
こんにちはコウカワシンです。
今回、古典の名著『人を動かす』から学ばせていただきます。
『人を動かす』は、アメリカの小説家で評論家のデール・カーネギー氏の著書で、1936年発刊の自己啓発書です。デール・カーネギー氏の存命中には、たゆまず改訂を加えられ、時勢の移り変わりにそった内容を反映されました。
現在でも世界的に愛読者も多く、内容におさめられた原則を応用して、人生をゆたかにする努力をされています。わたしもその一人としていままでに数回読んでいるほどの愛好家です。
なお、『人を動かす』は、聴く読書としてamazonオーディブルとオトバンクのオーディオブックで聴くことができます。
この機会にぜひ、ご利用ください。
『人を動かす』はどんな本?
本書の目次
『人を動かす』
PART1. 人を動かす三原則
PART2. 人に好かれる六原則
PART3. 人を説得する十二原則
PART4. 人を変える九原則
付. 幸福な家庭をつくる七原則
著者の紹介
デール・ブレッケンリッジ・カーネギー
1888年 アメリカ ミズーリー州生まれ
雑誌記者、俳優、セールスパーソンなど、様々な職業を経て、YMCA 弁論術担当となり、やがてD.カーネギー研究所を設立。
人間関係の先覚者として名声を博す。
1955年、66歳で死去。
本書の内容
本書の内容は、ズバリ!「人間関係を円滑にするための接し方の心得」を30原則にまとめた本であります。
『人を動かす』は、誰におすすめか?
本書がおすすめな人はこのような人です。
『人を動かす』がおすすめな人
- 対人関係でもめたくない人
- ビジネスで成功したい人
- 家族や知り合いとより親密になりたい人



「人間関係を円滑にするための心得」30ポイントには、納得のいくキーパーソンがぞくぞくと出てきますが、どれも実生活ではありうることばかり。ですので、すべての人に目を通してほしいものです。
『人を動かす』の要点



それでは、『人を動かす』の30の原則をたどっていきたいと思います。
人を動かす三原則
人を動かす原則
- 盗人にも五分の理を認める
- 重要性を持たせる
- 人の立場に身を置く
1. 盗人にも五分の理を認める
人間はたとえ自分が間違っていても決して自分が悪いとは思いたがらないものだということが、わかりかけてきた。
「盗人にも五分の理を認める」より
他人のあら探しは、なんの役にも立たない。
相手は、すぐさま防御体制ををしいて、なんとか自分を正当化しようとするだろう。
それに、自尊心を傷つけられた相手は、結局、反抗心をおこすことになり、誠に危険である。
いくら自分が正しいと思って、相手のまちがいを指摘しても相手の理解は得られない。
だから、批判も非難もしてはいけない。気持ちをこらえてがまんする。
2. 重要性を持たせる
リンカーンの書簡に「人間はだれしもお世辞を好む」と書いたのがある。
「重要性を持たせる」より
優れた心理学者ウィリアム・ジェームズは、「人間の持つ性情のうちでもっとも強いものは、他人に認められることを渇望する気持である」という。
ここでジェームズが、希望とか要望とか待望とかいう、なまぬるい言葉を使わず、あえて「渇望する」といっていることにちゅういされたい。
相手の優れているところを心からの賛辞を示して、相手の自己重要感を満たそう。
3. 人の立場に身を置く
夏になると、わたしはメーン州へ魚釣りにゆく。
「人の立場に身を置く」より
ところで、わたしはイチゴミルクが大好物だが、魚はどういうわけかミミズが好物だ。だから魚釣りをする場合、自分の好物のことは考えず、魚の好物のことを考える。
イチゴミルクをえさに使わず、ミミズを針につけて魚の前に差し出し、「ひとつ、いかが」とやる。人を釣る場合にも、この常識を利用していいわけだ。
相手の立場に立って、今一番望んでいるものを考える。そして相手の利益と自分の利益を一致させよう。
「人を動かす原則」に対するポイント
- 批判も非難もしない。苦情もいわない。
- 素直で誠実な評価を与える
- 強い欲求を起こさせる
人に好かれる六原則
人に好かれる原則
- 誠実な関心を寄せる
- 笑顔を忘れない
- 名前を覚える
- 聞き手にまわる
- 関心のありかを見ぬく
- 心からほめる
1. 誠実な関心を寄せる
相手の関心を引こうとするよりも、相手に純粋な関心を寄せるほうが、はるかに多くの知己が得られるということをティピー(カーネギー氏の幼少の頃の飼い犬)は、不思議な本能から、知っていたのである。
「誠実な関心を寄せる」より
くりかえしていうが、友を得るには、相手の関心を引こうとするよりも相手に純粋な関心を寄せることだ。
ところが、世の中には、他人の関心を引くために、見当ちがいな努力をつづけ、その誤りに気づかない人がたくさんいる。
相手に心からの興味(関心)を持つ。なぜなら、自分に関心を寄せてくれる人に人は関心を持つから。
2. 笑顔を忘れない
笑顔の効果は強力である。
「笑顔を忘れない」より
たとえその笑顔が目に見えなくても、効果に変わりがない。アメリカ中の電話会社が実施しているひとつの企画がある。
❝電話パワー❞と名づけられたこの企画は、サービスや商品を売るのに電話を使うセールスマンたちを対象にするので、「電話でセールスをするときは、笑顔を忘れるな」というのがモットーなのである。
❝笑顔❞は声にのって相手に伝わるというのだ。
人と話すときは笑顔を心がける。なぜなら、笑顔は思った以上に強力な武器になるから。
3. 名前を覚える
人間は他人の名前などいっこうに気にとめないが、自分の名前になると大いに関心を持つものだということを、ジム・フォーレー(元アメリカの郵政長官)は早くから知っていた。
「名前を覚える」より
自分の名前を覚えていて、それを呼んでくれるということは、まことに気分のいいもので、つまらぬお世辞よりもよほど効果がある。
逆に、相手の名を忘れたり、まちがえて書いたりすると、やっかいなことが起きる。
人の名前はとても大事。出会った人の名前は顔や表情、姿などといっしょに記憶しよう。
4. 聞き手にまわる
あのとき、わたしは、ほとんどなにもしゃべらなかったのである。
「聞き手にまわる」より
しゃべろうにも、植物学に関してはまったくの無知で、話題を変えでもしないかぎり、わたしには話す材料がなかったのだ。
もっとも、しゃべるかわりに、聞くことだけは、たしかに一心になって聞いた。心からおもしろいと思って聞いていた。
それが、相手にわかったのだ。
したがって、相手はうれしくなったのである。こういう聞き方は、わたしたちがだれでも与えることのできる最高の賛辞なのである。
聞き手に徹するメリットは、相手が自分の話に興味を持ってくれていると親密感を持ってくれるところ。
5. 関心のありかを見ぬく
セオドア・ルーズヴェルトをたずねたものは、だれでも彼の博学ぶりにおどろかされた。
「関心のありかを見ぬく」より
ルーズヴェルトは、相手がカウボーイであろうと義勇騎兵隊員であろうと、あるいはまた、政治家、外交官、その他だれであろうと、その人に適した話題を豊富に持ち合わせていた。
では、どうしてそういう芸当ができたか、種をあかせば簡単だ。ルーズヴェルトは、だれかたずねてくる人があるとわかれば、その人のとくに好きそうな問題について、前の晩におそくまでかかって研究しておいたのである。
ルーズヴェルトも、他の指導者たちと同じように、人の心をとらえる近道は、相手がもっとも深い関心を持っている問題を話題にすることだと知っていたのだ。
誰かと会うときは、事前にその人について学習しよう。
6. 心からほめる
人間の行為に関して、重要な法則はひとつある。
「心からほめる」より
この法則にしたがえば、たいていの紛争は避けられる。これを守りさえすれば、友はかぎりなくふえ、常に幸福が味わえる。
だが、この法則を破ったとなると、たちまち、はてしない紛争に巻き込まれる。
この法則とは~「常に相手に重要感を持たせること。」
良いところをほめる。相手に重要感を持ってもらえるように。
「人に好かれる原則」に対するポイント
- 誠実な関心を寄せる
- 笑顔で接する
- 名前は、当人にとって、もっとも快い、もっともたいせつなひびきをもつことばであることを忘れない
- 聞き手にまわる
- 相手の関心を見ぬいて話題にする
- 重要感を与える 誠意をこめて
人を説得する十二原則
人を説得する原則
- 議論を避ける
- 誤りを指摘しない
- 誤りを認める
- 穏やかに話す
- ❝イエス❞と答えられる問題を選ぶ
- しゃべらせる
- 思いつかせる
- 人の身になる
- 同情を持つ
- 美しい心情に呼びかける
- 演出を考える
- 対抗意識を刺激する
1. 議論を避ける
議論は、ほとんど例外なく、双方に、自説をますます正しいと確信させて終わるものだ。
「議論を避ける」より
議論に勝つことは不可能だ。もし負ければ負けたのだし、たとえ勝ったにしても、やはり負けているのだ。
なぜかといえば・・・仮に相手を徹底的にやっつけたとして、その結果はどうなる?
やっつけたほうは大いに気をよくするだろうが、やっつけられたほうは劣等感を持ち、自尊心を傷つけられ、憤慨するだろう。
「議論に負けても、その人の意見は変わらない。」
議論は無意味に終わる可能性が大きい。だから、相手が議論をふっかけてきても応じない。
2. 誤りを指摘しない
人を説得したければ、相手に気づかれないようにやることだ。だれにも感づかれないように、巧妙にやることだ。
「誤りを指摘しない」より
これについてアレキサンダー・ホープ(イギリスの詩人)は、こういっている。
「教えないふりして相手を教え、相手が知らないことは、忘れているのだといってやる。」
三百年以上もむかし、ガリレオはこういった。
「人にものを教えることはできない。みずから気づく手助けができるだけだ。」
チェスターフィールド卿(イギリスの政治家・外交官)が息子に与えた処世訓のなかに、つぎのような一説がある。
「できれば、人よりかしこくなりなさい。しかし、それを、人に知らせてはいけない。」
ソクラテスは弟子たちに、こうくりかえし教えた。
「私の知っていることはひとつだけだ。 自分が何も知っていないということ。」
相手がまちがったことを言っても反対して誤りを指摘してはいけない。指摘せずに「自分としてはこう思うのですが~」と誤りを気づいてもらう。
3. 誤りを認める
自分が悪いと知ったら、相手にやっつけられる前に自分で自分をやっつけておいたほうが、はるかに愉快ではないか。他人の非難よりも自己批判のほうがよほど気が楽なはずだ。
「誤りを認める」より
自分に誤りがあるとわかれば、相手のいうことをさきに自分でいってしまうのだ。そうすれば、相手には何もいうことがなくなる。十中八、九まで、相手は寛大になり、こちらの誤りを許す態度に出るだろう。
自分に誤りがあった場合は、すぐに快く、誤りを認めよう。
4. おだやかに話す
腹が立ったとき、相手を思いっきりやっつければ、さぞかし胸がすくだろう。だがやっつけられたほうは、同じように胸がすくだろうか?
「おだやかに話す」より
けんかごしでやっつけられて、気持ちよくこちらの思い通りに動いてくれるだろうか?
自分の意見をいきなり押し付けてはいけない。相手を尊重しあたたかく接する
5. ❝イエス❞と答えられる問題を選ぶ
「相手にいったん❝ノー❞といわせると、それをひっこめさせるのは、なかなか容易なことではない。
「❝イエス❞と答えられる問題を選ぶ」より
❝ノー❞といった以上、それをひるがえすのは、自尊心が許さない。❝ノー❞といってしまって、後悔する場合もあるかも知れないが、たとえそうなっても、自尊心を傷つけるわけにはいかない。
いい出した以上、あくまでもそれに固執する。だから、はじめから❝イエス❞といわせる方向に話を持って行くことが、非常にたいせつなのだ。」
ものごとは、相手が同意していることから話を始めて、相手の心理を肯定的な方向に持って行く。
6. しゃべらせる
友だち同士の間柄でも、相手の自慢話を聞くよりも、自分の手柄話を聞かせたいものなのだ。
「しゃべらせる」より
フランスの哲学者ラ・ロシュフーコーのことばに、こういうのがある~
「敵をつくりたければ、友に勝つがいい。見方をつくりたければ、友に勝たせるがいい。」
その理由、人間はだれでも、友よりすぐれている場合には重要感を持ち、その逆の場合には、劣等感を持って羨望や嫉妬を起こすからである。
相手の話を聞き手に徹しよう。決して途中で口を挟まないようにする。
7. 思いつかせる
人に押しつけられているのだとか、命令されているのだとかいう感じは、だれにしろいやなものだ。
「思いつかせる」より
それよりも、自主的に行動しているのだという感じのほうが、はるかに好ましい。自分の希望や欲望や意見を人に聞いてもらうのはうれしいものだ。
相手に意見を押し付けるのではなく、こちらの意図に気づきやすくするヒントやキーワードを伝える。
8. 人の身になる
相手はまちがっているかも知れないが、彼自身は、自分がまちがっているとは決して思っていないのである。
「人の身になる」より
だから、相手を非難してもはじまらない。非難は、どんなばか者でもできる。理解することにつとめねばならない。
賢明な人間は、相手を理解しようとつとめる。
相手の立場を理解し、「もし自分が相手だったら、どう感じ、どう反応するだろうか?」と相手の身になるようにつとめる。
9. 同情を持つ
口論や悪感情を消滅させ、相手に善意を持たせて、あなたのいうことを、おとなしく聞かせる魔法の文句を披露しよう~
「同情を持つ」より
「あなたがそう思うのは、もっともです。もしわたしがあなただったら、やはり、そう思うでしょう。」こういってはなしをはじめるのだ。
どんな意地悪な人間でも、こういうふうに答えられると、おとなしくなるものだ。しかも相手の立場になれば、当然相手と同じ考えを持つわけだから、この文句には百パーセントの誠意がこもるはずだ。
相手に同情することで、相手の反対心を緩和させる。
10. 美しい心情に呼びかける
アメリカの大銀行家であり、美術品収集家として有名なJ・P・モルガンは、人間の心理を分析して「通常人間の行為にはふたつの理由がある。ひとつは、いかにも美しく潤色された理由、いまひとつは真実の理由である」といっている。
「美しい心情に呼びかける」より
真実の理由は、ほかのものがとやかくいわなくても、当人にはわかるはずだ。
人間はだれでも理想主義的な傾向を持ち、自分の行為については、美しく潤色された理由をつけたがる。
そこで、相手の考えを変えるには、この美しい理由をつけたがる気持に訴えるのが有効だ。
相手を素晴らしい人格者として捉え、美しい理由をつけて、相手の良心にうったえる。
11. 演出を考える
むかしの男性は、恋人にプロポーズする場合、ただ愛のことばを並べるだけではなく、ひざまずいたものだ。
「演出を考える」より
そして、自分の愛のことばが本心からのものであることを演出したのである。
こんなプロポーズの仕方をする男など今はいないが、愛の告白をする男は、今でもその場にふさわしい、ロマンチックな雰囲気づくりを心がける。
相手に何か頼むときは、相手の興味をひき、相手を楽しませられる演出がないかを考える。
12. 対抗意識を刺激する
ファイアストーン・ゴム会社の創業者ハーヴェー・ファイアストーンはこういう~
「対抗意識を刺激する」より
「給料さえ出せば人が集まり、人材が確保できるとは限らない。ゲームの精神を採り入れることが必要だ。」
人を動かすには、対抗心を燃やすような刺激があった方がいい。
「人を説得する原則」に対するポイント
- 議論に勝つ唯一の方法として議論を避ける
- 相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない
- 自分の誤りをただちにこころよく認める
- おだやかに話す
- 相手が即座に❝イエス❞と答える問題を選ぶ
- 相手にしゃべらせる
- 相手に思いつかせる
- 人の身になる
- 相手の考えや希望に対して同情を持つ
- 人の美しい心情に呼びかける
- 演出を考える
- 対抗意識を刺激する
人を変える九原則
人を変える原則
- まずほめる
- 遠まわしに注意を与える
- 自分のあやまちを話す
- 命令をしない
- 顔をつぶさない
- わずかなことでもほめる
- 期待をかける
- 激励する
- 喜んで協力させる
1. まずほめる
わたしの友人が、あるとき、クーリッジ大統領の招待を受けて、週末をホワイト・ハウスですごした。彼が大統領の部屋に行くと、大統領は秘書をつかまえて、こういっていた~
「まずほめる」より
「今日は、よく似合う服を着てきたね。まったく君は美人だ。」
無口なクーリッジがこんなお世辞をいうのはめずらしい。その娘はどぎまぎして、頬を真赤にそめた。すると大統領は「そんなに固くなることはないよ。気をよくしてもらおうと思っていったのだから。で、これからは句読点にもう少し注意をしてもらいたいね」といった。
彼のやり方は少し露骨だったかも知れないが、人間の心理に対する理解の程度はほめてよい。
われわれは、ほめられたあとでは、苦言もたいして苦く感じないものだ。
相手に対し少しでも優れたところがあればまずほめる。
2. 遠まわしに注意を与える
チャールズ・シュワップがある日の正午に工場を見まわっていると、数人の従業員がたばこを吸っているのに出くわした。彼らの頭上には❝禁煙❞の掲示が出ている。シュワップはその掲示を指さして「君たちは、あの字が読めないのか」といっただろうか?
「遠まわしに注意を与える」より
シュワップはそんなことは絶対いわない。その男たちのそばに行って、ひとりひとりに葉巻を与え、「さあ、みんなで外へ出て吸ってきたまえ」といった。
もちろん彼らが禁を破って悪いと自覚しているのを、シュワップは見抜いていたが、それにはひとことも触れないで、心づくしの葉巻まで与え、顔を立ててやったのだから、彼らに心服されるのは当然の話である。
問題がある場合は、直接的にではなく、間接的に伝え、こちらの要望に気づいてもらう。
3. 自分のあやまちを話す
人に小言をいう場合、謙虚な態度で。自分は決して完全ではなく、失敗も多いがと前置きして、それからまちがいを注意してやると、相手はそれほど不愉快な思いをせずにすむものだ。
「自分のあやまちを話す」より
人に注意をするときは、自分の失敗談を話したあとで注意をすると相手はそれほど不愉快にはならない。
4. 命令をしない
命令を質問のかたちに変えると、気持ちよく受け入れられるばかりか、相手に創造性を発揮させることもある。命令が出される過程に何らかの形で参画すれば、誰でもその命令を守る気になる。
「命令をしない」より
「〇〇しろ!」より「〇〇はどうだろうか?」と意見を求める言い方のほうが相手には聞き入れやすい。
5. 顔をつぶさない
相手の顔を立てる!これはたいせつなことだ。しかも、そのたいせつさを理解している人は果たして何人いるだろうか?
「顔をつぶさない」より
自分の気持ちを通すために、他人の感情を踏みにじって行く。相手の自尊心などまったく考えない。人前もかまわず、使用人や子供を叱りとばす。
もう少し考えて、ひとことふたこと思いやりのあることばをかけ、相手の心情を理解してやれば、そのほうが、はるかにうまく行くだろうに!
相手の自尊心を傷つけないで相手の顔を立てよう。
6. わずかなことでもほめる
われわれには、他人から評価され、認められたい願望があり、そのためにはどんなことでもする。だが、心のこもらないうわべだけのお世辞には、反発を覚える。
「わずかなことでもほめる」より
重ねていう。本書の原則は、それが心の底から出る場合にかぎって、効果をあげる。小手先の社交術を説いているのではない。新しい人生のあり方を述べているのである。
どのような小さなことでも、相手を心から関心できる部分を見つけてほめる。
7. 期待をかける
彼がその美点をそなえていることにして、公然とそのように扱ってやるがよい。
「期待をかける」より
良い評判を立ててやると、その人間はあなたの期待を裏切らないようにつとめるだろう。
相手を信頼し、期待をかけ、いい評判を立ててやる。
8. 激励する
子供や夫や従業員を、ばかだとか、能なしだとか、才能がないとかいってののしるのは、向上心の芽を摘み取ってしまうことになる。
「激励する」より
その逆をいくのだ。大いに元気づけて、やりさえすれば容易にやれると思い込ませ、そして、相手の能力をこちらは信じているのだと知らせてやるのだ。
そうすれば相手は、自分の優秀さを示そうと懸命にがんばる。
相手の欠点を指摘するのは反抗心を持たれるだけ、激励して長所をほめる。
9. 喜んで協力させる
人を変える必要が生じた場合、次の事項を考えてみるべきだ。
「喜んで協力させる」より
1. 誠実であれ。守れない約束はするな。自分の利益は忘れ、相手の利益だけを考えよ。
2. 相手に期待する協力は何か。明確に把握せよ。
3. 相手の身になれ。相手の真の望みは何か?
4. あなたに協力すれば相手にどんな利益があるか?
5. 望み通りの利益を相手に与えよ。
6. 人にものをたのむ場合、そのたのみが相手の利益にもなると気づくように話せ。
相手が気持ちよく動けるように工夫して、自ら喜んで協力したくなるようにする。
「人を変える原則」に対するポイント
- まずほめる
- 遠まわしに注意を与える
- まず自分の誤りを話したあと相手に注意する
- 命令をせず、意見を求める
- 顔をたてる
- わずかなことでも惜しみなく心からほめる
- 期待をかける
- 激励して、能力に自信を持たせる
- 喜んで協力させる
幸福な家庭をつくる七原則
幸福な家庭をつくる原則
- 口やかましくいわない
- 長所を認める
- あら探しをしない
- ほめる
- ささやかな心づくしを怠らない
- 礼儀を守る
- 正しい性の知識を持つ
1. 口やかましくいわない
ニューヨークの家庭裁判所に十一年間つとめていたベシー・ハンバーガーは、数千件の離婚訴訟を調べた結果、夫が家を出るおもな原因は、妻が口やかましいからだといっている。
「口やかましくいわない」より
また、ボストン・ポスト紙はこういう~
「世の妻たちは、口やかましい小言によって、結婚の墓穴を掘りつづけている」
口やかましさは、相手の心の休まる場所を奪ってしまう可能性があるのでひかえる。
2. 長所を認める
たしかに彼女は完全な妻ではなかった。だが、ディズレーリ(イギリスの政治家)は、彼女の長所を十分にのばしてやるだけの賢明さを持っていたのである。
「長所を認める」より
へまをしてもとがめたりせず、長所を見つけ、それを認める
3. あら探しをしない
離婚問題研究の権威者ドロシー・ディックスの語るところによると、世のなかの結婚のうち、五十パーセント以上は失敗に終わっているそうだ。新婚の夢が破れ、離婚の憂き目を見る原因のひとつは、あら探しをすることだという。
「あら探しをしない」より
家庭ではいっさいとがめだてせず、気づいてもらうように努力する。
4. ほめる
バックスター(映画俳優)はこう語っている。
「ほめる」より
「彼女は、舞台で喝采を受ける機会を失った。だが、彼女は、いつもわたしの喝采を受けている。女性が夫によって幸福を与えられるとすれば、その幸福は、夫の賞賛と愛情以外のどこにもない。そして、その賞賛と愛情が真実のものであれば、それによって夫の幸福もまた保証される。」
無関心はいけない。
5. ささやかな心づくしを怠らない
有名なリーノーの町の離婚法廷は週六日間開廷され、ここで認められた離婚の割合は、アメリカ夫婦の一割にのぼっている。そのうち、絶対に離婚の必要があると思われるものはごく少数で、たいていは、ささやかな愛情を出し惜しんだことが、おもな原因だ。
「ささやかな心づくしを怠らない」より
ささやかな心遣いが夫婦円満の鍵。帰りがけにバラを2、3本買って帰ってみよう。
6. 礼儀を守る
無作法は愛情を破壊するがんだ。それくらいのことは、だれでも知っているはずだが、とかく、家のものに対しては、知らない人に対する場合よりも無作法にふるまう。
「礼儀を守る」より
親しき中にも礼儀あり。
7. 正しい性の知識を持つ
バターフィールド神父のもとで結婚式をあげる新郎新婦は、彼とこの問題について率直に語りあわなければならないことになっていた。その結果、性的に無知な人間が多いことが判明したのだという。
「正しい性の知識を持つ」より
彼はまたこういう~
「結婚生活を幸福にする要素はいろいろあり、性の問題は、そのひとつにすぎない。だが、性の均衡が破れると、ほかの要素はいっさいむだになる。」
正しい性の知識を得るにはどうすればよいか?・・・彼はこう答える~
「結婚生活の考え方と実際について、割り切った態度で、遠慮なく論議を重ねることだ。いちばん良いのは、性知識を正しく教える適当な書物を読むことだ。」
夫婦円満の鍵は「正しい性の知識」を持つこと。
「幸福な家庭をつくる原則」に対してのポイント
- 口やかましくいわない
- 長所を認める
- あら探しをしない
- ほめる
- ささやかな心づくしを怠らない
- 礼儀を守る
- 正しい性の知識を持つ
『人を動かす』の感想・まとめ
世渡り上手になろう!
人間関係とは、いつの世も複雑で、何かこじれると解決するのも困難です。
なぜなら、誰しも「自分は間違っていない」と思っているからです。それぞれに正義の心があり、それに応じての行動は「理解」という妥協点がないと決してうまくいくことはないでしょう。
最近では、人とうまく付き合うための心理学を記した本がたくさん紹介されるようになりました。どの本も「他人の心(気持ち)をこちらに向かわせるのは困難だから気にしてもしかたがない」的なことを書いています。
これは、「馬を水場に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない。水を飲む飲まないは馬の意思だから。」によく似た考えですよね。
戦国武将の徳川家康の「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」といった相手の気持ちが変わるまでの間ジッと我慢の子では、なかなか埒のあかない場合もあります。
本書は、それよりもっと踏み込んだ考えにあると思います。
それは、「人間関係・・・どのように仕向けたら相手と争わずにものごとがスムーズにいくかなあ?」といった常に前進を試みる姿勢にあるからです。
こんな時に「原因他人論」ではなく「原因自分論」で考えれば、自分の裁量でものごとをコントロールできる案も考え出せ、相手に敵対心や反抗心を持たれずにやり過ごすことができます。
まるで、豊臣秀吉の「鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス」ですね(笑)
そういった意味で本書は、「世渡り上手塾」の教科書及び参考書になると感じます。誰もが求めるのはいざこざではなく、円滑な人間関係なはずです。
ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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