
こんにちはコウカワシンです。
今回は、小林弘幸(こばやしひろゆき)さんの著書『整える習慣』から学ばせていただきます。
仕事や試験、試合などで一生懸命がんばったのに自分の力を出し切れないなんてことはありませんか?
仕事や、試験・試合に向けて、誰もが努力し実力を上げているにも関わらず、「結果が出ない」「試合に勝てない」「試験に落ちた」といった努力以外の部分で成果の上がらないことを苦しんでいませんか?
それはもしかしたら・・・もしかしないでも、十分に実力が発揮されていないということですよね。これはあまりにももったいないという人がいます。
その人は、順天堂大学医学部教授で、日本体育協会公認スポーツドクターである小林弘幸(こばやしひろゆき)先生です。
小林先生は、プロのアスリートが試合などの本番で実力を100%発揮したり、最高のパフォーマンスを引き出すには、そのコンディションの整え方が大事だと言います。
そのことを記した本が『整える習慣』です。
小林先生が言うには「能力アップにおいては意識を高く取り組んでいる人が多いのに、能力を出し切る部分に意識を向けている人は本当に少ない」と言います。
100ある力を120にアップさせても、日常的に70しか発揮できなければ何の意味もない。そのようなことにお金と労力を費やすくらいなら100ある力を「安定的に90出せる」準備・コンディションづくりをするほうがはるかに効果的だということです。
今回は、小林弘幸先生の『整える習慣』から学ばせていただきます。




『整える習慣』はどんな本?
本書の目次
『整える習慣』
文庫化にあたって
はじめに
自律神経を意識するとなぜ仕事がうまくいくのか?
第1章 まず、モノを片づけて、心を安定させる(身の回りの整え方)
第2章 一日ごとの体の変化を意識する(時間の整え方)
第3章 無理したつき合いは断つ(人間関係の整え方)
第4章 体のスイッチを意識する(体の整え方)
第5章 食べ物と食べ方を少しだけ変える(食の整え方)
第6章 今夜の振り返りが、スムーズな明日をつくる(行動パターンの整え方)
第7章 ストレスには正しく対処する(メンタルの整え方)
第8章 自分のタイプを知る(自分らしさの整え方)
Pick up! 毎日、イキイキと生きる7つのレッスン
著者の紹介
小林弘幸(こばやしひろゆき)
順天堂大学医学部教授。 日本体育協会公認スポーツドクター。
1960年、埼玉県生まれ。
1987年、順天堂大学医学部卒業。
1992年、同大学大学院医学研究科終了。
ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任。
自律神経研究の第一人者として、数多くのプロスポーツ選手、アーチスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上に関わる。
主な著書に『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)、『自律神経を整える 人生で一番役に立つ「言い方」』(幻冬舎文庫)など多数。
本書の内容
「自分の実力を100%発揮したい」とか「いつも実力の半分も発揮できない」という人のために、その実力を最大限に引き出せるようになるためには「整える習慣」が必要であるということを説いています。
なんとその習慣は108も紹介されています。
『整える習慣』は誰におすすめか?
本書はこのような人におすすめです。
『整える習慣』がおすすめな人
- 仕事でいつも50%の力しか出せない人
- スポーツの試合で実力が出し切れない人
- ビジネスパーソン



なかなか努力の成果が出ない・・・と悩む人は多いと思います。
たしかに能力以上の力を出すのは奇跡に近いものがありますが、「練習ではできるのに本番ではできない」という経験のある人には、ぜひ読んでいただきたいと感じます。
『整える習慣』の要点は?
「持っている力を発揮するために状態を整える」
スポーツドクターでもある小林先生は、一流アスリートになればなるほどコンディショニングに気を配り真の実力を発揮することを知っています。一流アスリートは、徹底した準備をし、メンタルの整え方を工夫し集中力を高めます。
このコンディショニングの意識こそが、多くのビジネスパーソンのもっとも欠けている部分でもあるのです。



それでは、『整える習慣』の中から要点を独断と偏見で選び、紹介したいと思います。
自分の実力を発揮できないのはどうしてか?
自律神経が体のコンディションを司る
小林先生は、これまでに40冊以上の本を出版し、それらの中で主に「自律神経」について、語ってこられました。自律神経とは、「体の状態を自動的に整えてくれる器官」です。
自律神経を整えるだけで、「健康」のみならず、「自分のコンディション」を整え、今ある実力を十分に発揮させることが可能であり、そういう意識こそが大事と言われます。
体に負担をかけているもの、ストレスになっていることを一つひとつ丁寧に取り除き、体の構造に即した「行動パターン」を身につけ「意識づけ」をするだけで、自分の持てる実力を十分に引き出せる助けになります。
自律神経を意識する
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の二つがあります。交感神経は「身体を活動的にするための神経」。副交感神経は「身体を落ち着かせ、休めるための神経」です。
自動車で言うと、
- 交感神経=アクセル
- 副交感神経=ブレーキ
といった感じです。
「自律神経を整える」とは、交感神経と副交感神経をバランスよく、高い状態にすることです。体がしっかり動けるためには、しっかりと休養を摂ることが必要です。そのための習慣を身につける必要があります。
感情と交感神経の関係
小林先生いわく、「医学的に見て、感情やメンタルの状態と自律神経は密接に関係している」そうです。
たとえば、怒りを感じている人の自律神経を測ると、交感神経が過剰に高ぶり、非常にバランスが乱れているそうです。そのうえ、血液の質も低下し、「ドロドロ血液」にもなっています。
このことからわかるように、体や脳にドロドロ血液が流れるなんて、はっきりいって機能が低下するのは必然であり、体の構造から見て、ベストな判断、集中力、パフォーマンスが発揮できないのは当然ということです。
また、怒りだけではなく不安や緊張といった状況も自律神経のバランスが悪くなることがわかっているそうです。
また別の見方で、睡眠の質が低下すると夜寝ている間に副交感神経が十分に高まらないので、体がしっかりとリラックスし、休息することができないそうです。
そんな状態で朝を迎えると、今度は交感神経が優位になりますが、副交感神経が極端に低い状態だと、非常にバランスの悪い一日を過ごすことになります。
つまり、わたしたちの生活や行動パターン、気分や感情は自律神経とものすごく密接につながっていて、ほんのちょっとでもストレスに感じたり生活習慣の乱れから自律神経も乱れてしまいます。
しかし、ストレスを避け、行動パターンや生活習慣を見直すと、自律神経も整い、それにともない体のコンディションも整えることができます。
つまり、自律神経の基本構造を知ったうえで、日常生活の中で実践できる「整え方」を理解すれば、自身のコンディションやパフォーマンスは確実にアップするというわけです。



自律神経の整え方は本書でも書かれていますが、以前、樺沢紫苑先生の著書『神・時間術』の書評でもブログを書きましたので、ご参照いただけたらうれしいです。


時間を整える
午前中の「勝負の時間」を無駄にしない
「重要なことは午前中に」とは、いろんなビジネス書で書かれている内容です。つまり、午前中は一日の中で一番集中力が高く効率のよい時間帯なのです。
コンディションを整えるのと同時に「コンディションに合わせた時間の使い方」もとても大事な要素です。
そもそも、人間には「集中力が高まる時間」「ものを考えるのに適した時間」があります。
それは午前中。
多くの人が9時から10時くらいに出社すると思いますが、それから昼までの時間がもっとも集中力が高く、ものを考えたり、創造的な作業をするのに向いています。
そうした、いわば「勝負の時間」にメールチェックしたり、重要度の低い会議やミーティングをするのは、はっきり言って時間の無駄。
仕事の質を高め、効率を上げたいと思うなら、やはり「体の状態」と「仕事内容」のマッチングを見直すべきです。
と、このように小林先生もおっしゃられています。
そこで、効率のよい時間の使い方を伝授してくれています。
せっかくの「勝負の時間」に、「さあ、これから何をしようか」と考え始めるのも、じつにもったいない時間の使い方。
「何をするかは」は最低でも前日に考えておいて、「勝負の時間」が始まったら、すぐに作業を開始できる状態にしておくことがポイントです。
そして、この項ではないのですが、もうひとつ提案されています。
午前中の「勝負の時間」とは真逆で、昼食後の2時間はほとんど仕事がはかどらないノンファンクション(非機能)な時間帯だと思ってください。
そもそも動物は食事をしたらゴロンと横になって休むのが自然の姿。食べたものを消化するための時間ですから、当然、体はその作業に集中しようとしています。
そんな体の構造に逆らって、「効率よく仕事をしよう」「集中力を高めよう」なんてやっても無駄です。
ということです。



つまり、「集中する時間」と「リラックス時間」のメリハリをつけるということですね。
アクシデントが起こったら「次の予定」をあきらめる
どんな仕事をしている人にも予想外のアクシデントは起こります。すぐに対処しなければならない緊急の用事が飛び込んでくることもあるでしょう。
緊急の用事というのは、忙しいときこそ入ってくるものです。
さて、その際に最初にやるべきことは何か。
それは間違いなく「次の予定をあきらめる」ことです。
どのような仕事でもトラブルやアクシデントはありますよね。それとすぐに対処しなければならない用事も飛び込んでくることはあるのではないでしょうか。
それもちょうど、予定がいっぱい詰まった忙しいときにこそ起こることはないですか?
そんなときは、「次の予定をあきらめる」という意識が大事です。
トラブルやアクシデントはそもそも緊急性がありますし、後回しにできる程度の用事なら、あとでやればいいだけの話です。緊急性のある用事こそベストコンディションで臨むのが大事というわけです。
そんな大事な局面でしてはいけないことは、「次の予定は大丈夫だろうか」「何時に出れば間に合うか」と考えることです。そのような状態では集中力を乱し、ミスを誘発する恐れがあります。
だから、目の前の事態に集中するために、「次の予定をあきらめ、必要があれば先方にキャンセルの連絡を入れる」という取り決めをしておくことが大事です。



自分の体の状態を整え、100%の力を発揮するために、スッパリと次の予定をキャンセルする・・・緊急時に心の余裕をつくる意識と言えますね
金曜日の夜に「来週必要なモノ」を揃えておく
より高いパフォーマンスを発揮するために一番大事なことは何かと問われれば、私は迷うことなく「準備」と答えます。
優秀な外科医ほど入念な準備をします。NHKの『プロフェッショナル仕事の流儀』にも出演した世界的な小児外科医・山高篤行(やまたかあつゆき)先生も「準備が9割」「手術が始まる前に、すでに結果は決まっている」と話していました。
裏を返せば、「その場しのぎ」というのは、結果としてもっとも自律神経を乱し、仕事のクオリティを落とすやり方です。
そこで小林先生のおすすめが、「金曜日の夜のうちに来週1週間のことを(ざっくりでいいので)シュミレーションして、必要なものを揃えておく」という方法です。
たとえば、「火曜日に会議がある」なら、そのための資料は揃っているか、会議で発表するとしたら、そのための内容はまとまっているか、練習はしてあるか・・・といったシュミレーションが、心の余裕をつくります。
このことは、小林先生もスポーツ選手に対してのメンテナンスやアドバイス、メディア出演などのさまざまな仕事に活用しスムーズでクオリティの高いものにするため、金曜日の時点で「来週の流れ」をシュミエーション及び必要な準備をしているそうです。



なにごとも入念な準備がスムーズでクオリティの高い仕事をするには大事ということですね。
人間関係を整える
人の評価は口にしない
ストレスの9割は人間関係にある
ストレスを抱えると体のコンディションはどんどん悪くなりますから、コンディショニングの側面から見ても人間関係の改善は不可欠です。
そこでオススメしたいのが「人の評価は口にしない」ということ。
人の悪口を言うことで日ごろの鬱憤を晴らす人もいますが、長い目で見れば、そういう人のほうがより多くのストレスを抱え、自らのコンディションを崩しているように感じます。
たしかにそうですよね。
精神上、人の悪口は日頃から言わないのがいいのですが、あまりよく思っていない人であっても、無理にほめようとしたら、それ自体がストレスになり、コンディショニングにいい影響を与えません。
そこで小林先生は、数年前から誰かの話題がのぼったときは「よく知らないんですよ」とか「いや、あまりよくわかりません」というように決めているそうです。
そうです!
この「決めておく」というのが大事なポイントだと言われています。
「知らない」「わからない」というスタンスで、人の評価は口にしないというのが、結果的に自律神経を整える最高の対応であると小林先生はご自身の経験から言われるのです。



誰でもそうだと思いますが、なかなか聖人君子にはなれません。
人をほめるにしても「好きなれない人」をほめるのはストレスになるだけです。
だから、あえて「知らない」「わからない」は、カドも立たず気持ちをザワザワさせずに済みますね。
もちろん、心から「すばらしい」と思っている人のことはほめなきゃね。
「参加・不参加」の返事は一日経ってから
どんな誘いにせよ「これは本当に行くべきか?」「行くことに、どんな意味や目的があるのか?」とじっくり考えてから参加・不参加を決める。
すると、その決断自体に納得感と自信が生まれます。
意味や目的をきちんと考えた上で行った決断というのは、後々ブレることがありません。
パーティや飲み会、食事会などの誘いを受けることは、けっこうあるのではないでしょうか?
最初は、安請け合いというか、あまり考えずに「参加」と返事をしてみたものの・・・後になって「ああ、面倒だなあ」と思うときもありますよね。
行きたくもない飲み会にストレスをかかえていたら、もうその日のコンディションは最悪です。集中力は下がっているし、何をするにもモチベーションが上がりません。
一番の問題は「飲み会に参加する」という返事をしたものの、それについての覚悟がしっかりできていない点だと小林先生は言います。
そこで、こうした事態を回避するために、誘いを受けたら、絶対に即答はせず最低一日は考えるようにと言われています。
これも体のコンディショニングに有効な手段ですね。



わたしもあまり気乗りしない飲み会に即答して後悔したことがけっこうあります。
後から考えてみたら自分にとって有益でもないことに気づいたりして、即答することの無謀さを感じていました。
即答を避けるは自分を守るために大事な術ですね。
我慢が前提の人脈は断ち切る
ビジネスには人脈が大事。
これはたしかにひとつの真実です。ビジネスに限らず、昨今は「どれだけ人脈を持っているか」「どんなコミュニティに属しているか」「どのくらい人を集められるか」といった部分がその人の価値を決めている。そんな傾向すら感じます。
ただし、その一方で「人脈づくり」「ネットワークの構築」に重きを置きすぎて、大きなストレスになっている人も少なくありません。
人間関係を見直すという意味でも、ぜひとも自問してほしいことがあります。
それは「ストレスを抱え、自らのコンディションを崩してまで、大事にするべき人脈ですか?」という問いです。
たしかに人脈づくりは大事だとわたしも思います。仕事での成功に人脈は大いに関係すると言えます。でも、自分を殺してまでつなぎ止めなければいけない人間関係って、長い目で見て意味があるでしょうか?
それらの相手、ネットワークは、自分のコンディションやパフォーマンスを上げてくれなければ、長続きもしないし、自分自身の成長も期待できません。
そもそも「我慢しなければつき合いできない相手」なんて、どう考えてもストレス以上に健康に害するばかりだと考えます。つまり、本当の意味で自分のためにはならないということです。
真に大事なのは人脈の広さやネットワークの大きさではなく本当の意味で「自分を高めてくれる存在」に着目するべきと小林先生は言います。



わたしも以前はSNSで意味のないフォローを繰り返していましたが、最近は反省して真に自分を高めてくれる人だけをフォローするようにしました。
本当に自分のモチベーションを上げようと思ったら、無意味な人づきあいは避けるべきです。
メンタルを整える
「怒らないと決めておく」だけで怒りの20%は減る
何年か前からアンガーマネジメントはひとつのトレンドになっています。世の中には、怒りをマネジメントしようとするさまざまな考え方や方法論があります。
怒りは自律神経を乱しますから、怒っていいことなどひとつもありません。
怒りを感じたら、とにかく黙る。
前項で紹介した方法ですが、もうひとつオススメのシンプルなやり方があります。
それは、「怒らないと決めておく」ことです。
どうしても生活していたら起こりたくなる場面ってありますが、「怒りは損気」ということで、最初から「怒らない」と決めておけば怒りの20%は収まるそうです。
それでも・・・人間だから、怒ってしまうことはありますよね。そんなときは後で「怒らないと決めていたのに、怒ってしまった」と思い返せば怒りはマネジメントできるようになるそうです。
人間そもそも「あなた=わたしではない」で生きています。怒りの原因の多くは、自分の考えや価値観を他人にも押し付けることで発生すると言われています。
だから、自分の価値観とは違ったりモラルに反することを言われたり、やられると怒りがこみ上げてくるのです。ですので、「自分と同じ考えでなくてはいけない」などと考えずにやり過ごすことも自身のメンタルを守ることになります。



わたしも理不尽なことを言われたりやられたら、怒りがこみ上げてきますが、「怒らない」と決めて、今後の生活に活かしていこうと思います。
落ち込んだら迷わず「階段を上り下り」
「怒られて、落ち込んでいる」という時点で、自律神経は乱れ、体のコンディションは最悪。そんな状態で仕事をしても、効率が上がるはずもなく、さらなるミスを誘発するだけです。
「イライラしているとき」「気分が乗らないとき」もそうですが、「さあ、気持ちを入れ替えて、がんばろう!」などと自分に言い聞かせ「気持ちで何とかしよう」とするのはあまりこうかがありません。
メンタルの問題を、メンタルで処理しようとしてはいけないのです。
この状態を乗り切る方法として小林先生は、「運動」することをすすめています。とにかく「おちこんだり」「集中力がきれた」ときには、体を動かすことが一番なのです。
小林先生の一押しが階段を1、2階分上がったり、下がったりすること。体を動かすことで血流が良くなり、疲れない程度の運動は、そのリズミカルな動きによって副交感神経が高まり、自律神経のバランスが良くなるからです。
たしかにミスしたときの後処理の問題とかあるかもしれませんが、まずはメンタルが整ってからのほうが、いい方法が見つけやすいと思います。



わたしも仕事でミスしたら落ち込んでしまい、気分がすぐれないまま仕事をつづけてもうまくいかないスパイラルにハマったことが幾度もあります。
経験を積めばミスの頻度も少なくなり、対応できるようになりますが、この「体を動かす」という方法は精神的にとても良いと思います。
自分でも実践したいし、人にもすすめたいですね。
誰も信用しない
仕事でもなんでも、他人を信頼する気持は大切です。
「人間はひとりでは生きていけない」というのは、昔から引き継がれた大切な教えで、支え合って生きてきた先人の知恵と言えます。
つまり、人間は信頼関係をもって集団生活をしてきたと言えるのです。ですが、時としてあまりに他人に期待しすぎて怒ったり、がっかりしたことはないでしょうか?
小林先生は、「期待」とか「信用」も、他人に対しての依存が強ければ強いほど、メンタルに対する影響度が高いと言われます。
だから、最初から「誰も信用しない」ということにし、起こりえるミスや期待の裏切りは、全部「自分の責任」ということにしているそうです。
ストレスの9割は人間関係。これは間違いありません。
そして、人間関係のストレスのうち、ほとんどが「相手に対する期待」から生じていることに気づいているでしょうか。
・・・・中略・・・・
人を信頼し、期待するのは人間的に美徳です。
しかし、自らのコンディションを整え、常に高いパフォーマンスを発揮する上では、あまり得策ではありません。
大事なのは「Don’t believe anybody.」の精神。
「誰も信用しない」とは、一見クールで、人でなしのように感じるかもしれませんが、「すべては自分の責任である」という覚悟の表れと考えることもできます。
先ほど、「「怒らないと決めておく」だけで怒りの20%は減る」の項で、「あなた=わたしではない」というふうに、自分の考えや価値観を他人にも押し付けないと言いました。
ですので最初から他人に対して「期待しない」としておけば気分的に楽だし、腹を立て、自律神経を乱すことがありません。
つまり、気に入らない上司がいようが、悪口ばかり言う同僚がいようが、後輩がミスをしようが、取引先が勝手なことを言おうが、いつ、どこで、どんなミスが起ころうが、すべては自分の責任ということにするのです。
大事なのは、どんな状況下でも、ストレスフリーで、ベストなパフォーマンスを発揮することで、そのためにあえて「他人に期待しない」は、メンタル的に大きな支えになってくれます。



両学長の原因自分論と同じ考え方ですね。
わたしも心得てはいますが、やはり、人間は感情の動物ですから、なかなかアンガーマネジメントできません。
でもこれからも意識だけは続けていきたいと思います。
『整える習慣』の感想・まとめ
「実力をつける」より「今の実力を出し切る」方法を知る
本書は、小林先生が提唱する108のアドバイスを親切丁寧に解説されています。
どの人も向上心を持って努力し「実力をつける」ことには意識が向くのに、いざ本番で「実力を出し切る」ためのコンディショニングについては、あまり意識していないという話を聞き、まことにそうであるなと納得しました。
緊張したときには「血がドロドロ」なんて、想像しただけでもゾッとしますね。それくらい体というものは意思に反してデリケートということです。
自律神経は、自分でコントロールできない部分です。ですから、なるべく自律神経のバランスを崩さない生活習慣とメンタルコントロールが大事です。
これは、学生さんやビジネスマン必須のスキルであるとともに年齢層の低い学校教育においても重要ではないかと思います。
なぜなら、彼らは少なからず何かに挑戦しています。努力するということは素晴らしいことですが、「努力を美学」に終わらせずに「努力を成果」として、実体験を重ねてほしいからです。
そういった面においても、一家に一冊の実用書ではないでしょうか?




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