
こんにちはコウカワシンです。
今回は、新井平伊(あらい・へいい)さんの著書『脳寿命を延ばす』から学ばせていただきます。
皆様にお伺いします。
最近、「もの忘れがひどくなった」ということはありませんか?
年齢を重ねるごとに記憶力のほか、判断力や適応力などが衰え、物忘れも次第に増えていきます。
「これって認知症かも?」と心配される人もいると思います。
けど、歳をとっての「もの忘れ」と認知症の「もの忘れ」は違うそうです。
たとえば、
歳をとっての「もの忘れ」は、「財布をどこにしまったっけ?」「明日だと思っていた約束が今日だった」といったものなのに対し、認知症の「もの忘れ」は、「財布をしまったことを忘れる」「約束をしたことを覚えていない」といった、それ自体を覚えていない状態なのです。
まあ、歳をとっての「もの忘れ」は、生活に支障はありませんが、認知症となると厄介ですね。
周りの人のサポートなしでは生活ができなくなってしまいます。
日本は超高齢化社会になりつつあります。
平均寿命が年々延び、男女とも80歳を超えました。
「人生100年」が本当に現実味帯びてきました。
これも医療の進歩と健康意識の向上がもたらしたものですね。
今は、まだまだ新型コロナウィルス感染症が猛威を振るうもの、これまでの感染症克服事例などをみても、必ず抑え込むことができると信じていますし、がんなどの病気も早期発見や治療法の進歩により「死」の病気ではなくなりつつあります。
人生で日常生活に制限なく暮らせる期間を「健康寿命」と言いますが、身体の健康については機能を長く維持できるようになってきました。
しかし、「脳の健康寿命はどうか?」なのです。
身体の健康に比べると追いついていないのが現状であると言えます。
先ほども言いましたが、脳自体の病気は、早期発見と治療法の進歩で補えるようになりましたが、脳の健康寿命の悪化は認知症という形で現れます。
それはまだまだ「脳の仕組みについて」十分にわかっていない点にあると言われています。
けど、「脳の寿命」も身体と同じように、健康な働きを維持したまま延ばせないものでしょうか?
そんな思いで考えているとヒントになる本に出会いました。
『脳寿命を延ばす』新井平伊著
著者の新井平伊氏は、順天堂大学医学部名誉教授で、精神科医、専門は老年精神医学という、まさにその道の研究者であります。著書は他に「アルツハイマー病のことがわかる本」があります。
新井先生は、「認知症の完全なる予防はできないが、なるべく発症しないようにすることは可能」と言います。
新井先生の『脳寿命を延ばす』から学んでみたいと思います。
『脳寿命を延ばす』から学ぶこと
本書の目次
『脳寿命を延ばす』
序章 身体と脳の寿命はアンバランス/なぜ身体の寿命に脳は追いつけないのか
第1章 能の謎を知る/まだまだその正体はわかっていない
第2章 能が老化する仕組み、それを予防する方法
第3章 脳の健康寿命をいかに延ばすか
第4章 脳寿命を延ばすノウハウ(実践編)
第5章 脳に効く、食とサプリはあるのか?
第6章 脳の最先端医療はどこまできたか/アミロイドPETの効用
終章 脳を知ることは健康寿命を延ばすこと
本書の目的とターゲット
本書の目的
「これからの長寿社会で少しでも認知症リスクを抑え、健康ではつらつとした生活を送れるためにできることをやろう」
ターゲット
本書のターゲットは、
全国民
です。
『脳寿命を延ばす』 の要点
本書では「認知症にならない18の方法」を紹介されています。
この中から、独断で選ばせて紹介します。
脳に効く食べ物はない
脳に対して一番リスクになるのは、血管の弱さです。
血管の健康状態は生活習慣によって左右されます。
食事はバランス
データー的に見て、魚をよく食べる人や大豆製品を好む人が認知症になりにくいと言われていますが、医学的に見て、これらを食べたら脳が発達するとか認知症にならないといった、特効薬のような食べものはないそうです。
体にいいからといった理由で、ある一定の食べものばかり食べていては、栄養に偏りができるのと同時に弊害も生まれるとのこと。
たとえば、ポリフェノールを含むワインは、飲み過ぎればアルコールの害があるということです。
一方で、コレステロール値が高いものはよくないのですが、コレステロール自体は脳の神経細胞の組成に必要なのです。
それは伝達に関わる部分が、脂質からできているからです。
しかし、摂り過ぎるとコレステロールが血管に溜まり、血流が滞る原因にもなるといった具合になるのです。
結局は、身体にも良い、脳にも良いといったバランスのいい食事が良いと言えます。
肉も食べ、野菜も食べ、魚も食べることが第一なのです。炭水化物ダイエットがブームですが、お米は昔からの食べ物で日本人の体質には必要です。
生活習慣病の予防や悪化防止をするには、極端な「摂り過ぎ」とか「制限」はやめるべきなのです。
食生活を見直す3つのポイント
食生活を見直すポイントは、
- 栄養バランス
- 食べ方
- 食べる量
です。
栄養価が偏らず、食べるときは野菜から食べ、適量を食べる。
食べる量を決める基準は、体重です。
生活習慣病を防ぐには、「太らない」ことが大事なのです。
「体重(kg)」÷「身長(m)」×「身長(m)」で割り出すBMIが23前後になるのがその人に合った良い食事量と言えます。
毎日の飲酒をやめる
正直ショックな話ですが、毎日の飲酒は、脳にダメージを与えるそうです。
酒は、タバコにくらべて、身体にストレートに影響を与えないものの脳にとっては影響大なのだそうです。
なぜなら、酒は神経毒であり、脳萎縮(いしゅく)を着実に進めるからだそうです。
「休肝日」という言葉通り肝臓の負担を軽減するとともに脳にもいいことなのです。
最近、物忘れしてませんか?もしそうならお酒をひかえるか、やめてしまうのが良いそうですよ。
その段階で思い切ることができたら、まだ認知症になる前ですから回復が見込めるそうです。



お酒好きだから、なかなかやめられないけど、毎日の飲酒はやめようと思います。
トランプ、囲碁、マージャンなどの対人ゲームは、脳の老化防止に効く
最近、脳トレとかの書籍が本屋さんで並んでいて、中高年に人気なのだそうです。
計算ドリルや漢字や四字熟語、クロスワードパズルなどが目白押しです。
ネットでも脳トレゲームのアプリがたくさんあり、かなりな需要があるそうです。
たしかに、注意力や集中力を高める効果はあるでしょうけど、ある意味、単純作業を繰り返すだけで脳の限られた部分しか使わないので刺激が足りないとも考えられるそうです。
しかも一人黙々とやるのでは意外な発見はないように思いますし、楽しいと感じる人も少ないのではないでしょうか。
そこで、新井先生がすすめるのが、対人ゲーム。
たとえば、トランプや囲碁、将棋、マージャン、、、わたしならオセロも入れたいですね(笑)
脳を鍛えるゲームとして適しているのは、現実社会の人と一緒に行うことでコミュニケーションツールになるもの。
そして、繰り返しではないもの、プラス楽しめるものです。
これらのゲームがいいのは、相手の手を予測し、それに合わせてどう出るか考え、自分の手を決めるということです。
いつも変化があり、決められた答えもない、推測し、思考して、判断を下す・・・この作業の連続は大いに脳の前頭葉を使います。
その効果は、頭を使い、感情が豊かになり、勝ちたいという意欲も増します。
そして、相手とコミュニケーションが取れるということは、社会性を高められ、人間にとって一番大事なことかもしれません。



これぞ脳トレですね。
有酸素運動を週に3回、30分ずつ
身体機能の低下を示すサイン
昔と比べて身体に違った部分が出てきていないですか?
- 歩くスピードが遅くなった
- 早歩きすると足がもつれたり、つまずいたりしやすい
- 若いころに比べて、握力が低下した
- ふらついて転倒することがある
- 身体を動かすと、すぐ疲れるようになった
- 姿勢が悪くなった
ひとつでも思い当たるなら、すぐに衰えを食い止めにかかるべきだと新井先生は言います。
というのも、使われない器官の機能が衰えて身体が怠けてしまい、筋肉を使わなければ、筋肉から脳へ送られる刺激がなくなります。
脳に刺激がないと、「意・情・知」の働きも低下し、脳の神経細胞も機能が低下してしまうのです。



脳の老化防止は、身体の老化防止と同時に進める必要があるということなのです。
では、どのような運動が効果的なのでしょうか?
おすすめの運動
- 呼吸しながらの有酸素運動
- 大腿四頭筋を鍛える(相撲の四股、スクワット、貧乏ゆすり)
- 速足でじわっと汗をかくくらいの散歩
- 日常生活での運動の習慣(階段の上り下り)
ダメな運動
- ちんたら散歩
- きついノルマを課したマシントレーニング
質が高く良い睡眠をとる
質が高く良い睡眠は脳や身体の健康に不可欠です。
睡眠で気をつけたいポイントは、
- 最適な睡眠は6.5~7時間
- 昼間の覚醒と夜間の睡眠のリズムを整える
- 寝具や空調などの環境を作る
- 時間と気持ちの余裕を持つ
- 医師の処方で薬の服用も検討する
- 寝酒はよくない
- 睡眠時無呼吸症候群はしかるべき処置をすべき
認知症に睡眠時間は大きな関りがあるのですが、寝不足も寝すぎもよくないそうです。
適当な時間が6.5時間から7時間くらいが認知症になりづらいとのこと。
深い眠りは脳を休ませるのに有効ですが、眠りが浅いと脳を休めることはできません。
特に加齢とともにトイレに起きやすいのは眠りが浅いからです。睡眠障害がなくとも老化によって睡眠は浅く短くなり、質が低下します。
そのため、昼間の覚醒と夜の睡眠のリズムを整えることが、若い頃より意味を持ちます。
昼間の過ごし方が、質の良い睡眠をもたらすからです。



つまり、交感神経と副交感神経の切り替わりをスムーズにしてくれるということですね。
そのような習慣をつくりたいものです。
それでも眠れないときは、医師に相談するべきです。
睡眠時無呼吸症候群の人もぜひ医師に相談してください。
なお、寝酒は睡眠自体を浅くするのでよくないそうです。
毎晩の飲酒は、浅くて短い睡眠の習慣がつき、脳の老化が進むからです。
脳の最大の敵は糖尿病である
糖尿病は万病のもと
脳に最もよくないのが糖尿病です。
認知症に2倍なりやすいそうです。
進行すると動脈硬化が進み、脳卒中や虚血性心疾患や合併症になりやすくなります。
これは人生の一大事ではないでしょうか?
糖尿病と合わせて注意することがあります。
まず、注意することとして、
- コレステロールと中性脂肪をコントロールする
- 血圧を安定させる(高くても低くてもダメ)
- 肥満の克服
- 歯周病をきちんと治す
糖尿病が引き起こす障害と糖尿病に合わせて注意するべきことは、
糖尿病が引き起こす障害として
- 脳の機能不全
- アルツハイマー病
- 血管性認知症
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病腎症
- 糖尿病神経障害
があります。
血液中の糖分が脳にダメージを与える脳の機能不全。
血液中の糖分が血管を傷つける血管性認知症。そしてアルツハイマー病と合併する恐れもあります。
合併症と言えば、失明する危険性がある糖尿病網膜症、腎臓の機能が衰える糖尿病腎症、手足がしびれる糖尿病神経障害も厄介です。
とくに腎臓の機能が弱ったら人工透析が必要になったりします。
認知症の話から、外れてしまいますが、これらの病気が命取りになる可能性があることは知っておく必要があるのではないでしょうか。
血圧も高過ぎず低すぎず、なるべく変動させない
高血圧も認知症リスクが高くなります。
血圧が高くなると血管の壁に強い圧力がかかり、血管が細く硬くなって傷ついてしまいます。
動脈硬化の原因にもなり、血液を送り出す心臓の負担も増します。
高い血圧はもちろんよくないのですが、下げ過ぎると、寝ている間に血圧が低くなりすぎてしまい血液の流れがゆるくなり滞ってしまいます。そして最悪には脳梗塞を起こす恐れがあるのです。
ですので、血圧は、実は高さを気にするよりも変動の幅が大きくないことが重要なのです。
肥満は生活習慣病のすべてに関係する
体重は健康のバロメーターです。
できるなら適正体重に近づけましょう。
年齢に合わせた適正体重は、BMIで判断します。
若い頃から何キロ太ったという数値には意味がありません。
加齢に合ったBMIで適正体重を目指しましょう。
歯周病は必ず治そう
歯周病は歯を失うだけではなく、認知症の原因にもなるそうです。
しかも、糖尿病も悪化させることがわかってきました。
毎日の口内ケアを欠かさないのと定期的に歯科検診するべきですね。



糖尿病患者さんの大変さは、知っていたつもりでしたが、こんなにもいろんな障害があるなんて驚きです。
そして、合わせて気をつけないといけないことも知ることができました。
わたしも含めて家族全員に糖尿病の怖さを教えたいと思います。
糖尿病の方、真っ先に治しましょう。なっていない方も生活習慣を改め予防しましょう。
本書からの学び
本書は、「体の寿命は延びたのに、脳はそれに追いついていない。認知症の完全なる予防はできないが、なるべく発症しないようにすることは可能だ。今からできる18の方法で、脳の健康寿命を延ばす!」という新井先生の強い希望が込められています。
本書の要点は、
- 糖尿病に気をつける
- 血管の健康を保つ
- 社会と関わった生活を送る
ポイントは、
- 食事は、栄養バランス・食べ方・食べる量を考えよう
- 良い生活習慣(睡眠・飲酒機会を減らす)
- 対人ゲームなどでコミュニケーションをとる



まさに社会の中に自分の身を置き、生活習慣に気をつけることが大事なのですね。
身体も脳も健康に保てるヒントをいただき大きな学びとなりました。
『脳寿命を延ばす』の感想・まとめ
本書は、脳の仕組みについてまだまだ解明されていないものの、脳の健康寿命を延ばす手立てをわかりやすく教えてくれました。
ここでひとつ、「脳の老化・変化のポイント」をあげさせていただきます。
「脳の老化・変化のポイント」
- なぜかイライラする
- 眠れなくなる
- 外出がおっくうになる
- 趣味に楽しみを感じなくなる
- ど忘れが増える
- 同じことを何度も聞くようになる
- 頭痛・胃痛
これは、脳の老化が進んでいるということで、大事なことは、早めに気づくことです。
気づけるということは、まだ本人に自覚があるということです。
認知症になる前に生活習慣の改めるところは改めていくことでリスクが下がります。
わたしも50を過ぎ、生活習慣病の予兆が見えてくるようになりました。
今一層、今までの生活習慣を改め、身体も脳も健康でいられるように頑張りたいと思います。
本書では、まだまだ紹介していない「認知症にならない18の方法」があります。
ぜひ、皆様に読んでいただきたい一冊です。
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