
こんにちはコウカワシンです。
今回は、川野泰周(かわの・たいしゅう)さんの著書【半分、減らす。】から学ばせていただきます。
【半分、減らす。】は、どんな本?


【半分、減らす。】は、ズバリ!「人生余白術」教本です。
本書はこのような本
本書の著者は、禅僧で医師の川野泰周(かわの・たいしゅう)さんです。
川野さんは、「半分、減らす」「1/2を心がける」と、驚くほど毎日がすっきりし、ストレスも減り、生産性が上がると言います。
たとえば、自分のまわりに物があふれかえっていて、「何がどこにあるかわからない」、「同じ物が何個もある」なんていうことがあるのではないでしょうか。
スマホなどで得る情報も多すぎて、いろんなことに時間を費やし、自分を労わる時間を失い、なぜかいつも疲れているということもあるでしょう。
そこで、全部捨てるのではなく、「半分、捨てる」であれば、取り組みやすいということです。
本書は、そのような、「より少なく」を心がけることで、より豊かに暮らすための「シンプル生活術」を説いた本なのです。
本書がおすすめな人
【半分、減らす。】がおすすめな人
- 日々の生活に疲れ、精神的にまいっている人
- 身の周りにものがあふれ、なかなか片づけができない人
- なかなかものが捨てられない人
- SNS依存症、またはネット中毒の人
- 買い物依存症の人
- つい、食べ過ぎる人
【半分、減らす。】の要点は?


「半分、減らす」のが、なぜいいのか?
本書のキーワード「半分、減らす」には、2つの意味があります。
それは、
- 指標としてわかりやすいから
- 行動変容につながるから
です。
たとえば、「スマートフォンの使いすぎ」が問題になっていますが、いまやスマホは生活に欠かせないものですから、「使うのをやめる」というのは困難です。
しかし、「使う時間を減らそう」と思っても、何か指標がないと迷いますし、二割とか三割、あるいは七割、八割と細かく目安を決めても、守れる人は何人いるでしょうか。
そこで、「半分」くらいなら、目安としてわかりやすく、いつもスマホを4時間使っているなら、2時間に。3時間使っているなら1時間半にというように行動変容につなげやすいといえます。
これはスマホに限らず、「物」「食事」「仕事」についても、何かを断捨離したいと思ったときに、「半分減らす」ことを目標にすることで、取り組みやすく、続けやすい状況に移行できます。
「半分、減らす」ことの意味は?
「半分、減らす」ことの意味は、大きく3つに分かれます。
それは、
- 現代人は何かと「やりすぎ」
- 「ほどほど」が、人生を好転させる
- 「マインドフルネス」で、満たされた生活
です。
現代人は何かと「やりすぎ」
現代人は、仕事でも食事でも買い物でも、何かにつけて「やりすぎる」傾向があります。
いま、「やりすぎ」が習慣化しているせいで、非常に多くの問題が発生しています。
たとえば、このようなことです。
- 働き過ぎて、体調を崩したり、うつになったりしている
- SNSに依存して、心がかき乱され、自分を見失ってしまっている
- つい暴飲暴食をしてしまい、生活習慣病のリスクが増大している
- 物を捨てられずに過剰に溜め込んで、生活環境が乱れている
- 必要もないのに、たくさん買い物して浪費を助長している
といったことです。
まだまだあるでしょうけど、自分のふだんの行動をふり返ってみて、これは「やりすぎ」だと思うことは、せめて半分にするだけで、事態が好転するのです。
「ほどほど」が、人生を好転させる
何事も「ほどほど」がいいのです。
わたしたちは、仕事や、食事、スマホ、買い物をしているときについつい「やりすぎ」てしまいます。
そのためには、日々の行動にしっかり「句読点」を打つことが必要です。
「つい、やりすぎてしまう行動」に歯止めをかけて、「ほどほどを意識した考え方と行動を心身に落とし込むことで、自らの健康を守り、同時に満たされた、より豊かな人生を実現する」ことに努めましょう。
著者は禅僧という立場から、「中道の精神」を実践することをすすめています。
「中道の精神」とは、何事も極端に走らず、かたよりがなく、ちょうど真ん中くらいのところを意識することを意味します。
なかなかに難しいことですが、仏教の開祖であるお釈迦様がさとりをひらいた経緯を紐解くと「偏った考え方や行動を手放す」ことなのだそうです。
お釈迦様は、すさまじい修業をし、さまざまな苦行に取り組まれました。けれどもいくら自分の体を痛めつけても、救いが得られませんでした。
つまり「苦行だけではさとりは開けない」ということを知ったのです。
ついにお釈迦様は苦行を捨て、川で沐浴、ミルクがゆなどで元気を取り戻し、菩提樹の木の下に座り、瞑想し、仏のさとりを完成したのです。
「自分を大切にしよう、自分にやさしい心を持とう」という方向に切り替え、修業というのは、ただ厳しいだけではいけない、もちろん怠惰でもいけない、厳しさ半分、やさしさ半分、つまり、「ほどほどが一番いいのだ」とされたのです。
この「中道の精神」を、わたしたちの生活に当てはめてみてもわかるように「半分、減らす。」を意識し、ほどほどで過ごすことが、心の安定にとてもいいことなのです。
「マインドフルネス」で、満たされた生活
「中道の精神」を大切にして、何事もほどほどを心がけるマインドを磨くための早道は、やはり「半分、減らす」を心がけることなのです。
しかし、その「マインド」も「こころ」を磨くことなく、「かたち」だけ半分に減らしても、最初はうまくいったように見えて、ただ「がまん」しているだけになってしまいます。
その「がまん」は、永久的には続きません。
そこで、「こころ」を磨くために「マインドフルネス」を取り入れてみましょう。
マインドフルネスとは、ひとことで言って「禅やブッダの教えを源流とする、心を整える手法」です。
現代人が、いろいろなことで多忙なのは、先ほどもお伝えしましたが、そのことによって心や体を大切にしない(できていない)事態が起こっています。
その現状を改善するには、「心の中を埋め尽くすくらいに増えすぎたものを減らす」必要があります。
そして、そのための一つの手法が「マインドフルネス」なのです。
実は、アメリカでは1970年代に医学で「マインドフルネス」を取り入れています。
内科的な慢性疼痛(まんせいとうつう)や腰痛、リウマチ、原因不明の痛みを軽減するために瞑想を活用する試みに着手していたのです。
その後、うつ病や不安障害などの治療にも用いた結果、みごとに症状を改善する、あるいは再発を防止する効果が認められたのです。
これらの治療を提唱したマサチューセッツ大学医学大学院のジョン・ガバットジン博士は、マインドフルネスの定義を「いま、この瞬間の体験に注意を向け、評価や価値判断を手放してただ観察する」ことだとしました。
長時間、ディスプレイに向かって作業をするIT業界では、一般人に比べて、うつの発生率が高いのだそうです。抗うつ薬も効きにくいことから、マインドフルネスを活用するようになりました。
「大量の情報をあつかうには、心のゆとりが必要」ということや、「創造性を高め、おもしろい知恵やアイデアが生まれてこそ、コンピューターの技術は発展する」という発想からマインドフルネスに注目したのです。
どのようにして「半分、減らす」か?
どのようにして「半分、減らす」かですが、とりあえず3つ紹介します。
「よく目に映る場所」にある物を減らす
「片づけは苦手」という人は、まず「よく目に映る場所にあるものから減らす」ことから始めてみましょう。
たとえば、職場のデスクの上とかはいかがでしょうか。
著者の患者さんで、精神的にまいっていた30代のゲームクリエイターの場合では、「デスクの上にはいつもデスクトップと、ラップトップのPCが二台あって、そのほかにタブレット、スマホ、ガラケーも置かれた状態で仕事をしている」とのことでした。
あまりに多すぎて、電話が入ったり、メールの着信音が鳴ったりしても、一瞬どこから音が出ているのかわからないほどだそうです。
「仕事に必要とはいえ、それらを同時に見るようなことはないというものの、それらが全部デスク上にないと不安になる」という患者の話を聞き、著者はこれらが精神疲労を招いている原因だと診断します。
そこで、最も使用頻度の高いPC二台以外は、デスクの下に設けてある棚に置くように助言したのです。
これなら必要なときにすぐに手にできるし、とにかく、視界にあふれる物(情報機器)をいったん減らすことができます。
この効果は、てきめんで、仕事にとりたてて不都合や支障を生じることなく、疲れの自覚がかなり緩和されたのでした。
そして意外だったのが、デスクの下に置いたスマホやタブレットなどの情報端末を、仕事中に取り出す必要がほとんどなかった、ということで、これには患者自身が驚いていたそうです。
これは、職場環境だけでなく、日常の生活の場にも応用できることも多いのではないでしょうか。
いつもいる部屋やリビングで、「使用頻度の低い」と考えられる物をとりあえず片づけてみるのです。
視界に入らないだけでもすっきりしますし、ほとんど使わないなら、もっと奥にしまい込むか処分することも考えることができます。
「捨てる」前に、まず「分ける」
ものを処分するときは、「分ける」ことを意識するといいと著者は言います。
捨てるものをその日のうちにゴミとしてまとめずに、いくつかの段ボール箱を用意して、そこに「分ける」形で整理していくのです。
たとえば、このように分類します。
- 使う頻度が最も高い「一軍選手」
- 使う頻度は高くないが、取っておきたい「二軍選手」
- ここ三年以上使っていない「三軍選手」
この方式なら、あまり迷うことなく、分けることができます。そのうえで、物の種類に応じた収納場所のなかで一軍・二軍のエリアを決めることができます。
問題は「三軍選手」です。
というのも、なかには必要なものもあるからです。
必要なものまで捨ててしまわないように、とりあえずひと晩か数日、あるいはじっくり検討したいようなら一年ほど、段ボール箱のなかで寝かせておくのがいいでしょう。
「なかなか捨てられない物」は、誰にでもあると思います。
その代表選手はやはり「洋服」ではないでしょうか。
「いつか着るかもしれない」「何か組み合わせる服がありそう」「高かったからもったいない」といった意識が働いて、捨てようにも捨てられず、そのままになっている物とかです。
最近では「断捨離本」で、「いつかはない」とスパッと捨てることをすすめますが、本書ではすすめていません。
実際に、捨てずに取っておいたおかげで、何年か後になって、「掘り出し物」的な魅力を再発見する場合もあります。
ですので、捨てるのも「ほどほど」が大切なのです。
捨てるときは「マインドフルネス」に
「捨てよう」と思って整理し始めると、心がだんだん「捨てる快感」に支配されていきます。
「捨てようか、取っておこうか」と考えること自体、途中からだんだんめんどうになってきて、機械的に捨てるようになってしまいます。
ゴミ袋にポンポン投げ入れてしまったときは、その日のうちにゴミ捨て場に持って行かないで、できれば少しの間、部屋の隅っこや廊下に置いておくことを著者はすすめています。
そうしてひと晩ないし数日後に、ゴミ袋のなかを一度確認してみましょう。
というのも「捨てる快感」に支配され、作業の最後のほうになればなるほど、「ああ、これ捨てちゃいけないものだった!」と思うものがたくさん見つかるからです。
「捨てる快感」に支配されている状態は、「気無し」(きなし)といって、心がそこにはない、いわば自動操縦のようになって捨ててしまっていたからです。
そこで後悔しないために絶対に必要なのが、「マインドフルネスに捨てる」ということです。
「三軍候補」に分類した段ボールを開け、一つひとつのものにしっかりと心を向けて、よく考えてみるのです。
それで処分すると判断したなら、その決意を固めて、きっぱりと「別れ」を告げましょう。
「もう十分に使い切ったから、申し訳ないけど処分させてもらうね。いままでお世話になったね。本当にありがとう」
このように感謝の心をこめて処分に踏み切りましょう。そうすることで自分できちんと「使い切った」という納得のうえで処分することができるので後悔が少なくなります。
このように、「捨てる快感」に支配されないために、物に対する「ありがとう」の思いが、捨てすぎず、溜めすぎず、中道の精神にのっとった「半分、減らす」を実践することにつながるのです。
【半分、減らす。】の感想・まとめ


自分をいったんリセットし、本来のあるべき自分の姿になるために「整える」ことが必要。
そのためにも「半分、減らす」「1/2の心がけ」が重要。
本書から学ぶことはあまりにも多いというのが率直な感想です。
現代では、物や情報が多分にあふれ、その大波の中にわたしたちは生きています。
アンデシュ・ハンセンさんの『スマホ脳』を読んだときも感じたことですが、わたしたちは原始時代から進化していない脳が現代社会に適応せず、人を精神的に苦しめていることにもっと敏感になるべきです。
とはいっても、なかなかに理解するのは難しいでしょう。
だったら、、、言い方は悪いですが、だまされたと思って、何もかもを「半分」にしてみるのです。
そうすれば、もっと自分らしく生きられる感覚が得られるはずです。
取り組めるものなら何でもいいです。とにかく、自分の目の前の物を「半分」にしてみましょう。
それで自分の人生が好転したらもうけものではないですか。
そういったことを教えてくれる一冊です。
【半分、減らす。】は、現在(2023年7月16日時点)amazonの本読み放題サービス「キンドルアンリミテッド」の対象になっています。
キンドルアンリミテッドは、ビジネス書からマンガまで幅広いジャンルの本が読み放題です。ぜひこの機会にご検討ください。
【半分、減らす。】の概要


本書の目次
【半分、減らす。】
序章 1/2を心がけよう。
1章 「物」を半分、減らす。
2章 「食事」を半分、減らす。
3章 「消費」を半分、減らす。
4章 「情報」を半分、減らす。
5章 「仕事」を半分、減らす。
あとがき
著者の紹介
川野泰周(かわの・たいしゅう)
臨済宗建長寺派林香寺住職/RESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック副院長。
精神保健指定医・日本精神神経学会認定精神科専門医・医師会認定産業医。
1980年横浜市生まれ。
2004年慶應義塾大学医学部医学科卒業。
臨床研修修了後、慶應義塾大学病院精神神経科、国立病院機構久里浜医療センターなどで精神科医として診療に従事。
2011年より建長寺専門道場にて3年半にわたる禅修行。
2014年末より横浜にある臨済宗建長寺派林香寺住職となる。
現在、寺務の傍ら、都内及び横浜市内のクリニック等で精神科診療にあたっている。
うつ病、不安障害、PTSD、睡眠障害、依存症などに対し、薬物療法や従来の精神療法と並び、禅やマインドフルネスの実践による心理療法を積極的に導入している。
またビジネスパーソン、医療従事者、学校教員、子育て世代、シニア世代などを対象に幅広く講演活動を行っている。
主な著書
『疲れにくい生き方』クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2021/7/2)
『ぷち瞑想習慣 』清流出版 (2018/2/17)
『悩みの9割は歩けば消える』青春出版社 (2017/10/10)
『「精神科医の禅僧」が教える 心と身体の正しい休め方』ディスカヴァー・トゥエンティワン (2018/9/26)
『ずぼら瞑想』幻冬舎 (2018/4/4)
『人生がうまくいく人の自己肯定感』三笠書房 (2018/7/26)
『脳がクリアになるマインドフルネス仕事術』クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2017/9/19)
『集中力がある人のストレス管理のキホン 』すばる舎 (2019/5/18)
『「あるある」で学ぶ 余裕がないときの心の整え方』インプレス (2016/7/22)


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