
こんにちはコウカワシンです。
今回は、茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)さんの著書『アウェー脳を磨け!』から学ばせていただきます。
『アウェー脳を磨け!』はどんな本?


『アウェー脳を磨け!』は、ズバリ!「チャレンジ精神を持て!」です。
本書の内容
本書の内容は次の通りです。
今の日本では社会に適応している人ほど危険であると認識する
⇓
人はアウェーでないと成長できない事を知る
⇓
あえてアウェーで活動する
⇓
世界で通用する人材が育つ、そして自分が何者かもわかる
「技術大国」だった日本は今や日本は元気がない国になってしまい、2040年では超高齢化の貧しい国になってしまう予測が出ているそうです。
高度成長期の勢いはどこへやら、安定期に入り、その上にあぐらをかき学校教育も真面目なサラリーマンをつくり出す教育しかしていないというのが原因の一つでしょう。
その状況を「覇気がなく、閉じこもってしまっている脳」と茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)さんは言います。
茂木さんは、「元気にさまざまな課題に向き合い、いろんなことにチャレンジしている脳」が必要だと言われています。
つまり、冒険を恐れチャレンジしなかったら「自分が何者であるかもわからない」ということなのです。
たとえば、最近ではアメリカの大学に留学する日本人は少なくなっているそうです。
かたや中国や韓国では増加中。
これも安定性を好み冒険をしなくなった日本人が増えたということなのでしょうね。
アメリカの大学に留学するということは「アウェーの環境」にチャレンジするということです。
安定性を求めるようになると国が衰退していきます。
アウェーに果敢にチャレンジする脳が増えないといけないのです。
そのことを記した本が『アウェー脳を磨け!』です。
本書がおすすめな人
『アウェー脳を磨け!』がおすすめな人
- 学生
- 新入社員
- 若手社員
たしかに世界に通用する人物を排出するのは大事なことです。
『アウェー脳を磨け!』の要点


アウェーで脳は目覚める
茂木氏によると、今の日本人はホームの中、つまりぬるま湯につかった状態にあると説きます。
アウェーな環境こそが今一層の成長を遂げるということです。
キンドルをつくれない日本人
茂木氏がアマゾン・キンドルを使ったところあまりにも使い勝手が良かったことを、知人のある電機メーカーの役員に「これからは日本もこういう商品を作らなければダメだ」と力説するも、「日本では前例がないことや業界の常識を外れるようなことは難しくてできない」と説明されたそうです。
「イノベーションは海外からやってくる」
そういえばiPhoneだってYouTubeだって海外からやってきました。
現在、ふつうに使っているサブスクだって日本で生み出されたものではありません。
なぜ世界初のものが日本にはないのでしょうか?
それは、ほとんどの日本人が仕事ができることの意味を間違えているからです。会社員は会社員らしく、公務員は公務員らしく、科学者は科学者らしくというわけです。
「仕事ができるというのは、いま自分がいるところの文脈を読み取り、その文脈の中でより高い生産性を上げることだと信じて疑わない人が多いからだ」と茂木氏は言います。
そこで「文脈を読んでばかりいては新しいものは生み出さない」と結論を出されました。
そこで考えられるのがアウェーで勝負できる人材を増やすということです。
ホームがあるからアウェーで戦える
たとえばです。
生まれたばかりの赤ちゃんにとっては、まさにこの世のすべてがアウェーです。
さまざまなものに触れながら、触れられたという感覚をくり返して自己を認識していきます。
そりゃ、泣きたくなる感覚もあるでしょうね。
それが赤ちゃんにとって人生の試練です。
でもこのような経験が、少しずつ自己に、この世界のルールとか最適な対応を習得していくチャンスでもあるのです。
では、赤ちゃんが、誰に教えられたわけでもないのに、アウェーで苛酷なチャレンジを続けられるのはなぜなのでしょうか?
茂木氏は、「安全地帯」があるからだといいます。
赤ちゃんは親や周囲の大人が自分を守ってくれるのを知っているので、安心して未知の世界でいろいろなことを試すことができるのだそうです。
このことは、成人になっても同じだと自覚する必要があります。
まず、自分の「安全地帯」をつくることです。
アウェーという予測もつかないところに何もない状態で飛び込むことは、あまりにも無謀ですが、自分の「安全地帯」さえ確保していたら、いざという時には戻ればいいのですから。
そうすると、予測もつかないところであっても楽しむことすらできるでしょうね。
その安全地帯とは、日本という国であり、自分の所属する会社、団体、そして家族です。
宗教だってある意味、自分にとっての安全地帯になります。
そういった安全地帯が自分たちにとってのホームグランドになり、自分の支えになってくれるのです。
アウェーから見える自分
アウェーな状態は、自分にとって苦痛をともなうことです。
でも苦痛を感じるのは、脳にとって悪いことではないのです。
苦痛を感じることは、簡単にできることではなく、さらなる高みを目指して新たな分野にチャレンジしているということです。
したがって、脳は確実に成長してるということです。
つまり、ホームグランドで何のストレスも苦痛も感じずにいたら、それに慣れ、つらいことや面倒なことに挑戦しようなんて思わなくなっていきます。
さらにアウェーでの失敗の経験は成長度合いに大きく影響します。
たしかに緊張しますが、場数を踏むにつれ、それがふつうになっていきます。
失敗の経験というものは、1回目こそインパクトは大きいものの、繰り返していると自分の中の刺激は、どんどん弱まります。
脳は、未経験の回数が多いほど鍛えられていくのです。
このことから、人間は本来、色々な可能性に満ちあふれているのであって、自分が気づいている部分とは、その一部にしかすぎないということなのです。
その可能性を開花させてくれるところに行けばいいのです。
アウェー脳の育み方
自分が何者かを決めつけてはいけない
誰でも、好きなこと・嫌いなこと、得意・不得意、があります。
それは未経験のことを経験したからわかったことですよね。
その分、「自分の引き出し」ができたといえます。
好きなこと、得意なことだけをやっているのは、ホーム状態であり、脳にとっては好ましいことではないそうです。
脳が好きなのは、予想外の出来事。
なぜなら、脳は変わる、ゆえに変わりたがっているからです。
イチロー選手の例
メジャーリーグで活躍したイチロー選手は、毎年のようにバッティングフォームを変えているそうです。
一度成功したからといってそのやり方にしがみつこうという発想は、裏を返せば、「自分はここまでの人間」と決めつけているということなのです。
イチロー選手はどんなに素晴らしい成績をあげても、自分はまだ発展途上であるとわかっているから、変わることを恐れていない・・・だから天才なのだといいます。
多くの人たちは、すでに自分のことを完成形だとし、変わることを恐れています。
そうなると発展の機会はますます失われていくことになります。
けど、障害になるものがあります。
それは、暗示や思い込みです。
「自分はこうだ」と思い込んだら、なかなかその枠から出られません。
枠から自由になるには訓練が必要です。
そこで、「いつもやらないことをやってみる」というのはいかがでしょう?
たとえば、右利きの人は、あえて左手で箸を持って食事をするなどです。
そりゃ、ストレスを感じます。
それは脳の回路が固定化しているからです。
でも、回路から外れることによって、脳に気づきがあるのは確かなのです。
反対を無視する勇気をもて
居心地のよいホームにずっといると、人はだんだんに臆病になっていきます。
人生の長いスパンでみると、自分の主義主張をストレートに表現し、それを押し通す強さのない人は、確実に損をします。
イチロー選手がメジャーリーグに挑戦した時だって「通用しない」というマスコミや評論家の声がありました。
もちろんイチロー選手の耳にも入っていたはずです。
しかし、イチロー選手は、自分の主張を貫いて挑戦しました。
そして見事にメジャーリーグで素晴らしい結果を出しました。
たしかに日本に残って活躍するという道もありましたがあえて挑戦し結果を出す・・・「やってみなけりゃわからない」という心境でしょうね。
ここでわかるのは、「臆病な人というのは、自らその無限の可能性に蓋をしてしまっているようなもの」なのです。
ホームで寄り添い、長いものに巻かれて生きる人生は楽です。
ですが、将来的に今の価値観がこれから先、通用するとは限りません。
社会も変われば、人の考え方も変わります。
自分の心の声に耳を傾け、それに従って生きる方が、本当はよっぽど安定性が高いといえます。
ホンモノは妥協しない
「夢や希望のために、なりふりかまわず頑張る」
「巨人の星 」や「あしたのジョー 」などのスポ根マンガで育った方は、わかっていただけると思います。
現代においても自分の可能性を最大限に伸ばし、好きなように生きられる自由を手にしている人というのは、例外なくこれ以上できない努力をしています。
茂木氏が司会を務めていた『プロフェッショナル 仕事の流儀』に登場していた方は、まさにそうですよね。
ギリギリまで自分を追い込むことで、脳がすごい勢いで発展し続けているといえます。
世界で初めて、無農薬・無施肥のリンゴの栽培に成功した木村秋則さん。
そうです。あの「奇跡のリンゴ 」の方です。
木村さんは、自然栽培を何年も続けていたがなかなか成果が出ず、経済的にも追い詰められて一時は死ぬことも考えたそうです。
ふつうの人では見ることができない、「竜やUFO」などの幻覚が見えたとも言われたことから、正気と狂気の際まで自分を追い込んだからでしょうね。
このような経験はしたくてもできない人がたくさんいるし妥協しない精神が備わった人といえるのではないでしょうか。
アウェーを勝ち抜く脳活用術
まずはキーワードを列記していきます。
「アウェーを勝ち抜く」キーワード
- ものごとには正解などない
- 大切なことは二秒で決めろ
- 仲間も直感でわかる
- ホームは自分の中にある
- ムダ撃ちを恐れるな
- 違和感が教えてくれる
- 迷ったら身体を動かせ
- 言葉にすると見えてくる
- 毎日10分間、脱線せよ
- 本筋以外は上手に手抜き
- 後悔しても立ち止まるな
ものごとには正解などない
アウェーでは、何が起こるかわかりません。したがって正解などありません。「よく考えた方がいい」という人は、時間をかければ唯一の正解が発見できると思っている人で答えなど持っていないのです。
大切なことは二秒で決めろ
アウェーでは、瞬時の判断を迫られます。自分の確信度を高め、常に即断即決できる判断力を身につけましょう。それには意思決定の場数を踏むことです。
仲間も直感でわかる
アウェーで戦ううえで仲間は大事。問題意識を共有できる仲間をつくりましょう。
ホームは自分の中にある
アウェーで頼りになるのは自分のホームです。それは自分の経験から導き出すことが自信となって表れてくれます。
ムダ撃ちを恐れるな
アウェーにおいて経験は糧になります。日頃から気にそわないことを経験してみるのも良い手です。ハズレを引くことを恐れず、何にでも飛び込んでいけばいいのです。
違和感が教えてくれる
アウェーでホームの種と出会う場合でも、カギとなるのは違和感です。アウェーとホームが一つになるまで、結びつけ問題のカードを探すべきですし、自分ではわからなくとも脳ががちゃんと探してくれます。ですのでカードを探すのをやめてはいけません。
迷ったら身体を動かせ
アウェーで違和感を解消するにはとにかく身体を動かすべきです。意味など問わず、ひたすら動かすのです。動けば状況が変わるしフィードバックを得ることができます。
言葉にすると見えてくる
アウェーで考えが煮詰まったときには、考えていることを紙に書いてみるというのが有効的な方法です。書く代わりに、親しい人に話してみるのもいいと思います。書いたり話したりすることでアイデアが形になります。
毎日10分間、脱線せよ
ホームに長くいると、だんだんと決まりきったことしか、しないようになります。でも、既存の文脈にしか能力を使ってこなければ、新しい文脈に適応するための能力が育ちません。ふだんから既存の文脈以外にも目を向け能力を伸ばしていくことが大事です。コツは毎日10分ていど、絶対にやりそうもないことをやってみることです。
本筋以外は上手に手抜き
メジャーリーグというアウェーで活躍したイチロー選手は毎日のルーティーンを守ってきました。日常のふり幅は低いといえます。けど、本業の野球に関することはありとあらゆることを試し、挑戦と創意工夫を怠らないということです。「本筋以外のことは上手に手を抜く」のです。これって毎日同じ服を着るスティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグと同じですね。
後悔しても立ち止まるな
アウェーは未知の世界ですから、挑戦には失敗リスクを伴います。日本社会のような生ぬるい考え方は挑戦し失敗することを恐れ、現状維持することが奨励されます。でもそれでは、発展もしないし衰退する一方です。失敗しても開き直り「結果は結果」と割り切りましょう。そしてまた前進するのです。重要なのは、慰安の時点のベストを尽くすことです。
アウェー脳が日本を変える
今の日本の現状は
- グローバル化の波に乗れていない
- 繊細さや間違いのない仕事にこだわりすぎ
- 多様性を理解するのが苦手
- モノカルチャーに固執している
- 肩書主義
- 本気度が足りない
で、間違いないのではないでしょうか?
日本人は日本社会で暮らしているうちに、いつの間にか「空気を読む」というルールをマインドセットとして刷り込まれ、「みんなと同じでなくてはいけない」という同調圧力で人をしばってます。
それができない人は「空気の読めない奴」というレッテルを貼られ、仲間の輪からはじき出す・・・つまり日本社会は、多様な価値は認めない風土になっているということですね。
日本から個性的なカルチャーが生まれないのは、みんなが同じ教育を受け同じ価値観でしか評価しないのは、世界的に見て少し異常ではないですかね。
一度、みんなが岡本太郎氏の「自分の中に毒を持て」を読むと、意識が変わるような気がすると思うのですけどね。
で、結論としてこれからの日本人は、どうしていけばいいかですが、やはり「海外でもまれた方がいい」に尽きるのではないでしょうか?
毎年のようにメジャーリーグに挑戦するプロ野球選手がいるように。
海外の強豪サッカーチームに所属するJリーグの選手がいるように。
その他、世界大会で活躍するアスリートの皆様を見ていると、特別なことのように思いますが、留学とか海外に出てカルチャーショックを受ける一般の日本人がもっといてもいいはずです。
そして日本人のいいところも再確認できるはずです。
最後に、勤勉さや気づかいだけでは、日本は衰退します。
アウェーで戦えるように変わらなくてはいけないのです。
チャレンジ精神はけっこうなことです。
アウェーでの挑戦は、停滞した日本を揺さぶる力となると同時に、脳の潜在能力を目覚めさせる機会とずしりと手ごたえのある人生を与えてくれるに違いありません。
『アウェー脳を磨け!』からの学び
アウェー脳こそが新たな日本を切り拓く
グローバルの波、これはもう止められません。
本書を読み、明治維新前を起こした志士たちの心持になりました。
本書の要点は!
『アウェー脳を磨け!』の要点
- 世界の認識と日本の認識にズレがある
- 現状を変えるにはアウェー脳を鍛えないといけない
- 挑戦し失敗の経験こそが成長につながる
ポイントは!
- 自分のホームを持つ
- 得意でないことなど何にでも挑戦してみる
- 外国でカルチャーショックを受ける



以上、大きな学びとなりました。
『アウェー脳を磨け!』の感想・まとめ


本書は、茂木健一郎氏が憂う、日本の姿をありのままに映し出し、将来に向けて世界でも通用する国になるには、日本人の意識を変えないといけない。
それには、みながアウェー脳を鍛え、どのようなグローバル化の波が来ても動じないマインドを持たないといけないということを説かれています。
「2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ 」や「2040年の未来予測」などの書籍が出ていますが、それに立ち向かうにあたり本書は助けになってくれる一冊です。
そしてわたしは、本書から失敗を恐れない勇気をもらいました。
それは、現状を変えたくても失敗を恐れ一歩踏み出すことのできない人や目的を失った人にも得るものがあると思います。
茂木氏の思いのたけの一冊です。ぜひお手に取って読んでみてください。
『アウェー脳を磨け!』の概要


本書の目次
『アウェー脳を磨け!』
はじめに
第1章 アウェーで脳は目覚める
第2章 アウェー脳の育み方
第3章 アウェー脳を勝ち抜く脳活用術
第4章 アウェー脳が日本を変える
あとがき
著者の紹介
茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)
1962年、東京都生まれ。
東京大学理学部、同法学部卒、同大学院理学系研究科物理学研究課程修了。
理学博士。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。
クオリアをキーワードに脳と心の関係を研究し、文芸評論、美術評論など幅広く活躍している。
2005年、「脳と仮想」で小林秀雄賞、09年に「今、ここからすべての場所へ」で桑原武夫学芸賞を受賞


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