こんにちはコウカワシンです。
人は、だれもが「よりよき人生を送りたい」と考えていますよね。
でも日常生活において降ってわいたような困難なことや難題に遭遇することってありますよね。
途方にくれるときもあります。

なぜ、自分がこのような目に?



こんなことになるはずではなかった・・・。
など、思う人もいることでしょうね。でも、困難や難題の多くは、「自分が引き寄せたもの」です。そこで、「起きた物事の原因は自分自身にある」と考えてみてはいかがでしょうか?
そのような考え方を「原因自分論」といいます。
たとえば、指示したことを部下がミスした場合に
「こんなこともできないなんて無能なやつだ。」
なんて思わずに
「どうしてミスが起こったのかな?部下の能力を考慮せずフォローしなかった自分が悪いのだな。」
と考えることです。
日本を代表する経営者のひとりに京セラ創業者の稲森和夫氏がいらっしゃいます。
稲森氏は京セラをはじめ、KDDIも設立、そして、経営破綻したJALを見事に復活させた方です。
その人生哲学の根底にあるのは「善なる動機で、利他の心を持つ」です。
幼少期から波乱万丈の人生を歩まれ、師として仰ぐ松下電器産業の松下幸之助氏の経営哲学を学び、京セラを現在のような世界に名だたる企業に仕立て上げたのもこのような「自分のことよりも他者の利益を優先する」という人生哲学を持たれたからだと思います。
そのことが理解できる本、それが『心。』なのです。
本書では、稲森氏のエピソードを含め、経験に裏打ちされた「心のあり方」が学べる本です。
今回はこの『心。』から学ばせていただきました。
『心。』から学ぶこと
『心。』の目次
プロローグ
第1章 人生の礎を築く。
第2章 善なる動機をもつ。
第3章 強き心で成し遂げる。
第4章 正しきを貫く。
第5章 美しき心根を育てる。
本書の目的とターゲット
本書の目的は
人として正しいかを考え
⇓
謙虚さを持ち、他人を思いやり
⇓
強き心で成し遂げる
⇓
これらは心が決めている
⇓
すべては「心に始まり、心に終わる」
を知ることです。
本書のターゲットは
本書のターゲット
- 経営者
- 研究者
- 仕事に追われ余裕のないビジネスパーソン



以前、稲森和夫氏の『生き方』を読みましたが、本書もいろんな迷いで前に踏み出せない人に響くのではないかと思います。
本書のポイント
人生の目的は心を磨き、他に尽くすこと
稲森和夫氏は、人生の目的とは、まず一つに心を高めること。言い換えれば、魂を磨くことだといわれています。
わたしたちは、富や名誉を求めることに執着しがちですが、そんなことは人生のゴールではなくて、生涯を通して生まれた時よりも少しでも魂が美しくなることが大切であり、日々、努力研鑽を重ねることが立派な魂に成長すると説かれています。
それから、人のため、世の中のために尽くす「利他の心」で生きることも非常に大切なことであるとのことです。



つまり、「心がすべてを決めている」、だから、心を美しく保ち「利他の心」を持てば、充実ある人生を歩めるということなんですよね。
よいときも悪いときも感謝の思いで受け止める
災難にあう、困難な状況に陥る、思い通りの結果が出ない・・・たしかに生きていればいろんなことがあります。
悪いときに直面するとつらくて逃げたい気持ちになります。
けど、稲森氏は、実は感謝すべき「絶好の機会」なのだといいます。
京セラの創業時に松下電器産業からの厳しい条件(納期・品質・価格)の受注があり、はたから見たら「下請けイジメ」にも等しい中、知恵を絞って努力し条件に見合うようにされたそうです。後に京セラがアメリカ進出の際、半導体メーカーから受注できたのも競合他社の製品に比べ、品質も価格面においても優位に立つことができ、この松下電器産業での経験があってなし得たことだと感謝されたそうです。
このことから、悪いと思われる事に対して、悲観したりせずに「感謝」の気持ちで真摯に取り組むことで「自分の成長、他者の利益」につながります。
そして、「よいとき」も感謝の気持ちが大切です。
わたしたちは、よいことがあると喜びます。ですが、よいことが続くと、いつの間にか感謝の心を忘れてしまいます。
なにげない日常が送れているのも感謝の気持ちを意識して過ごさなければいけないのです。



よいときはともかく、悪いときにも「感謝」・・・なかなかできないことですが、変革のチャンスと考えることができればモチベーションも上がりますよね。
成功の秘訣は「あきらめない」こと
稲森氏は、物事の成就のためには強き心、とりわけ「岩をうがつ強い意志」が必要だと説きます。
予期せぬ障害に阻まれ、「もうダメだ」と倒れ込んだその場所から、土ぼこり払って再び立ち上がり、事の成就に向けて何度も静かにやり直す姿勢・・・ネバーギブアップの精神が成功に近づける道だということです。
このようなお話があります。
小さな町工場としてスタートした京セラが世界的コンピューターメーカーIBMからの受注で大変な苦労をしました。それは当時の売り上げの四分の一にも相当する大量発注で喜び勇んだものの、IBMが要望する品質基準が当時の京セラの技術基準に比べて、けた違いに高く、苦労を重ねて試作品を作るも「不良品だ」と烙印を押され、いったい、いつになったら、完成するのか、まさに気が遠くなる日々を過ごされたそうです。やがて受注から7か月後、幾度となく夢に見た合格通知が届き、工場を24時間フル稼働、膨大な量の製品を期限までに納入したということです。



京セラが国内外の注目を集め飛躍的な発展を遂げるきっかけになったエピソードで、ご存知の方も多いと思います。
稲森氏は、このような絶望に近いことでも闘争心をメラメラと燃え上がらせて「絶好の機会」として取り組まれました。



あっ!これ、織田信長が今川義元をやぶった「桶狭間の戦い」に似てるわ。圧倒的に不利の状況を信長は「絶好の機会」に捉えてたに違いない
2つの話を結び付けるのは極端ですが、不利な状況を「絶好の機会」変えたのは「心」の持ち方しだいなんですよね。
利他の思いから行動すれば、自らのもとに返ってくる
利他(りた)とは、「他人を思いやり、自己の善行による功徳によって他者を救済する」という意味を持つ仏教用語です。
稲森氏は、利他の心を持ち、よき行いをすることは、おのずと運命を好転させることにつながると説きます。
30年以上も前の話を例にあげますと
経営不振に陥っていたあるベンチャー企業を京セラが救った話です。
その会社は車載用トランシーバーを作って販売する会社で当時、流行の波に乗って急成長していました。ですが、ブームが去り、何千人という社員を抱えて窮地に追い込まれました。その会社をあるつてで京セラが救済したのですが、その会社には過激な思想の労働組合があり、無理難題言ってきます。言い分が通らなければ誹謗中傷のビラや街宣活動を行う行為に対抗措置を取らず、彼らが会社を去るまでの7年間じっと耐え、その事業を立て直すことに心血を注いだのです。こうむった迷惑や損失は計り知れなかったものの、文句や恨み言は一切言わず、ただひたすら、従業員のために、業績回復に努めました。結果、その事業は立ち直り、立派に京セラの機器事業の一翼を担うようになりました。
それから十数年を経て、経営悪化した複写機メーカーを吸収合併したときに中心となって働いてくれた人物が、そのベンチャー会社の元工場長だったそうです。
その元工場長は、子会社とした複写機メーカーの初代社長となり、大きく業績を伸ばし貢献されているとのことです。
「人助け」的な買収だったにもかかわらず、一部の過激な社員によって大きな心労を負っても、めげることなく社員のためを思い、よきことだけをなすように努めてきたことが、めぐりめぐって、さらによき結果となる。



これって、「利他の心」に他なりませんね。
どんなときでも心の手入れを怠らない
稲森氏は人生のあり方について、
「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」
という方程式をお持ちです。
世の中のたいていの人にも当てはまる考えで、何かを成し遂げるときに「熱意」の大きさはもちろん必要だけど、決定的に人生を変える要素は「考え方」であると説かれます。
先ほどの方程式の中で「熱意」と「能力」は0からプラス100までの数字しかありませんが、「考え方」というのはマイナス100からプラス100まであり、それが掛け合わされると、どれほど「熱意」や「能力」が立派でも考え方がマイナスならば、すべてがマイナスになってしまいます。
つまり、すばらしい才能に恵まれ、懸命に努力を重ねても、考え方がマイナスなのであれば、その人の人生すべてマイナスとなり、没落への道を行くことになります。



それって、スターウォーズのダースベーダーだよね。
では、どうすればよいか?
それは、つねに自らを反省し、「心の手入れを怠らない」ことが必要なのです。
順風満帆なときも、人生が思うままにいっていないときも、、、。
成功や名声、称号といった栄光も、挫折や失敗、苦難といった逆境も、天が与えてくれた試練ととらえ、心を磨いていくことが大事なのです。
「天が与えし試練=運命」
作家の芥川龍之介がこのような言葉を残しています。
「運命とは、その人の性格の中にある」
文芸評論家の小林秀雄はこの言葉を残されました。
「人は性格に合ったような事件にしかでくわさない」



人格が変われば、心に抱く思いも変わり、その思いが生み出す出来事も、自然に変わってくるものなのです。
本書からの学び
「すべては心に始まり、心に終わる」
生まれたばかりの魂は美しいとは限りません。特に子どもは「純粋な心」を持つと同時に平気で虫や小動物を殺したりする残忍で暴力的な部分も併せ持ちます。人生を歩んでいくにつれ自分自身の喜怒哀楽の経験や「命の尊さ」なども学び、心が磨かれていくのだと思います。
本書の要点
- よいことも悪いことも、すべて自分の心が引き寄せている。
- 辛いときも感謝の気持ちで乗り越えることが、すばらしい人生を送る秘訣である。
- 「利他の心」をもち、よき行いをすると、いつかそれが自分の元に返ってきて人生が好転する。
- 難題に直面しても、「できる」と思い、あきらめずに一歩を踏み出すことが成功への近道。
- 困難を乗り越えることによって心が磨かれ、人生が豊かなものになっていく。
ポイントは
- 人生のすべては自分の心が映し出す
- 善なる動機をもてば、成功へと導かれる
- 人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
- 困難・難題は「絶好のチャンス」
- 人格を高めなければ、人の心は動かせない



以上、大きな学びとなりました。
『心。』の感想
よく、「心の準備」っていいますよね。
「心の準備」ができてないばかりに失敗するという代名詞的な使われかたをしますが、それはそのまま「自分の心が引き寄せた」ことになるということでしょうね。
「成長マインドセット」とか「夢をかなえるゾウ1」、「リーダーを目指す人のための心得」「Think CIVILITY」もそうですが、すべては心の教育なんですよね。
これらの「心得」を説く本も大事ですが、土台となる「心の成長」を意識するには本書『心。』をぜひ読むべきだと思いました。








まとめ
稲森和夫氏は多数の書籍を出されてます。人生においての心得などでは重複する部分が多いそうです。私も『生き方』という本を読んだ時のことを思い出しました。
なんていいますか、「初心に戻る」ことの大事さが伝わってきます。
今回では要点だけに絞っての要約ですが、まだまだ納得感のいく話が満載の本です。
ぜひご一読ください。


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