。狩猟で食べ物を手に入れてきたときも、農業をおこしたときも集団で作業することで効率を上げてきたのです。
でも現在では社会インフラが整い、会社に頼らなくても収入がある人もいてソロ化が進んでいくように見えます。でもソロ化が進んでるのはやはり人間というものがソロ(一人)への思考があるからだと言います。
それでも集団にならなければならない理由がある時は、迷わず集団化を選ぶ要素があります。では、集団化を選ぶときって、どういうときでしょうか?
たとえば、自然災害に遭ったときとかです。地震や洪水、土砂崩れなど、昨今は自然災害が頻繁に起き、そのたびに集団となって助け合う様を見る機会がありますよね。
そんなときは、まず一人では立ち向かえません。集団でいるメリットを享受しながら、自分の身を守らないといけないということです。
一方で、ソロでいるメリットもあるのです。
それは、最近のコロナ禍です。国によってコロナ感染の広がり度が違いますよね。イタリアなどでは感染が再拡大していて大変なことになっています。
イタリア人らしいコミュニケーション力の高さが災いしてか、みんなで集まりウェーイってな感じで盛り上がることで被害が拡大しているらしいです。
今回、サッカー欧州選手権でイタリアが優勝しましたから国内盛り上がってます。・・・またすごいことになるのではという感じですね。
一方、コミュ障気味でゲームばかりしていて、部屋に引きこもっているタイプの人(日本人に多い)は被害が少ないということで、コロナ禍では、そういう人が生き延びるということかもしれません。
ということは、基本は個人主義(ソロ)がベースで、いざとなれば協働するという社会であると、一時のコミュ力でしのぐ性質というのがアリとなってきます。
ですので、その時の状況で変化できる柔軟性だけは持ち合わせたいものですね。



わたしは基本、独りが好きなのです。ですが、人並みなコミュ力はあると思います。
ですので、他人と節度を取りながら協働できればいいと思います。
『「一人で生きる」が当たり前になる社会』の感想・まとめ
「人間、死ぬときゃ独り」
昔から、「人間は一人で生まれて一人で死んでいく」と言われ、わたしもそのように思っていました。ですが、「一人で生きる」というのは、少し寂しさを感じ、そうはならないでおこうと今までは思っていました。
今いっしょにいる家族を大事にしようという気持ちは、変わらないのですが、実際に自分が「一人で生きる」ということを想像すると不安な気持ちに押しつぶされそうな気がします。
ですが本書を読み、いずれは一人で生きていかなければいけないとなれば、それなりに覚悟ができた気がします。
本書は、脳科学者の中野信子さんと独身研究家の荒川和久さんということでしたが、荒川さんの独身研究家という肩書にすごく興味が惹かれますね。
それだけ独身の人が絶対数いるし、既婚であってもシングルになり「一人で生きて」いく人が、増えているということですね。
未婚化・少子化・高齢化・人口減少などの話題が出るたびに「政府は何やってる!?」と非難する声が上がりますが、誰が何をやろうとこの流れは止められないと言います。
したがって「ソロ化社会」は、どんどんと広がり、わたしたちはそれに対応しなければ生きていけないということですね。
まずはその真実を知るところからはじめ、先が読めない未来を見据え、今をどう歩いていくかだと思います。中野さん、荒川さんが言うには、「ソロ化社会は、決して絶望の未来ではない」と言われています。
自分に必要なコミュニティを見つけ、接続し合う「接続コミュニティ」を意識することで、自分の外側との接続だけではなく、自分の内面にある「たくさんの(表に出せない)自分」とも接続することで自分自身の自己肯定感を高めることが必要だと思います。
まだ、「一人で生きる」という実感がわかないのならぜひ一度読んでみてください。




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