
こんにちはコウカワシンです。
今回は、下園壮太(しもぞの・そうた)さんの著書【とにかくメンタル強くしたいんですが、どうしたらいいですか?】から学ばせていただきます。
【とにかくメンタル強くしたいんですが、どうしたらいいですか?】は、どんな本?


【とにかくメンタル強くしたいんですが、どうしたらいいですか?】は、ズバリ!「メンタルを強くしたいと思ってはいけないメンタル強化法」です。
本書はこのような本
いつも他人に振り回される・・・
嫌な仕事を断れない・・・
まわりの声に流されて自分の意見を通せない・・・
いつも何か不安だ・・・
こんなときに「もっとメンタルが強かったら」と思いますよね。
そして、自分のメンタルを鍛えるために自己啓発書などの書籍を読んだり、セミナーに参加したりします。
ですが、それは元気はつらつな通常モードの人がやることです。
上記のような自分に自信が持てずいつもまわりの反応におびえているような人は通常モードではありません。
「うつ」というわけではないけどその手前の「プチうつ」状態(モード)であるといえるのです。
本書の著者であり元自衛隊メンタル教官で心理カウンセラーの下園壮太(しもぞの・そうた)さんは、「「とにかく」メンタルを強くしたい、と思っているとあなたのメンタルは弱くなります」と警鐘を鳴らします。
本書では、「メンタルが弱くなるメカニズム」を下園さんのかみ砕いた説明から始まり、それに対する改善法までをわかりやすく解説されています。
本書を読むだけで、心がほんわか温かくなり、ちょっとした自信を取り戻すヒントが得られるでしょう。
本書がおすすめな人
【とにかくメンタル強くしたいんですが、どうしたらいいですか?】がおすすめな人
- いつも他人に振り回されズルズルと毎日を過ごしている人
- いつも自信がなくメンタルが弱いと感じている人
- いつもなぜか不安な人
- 「とにかく」メンタルを強くしたい人
【とにかくメンタル強くしたいんですが、どうしたらいいですか?】の要点は?


本書は、「他人に振り回されやすい、すぐ不安になる、他人と比べて落ち込む」……そんな豆腐メンタルの持ち主の40代女性と元自衛隊メンタル教官で心理カウンセラーの下園さんにより、心の悩みをQ&Aの対話方式で進んでいきます。
対話が進むにつれ、対人関係にありがちなメンタルの弱さをただ「休みましょう」とやさしく語り掛ける下園さんのさりげなさが本書の魅力であります。



それでは本書から、わたしの独断と偏見で、「メンタルを強くするために必要な“大人の心”」と「メンタルを強くするために大事な「がんばらないことをがんばる」ことの意味、「心のがんばりは「借金」と同じ」の意味、「メンタル強化のために今すぐできること」について取り上げます。
まだまだ紹介しきれない素晴らしい内容が満載ですので、ぜひ手に取って読んでみていただきたいです。
メンタルの強い人は自分のことをよく理解している
メンタルの強い人は自分のことをよく理解しています。
そして、“大人の心”を持っている人です。
では、メンタルの弱い人というのは“子どもの心”なのかというとそのとおりです。
子どもの心というのは、次の通りです。
- ガマン強い、忍耐強い
- 大人から植え付けられた“人間とはこうあるべき”に縛られている
- 昭和の時代に合った価値観
- 硬い心。ポキンと折れてしまうことがある
一見、とてもまっすぐで、環境さえ良ければメンタルを病むことはないように見えますが、ガマン強さから、限界まで自分を追い込んでしまい、ポキンと心が折れてしまうことがあるのです。
そして、大人から植え付けられた“人間とはこうあるべき”というのも、子どものころだったら、成長の過程で必要だったものですが、大人になればなるほど自分を追い詰めていくものになっていきます。
それに対し、大人の心というのは次の通りです。
- 柔軟な心
- ひとつの考えにしがみつかない心
- 自分の心について理解が深い
- 自分の味方になってくれる
とても大事なことが、「自分の心について理解が深い」ことです。
たとえば、「自分は緊張に弱い」とか「圧が強い人は苦手だからできるだけ避ける」や「睡眠が足りないとメンタルがボロボロになる」など、自分の心に対する理解が深いと、対策が立てやすくなります。
一方で、子どもの心が勝ち気味の人は、すべてを“がんばり”や“ガマン”で克服しようとします。
メンタルの強さというのは、ストレスに対する「対処力」と「ガマン力」の総和です。
だから、“がんばり”や“ガマン”も大事ですが、子どもの心だけでは「対処力」を伸ばせません。ガマンにも限界がありますから、強そうにしていてもいつかはポキンと折れてしまうことがあるのです。
メンタル強化の早道は「がんばらないことをがんばる」ことから
たしかに“がんばる”ことは大事なことですが、メンタル強化の早道は、「がんばらない」ことだと著者は言います。
つまり、「がんばらないことをがんばる」のです。
がんばろうと思ったときに、グッとこらえて、がんばらずに自分を甘やかすくらいの気持ちで休むのです。
そもそもメンタルが弱っている原因は長年にかけての体験や経験がたまりにたまった“蓄積疲労”です。これによりプチうつ状態になっていると言っていいのです。
プチうつ状態はやっかいなことにちょっとのストレスならがんばれちゃうんです。
こうして無理してでもがんばるから事態はしだいに悪くなり、最悪「うつ」状態に陥ってしまうのです。
このプチうつ状態から抜け出すために必要なことが「がんばらない」ことなのです。
たとえば、1カ月、2カ月という単位で、会社なり仕事なり人間関係から距離を置くのです。いかなる事情があろうと実行します。
そうすれば、1カ月、2カ月後には体調も、心の強さも回復して、違う見方ができるようになり、理想的な生活が送れるようになってくると著者は言います。
たしかに荒療治ともいえるものですが、実際はそれくらい思い切らないとなかなか改善しないとも言われています。
心のがんばりは「借金」と同じ
今までがんばれていたというのは、たいへん素晴らしいことでした。
しかし、それと同時に大きな「借金」をしていたともいえるのです。
エネルギーが切れて休むべきところを、エネルギーの借金をしてがんばっていたのです。そのたまりにたまった借金を、どういうペースで返していくかというのが、蓄積疲労をどうとるかの話になってくるのです。
それは個人の体調や事情で、おのずと決まってきます。
通常、会社に勤めている人が休職して仕事を休んだ場合、体の疲労が抜けるのが1~2カ月くらいというのが目安で、仕事には3カ月くらいで復職するのを目指しますが、「考え方のクセ」が治るのは半年くらい、自信が戻るのが1年くらいかかります。
「考え方のクセ」を治すには、まずディスカッションで考え方を可視化する必要があります。
たとえば「人にものを頼まれたら断れない」、「即答するクセがある」とかだったら、「なぜ」断れないか、即答してしまうのかを自分の中で対話するのです。
対話することにより、今まで自分がしがみついてきた「考え」が明確になります。そしてそれを客観的に認識できるようにもなります。
そして、そのしがみついていたものと、うまく距離をとって、バランスをとれば解決するということにも気づけるようになります。
たしかに問題の根が深く、すぐには解消しないかもしれません。
多くの人は一気に変わろうとしますが、人は一気には変われません。ですので、目標のレベルに一気に到達するのではなく、「7:3バランス」くらいなほどほどのレベルから調整することを著者はすすめています。
とにかく毎日8時間は寝よう
ディスカッションと同時にやるべきが、毎日8時間は寝ることです。
眠りが浅いという人は昼寝をしてもいいから「1日トータルで8時間」は寝るのです。「規則正しい生活をしなきゃ」なんて思わないで、眠くなったら寝るでいいのです。
「プチうつだ」と感じたとき、まずやることは「寝る」ことなのです。
というのも、メンタルが弱くなっているのは、心の疲労だけでなく、体も疲れているからです。
たとえば、元気なとき(通常ゾーン)では、ちょっとしたストレスでも難なくいなすことができ、仕事だってバリバリできているはずですが、メンタルが弱くなっているときは違います。
ちょっとしたことにストレスを抱えたり、イライラしたり、傷つきやすくなることはありませんか?
しかも、通常なら難なくこなせることもうまくできなかったり、仕事の能率も下がっていたりします。これは心が疲れているのと同時に体が疲れているからです。
こういうときはとにかく寝るのです。
このときにやってはいけないのが「お酒を飲むこと」です。お酒は睡眠の質を劇的に低下させますし、翌日の気分をひどいものにする恐れもあります。
「禁酒しろ」とまではいいませんが、しっかり寝るためには就寝前のお酒は避けるべきでしょう。
1日3分、深呼吸でうつを予防、改善する
深呼吸は、自律神経を整えることにつながります。
自律神経が乱れていると、心身のバランスがどんどん崩れていきますから要注意なのです。ですので意識的に呼吸をする瞬間を、1日のうちに何度か増やしてみましょう。
どういう呼吸をすればいいかというと、最初に、鼻から息を大きく吸い込みます。そのあと「ハァーッと長いため息を口からして、スゥーと鼻から息継ぎをすること」を3セット繰り返すだけです。
1回1分程度を1日のうちに3回やることを著者はすすめています。
ストレス解消法には「癒し系」のものを
ストレス解消法は、「はしゃぎ系」と「癒し系」の2つがあります。
「はしゃぎ系」というのは、たとえば旅行とか、スポーツ、ギャンブル、買い物、異性との交際などのように刺激的で楽しいアクティブなストレス解消法といえます。
「癒し系」というのは、眠ること、休むこと、ゆったり音楽を聴く、アロマテラピーやマッサージ、美容室でくつろいだり、おいしいものをゆっくりといただく、気心の知れた仲間とおしゃべりを楽しむ、自然や動物に触れるといったものです。
できるだけひとり、もしくはほんとうに仲の良い少人数で行える薄味刺激のストレス解消法なのです。
プチうつ状態の人にとって、必要なのは心の疲労をとることです。
刺激的でアクティブなストレス解消法は通常モードの人ならもってこいですが、プチうつの人には刺激が強すぎます。
特にギャンブルや買い物、ゲーム、薬物、アルコールなどは依存性があるため、さらに大きなストレスを抱え、結果的に行動も過激になり、心身の疲労が促されます。
「プチうつ」の場合、かえってこれらの刺激の強さに疲れ、うつの状態が悪化するということです。
「うつ」というのは結局、エネルギーの枯渇状態なので、薄味刺激のおだやかな快で苦しみに対処していかないと、疲労は回復しないのです。
心の会議をしよう
人の心には、「理性」と「感情」があります。
実は、「感情」はかなりパワーが強く、そしていろんな感情があり、それらが暴れると理性で抑え込むことができないのです。
それらをひとつひとつ心から取り出して洗いざらい吐き出すことが大事です。
怒りや不安、恐怖、焦り、悲しみといったネガティブな感情も、それらは自分を守ろうとして原始人的な感性から発動されたものなのです。
はた目から見たら面倒くさい感情と言わざるを得ませんが、著者はそれらの自分に生じた感情すべてを大事にしましょうと言います。
具体的には「ありがとう」と礼を口にすることです。それだけで感情はほぐれていくものですから、おまじない代わりに唱えることで感情はいつしか静かに落ち着いていきます。
「心の会議」とはいいますが、何らかの「対策」や「結論」を求めなくてもいいのです。
まずは感情の存在を意識すること、まるごと感じるだけでいいのです。
たとえ冷静になったときに「ああ、なんて自分は醜いんだ~」と思えるような感情だとしても、やはり同じく大事にするのです。
その感情だって自分を守ろうとしてくれているし、それは必死に戦う自分自身なのですから、否定してはいけないのです。
いろんな感情が出きったら、ようやく現実的な方法を模索していきます。でも焦って結論を出して行動に移す必要はありません。
なぜなら、この「心の会議」は日によって出てくる意見が違うこともあるからです。
今まで隠れていた感情に、とつぜん気づかされることもあるでしょう。ですので、1回の会議で終わらせないほうがいいと著者は言います。


【とにかくメンタル強くしたいんですが、どうしたらいいですか?】の感想・まとめ


「がんばれるからこそ、生きづらい。がんばれるからこそ、休むべき」
「メンタルを病む」というのは、どんな人にも忍び寄ってきている可能性があるのではないでしょうか。
いざ「うつ」になってしまったら、どうしたらいいかわからないものです。
ですので、ぜひ本書はたくさんの人に読んでもらって、自分ごとで考えていただきたいものだなあと強く感じました。
どんなにつらい状況でも、ついついがんばってしまう人は要注意です。
「プチうつ」状態になったら、皮肉なことに、むしろいつも以上にがんばってしまうものなのだそうです。
そして自分のプライドや意地のために、いつも以上に「がんばらなきゃ」と思い込んでもしまうものなのだそうです。
そうなると、ほんとうに「うつ」になってしまいます。
だからこそ休みましょう。
見せかけの強さではなく、ほんとうの意味での強さを手に入れるために、自分の心の状態を理解し、対話するということは、自分らしく生きるために大事なことです。
いい意味で、自分を守っていきましょう。
【とにかくメンタル強くしたいんですが、どうしたらいいですか?】の概要


本書の目次
【とにかくメンタル強くしたいんですが、どうしたらいいですか?】
イントロ
はじめに
序章 なんで私はメンタルが弱くなるんでしょうか?
第1章 実はそれ、ただの疲労です!
その疲労が厄介なんです。
~今のメンタルの状態を理解する~
第2章 プチうつ状態から抜け出す方法を教えてください!
第3章 知らず知らずのうちにためた心の借金を返しましょう。
第4章 ひとり心の会議のススメ
~他人から攻撃されてメンタルをよい状態に保つ方法ありますか?~
おわりに①
おわりに②
著者の紹介
下園壮太(しもぞの・そうた)
1959年、鹿児島県生まれ。
NPO法人メンタルレスキュー協会理事長。元・陸上自衛隊衛生学校心理教官。
1982年、防衛大学校を卒業後、陸上自衛隊入隊。
陸上自衛隊初の心理幹部として、自衛隊員のメンタルヘルス教育、リーダーシップ育成、カウンセリングを手がける。大事故や自殺問題への支援も数多く、現場で得た経験をもとに独自のカウンセリング理論を展開。
2015年に退官し、その後は講演や研修を通して、独自のカウンセリング技術の普及に努める。
コロナ禍でNHKやJ-WAVE、NewsPicksなど、テレビ、ネットでの活躍が急増。
主な著書
『50歳からの心の疲れをとる習慣』日経BP (2023/3/16)
『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』朝日新聞出版 (2013/4/1)
『自衛隊メンタル教官が教える イライラ・怒りをとる技術』朝日新聞出版 (2022/4/13)
『全部うまくいかないのはわたしが頑張りすぎるから』WAVE出版 (2023/3/22)
『自衛隊メンタル教官が教える 50代から心を整える技術』朝日新聞出版 (2020/3/13)
『自衛隊メンタル教官が教える人間関係の疲れを取る技術』朝日新聞出版 (2017/9/13)
『元自衛隊メンタル教官が教える 心を守るストレスケア』PHP研究所 (2021/4/27)
『寛容力のコツ』 三笠書房 (2017/12/8)
『相談しがいのある人になる 1時間で相手を勇気づける方法』 講談社 (2008/4/21)
『教えて先生 もしかして性格って悪くなるの?』すばる舎 (2022/11/24)
『「一見、いい人」が一番ヤバイ』PHP研究所 (2019/3/18)
『自衛隊メンタル教官が教える心をリセットする技術』青春出版社 (2021/2/2)
『自衛隊メンタル教官が教えてきた 自信がある人に変わるたった1つの方法』朝日新聞出版 (2016/2/5)
『自衛隊メンタル教官が教える 折れないリーダーの仕事』日本能率協会マネジメントセンター (2017/2/20)
『あきらめの悪い人 切り替えの上手い人』講談社 (2009/2/20)
『令和時代の子育て戦略』講談社 (2019/8/23)
『がんばることに疲れてしまったとき読む本』PHP研究所 (2014/12/15)
『うつからの脱出』日本評論社 (2013/8/1)
『プチうつ症候群の正しい理解と知識』日東書院本社 (2015/12/22)
『人はどうして死にたがるのか』文芸社 (2003/12/23)
共著
『家族が「うつ」になって、不安なときに読む本』日本実業出版社 (2022/8/29)
『「死にたい」気持ちに寄り添う』金剛出版 (2023/5/1)
『クライシス・カウンセリング』金剛出版 (2018/4/25)
『自分のこころのトリセツ』日経BP; 第1版 (2013/9/30)
『ワーママが無理ゲーすぎてメンタルがやばいのでカウンセラーの先生に聞いてみた。』時事通信社 (2023/6/30)


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